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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-63

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【電磁人の韻律詩63~ダブルヒーロー~】

「狂骨!機甲形態!」

 晶が能力の使用で気絶をしていた頃、明日真とイザークの戦いはなおも続いていた。
 無論、技量も経験もイザークの方が圧倒的に上である。
 本来ならば勝てるはずのない戦いだ。
 だが明日真は食らいついていた。

「またそのバイクか!一度破られた技を使って勝てると思っているのか?」
「俺にはこれしかない!」

 肩に剣を突き刺したままバイクに大量の骨の鎧を纏わせてイザークに突撃をしかける。
 フロントホイールの辺りから生えたクワガタの如き二本の角がイザークに正面から襲いかかる。

「1074cc 空冷4ストロークDOHC直列4気筒!
 最高出力111ps/8500rpm最大トルク9.8kg-m/6500rpm
 俺の技術と都市伝説の力により出力は更に上がっている!
 常時噛合式5段リターンの変速機は一切のパワーロスが無いギアの上昇を可能にしている!
 駆動方式は言うまでもなく安心と信頼のチェーンドライブ!
 テレスコピック式 37φmm正立スイングアーム式 ツインショック正立の両方のサスペンションが反動は完璧に吸収してくれる!
 これがスズキの最高傑……」
「話が長い!」

 二本の角がたたき割られる。
 それと同時にバイクも派手に横転し、明日真は空中に投げ出される。

「狂骨!機甲旋風形態!」

 空中に投げ出された彼を救い出すが如くバイクは円盤の形状になり飛翔する。
 バイクは自ら思考しているが如く彼を乗せたままイザークと距離を取る。

「下がったか!」

 明日真は円盤状になったバイクを踏み台に空高く飛び上がる。

「スカルキィイイイイイック!」

 バイクに纏わせていた装甲と自らを守る装甲を全て脚へと集中。
 装甲は脚部へと集まり一つの巨大な杭のような形へと変化する。

「なに?」

 イザークは素直に驚きの声を上げた。
 戦闘経験で明らかに劣る彼がこの動作の時だけは明らかに挙動が正確かつ迅速なのだ。
 まるでこの動作だけを何度でも何度でも反復練習しているが如くに。
 躱す暇の無かった彼は巨大な骨の杭を剣で正面から受け止める。

「オラオラオラオラオラオラオラオラオラオラオラ!」

 杭の上から何度もそれを蹴りつける明日真。
 強烈な衝撃がイザークの剣から伝わってくる。

「ふん、重いな……。」

 だが、とイザークは一人呟く。

「俺はもっと重い物を背負ってきたんだ!」

 ふわり、と巨大な杭が一瞬だけ宙に浮かぶ。
 二回、三回、白刃が雪の中で閃く。

「嘘……だろ?」

 明日真とて考えなかった訳ではない。
 目の前に居るこの男ならば、この一撃をあっさりと突破しうるだろうことは。
 それだけの力量差があるのだ。
 しかし、されど、大事なのはそう言うことではない。
 ヒーローにとって必殺技が破られることは敗北を意味するのだ。
 スカルキックはどれだけ陳腐であれ間違いなく彼の必殺技なのだ。
 それを破られれば精神的な隙もできる。
 骨の杭を砕かれ、地面に無様に尻餅をつく明日真。
 剣を振り上げたイザークの動きが一瞬止まる。
 明日真はその隙を見計らって一気に後ろに飛び退いた。

「…………なんだ今の殺気は?」
「へ?」
「お前じゃない……お前じゃないとなると、誰だ?」
「何を言っているんだ?
 今躊躇ったんなら、あんたがまだ良心の呵責に苛まされているだけだよ。」
「……そう、かもな。」

 イザークは溜息を吐く。

「………どうしても、退かないか」
「当たり前だ」

 強い意志
 まっすぐで、まぶしい程の意志
 …この少年を退けるには、この意志を叩き折らなければならない
 ………気が進まないとそう感じるのは、自分にも良心が残っていたと言うことなのだろうか
 剣を振りかぶる
 足を狙えば、動きぐらいは封じられるか………
 イザークはためらっていた。
 そして明日真は、イザークの動きに反応したように、攻撃の構えを取る。
 その背中に一切の躊躇いは無い。
 躊躇いがない、それが正義を標榜する彼の最大の武器なのかもしれない。

「スカルパンチ……!」

 巨大な骨のドリルをイザークに向ける。

「好都合だ……!」

 甲冑で阻まれない分脚への攻撃をしやすい。
 イザークはそう考えた。
 だがその直後、二人の間に光の槍が突き刺さる。
 その槍の持ち主は黒ずくめの服を着た青年だった。

「そ、組織の人……!?」

 やっう゛ぁい、と明日真は焦る。
 なんだかんだで彼は謹慎中の身である。
 それがこんなところで戦っているのがばれれば……想像するだに恐ろしい。
 彼がそんなことを考えている間にジョルディが黒ずくめの男に飛びかかる。

「くそっ!」

 今は戦うしかない、そう思ったときにはすでに明日真の前からイザークの姿は消えていた。

「ジョルディさんを助けに行っている……」

 二対一で戦っている相手を後ろから攻撃することを卑怯だと彼は思わない。
 彼はそれほど愚かではない。

「スカル……シュート!」

 腕に纏っていたままの大量の骨を髑髏の形にして大量に蹴り飛ばす。
 弱い誘導性能を持ったそれはイザークに向けて幾何学的な弾幕を形成して襲いかかった。
 当然それは簡単に回避されるが真は黒服の男、“エーテル・エリオット”と合流することに成功する。

「大丈夫ですか!?」
「ああ、君こそ大丈夫か?」
「俺は大丈夫です、あの……。」
「なんだ?」
「あの人達、実は悪い人じゃないんです。なんか仕方なく戦っているって言うか……。
 だからその……。」
「どの道話はせねばならない。すぐに殺そうとは俺も思ってないよ。」
「良かった……あともう一つ。」
「なんだ?」
「貴方がどこの黒服さんか知らないですけど俺がここにいたことだけは黙ってて下さい!
 俺謹慎中で!これが担当の黒服さんとか!お偉いさんにばれると大変なんです!
 だから通りすがりの正義の味方的なあれでおねがいします!」

 “エーテル・エリオット”
 組織のE-No.0の黒服、即ち偉い人である。
 明日真の人生の中でも後々まで語り継がれることとなる華麗な自爆であった。
 エーテルはそんな彼を溜息混じりに見つめるとレーザーメスを構え直す。

「君が明日真君か、色々難儀な人生を送ってるね。」
「え?」
「組織関係の知り合いから君のことは聞いている。」
「オレオワタ!」
「細かい話は後だ。」

 イザークとジョルディがこちらを見つめている。

「そうですね。」

 明日真は右手を高く掲げ左手を右に伸ばしてポーズを決める。

「今日は俺と黒服さんでダブルヒーローだ。」

 あの二人を救う、その強い意志を自らのポーズに込めて、彼は呟いた。
【電磁人の韻律詩63~ダブルヒーロー~】


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