「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-56a

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匿名ユーザー

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だれでも歓迎! 編集
 本屋自体は嫌いではない
 いくつもあるファッション雑誌の中から、どれを買おうかな、と選ぶ時間はなかなか楽しいものだ
 …最終的には、気になる付録がついている物を全部選んでしまったとしても、私はあまり悪くない、はずだ
 魅力的な付録をつける出版社が悪い。ほぼ付録がメインになっているのとかは、どうかと思うけれど
 とりあえず、今日は一冊だけ選んで買うことにした
 ブランドとコラボした限定のバッグが付いているだなんて、買うしか無い

「あぁ、咲夜さんも、何かお買いになられたのですね?」
「えぇ、ちょっとファッション雑誌を……龍哉君も、何か買ったの?」

 はい、と頷くR
 Nの方は、今丁度カウンターでお支払しているところだ

 今日は、RとNと一緒に帰っていた
 最近物騒だからと、2人が私を送ってくれる事になったのだ
 ……以前だったら、物騒じゃなくても私と一緒に帰りたいと男逹が殴り合いになるとかもあったのに、ここではそういうことはない
 本当、高校の男共おかしいと思う。どこに目をつけているんだろう

「おまたせ。じゃ、帰るか」

 と、そうしているとNもお会計が終わったようで戻ってきた
 それぞれ、買った本をカバンに入れて店を出る

 夕暮れ時の道を、三人で歩いて行く
 伸びた影がゆらりゆらりと揺れ揺れる

「直斗は、何買ったの?」
「ん?ライトノベルだよ。「ゴブリンスレイヤー」って。やつ。新刊出てたからさ」

 特典目当てじゃないからあそこで買った、と口にしている
 なるほど、ライトノベルか。自分はあまりライトノベルは読まないのでピンと来ないのだが、もしかしたら有名な作品なのだろうか
 直斗は、そのあたりの流行にはちょっと詳しいようだし

「どんな話なの?」
「え?……そうだな。咲夜は、ファンタジー系のTRPGってわかるか?」
「TRPG………は、前にみんなでやった、くとぅるふみたいな奴?」

 クトゥルフTRPG、とやらは、前にみんなでちょっとやらせてもらった
 ……うん、あれ、怖かった
 突然、見覚えのない人と一緒に見覚えのない部屋に閉じ込められていて、だなんて。想像するとなかなかに怖い
 最後のシーンとか、本当、怖かった
 私は、あんなにも想像力豊かな方だっただろうか?と思うくらいに、色々と想像してしまったものだ
 もっとも、KPとやらをやっていたAを始め、他のみんながうまく盛り上げてくれたおかげなんだろうけれど
 ………あの日の夜、ちょっと怖くて眠れなかったのは、秘密だ
 怖かったけど、楽しかったのも事実だし

「そうそう。で、あん時俺達がやったのはクトゥルフだから現代ベースだけど、TRPGは他にも色々あるんだ」
「俗に言う、剣と魔法のファンタジー、というものですね」

 Nの言葉に、Rがそう言葉を続けてきた
 なるほど、そう言われると、ちょっとわかるかも
 自分はやった事ないけれど、RPGゲームなんかはそういうのが多いとは聞く

「つまり、そういうファンタジーな世界のお話?」
「そうだな。かつ、TRPGでの世界なんだな、って感じもするよ。TRPGやってる人間だと「あぁー」って思ったりするし」
「うーん、それだと。私だと、まだちょっとピンとこないかな」
「かもなぁ」

 それだと、自分だとまだ、読んでもピンと来ないのかもしれない
 …これからも、みんなと色々遊んでいれば、わかるだろうか
 TRPGは、またやろうね、って言っていたし
 多分、クトゥルフ以外にもやる機会があると思う……こう、出来れば、あんまり怖くないやつ

「クトゥルフは、また今度の休みにやるか。今度は俺がKPで」
「直斗がKPをやるとなりますと………わかりました。キャラロストの可能性を考慮しておきます」
「えっ、なにそれ怖い」

 待って、今、Rの言葉でなんか怖い言葉聞こえた
 キャラロストって何

「大丈夫大丈夫。まだ初心者の咲夜がいるんだから、キャラロストの可能性は低いのにするって」
「ないとは言ってないわよね、それ」
「……咲夜さん、二枚目のキャラシートを用意しておきましょう。賽の目は、時として無情であり非情です」

 待って、待って
 ますますなんか怖い!?
 キャラロストって何。あの作ったキャラ、死ぬの?死ぬ可能性あるの!?

「そう怖がるなって。ちょっとコミカル色あるシナリオ選ぶし大丈夫大丈夫。ただしダイスの女神がいじけた場合を除く」
「うん、だから怖い」

 ダイス……サイコロ………

 みんなとTRPGをやってみて、私は一つ、わかった事がある
 それは、どうやら自分はサイコロ運がイマイチらしい、と言うことだ
 サイコロを振って判定する時の失敗率自体は飛び抜けてひどかったワケじゃない
 ただ、その失敗がファンブル……「致命的失敗」と呼ばれるものが多かったのだ
 逆にすごい、と言われたけど、あんまし嬉しくない

「賽の目ばかりは、仕方ありませんからね」
「だよなぁ……クリティカルとファンブルばっかりは仕方ないからな。それがTRPGのいいとこなんだし」
「うー……こう、サイコロ振るのは楽しいのよね。こう、ワクワクする、と言うか。ドキドキする、と言うか……」

 成功するも失敗するも、勝つも負けるも賽の目次第
 …楽しいけれど、己の運の悪さに泣きたくなったりもするのだ

「ま、いいんだよ。クトゥルフは失敗とか発狂楽しんでなんぼな面もあるし」
「そうなんだ!?」

 待って、N、それ初耳なんだけど

「どうしても勝たなきゃ駄目、生き残らなきゃ駄目ってもんでもないしな。散り際楽しむのもゲームならではだよ」
「そうなんだ……?……そう言えば、直斗、発狂ロール楽しそうだったような」
「直斗は、発狂要員キャラを作りたがりますので」

 ……あ、いつもあぁなんだ
 通りで、みんな慣れてると思ったら

「ゲームだからこそ、さ。咲夜もやるか?発狂要員」
「心から遠慮するわ」
「えー………まぁ、俺も自分がゲームキャラだったとしたら嫌だけどな、発狂要員」

 うん、それはそうだよね
 あくまでも「これはゲームだから」と言うことで楽しんでいるのだし
 自分自身がゲームの中の登場人物だったら、発狂しそうになったり死にそうになったり、どちらも勘弁だ

「もしも、私がゲームの登場人物だったら、発狂しそうな現場とか死にそうな現場とか、絶対回避するわ……」
「咲夜さんは、プレイ中もそんな様子で行動なさってはいましたね」
「うん、いやね。だってね、死にたくないし。発狂も勘弁だし」

 だからこそ、あの鍋の中味をあえて見せてきたNちょっと許さない
 お鍋の中味見た結果、ファンブルしたし

「………最終的にゃ、ダイス振らないのが一番強いからな」
「?どういうこと?」
「口プロレス、っつーか……ダイス振るまでもなく勝てるような前準備を徹底してやる、とか。まず失敗しないって状況を作り上げると言うか」

 どう説明したらいいもんかな、などとつぶやきながら、Nはそう説明してくる
 「ダイスを振るまでもない状況」「ダイスを振らずとも勝てる状況」
 そんな状況に持ち込むのも、手ではある、と

「ただ、買った負けた楽しむゲームとは違うからな。TRPGは。KPやらGM合わせて、みんなで楽しんでこそだ」
「多少の口プロレスならばともかく、あまりにそればかりですと、TRPGの意味がありませんから」
「う、うーん………まぁ、自分自身の運命をサイコロに委ねるならともかく、ゲームでのキャラだしなぁ。そこまでしなくてもいい、かな」

 ……それでも、負けたら悔しいけど!
 負けず嫌いだからね、うん

「俺も、ゲームじゃなくて自分や周りの運命だったら、サイコロには委ねないさ」

 からからと、Nが笑う
 それに合わせるように、ゆらりゆらり、Nの影が、揺れた

「……現実で、そんな事に巻き込まれそうになったら。そんな危機が迫ったら。俺は、ダイスを振らなくても勝てる方法を選ぶな」

 なんて、冗談めいた様子で口にしてきて



 なんでだろうか
 ただの冗談のはずなのに
 ただの、ゲームの話のはずなのに


 妙に、強い決意を感じたように、聞こえたのは




to be … ?





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