【はないちもんめの人のお話から続き】
「ぶっちゃけ、どっちも悪いと思うっす」
「「何故」」
「何故も何も」
「「何故」」
「何故も何も」
学校の授業が終わった帰り道
この日は、憐の部活動も委員会の仕事もなく、憐、遥、神子の三人で帰っていた
憐は途中で教会の手伝いがあるので別行動になる予定ではあるが、こうして三人で帰っているのは神子の護衛も兼ねてのことだ
この日は、憐の部活動も委員会の仕事もなく、憐、遥、神子の三人で帰っていた
憐は途中で教会の手伝いがあるので別行動になる予定ではあるが、こうして三人で帰っているのは神子の護衛も兼ねてのことだ
「逢魔時の影」の出現
よりいっそう、学校町が物騒になってしまった以上、契約者ではなく、戦闘手段を持たない…少なくとも、遥と憐はそう考えている…神子の護衛は必要だろう
よりいっそう、学校町が物騒になってしまった以上、契約者ではなく、戦闘手段を持たない…少なくとも、遥と憐はそう考えている…神子の護衛は必要だろう
「まずは、みこっち。女の子なんだから、気軽に「おっぱい揉む?」とか言っちゃ駄目ー、っす」
「えー、最近流行ってるし…」
「そういう問題じゃねーっす」
「まな板が多少膨らんでるみてぇな胸とは言え、お前も女なんだからよ。気軽にそういうこと言うな」
「はるっちははるっちで、女の子にそういうこと言っちゃ駄目っす」
「えー、最近流行ってるし…」
「そういう問題じゃねーっす」
「まな板が多少膨らんでるみてぇな胸とは言え、お前も女なんだからよ。気軽にそういうこと言うな」
「はるっちははるっちで、女の子にそういうこと言っちゃ駄目っす」
………まぁ、そのような真面目な理由での三人での帰路なのだが
会話内容は、限りなく馬鹿馬鹿しい、と言うか日常そのものだ
遥と神子のやりあいに、憐が一生懸命フォローをいれると言うか、たしなめると言うか
…普段通りだ。どこまでも
会話内容は、限りなく馬鹿馬鹿しい、と言うか日常そのものだ
遥と神子のやりあいに、憐が一生懸命フォローをいれると言うか、たしなめると言うか
…普段通りだ。どこまでも
「…と、言うか。遥、この間珍しく疲れてたけど、どうしたの?」
「珍しくは余計だ。バイトが忙しかったんだよ」
「あぁ。あのパン屋のレジのバイト……そう言えば、こないだカレーパンフェアだかってやってたわね。そんなにお客多かったの?」
「俺っちが買いに行った時、店に入るの大変なレベルだったっすよ」
「そんなに?……買いにいけばよかったかしら。遥の仕事増やすためにも」
「おいこら」
「珍しくは余計だ。バイトが忙しかったんだよ」
「あぁ。あのパン屋のレジのバイト……そう言えば、こないだカレーパンフェアだかってやってたわね。そんなにお客多かったの?」
「俺っちが買いに行った時、店に入るの大変なレベルだったっすよ」
「そんなに?……買いにいけばよかったかしら。遥の仕事増やすためにも」
「おいこら」
神子の言葉に、遥が突っ込む
二人のやり取りに、憐はどう止めたらいいものかな、とちょっと困ったような表情を浮かべていた
遥と神子が言い合っている際、こうして憐が少し困ったような表情を浮かべるのは昔からだ
三年よりも昔から、そこは変わらない
二人のやり取りに、憐はどう止めたらいいものかな、とちょっと困ったような表情を浮かべていた
遥と神子が言い合っている際、こうして憐が少し困ったような表情を浮かべるのは昔からだ
三年よりも昔から、そこは変わらない
憐の変化は、大きく分けると二回あった
少なくとも、神子はそう認識していた
一度目は、だいぶ昔……小学校に入る少し前だっただろうか。、まだ、龍哉と憐しか都市伝説と契約していなかった頃だ
あの時、事件に巻き込まれ。能力を使ったせいで都市伝説を知らない子供達から「化物」呼ばわりされて、憐はひどく臆病で、遥をはじめとして誰かの後ろに隠れてばかりになった
二度目は、三年前。土川 咲李が死んでから
彼女が死んでから、今までの臆病さなど消え去ったかのように、へらへらと軽薄な笑みを常に浮かべるようになった
泣きじゃくり周りを心配させないように、常に笑っていようとしているかのように
自分に手を伸ばしてくれた人があぁやって死んでしまったから、必要以上に親しい相手をこれ以上増やそうとしないように、軽薄な笑みで何もかも隠そうとして
……どちらにせよ、遥を始めとして自分達には、その感情の内を見ぬかれる事も多いが
少なくとも、神子はそう認識していた
一度目は、だいぶ昔……小学校に入る少し前だっただろうか。、まだ、龍哉と憐しか都市伝説と契約していなかった頃だ
あの時、事件に巻き込まれ。能力を使ったせいで都市伝説を知らない子供達から「化物」呼ばわりされて、憐はひどく臆病で、遥をはじめとして誰かの後ろに隠れてばかりになった
二度目は、三年前。土川 咲李が死んでから
彼女が死んでから、今までの臆病さなど消え去ったかのように、へらへらと軽薄な笑みを常に浮かべるようになった
泣きじゃくり周りを心配させないように、常に笑っていようとしているかのように
自分に手を伸ばしてくれた人があぁやって死んでしまったから、必要以上に親しい相手をこれ以上増やそうとしないように、軽薄な笑みで何もかも隠そうとして
……どちらにせよ、遥を始めとして自分達には、その感情の内を見ぬかれる事も多いが
…それでも、自分達だけの時はこうやって、一番の素に近い部分が顔を出している
その事実には、ほっとする
自分達にまで完全に仮面を被った状態になってしまったら、憐がずっと遠い存在になってしまうのではないか、と
その事実には、ほっとする
自分達にまで完全に仮面を被った状態になってしまったら、憐がずっと遠い存在になってしまうのではないか、と
(……そう考えてるのは、私だけじゃあないんでしょうね)
遥が憐に構いたがるのは、そういう理由もあるのだ
神子とて、それはわかっている
わかっている、が
神子とて、それはわかっている
わかっている、が
「じゃ、俺っち、教会の方、向かうっすね。ジェルトヴァさんのお手伝いしてくるっす」
「……別に、あのおっさん一人でやらせりゃいいんじゃねぇの?実力的に充分だろ」
「……別に、あのおっさん一人でやらせりゃいいんじゃねぇの?実力的に充分だろ」
……わかってはいるのだが
今、憐を引き止めるのに、肩を抱く必要はない
そう判断し、無言で遥の向こう脛を蹴り上げた自分の判断は間違っていない
神子は、そう信じて疑わなかった
今、憐を引き止めるのに、肩を抱く必要はない
そう判断し、無言で遥の向こう脛を蹴り上げた自分の判断は間違っていない
神子は、そう信じて疑わなかった
「いってぇ!?」
「みこっち。もうちょっとはるっちへのツッコミ優しくてもいいんじゃないかな?って思うっす」
「遥相手はこれくらいでちょうどいいの………ぞれじゃあ、憐。気をつけてね。教会につくまでに「逢魔時の影」に遭遇するかもしれないんだから」
「大丈夫っすよ。母さんから「シェキナーの弓」借りてるままっすし。いざとなれば逃げるっすから」
「みこっち。もうちょっとはるっちへのツッコミ優しくてもいいんじゃないかな?って思うっす」
「遥相手はこれくらいでちょうどいいの………ぞれじゃあ、憐。気をつけてね。教会につくまでに「逢魔時の影」に遭遇するかもしれないんだから」
「大丈夫っすよ。母さんから「シェキナーの弓」借りてるままっすし。いざとなれば逃げるっすから」
へらり、そうやって笑って見せて、憐は教会への道を駆けて行く
向こう脛を蹴っ飛ばしてやったのと言うのに、遥は即座に復活して、その憐を見送っていた
さすが、「ベオウルフのドラゴン」と言うべきか。復活が早い
向こう脛を蹴っ飛ばしてやったのと言うのに、遥は即座に復活して、その憐を見送っていた
さすが、「ベオウルフのドラゴン」と言うべきか。復活が早い
「まったく……遥、あんまり憐を困らせないの」
「だってよ。実際、あのおっさんの戦闘力は、神子も知ってるだろ?」
「昔、ちらっと見たくらいだけど………確かに、強いわよね。でもあの人、周囲への物理被害あんまり気にしないでしょ。「組織」の某ハッピートリガー並に」
「だってよ。実際、あのおっさんの戦闘力は、神子も知ってるだろ?」
「昔、ちらっと見たくらいだけど………確かに、強いわよね。でもあの人、周囲への物理被害あんまり気にしないでしょ。「組織」の某ハッピートリガー並に」
……あぁ、と。とある人物の顔が浮かんだらしい遥が頷いた
何故、広範囲攻撃を得意とするものは、周囲への被害をあんまり考えないのだろうか
そういえば、遥の祖父である朝比奈 秀雄も、時として周囲の被害ガン無視でブレス吐くと聞いたし、遥の叔父であるカラミティも………………
何故、広範囲攻撃を得意とするものは、周囲への被害をあんまり考えないのだろうか
そういえば、遥の祖父である朝比奈 秀雄も、時として周囲の被害ガン無視でブレス吐くと聞いたし、遥の叔父であるカラミティも………………
「どっちも遥の親戚筋だしっ!!??って言うか、秀雄おじさんにいたっては私にとっても叔父さんだ!?」
「突然叫んでどうしたんだよ」
「自分達の親戚筋の豪華さと言うか周囲への被害考えなさに頭かかえてるだけよ、気にしないで」
「突然叫んでどうしたんだよ」
「自分達の親戚筋の豪華さと言うか周囲への被害考えなさに頭かかえてるだけよ、気にしないで」
…自分の父親である大樹や、遥の母親であるセシリアは良心枠なんだよなぁ、と思う
いや、遥の父親も周囲への被害で言えばあんまりださないでくれる方だが………うん
いや、遥の父親も周囲への被害で言えばあんまりださないでくれる方だが………うん
うまく言葉にできない謎のもやもやを感じつつも、そのまま帰ろうとしていた
……帰るつもりだったのだ
……帰るつもりだったのだ
ただ
今の時間は逢魔時
今の時間は逢魔時
ーーーー「影」が、出る
「…出やがったな」
現れたそれらを前に、遥は神子を庇う位置に立った
……だいたい、いつだってそうだ
ここにいるのが例えば神子ではなく、憐だろうと、龍哉だろうと、直斗だろうと
他の誰であったとしても、遥はこうして、一歩前に出ただろう
こいつは、そう言う性格なのだ。おそらくは、彼の父親譲りの一面
遥の目が、金色に輝いたのを神子が見逃さなかった
……だいたい、いつだってそうだ
ここにいるのが例えば神子ではなく、憐だろうと、龍哉だろうと、直斗だろうと
他の誰であったとしても、遥はこうして、一歩前に出ただろう
こいつは、そう言う性格なのだ。おそらくは、彼の父親譲りの一面
遥の目が、金色に輝いたのを神子が見逃さなかった
「遥、暴走しないでよ?」
「こんな連中に、そこまで力使う必要ねぇよ」
「こんな連中に、そこまで力使う必要ねぇよ」
人によっては自信過剰ともとられる言葉だろうが、遥の場合事実なのだから仕方ない
蠢く「逢魔時の影」に向かって、遥は軽く息を吸い込んで
蠢く「逢魔時の影」に向かって、遥は軽く息を吸い込んで
ひと吹き
……ほんの、ひと吹きだった
……ほんの、ひと吹きだった
遥の口から漏れだしたドラゴンの息吹は、そのまま炎となって「逢魔時の影」逹へと襲いかかった
容赦のない炎が、「逢魔時の影」達を焼き殺していく
容赦のない炎が、「逢魔時の影」達を焼き殺していく
「ほら、終わった」
ちょろり、遥の口元から、一瞬蛇の舌のように炎が漏れて……「逢魔時の影」は、一体残らず消えていた
ほんのちょっと、地面が焦げたような気がしないでもないが、この程度なら些細な被害だろう
某ハッピートリガーや、手加減なしの異端審問官が戦うよりは格段に被害が少ない
ほんのちょっと、地面が焦げたような気がしないでもないが、この程度なら些細な被害だろう
某ハッピートリガーや、手加減なしの異端審問官が戦うよりは格段に被害が少ない
「やっぱ、ついてて良かったな。しばらくは、誰かしらついてる方がいいな」
「……悔しいけど、安全面的にはそうなのかしらね……と、なると。遥達と同じクラスの………咲夜。彼女にも誰かついた方がいいんじゃない?」
「……悔しいけど、安全面的にはそうなのかしらね……と、なると。遥達と同じクラスの………咲夜。彼女にも誰かついた方がいいんじゃない?」
高校生になってから、みなでつるむ事が多い彼女
都市伝説契約者ではないどころか、存在すら知らないのだ
正直、巻き込まれたら神子よりも危険だ
都市伝説契約者ではないどころか、存在すら知らないのだ
正直、巻き込まれたら神子よりも危険だ
「大丈夫、あっちにゃ、龍哉と直斗がついてるから」
「あぁ、それなら大丈夫ね。主に龍哉がついてるなら」
「あぁ、それなら大丈夫ね。主に龍哉がついてるなら」
直斗は契約者ではないが、龍哉がいるなら大丈夫だろう
……直斗も、なんだかんだ都市伝説相手はなれているなら、うまく逃げ出す手伝いはできるだろうし
……直斗も、なんだかんだ都市伝説相手はなれているなら、うまく逃げ出す手伝いはできるだろうし
2人はそのまま、家路へとつく
…少しずつ、非日常が日常側へと侵食してきている現状を、苦々しく思いながら
…少しずつ、非日常が日常側へと侵食してきている現状を、苦々しく思いながら
to be … ?