「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 電子レンジで猫をチン!-62

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【電磁人の韻律詩62~嵐の中で~】

 さて、明日がイザークと戦闘を始めた頃、明日真の姉である明日晶は雪絵を連れて学校町を出ようとしていた。
 跨るバイクは当然ホンダのシャドウファントム。
 最近の晶姉さんお気に入りの一品である。

「晶さん晶さん。」
「なんだい雪絵ちゃん。」
「やたら町中が騒がしくないですかね?」
「確かにねえ、よりにもよってアメリカに帰ろうって日にこのざまだ。」
「町が……哭いている……。」
「――――いきなり何を!?」
「いえ、新しいキャラ付けをしようかなーって。
 レギュラー出演じゃなくなりましたし。」
「良いから!そういう新しいキャラの方向性は要らないから!」
「俺たちは、この町の涙を拭う二色のハンカチ……。」
「私を巻き込まないでね!?」

 本日、不思議なことに彼等は教会の契約者とまったく出会っていなかった。
 故に彼等はこの町で何が起きているのかまったく理解してなかったのだ。

「しかし困りましたよね。」
「うん、携帯電話も通じないしね。」
「それはiphoneですか。」
「いいえ、androidです。」

 そんな彼等の視界に何やら妙な物が映る。




「あれ、何だと思います?」
「氷の人形かな、綺麗だねー。最近の氷像は自律駆動するんだ。」
「それはそうとしてその氷像に人が襲われています。」
「じゃあ助けないとね。」

 数百メートル先の道で人が氷像に襲われている。
 広域感知能力を持つ特殊なフランケンシュタインである雪絵はその事実を晶に伝えた。
 明日晶は弟と違って常識を持ったまともな人間である。
 しかし彼女も自分で助けられる人間くらいは助けるのだ。

「雪絵ちゃん、ちょっと捕まってな。」

 バイクのアクセルスロットを徐々に捻る。
 シャドウファントムは音もなく影が如く幻が如く加速し、
 影が如く幻が如く氷像に迫り……

「あらよっと!」

 地面をひっかく嫌な音。
 ゴムの焦げる悪臭。
 彼女は前輪を道路にあった溝に引っかけて後輪を浮かし、
 そのままバイクを一回転させて氷像を跡形もなく破壊したのだ。

「まだ居ますよ!」

 雪絵の言うとおり、大量の氷像が彼等を取り囲んでいる。



「おい大丈夫か少年!」
「え、あ……すまない。」
「来ますよ晶さん!」
「おうよ!」
「晶、今日は俺とお前でダブルライダーだ。」
「免許取ってから言いなさい。」
「とぅ!」

 雪絵は都市伝説の肉体を生かし、大量の氷像に向けて力任せなパンチをたたき込む。
 一撃、また一撃と拳が振るわれるごとに氷像が一つ一つ爆砕していく。

「やれやれ……あれは間違いなく馬鹿弟の影響だね。」

 対照的に晶は能力の使用にかかっている制限の為か、
 流れるような動きで相手の攻撃をかわし、
 最低限の動きで氷像の手足などを破壊していく。

「晶さん危ない!」

 しかし、晶が破壊した氷像だけが再生して再び動き始める。
 雪絵の咄嗟の警告で晶は背後からの一撃をなんとか回避した。




「破壊の仕方が悪かったか?」
「どうやらコアみたいなものがあるようですよ。」

 氷像達の攻撃対象は完全に二人に移っていた。
 派手に暴れすぎたせいか辺りにいた他の契約者まで集まってきている。

「ならば調べるだけだよ!」

 明日晶は自らの都市伝説「人間の集中力は三分間が限度」と「超能力」を発動させる。
 彼女はPSIで氷像のコアを探った。

「……大体解った。質感みたいなのがちょいと違うね。」
「それなら私の眼でも捉えられるかもしれません。」
「感覚機能特化だったっけか?」
「はい。」
「じゃあここからはもっと派手に行こうか!」

 二人は背中を合わせたまま闘い続ける。
 明日真もそうだが、晶も一緒に戦う相手の呼吸を読んで合わせるのが上手い。
 さらに雪絵も感覚機能に特化したフランケンシュタインだ。
 すぐ後ろに居る晶の息づかいが手に取るように解る。
 雪絵が晶の背中を踏み台にして弾丸のように飛び回り氷像を破壊したかと思えば、
 晶の放つ無差別かつ大規模なサイコキネシスを雪絵は少年も守るようにして躱してみせる。
 力と技、技と力が重なり合って、彼等は今、悪を打ち砕く疾風となっていたのだ。




「ラスト行くよ!」
「任せてください!」

 雪絵は一度、彼女を製作した創造主に捕獲されて再度の改造を施されていた。
 その時、彼女に与えられたのが“空気を操る能力”である。
 これは彼女が元々人間だったことを生かして、風を操る都市伝説と擬似的な契約を結んだことで手に入れた力なのだが……
 まあ詳細は後に語ろう。
 彼女には“風の方角・威力を読み”なおかつ“それを操って戦う”能力が与えられているのだ。

「うおおおおおおおおおおお!」

 明日晶の膨大なサイコキネシスが突風を巻き起こす。
 空気とは軽い物である以上、動かすこと自体は簡単なのだが、
 この場合感嘆すべきはその圧倒的な精度である。
 彼女は今まさに指向性を持った空気の爆弾を作っているのだ。

「晶さん、そこの力を抑えてください。
 左側はもっと凝縮して良いです。
 逃げ道は前方向にだけ……そうです。三時方向からの風を利用してください。
 余剰分のエネルギーは私に備え付けられているプラグへ回してください。」

 鎌鼬のように鋭利な剃刀ではない。
 竜巻のように引きちぎる蛮刀でもない。
 これはただただ叩き付けて打ち砕くための疾風。

「行くよ。私達の切り札。」
「ええ!私達の疾風です。」

 大気が暴れ狂い、竜の悲鳴が如き轟音をばらまく。
 そしてその爆音と共に、氷像達は一瞬で原形を留めぬ欠片と化した。







「ふー……きまったぜ。」
「やりましたね。」
「がったいわざがここまでうまくいくとは……。」
「どうしたんですか晶さん?」
「なに?」
「いや、様子がおかしいですよ?」
「あーちょっとのうりょくつかいすぎたかなーえへへー。」

 ろれつが回ってない。
 さらにそこまで話したところで晶は突然気絶する。
 これは彼女の能力の代償なのだがまだ雪絵はこのことを知らない。

「ど、どうしよう……、晶さんが倒れちゃった?」
「……何が起きているんだ。」 

 目の前に、風車を模した電極を付けた少女と、
 漫画のように目をぐるぐると回して気絶しているお姉さんが居るという妙な状態に、
 少年はどうすれば良いのか頭を抱え始めた。
【電磁人の韻律詩62~嵐の中で~fin】


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