「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-25

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匿名ユーザー

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 キセル煙草の煙が、ゆっくりとのぼっていく
 獄門寺家の縁側に腰掛け、鬼灯はキセルを咥えて何やら思案しているようだった
 ふわり、ふわり、と
 キセル煙草の香りと、鬼灯が身につけている桜の花に似た香の香りが交じり合う

「……考え事か?」

 ひたり、と
 その鬼灯に、龍一がゆっくりと近づいていった
 キセルから口を離し、鬼灯は龍一を見上げる

「まぁ、そんなところだ………厄介な事になっているな、色々と」
「…………まったくだ」

 すとん、と鬼灯の隣に腰を下ろす龍一
 つ、と鬼灯がキセルを差し出したが、遠慮する、と龍一は小さく断る

「…絵里の問題についてか」
「おぅ、お前の嫁さんが言ってた事も、聞こえてきてたしな」

 ゆらり、ゆらり
 昇りゆくキセル煙草の煙を見上げながら、鬼灯は口にする

「しばらく、警戒した方がいいかもな」
「……………だろうな。あの手のことをしてくる連中の行動パターンは、ある程度は予測できる」

 南風原 絵里に、ジェヴォーダンの獣の心臓を移植した、何者か
 その目的が何であれ、被験者が生きている以上、経過を見に来る可能性がある………強引な手段でもって
 ならば、警戒する必要があるだろう
 と、同時に。南風原 絵里がそのことに関して負い目を感じないようにする必要性がある
 彼女の性格を考えれば、「獄門寺家に迷惑をかけるわけには」等と考えだす可能性が存在する事は、よくわかっていた

「まぁ、ここを襲撃してきたり、「獄門寺」組の奴を襲撃したりしてきたら…………やり返しても、それは正当防衛だよな?」
「……………だろうな」
「つまり、そんな事する輩が出たら、俺が好きにしてもいいんだよな?」

 その鬼灯の言葉に、龍一は即答はせず、少し考えたようだった
 そうして

「…………問題ないだろうな」

 と、そう結論付けて応えた

「いえ、多少は問題ありますから」

 二人の会話に突っ込んだのは、C-№992だ
 その言葉に、おや、と鬼灯はくつくつと笑う

「俺ぁ、この家に世話になってるもんだからな。だから、この家に害が及ぼされるなら、その相手をどうしようが問題ねぇだろ?」
「貴方が何かやらかすとなると、嫌な予感しかしませんが」
「安心しろ。今回はヘタに社会的に殺すとなると、人ならざる者の存在が明るみに出かねない。だから普通に斬る」
「あぁよかった、安心……………するとでも思いましたか」
「桜の木の下にでも埋めて、養分にした方が良かったか?」

 いやいやいやいや、とC-№992は突っ込むべき言葉を探す
 探すのだが、それよりも先に龍一が口を開いた

「………鬼灯が斬らずとも。この街に、この家の者に害をもたらすようであれば。俺が、斬る」
「あぁ、うん……それなら問題ないでしょうか」
「おい、龍一が斬るのはよくて、俺はダメなのかよ」
「未だに「組織」から要注意人物扱いされてる人相手には、まっとうな対応かと」
「ここ数年は、おとなしくしてんのになぁ」

 いや、違う
 「おとなしく」は、していないだろう
 「三年前」の事件の黒幕を追って、世界中を回りに回り、途中からはその手駒を次々と潰してきた男だ
 その中には、若干「目立つ」やり方も混じってはいた
 ひらりゆらり、普段は飄々と、流れに任せて何もかも受け流しているような男だが、感情的になると能力に一切、抑えが効かなくなる
 それが、契約しているものに「飲まれる前」からなのか。それとも「飲まれたから」なのか。どちらなのかは、当人にもおそらくはわからないのだろう
 ただ、鬼灯と言うこの男が、「悪魔の囁き」に近い能力を使っているうちはまだいい
 もうひとつ、はっきりしない多重契約のそれを使った時、何が起きるのか。「組織」は把握しきれていないのだ
 そもそも、彼がだいたい3つほどの都市伝説と契約しているらしい事はわかっているが、そのうち「組織」が確認出来ているのは二つだけであり、もうひとつはわからない
 「首塚」の首領たる「平将門」は知っているらしいが、そもそも将門が「組織」に情報をよこしてくれるはずもないので、どちらにせよわからないままだ
 確認する為にも能力を使ってもらった方がいいのかもしれないが、家そのものがべっちゃりと潰されていたあの様子から、できれば使ってくれない方が安全なのは事実である

(当人は、「自分の戦闘能力は低い」と言っていた。ただ、それが「誰の強さを基準にして」の発言なのかは、当人にしかわからない)

 全くもって、「獄門寺」家は面倒な男を客人として迎え入れたものだ
 C-№992は、当人達に気付かれぬよう、こっそりとため息を付いたのだった


to be … ?





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