町中に屯する人の形をしたジャガー達
その群れの中に、ふわりと羽根が落ちたかと思えば、
純白の翼を生やした少女が、ゆっくりとその場に降り立った
着地の瞬間に翼は消え、代わりに彼女の腕に雷光が宿る
その群れの中に、ふわりと羽根が落ちたかと思えば、
純白の翼を生やした少女が、ゆっくりとその場に降り立った
着地の瞬間に翼は消え、代わりに彼女の腕に雷光が宿る
「……ババリ……バリッシュ!!」
じゅるりと涎を垂れ流しながら、1匹のジャガー人間が飛びついた
ばちっ!!という音が響き、ジャガー人間は一瞬にして黒焦げとなった
ばちっ!!という音が響き、ジャガー人間は一瞬にして黒焦げとなった
「…ごめんね、でも…守らなきゃいけないんだ」
再び『神』の字を取り出す
そして空いた手で『火』という字を書き、炎を具現化させる
そして空いた手で『火』という字を書き、炎を具現化させる
「戦わなきゃ……僕も……麻夜や裂兄ぃの為に…この町の…世界の為に…!」
襲い来る獣人達に、少女は―――否、少年は反撃を開始する
【 神 力 秘 詞 】
十三之巻 ~芸術四奏~
十三之巻 ~芸術四奏~
「最後の………1体………!」
「バッ、バリィィィィィィィィィ!?」
「バッ、バリィィィィィィィィィ!?」
全身に電撃が走り、ジャガー人間は力無く倒れ、光の粒子に変わる
ふぅ、と溜息を吐いて、漢は周囲を見渡した
ジャガーの影は、何処にも見当たらない
どうやらこの一帯は全滅出来たらしい
ふぅ、と溜息を吐いて、漢は周囲を見渡した
ジャガーの影は、何処にも見当たらない
どうやらこの一帯は全滅出来たらしい
「…また来るかも知れないけど……他のところをあたってみようかな」
『飛』という字を書き、背に翼を生やして、漢は飛び立とうとした
その時だった
その時だった
「――――――――――――ッ!?」
間一髪で攻撃を回避する
目の前のアスファルトが、巨鎚のような足によって罅割れ打ち砕かれる
目の前のアスファルトが、巨鎚のような足によって罅割れ打ち砕かれる
「……こ…これは……!?」
ふと上を見上げる漢
そこにはその足の主が悠然と立っていた
漆黒の身体に白い模様、少し長めの鼻
そこにはその足の主が悠然と立っていた
漆黒の身体に白い模様、少し長めの鼻
「ぐるるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
それは巨大なバク―――魔神「トゥクムバラム」だった
「こ、こんな大きなのがどうして…………っ!!」
ふわりと飛んで再び襲い来る巨大な前足を避ける
足元が一瞬瓦礫の山のようになり、砕けたアスファルトは見る見る内に風化して粉微塵となってゆく
足元が一瞬瓦礫の山のようになり、砕けたアスファルトは見る見る内に風化して粉微塵となってゆく
(あんなのに踏まれたら……!)
距離を取って着地し、『神』の字を取り出し雷を発生させて「トゥクムバラム」に向けて放つ
しかし「トゥクムバラム」は両前足を上げると、踏み潰すような形で雷を掻き消した
さらにその巨体により地面が振動し、漢のバランスが崩れた
しかし「トゥクムバラム」は両前足を上げると、踏み潰すような形で雷を掻き消した
さらにその巨体により地面が振動し、漢のバランスが崩れた
「きゃっ!?」
盛大に尻餅をついてしまい、すぐに立ち上がろうと試みる
突如、周囲が一気に暗くなる
ふと見上げた先、巨鎚のような丸い足
漢の血の気が、さぁっ、と引いてゆく
様々なことが頭の中を駆け巡る
突如、周囲が一気に暗くなる
ふと見上げた先、巨鎚のような丸い足
漢の血の気が、さぁっ、と引いてゆく
様々なことが頭の中を駆け巡る
「………こんな…………こんな、ところで…………!!」
右手に『漢』、左手に『神』の字が宿る
迫りくる足に向けて、漢はその2つの文字をぶつけようとした
ぐらり、と足が傾いた
迫りくる足に向けて、漢はその2つの文字をぶつけようとした
ぐらり、と足が傾いた
「え…?」
まだ文字は彼の両手に宿ったまま
にも関わらず、「トゥクムバラム」の身体が大きく傾き、轟音と共にその場で倒れこんでしまった
訳も分からず幾つものクェスチョンマークを浮かべる漢
にも関わらず、「トゥクムバラム」の身体が大きく傾き、轟音と共にその場で倒れこんでしまった
訳も分からず幾つものクェスチョンマークを浮かべる漢
「お前、大丈夫か?」
「Wow,Very CuteなJapanese Girlネ!」
「Wow,Very CuteなJapanese Girlネ!」
びくっ、と跳び上がり、彼はそっと振り向いた
そこに立っていたのは黒髪を短く伸ばした中性的な人物と、少し長い金髪の外国人らしき少年だった
2人とも見た目だけで判断すれば、年は漢と近そうだ
そこに立っていたのは黒髪を短く伸ばした中性的な人物と、少し長い金髪の外国人らしき少年だった
2人とも見た目だけで判断すれば、年は漢と近そうだ
「………あ、ありがと、ございます……」
黒髪の子供に差し伸べられた手を取り、漢はゆっくり立ち上がった
よく見ると、その子供は額縁に入った絵を持っており、金髪の少年は大事そうにカメラを首に提げていた
よく見ると、その子供は額縁に入った絵を持っており、金髪の少年は大事そうにカメラを首に提げていた
「え、えっと……貴方も、契約者、なんですか?」
「Yes,沢山のジャガーからこの町をGuardしていたところネ」
「というか、一般人がわざわざこんなところに出向くと思うか? まぁ、人外ならやると思うが」
「ぐるるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
「Yes,沢山のジャガーからこの町をGuardしていたところネ」
「というか、一般人がわざわざこんなところに出向くと思うか? まぁ、人外ならやると思うが」
「ぐるるおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」
2人が話している間に「トゥクムバラム」が立ち上がる
咄嗟に漢は身構えたが、刹那に、ぼうっ!!と「トゥクムバラム」の足元が燃え上がる
と同時に、巨獣の顔面に何かが直撃し、またも巨獣は地面に倒れ伏す
咄嗟に漢は身構えたが、刹那に、ぼうっ!!と「トゥクムバラム」の足元が燃え上がる
と同時に、巨獣の顔面に何かが直撃し、またも巨獣は地面に倒れ伏す
「あぁ、良い絵になりそうだ、この光景…後で描き下ろそうか」
「Youは今日も歪み無いネ;」
「す、凄い……あんなのを一撃で―――――」
「プリキュア! ミラクルハート・アルペジオ!!」
「プリキュア! ハートフルビート・ロック!!」
「Youは今日も歪み無いネ;」
「す、凄い……あんなのを一撃で―――――」
「プリキュア! ミラクルハート・アルペジオ!!」
「プリキュア! ハートフルビート・ロック!!」
声がして、ハートの形をした環状エネルギー弾と、青い電撃の塊がそれぞれ叩きこまれる
「トゥクムバラム」の巨体が、ずずず、と地面にめり込んだ
すた、と漢の目の前に2人の少女が降り立った
一方はエレキギターを持った、漢より年下らしきロングヘアの少女
もう一方はどう見ても『スイートプリキュア♪』のキュアメロディだった
「トゥクムバラム」の巨体が、ずずず、と地面にめり込んだ
すた、と漢の目の前に2人の少女が降り立った
一方はエレキギターを持った、漢より年下らしきロングヘアの少女
もう一方はどう見ても『スイートプリキュア♪』のキュアメロディだった
「うん!今日も絶好調♪」
「成美、愛恋、遅い」
「ごめんなさい、姉貴の変身に5分もかかって……あれ、彩乃さん、カメラの人、その子は?」
「あのMonsterに襲われてたんですヨ、それとその呼び方はやめて欲しいナ;」
「…イロノ? も、もしかして、女の子ですか?」
「ん? あぁ、僕は女だよ、まぁこの成りなら分からなくとも仕方ないが」
「成美、愛恋、遅い」
「ごめんなさい、姉貴の変身に5分もかかって……あれ、彩乃さん、カメラの人、その子は?」
「あのMonsterに襲われてたんですヨ、それとその呼び方はやめて欲しいナ;」
「…イロノ? も、もしかして、女の子ですか?」
「ん? あぁ、僕は女だよ、まぁこの成りなら分からなくとも仕方ないが」
一瞬、漢の思考が止まったが、すぐに「自分も同じか」と思い直して復活した
気がつけば、「トゥクムバラム」が尚も立ち上がろうと、アスファルトを砕きながら震える足で身を起こしている
気がつけば、「トゥクムバラム」が尚も立ち上がろうと、アスファルトを砕きながら震える足で身を起こしている
「っ、まだ、立って……」
「しっつこいなぁ、次はキュアパッションにしよっかな」
「もうそのままで良いじゃん、どーせ変わんないのに」
「うっさいわね!?」
「また姉妹喧嘩のStartネ;」
「全く、絵にもならない」
「あ、あの…そ、そんな呑気なこと言ってる場合じゃ――――――」
「しっつこいなぁ、次はキュアパッションにしよっかな」
「もうそのままで良いじゃん、どーせ変わんないのに」
「うっさいわね!?」
「また姉妹喧嘩のStartネ;」
「全く、絵にもならない」
「あ、あの…そ、そんな呑気なこと言ってる場合じゃ――――――」
言いかけて、ふと彼は耳を澄ませた
とても美しい、ピアノとヴァイオリンの旋律
とても美しい、ピアノとヴァイオリンの旋律
「…『エリーゼのために』……?」
「安心しろ。俺の曲を聞いても君には影響は無い」
「安心しろ。俺の曲を聞いても君には影響は無い」
声のした方を見ると、まず目についたのは漆黒のグランドピアノ
それを椅子代わりに座ってヴァイオリンを弾いているのは、後ろ髪を伸ばした黒髪の少年
少年がすた、と跳び下りると、“独りでに演奏していた”ピアノの音が、少しずつ弱くなる
それを椅子代わりに座ってヴァイオリンを弾いているのは、後ろ髪を伸ばした黒髪の少年
少年がすた、と跳び下りると、“独りでに演奏していた”ピアノの音が、少しずつ弱くなる
「―――――さあ、フィナーレだ」
曲が終わる
その直後、立ち上がろうとしていた「トゥクムバラム」の身体が、弱々しく崩れ落ちる
それからピクリとも動く事は無く、ただ、光の粒子に変わっていくだけだった
漢は、ぽかん、とその光景を眺めていた
その直後、立ち上がろうとしていた「トゥクムバラム」の身体が、弱々しく崩れ落ちる
それからピクリとも動く事は無く、ただ、光の粒子に変わっていくだけだった
漢は、ぽかん、とその光景を眺めていた
「もー、遅いわよ響介!」
「仕方ないだろう、そういう能力なんだから」
「響兄ちゃんお疲れ様ぁ♪」
「って何くっついてんのよ愛恋!?」
「…昼ドラか」
「Niceですネー、Niceですネー」
「仕方ないだろう、そういう能力なんだから」
「響兄ちゃんお疲れ様ぁ♪」
「って何くっついてんのよ愛恋!?」
「…昼ドラか」
「Niceですネー、Niceですネー」
―――この人達…強い
心の底からそう思った瞬間だった
だが感心している場合ではない
心の底からそう思った瞬間だった
だが感心している場合ではない
「っ危ない!」
『漢』の字を具現化し、炎と水の螺旋を作り出す
5人の頭上から襲いかかろうとしていた、前足が無く代わりに鳥の翼が生えた気味の悪いジャガーを弾き飛ばした
見れば周囲には、またもジャガー人間が集っていた
それに、空には気味の悪いジャガー鳥までもが
5人の頭上から襲いかかろうとしていた、前足が無く代わりに鳥の翼が生えた気味の悪いジャガーを弾き飛ばした
見れば周囲には、またもジャガー人間が集っていた
それに、空には気味の悪いジャガー鳥までもが
「う、嘘、まだこんなにいっぱい…!?」
「本当に今日はBad Dayですネ」
「あの、だ、大丈夫、ですか?」
「君、なかなかやるな。どうやらただの女の子じゃなさそうだ」
「本当に今日はBad Dayですネ」
「あの、だ、大丈夫、ですか?」
「君、なかなかやるな。どうやらただの女の子じゃなさそうだ」
ヴァイオリンを持った長髪の少年にそう言われ、はにかみながらも『女の子』と呼ばれた事が気にかかる
一瞬、ギターの少女とキュアメロディに嫌な眼で見られたがそれに気付く事無く、漢は左手に『神』の字を宿す
一瞬、ギターの少女とキュアメロディに嫌な眼で見られたがそれに気付く事無く、漢は左手に『神』の字を宿す
「流石に多いな……君、俺達と一緒に戦ってくれないか?」
「…はい、僕の方こそ、宜しくお願いします…!」
「よし、一応名前を聞いておこうか」
「漢…神崎 漢と、申します」
「…はい、僕の方こそ、宜しくお願いします…!」
「よし、一応名前を聞いておこうか」
「漢…神崎 漢と、申します」
ジャガー達が動き出す
漢が空に向けて雷を放った後、地を炎が埋め尽くす
漢が空に向けて雷を放った後、地を炎が埋め尽くす
「僕は相原 彩乃 。この「火事を呼ぶ少年の絵」の契約者だ」
アスファルトと共に、ジャガー人間が数匹粉砕される
それは「トゥクムバラム」の一撃と同じだが、その姿は何処にも無い
それは「トゥクムバラム」の一撃と同じだが、その姿は何処にも無い
「Meは緑河 ショットと申しマス! 「念写」and「時の重ね撮り」と契約しまシタ!」
拳が突き刺さり、ジャガー人間が吹っ飛ぶ
エレキギターが振るわれ、ジャガー鳥が叩き落とされる
エレキギターが振るわれ、ジャガー鳥が叩き落とされる
「私は信時 成美 ! 契約都市伝説は「なりきりグッズで本物になれる」!」
「信時 愛恋 、契約したのは「エレキギターで感電死」よ!」
「
グランドピアノから音楽が奏でられる
ジャガー達が襲いかかろうとするが、それはヴァイオリンから伸びる禍々しい手によって遮られていた
ジャガー達が襲いかかろうとするが、それはヴァイオリンから伸びる禍々しい手によって遮られていた
「俺は柊 響介 。「ピアノの霊」と「チェリーニのヴァイオリン」の契約者であり…
この『芸術カルテット』のリーダーだ!」
この『芸術カルテット』のリーダーだ!」
漢の戦いは、まだ始まったばかりだ――――――
「…四重奏 ? えっと、1、2、3……」
「あ、私は入ってないよ、響兄ちゃんと姉貴とカメラの人と彩乃さんの4人なの」
「あ、私は入ってないよ、響兄ちゃんと姉貴とカメラの人と彩乃さんの4人なの」
...物語猶続