「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-58a

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匿名ユーザー

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「……ね、憐」
「んー?どしたっす?あきっち」

 ひとまず、いつでも治療班に回れるように備えておきながらも、今は見学席にいた憐
 晃に声をかけられ、首を傾げた
 手にスマホを持ったまま、晃はぽそ、ぽそ、と問う

「…「教会」、からは誰が来たの?……付き添いで来た、って、聞いた」
「あ、俺も気になってた。学校町に滞在している「教会」面子って数少ねぇだろ。こういうの出たがるような奴いたっけか?」

 遥も、く、と憐に近づいて問う
 ここに神子か咲夜がいればツッコミをいれそうな距離だが、残念ながら二人共いない
 ついでに言うと、優も参加枠の方に入っているため、ここにいない。ツッコミが深刻に足りない

「えっと、参加するのはー………あ、今から、試合始まるっすよ」

 憐の言葉に、その場にいた皆の視線がモニターへと集まった
 ……そして、遥が「げっ」とでも言いたそうな表情を浮かべる

 そのモニターに映し出された光景は、試合開始と同時に試合会場全体が、一気に凍りついていっている様子だった



 逃げたい
 その青年は、心からそう思った
 あ、なんかのハリウッド映画でこんなシーンあった気がする。とも同時に思っている辺り、ちょっとは余裕がある
 あくまで、ちょっとだ。ちょっとでしかない

 全力疾走している彼が通った後の道が、左右の壁が、バキバキと凍りついていっている
 恐らく、放置すればこの会場全体が凍りつくのではないだろうか

「じょうっだんじゃねぇ!」

 叫びつつも、走る、走る、走る
 フリーランスの契約者である彼が合同戦技披露会に参加したのは、己の実力をアピールするためだった
 そのつもりであったのだが、それが叶う予感は、あまりない
 対戦相手がどうやって決まったのかは彼にはわからないのだが(案外、あみだくじとかなのかもしれない)、とにかく自分は運が悪いようだ
 当たった相手が、悪い

 氷で出来た翼を羽ばたかせ浮かび上がっているその男は、司祭のような服装をしていた
 その翼もあって天使を連想させるかもしれない。が、天使があんなサド顔浮かべるとは思いたくない
 試合開始と同時にふわりと浮かび上がり、そしてあの司祭を中心点として、辺りが凍りつき始めたのだ
 手加減も何も合ったものではない

「……せめて、一撃っ!」

 だが、逃げてばかりでは参加した意味もない
 ざわり、契約都市伝説の能力を発動させる

 体が、動物の毛で覆われていく。筋肉が肥大化し、爪が伸びていく
 遠吠えのような声を上げると、彼は勢い良く地面を蹴って跳び上がった。直後、その地面もびしり、と音を立てながら凍りつく
 壁を蹴り、どんどんと跳び上がり、空を飛ぶ司祭へと向かって、豪腕を振り下ろそうと……

「なるほど、人狼か」

 それは猫のような目を細めて、嘲笑った

「それじゃあ、届かねぇな」

 振り下ろした爪先が、司祭に当たるその直前
 ぴしり、とその爪が凍りつき出した時にはすでに遅く
 「狼少年」の契約者であるその青年の意識は、氷の中に閉ざされた




「……なんで、よりによってあの氷野郎が来たんだ」
「カイザー司祭とジェルトヴァさんは、こういうの興味なくって。で、メルセデス司祭が「暇つぶしだ」っつって出る気満々だったんで。俺っちがお目付け役としてつかされたっす」

 先に名前を出した二人は仕事で忙しく来られなかったのだから、仕方ない
 ……とは言え、憐があの男相手にブレーキになれるか、と言うとなれるはずもなく

 「クローセル」という悪魔そのものである男、メルセデスは、試合会場を完全に凍りつかせながら楽しげに笑っていたのだった






続かない



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