「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-58

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匿名ユーザー

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「……それじゃあ、籠を運ぶ役目、頼んだよ」
「へぇ。責任重大なお仕事任せてもらえて光栄やわぁ……しっかり務めさせていただきます」
「相手が相手だしね。慎重にやらせてもらうよ」

 まだ寒い季節でもないだろうに薄手のマフラーを身に着けた男性が、二人の男性に指示を出している
 一人は、二メートルをも越える、体格もいいお男。もう一人は対照的に細く、重たいもの等持ったら腕どころか体の芯がぽっきりオレてしまいそうな体格をしている
 二人の返事を聞いて、マフラーの男性……鮫守 幸太はよし、と頷く
 そうしてから、今度はもうひとり、控えていた女性へと声をかけた

「夢塚さんも。協力してもらって悪いね」
「いえ、保護されている立場なんですし、これくらいは」
「保護しているからこそ、なるべくならもっとゆっくりしてもらいたいんだけど」

 夢塚と呼ばれた女性は、幸太の言葉にそう苦笑して返した
 彼女は一年前、学校町外で「狐」からの誘惑をギリギリのところではねのけ、その結果「狐」の駒に襲撃されていたところを、たまたまそこを通りがかった「首塚」の構成員によって救出され、そのまま「首塚」に保護されている契約者だ
 「忠犬ハチ公が渋谷の街を守っている」の契約者であり、結界を作り出す能力がある
 今回、その能力が必要となり協力してもらう事になったのだ
 用意された籠に、彼女の能力が発動されている

「どうする?合同戦技披露会は見学していく?」
「あ、いえ。そっちは遠慮しときます。「首塚」で保護している子供逹に絵本を読んであげる約束しているので」
「わかった。それじゃあ、子供達待たせるのも悪いね。戻ってていいよ」
「リリカちゃん、鴆はんもいるから大丈夫とは思うけど、後でわてらも行きますね。みんな、やんちゃそやしえらいでしょうし」

 大柄な男がそう言うと、夢塚ははーい、と返事をして、ぱたぱたと戻っていった
 さて、と幸太は視線を、「首塚」の中でもひときわ暗い、ある場所へと向けた

「……じゃ、あの方を呼んでくるよ。籠に入ったら君達を呼ぶから。離れてて」
「鮫守さんは大丈夫なんですか?」
「平気。あの方とは、将門様と一緒にいる時に会った事あるし。将門様の加護が僕には効いているから」

 細身の男にそう答え、幸太はその暗闇の向こうへと、足を踏み入れる
 自分達が所属している「首塚」の首領たる、平将門がこの度誘った、ある人物を迎え入れるために


 「第二回 組織 首塚 その他 合同戦技披露会」
 今回はフリーランス………特にどこぞの組織に所属していると言う訳ではない、と言う者も参加可能であるが故、参加者は以前よりも多くなりそうだ
 そして、それを見学しに来る者も、以前より多いということである

「こんにちは、神子さん」
「よぉ」
「あ、龍哉、直斗。来たのね」

 司会実況を任されたため、その準備をしていた神子のもとに龍哉と直斗が顔を出した
 直斗の方は契約者ではないものの、興味を持って龍哉についてきたらしい
 ……直斗らしい、と神子はこっそりと思った
 この幼馴染は、都市伝説と契約するには器が小さすぎて無理であるのだが、その反動なのか都市伝説や契約者への興味は人一倍、強い

「後で遥や憐、灰人も後で来るはずだぜ。あと、優は参加するつってたな。晃は見学に回るつってたけど」
「え、優参加するの?………うん、まぁ優らしいけれど。ちなみに、龍哉。龍一さんは?」
「お父さんは、お仕事が忙しいので、本日は来られないそうです」

 あらら、と苦笑する
 忙しいものは、仕方ない
 龍哉の父親である龍一は、「獄門寺組」と言う組の組長であるため、常に忙しいのだから

「……あ、それと。鬼灯さんは?」
「興味を持ってはいらしたのですが。「首塚」主催ということで、将門様と遭遇するのが嫌だ、とおっしゃられまして」
「鬼灯、将門様の事苦手だもんな」

 仕方ないさ、と肩をすくめてみせる直斗
 …そう言えば、鬼灯は昔から……少なくとも、神子逹が知っている頃から、将門の事を苦手としていた
 なるべくなるべく、関わらないように遭遇しないようにしていたのを覚えている

「他、誰来るかわかってる?」
「…そう言えば、診療所の先生がいらっしゃる、と灰人さんがおっしゃっていたような」
「かなえは、今日は薙刀の教室あるっつってたから来ないだろうし……」

 戦技披露会が始まるまで、しばし、情報交換を始める
 今回の戦技披露会で、どのような人物が出場するのか
 …情報を集める、と言う意味もあるとはいえ、楽しみなのも、また事実なのだ



 ちゅっちゅちゅー、と。ノロイが気配を感じ取ったのか、声を上げた
 次いで、望と詩織も近づいてくる気配に気づき、そちらに視線を向ける

「やぁ、こんにちは」

 足音と気配を隠す様子もなくやってきたのは、フリルたっぷりの黒いゴシックロリータ衣装に身を包んだ男性
 覚えのある姿に、望はその人物の名前を口にする

「小道 郁、だったかしら。何かご用」
「おや、名前を覚えてもらっていたとは光栄だ………上司に言われてね、これを渡しに来たんだ」

 はい、と郁が詩織に渡したのはタブレット型PC
 どういうことか?と説明を求める視線に郁は言葉を続けた

「学校町に在住している事がわかっている、フリーランスの契約者のデータだ。まぁ、「組織」………CNoが把握している範囲のものだから、完全なデータではないけれどね」
「なるほど。KNoである私が、それを受け取ってもいいの?」
「構わないよ。そもそも、CNoが所有している情報は、SNoが持っている極秘情報なんかと違って申請許可もわりとかんたんに降りる資料が多いのだしね」

 ふむ、と詩織はタブレットPCを起動させて、データを確認する
 契約都市伝説が完全に知られている者から、何と契約しているのかはっきりしない者まで、結構な数が記録されている

「フリーランスの契約者も今回は参加可能、との事だからね。そういうデータがあった方がいいんじゃないか、というのが上司の言葉だよ」
「貴方の上司は、確か門条 天地だったわね……一応、後でお礼をいうべきかしらね。ちなみに、肝心のその上司は?」
「ものすごく参加したがっていたのだが、書類仕事が山ほどあってね」

 恐らく、周囲に止められたのだろう
 仕事があるのなら、仕方ない
 と、言うか。天地が参加したら会場派手にぶち壊した可能性が高いため、ある意味助かったといえるのかもしれない

「それじゃあ、僕は見学に回らせてもらうよ。かなえは来ていないけれど、慶次君は来ていてね。見学に回るそうだから、そっちについておくよ」
「あぁ……「カブトムシと正面衝突」の契約者だっけ?あれ、そいつの担当黒服は?」
「わが上司が仕事に巻き込んだよ」

 …彼なりに「見張る」ためだろうな、と郁はこっそりとかんがえていた
 このところ、天地は愛百合の動向を見張っている様子だったから

「……無事、何事もなく終わるといいね」
「不吉なフラグたてるのやめてくれる?」

 失礼、と笑って、郁はこの場を後にした

 ……さて、どのような契約者が参加するのか
 とても、とても、楽しみだ



「……それでは。「第二回 組織 首塚 その他 合同戦技披露会」、これより開始します」

 その開始の音頭を取ったのは、「首塚」所属で側近組の一人である幸太
 ……将門の姿は、その場にはいない

 かわりに、何やら御簾によって四方を囲んだスペースが作られており、その横には籠が置かれている
 どうやら、籠に乗って運ばれてきた人物が御簾の中にいるらしい

 ……そして、気付ける者は気づくだろう
 御簾と籠に、かなり強い結界が貼られている事に
 それは、中に入る者を守るためと言うよりも………その中に入る者から、周囲を守るために貼られたもので、あるような

「「首塚」首領将門公は、本日所用により欠席となります。よって、代わりに……」

 御簾の中からの圧倒的な威圧感を気にしている様子もなく、幸太はにっこり微笑み、言葉を続けた

「将門公がお呼びしました、「長屋王」が。この度の合同戦技披露会を観戦なさります」

 「長屋王」
 きちんと日本史を勉強した者ならばわかるだろう
 それは、かつての実在の人物
 そして、日本最古の怨霊
 将門に勝るとも劣らぬその圧倒的な気配を御簾の中から漂わせながら、それは小さく、笑った



 ……これにて
 「第二回 組織 首塚 その他 合同戦技披露会」が、開始された





to be … ?





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