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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-57

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匿名ユーザー

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 学校町
 ありとあらゆる意味で結構特殊な町である
 たとえば、狼やガスマスクをつけた男といった、他所では通報物の存在が歩いていようが通報される事はない
 たとえば、工場地区にあった廃工場が一夜にしてなくなろうとも、あまり気にしない

 ……そのような町である
 不思議と、それが当たり前になっている
 そのような街、なのだからこそ

 夕方から夜へと変わりゆく逢魔時
 あまり人気のない場所で、豪快に銃撃戦を思わせるような音が響き渡ろうとも
 それを気にかける者は、他所の住人が思う以上に少ないのである



「……よし、大方仕留めたか」

 きゃいきゃいと騒ぐ天使達を従える天地は、「逢魔時の影」が残っていない事を確認し、そう口にした
 突如、大量発生した「逢魔時の影」の討伐に天地は自ら名乗り出て……そして、それが通ってしまったのだ
 なにせ、今の学校街は「組織」から見れば非常事態と呼んで良い状況だ
 20年前以降の久々の事件同時発生に、天地のようにやや上層部の人間も積極的に前に出るべき事態となっている
 そもそも、天地が契約している「モンスの天使」の能力は、多数を殲滅する事に適している
 「逢魔時の影」のように、大群で現れる相手には相性がいいのだ

「これ、俺達が同行する意味なかったんじゃねぇの?」

 天地の無双っぷりに、思わずそう口に出したのは慶次だ
 幹部クラスとはいえ、一人で出撃して何かあっては大変なので、一応付き添いでついてきていたうちの一人だ
 ……天地の場合、当人の身に何かあったら、と言うより攻撃をやり過ぎて周辺に何かあったらと言う意味で一人で出撃できない事実は、当人には一応内緒である

「まぁ、そう言っちゃ駄目よ。幹部クラスの戦闘を見ることで、お勉強にもなるんだから」

 ころころと笑いながらそう言ったのは、A-No,4649……愛百合だ
 慶次と同じく、天地の付き添いでやってきたのである
 ANo所属の2人がCNoの幹部である天地に付き添っている、と言うのもひと昔前ならば妙な光景であっただろうが、今現在はさほど気になる事でもない
 そもそも天地自身が昔はANo所属であった事も関係し、強行派や過激派の動きがおとなしくならざるを得なくなった現状、ANoのみでは穏健派のような仕事のノウハウがないと言う事態があり、CNoやDNoがANoに穏健派の仕事のやり方を教えることも増えているのだ

 ……そのような事実はさておき、今回の仕事が天地向きの仕事であり、天地一人で片付いた事実に、何の代わりもない
 そもそも、慶次が契約している「カブトムシと正面衝突」は、多数との戦いにはあまり向いていない。どちらかと言うと、一対一での一撃必殺や暗殺向きの能力なのだ

(……それでもまぁ、愛百合の言う通り「勉強」って事か)

 今の自分は、ANpの古いノウハウが目立つ愛百合だけからではなく、他のやり方も学ぶべきなのだ
 戦えなかったのは不満だが、仕方あるまい

「それで、ひとまず見つけた一団はなんとかした、と。ここからはどうするんだ?」
「現時点で、「逢魔時の影」が特定の時間にのみ出現する事はわかっている。俺の「モンスの天使」で広範囲探して回って、見つけ次第潰す」
「思った以上に雑だな!?」

 思わずツッコミを入れる慶次だったが、天地のやり方ならそうなるか、とも同時に納得してしまう
 最も、この男の事なので同時に本部と連絡を取り合いながら最も近い「逢魔時の影」出現場所へと急行して、見つけ次第潰していく戦法を撮るのだろうが

「調査は俺の仕事じゃない。俺の仕事は出現した「逢魔時の影」の殲滅だからこれでいいんだよ。調査は、担当の奴に任せりゃいい」
「それはそうなんだが………うん。もういいや」

 「逢魔時の影」が出現した原因も気になると言えば気になるが、思えば自分とて、調査や解析向きではない
 今日は、万が一天地が打ち漏らしたらそれを潰す、くらいの気持ちでついていったほうが良いのだろう

 ………と、散らばっていた「モンスの天使」逹が戻ってきた
 また、「逢魔時の影」が見つかったのだろう
 天地に続き、慶次と愛百合も「モンスの天使」の先導に従い、現場へと向かう事にした



 影が蠢く
 昼から夜へと移り変わるこの時刻、元から都市伝説が出現しやすい時間
 出現した「逢魔時の影」は、活動を開始する
 ……と、それらは、自分達の頭上に影がさした事を感じた
 頭上から、何かが迫ってくる、と
 ……感じ取ったとしても、それから「逃げる」という選択肢は「逢魔時の影」には存在しない
 降りてきたところを攻撃しようと、上へと視線を上げて……

 直後
 彼らの「背後」からの攻撃に、その場にいた「逢魔時の影」は一瞬にして殲滅された



 ぞくり、と
 確かに、はっきりと、慶次は悪寒を感じた

 ちらり、愛百合と天地を見れば、愛百合は「あらあら」と少し困ったような表情を浮かべ、天地は露骨に舌打ちしていた
 「モンスの天使」逹にいたっては、天地の背後に隠れている者までいる。と、言うか、慶次の背後にまで隠れている者もおり、慶次としては多少落ち着かない
 ……そう、本来契約者である天地を守る存在であるはずの「モンスの天使」が、怯えた様子で契約者の天地や、契約者ですらない慶次の背後に隠れているのだ
 恐らくは、自分と同じ悪寒を、この威圧感を感じているのだろう、と慶次はそう認識した

「…………貴様らも、来たのか」

 低く、他者を威圧するような声
 向けられた視線は酷く冷たいものであり、見下してきているようにも見えた
 その男から感じる印象は「冷たい」「冷酷」といったものが強いのだが、その男が手にしているそれから感じるのは、「熱」
 教会の司祭といった出で立ちのその男が手にしているのは、幾又にもわかれた燃え盛る鞭だった

 「異端審問官」ジェルトヴァ。その名前は慶次も聞いたことがあった
 この男が「教会」から派遣されて学校街に来た直後に「出来れば関わりあいになろうとするな」と天地から釘を差されたせいだ
 …こうして遭遇してしまったからには、嫌でも関わりあいにならなければならないのかもしれないが

「あ、はぁい。「組織」の皆さん。ここに出現した「逢魔時の影」は殲滅したんで、「逢魔時の影」狙いなら他所探した方いいっすよー」

 と、ひょこりっ、とジェルトヴァの背後から、高校生程度の少年が顔を出した
 ……荒神 憐だ
 そう言えば、彼は「教会」所属だった
 ジェルトヴァのお目付け役として行動しているのだろうか

(そうだとしても、このおっさんを止めるられるだけの影響力あるのか?こいつ)

 この、人のいうことを高確率で聞かなさそうな、頭の硬そうな「異端審問官」相手に、このへらへらした軽薄そうな少年でなんとかなるのか
 そんな疑問が、慶次の頭をよぎる
 ……とはいえ、他に学校街に常駐している「教会」所属となると、憐の母親か、「セラフィム」の契約者であるカイザーか、「クローセル」たるメルセデスとなる
 ちょうどいいお目付け役が、憐しかいなかったのだろう、と慶次は納得しておく事にした

「あぁ、憐もいたのか………わかった。じゃあ、そっちはお前逹に任せる」

 そして、どうやら。天地も憐には少々甘いようだった
 普段の天地ならば、ジェルトヴァ相手に引くことはしないだろうが、憐に言われたならば譲るらしい

「あら、いいんですの?」

 愛百合としても、天地のこの反応は意外だったようで、そう声を上げた
 いい、と天地は頷く

「憐がいるんなら、そこの異端審問官も多少は気を使うだろ。一人で戦われるよりはマシだ」
「………人を貴様のように周囲の迷惑を考えずに攻撃するハッピートリガーのように言うな」
「うっせぇ。てめぇ、学校街で建築物やら道やらに損害が出ても「組織」がなんとかすると思って加減なしで力使う事多いじゃねぇか」

 ……なるほど、と。天地がジェルトヴァとは関わるなといった理由の一つを理解する
 どうやらこの2人、仲が悪い
 お互い、嫌い合っている様子が、今はっきりと伝わってきた
 過去に何かあったのだろうか
 酷く険悪な空気が流れるが、これは止めるべきか

 ちらり、愛百合の様子を伺えば、彼女は「あらあら」と少し困ったふりをした笑顔を浮かべながら、止めようとする様子はない
 ……まるで、このまま喧嘩してしまえばいい、とでも感じているような

(俺がなんとかするしかねぇのか、これ)

 愛百合に止める気がないのなら、自分がやるしかない
 彼女が止められないのだとしたら、自分がとめられるかわからないが、やらないよりはマシなのだろう

 そう、慶次が天地とジェルトヴァに言葉をかけようとしたその瞬間

 ざわり、と
 ジェルトヴァ相手に感じたのとは、別の悪寒を感じた
 悪寒だけではない。強い敵意と殺意も同時に感じる
 それは、自分達の背後の方からの、気配

 半ば反射的に、慶次は「カブトムシと正面衝突」の能力を発動させ、気配の主へとそれを放った
 硬い鉄板すら撃ちぬく、一撃必殺のカブトムシは狙い違わず、そこにいた人影の脳天へと閃光の如きスピードで飛んでいった
 しかし

「……っな!?」

 手応えは、なかった
 そこにいたのは、半透明の女性……その姿からして、実体を持っていない
 慶次が契約している「カブトムシと正面衝突」の弱点は、肉体を持たない相手には効果が及ばない、ということだ
 肉体……実体さえ伴っているならば、それが機械であったとしても重要機関を破壊さえすれば倒せるが、実体の伴わない相手となるとそうもいかない
 ようは、今、自分達へと敵意を向けているあの女性に対して、慶次では手も足も出ないのだ

「……本当に、困ったものです」

 その女は、薄く笑う
 その目には正気の色が見えなかった

「相手を確認もせずに、攻撃してくるだなんて………やはり、全て排しなければ」

 バチ、バチ、と電流が走っている
 女が、軽く、片手をあげた

「……!てめ、まさか、あの影はてめぇの仕業か!?」

 この女性が何者なのか、天地は理解したのだろうか
 「モンスの天使」に警戒態勢を取らせながら、そのように問うた
 女は、その問いかけに笑う、嘲笑う
 正気を失った眼差しで、じっと、この場にいる者達を見つめながら

「この地を守るためならば、人の明日を守るためならば。人ならざるものは全て、すべて、スベテ、滅ぼしましょう」

 女の周囲に、影が蠢き出す。「逢魔時の影」が

「……まぁ、大変。逃がしてくれそうにないかしら?」

 周囲に隙間を探しながら、愛百合が呟く
 女から感じるのは、強い敵意、そして殺気
 そうやすやすとは逃がしてくれないだろう事は、明らかだ

「仕方ねぇな……っ」
「……憐、危ないから、後ろに……」

 天地と、ジェルトヴァが、バチバチと電流を放とうとしている女へと、攻撃を仕掛けようと

「…………危ないから、どいて」

 それよりも、早く
 静かに響いた声は、この場で一番年若く、幼い者の声

 思わず、慶次はそちらへと視線を向けた
 そこでは、ジェルトヴァの後ろの方にいた憐が、「シェキナーの弓」を構えている姿が、あって
 つがえた矢の出力が、普段より明らかに、強い
 まるで、あの半透明の女性が出現した瞬間から、弓を構えて集中し、威力をためていたかのように

「……っうわ!?」

 太陽のように光り輝く「シェキナーの弓」の矢に思わず意識を奪われていると、ぐいっ、と両腕を掴まれて引っ張りあげられた
 どうやら、「モンスの天使」の2人ほどが、慶次の体を持ち上げたらしい

 憐と、女性との射線上に、障害物がなくなった瞬間

 どんっ!!!と、大きな音が、響き渡った
 まるで、大砲でも撃たれたかのような、そんな音
 ゴォウ、と轟音とともに光り輝く矢は半透明の女性へと飛んでいった

 バチバチと、音
 矢を受け止めようとしたのだろうか
 何かとぶつかり合った矢はさらに鋭い光を放ち、もはや目を開けていることすら、難しくなった
 酷く長く感じたが、恐らく時間としては数秒程度
 光が収まり、慶次が目を開くと

「………っく」

 そこに、半透明の女性は、いた
 矢が直撃しなかったのか、それとも直撃こそしたがあまり影響がなかったのか、深手を負っているようには見えなかった
 心臓位置を抑えながら、女性は小さく、うめいて

 一瞬
 一瞬では、あったが
 その瞳に、正気の色が、灯って

 苦しげにうめいたまま、その女性は、ふっ、と、姿を消した


 慶次の体が、ふわり、地面へと降ろされた
 先程まで漂っていた、あの女性の気配は完全に消えている
 女性の周囲に出現しようとしていた「逢魔時の影」は綺麗に消え去っていた
 先程の憐の攻撃で、まとめて倒されたのかもしれない

「…っと、と」
「!憐、大丈夫か」

 ふら、とふらついた憐の体を、ジェルトヴァが支えている
 大丈夫っすー、と憐はへらり、いつもとおりの笑みを浮かべてはいるが、少し、顔色が悪い
 先程の威力の高い攻撃には、反動があったのかもしれない
 そもそも、憐の使う「シェキナーの弓」は憐の母親の契約都市伝説であり、憐はそれを「借りている」身なのだから、あまり高火力を出そうとすると負担がかかるのかもしれない

「………憐、今日はもう、帰っとけ。きついだろ」
「えー、俺っちー、まだまだ平k「私が送る」

 ぐ、とジェルトヴァが憐の腕を掴み、さっさと歩き出した
 憐は、少しだけ困っているような、戸惑っているような表情になったが、すぐにいつものへらりとした笑顔になって、こちらに手をふってきた
 ずるずると引っ張られていく姿を、見送る

「…慶次君、大丈夫?」
「あ?……あぁ、俺はなんともねぇ」

 駆け寄ってきた愛百合に、そう答える
 彼女も、先程の攻撃の巻き添えはくっていないらしい
 うまく、隙間に逃げ込んでいたのかもしれない

 ……ちらり、天地を見る
 どうやら、「組織」本部と何か連絡をとっているらしい。「「怪奇同盟」に話を」などという言葉が、ちらり、聞こえた


 あの女性が、何者だったのか、慶次にはわからない
 ただ、どちらにせよこの学校街が厄介なことに陥っている事を再確認する羽目になった、と溜息をつくしかなかった



 そして、角田 慶次は気づかない
 自分の担当黒服が、酷く、冷たい眼差しを己へと向けていた、その事実に







to be … ?




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