試合と試合の合間、神子は参加者の資料に目を通していた
その横に、郁が持ってきたフリーランスの契約者の資料のデータが入ったタブレット型PCが置かれている
試合の実況を任せられたため、こちらの資料も参考に実況しようという試みである
その横に、郁が持ってきたフリーランスの契約者の資料のデータが入ったタブレット型PCが置かれている
試合の実況を任せられたため、こちらの資料も参考に実況しようという試みである
「次の組み合わせで出るフリーランスの契約者は………」
「あぁ、こいつだろ。「九十九屋 九十九」」
「あぁ、こいつだろ。「九十九屋 九十九」」
ほら、と隣りにいた直斗が、勝手にタブレット型PCをいじってそのデータを出した
ここに直斗がいるのは、実況の手伝いでだ
神子の幼馴染グループのうち、誰に手伝ってもらおうか、となった際に直斗が「面白そうだから」と立候補したせいである
…もしかしたら後で誰かに交代するかもしれないが、ひとまずは直人が担当だ
ここに直斗がいるのは、実況の手伝いでだ
神子の幼馴染グループのうち、誰に手伝ってもらおうか、となった際に直斗が「面白そうだから」と立候補したせいである
…もしかしたら後で誰かに交代するかもしれないが、ひとまずは直人が担当だ
「どれどれ……契約都市伝説は「不明」。まだわかってないのね」
「契約者なのはわかってても能力分からない、とかはよくあるんじゃないのか?特にフリーランスの奴だとさ。契約都市伝説がバレてると、弱点もバレたりするし」
「契約者なのはわかってても能力分からない、とかはよくあるんじゃないのか?特にフリーランスの奴だとさ。契約都市伝説がバレてると、弱点もバレたりするし」
それもそうね、と頷く神子
直斗の言う通り、どこの組織にも所属していないような一匹狼タイプの契約者には自分の契約都市伝説をあなるべく明かさないようにする者も多い
特に、その契約都市伝説を利用して「仕事」するようなものであれば、なおさらだ
都市伝説との契約によってどのような力を発揮できるかは、たとえ同じ都市伝説であろうとも個々によって変わってくる
能力の使い方によっては、契約都市伝説が何であるのかわからないというのもざらだ
だが、その都市伝説特有の「弱点」と言うやつはどうしても共通しがちであり、都市伝説がバレれば弱点も見抜かれ、対策されるという可能性が高い
特定の組織に頼らず、能力を仕事に活かして生活しているような者であれば、契約都市伝説がバレるのは避けたいところだろう
この、「九十九屋 九十九」と言う青年も、そういったタイプなのかもしれない
直斗の言う通り、どこの組織にも所属していないような一匹狼タイプの契約者には自分の契約都市伝説をあなるべく明かさないようにする者も多い
特に、その契約都市伝説を利用して「仕事」するようなものであれば、なおさらだ
都市伝説との契約によってどのような力を発揮できるかは、たとえ同じ都市伝説であろうとも個々によって変わってくる
能力の使い方によっては、契約都市伝説が何であるのかわからないというのもざらだ
だが、その都市伝説特有の「弱点」と言うやつはどうしても共通しがちであり、都市伝説がバレれば弱点も見抜かれ、対策されるという可能性が高い
特定の組織に頼らず、能力を仕事に活かして生活しているような者であれば、契約都市伝説がバレるのは避けたいところだろう
この、「九十九屋 九十九」と言う青年も、そういったタイプなのかもしれない
「えぇと、表向きは針金アートの展示と販売の店を経営………「表向き」。ね」
「そう、表向きだな」
「そう、表向きだな」
九十九屋 九十九に関する資料
それには、この一文が記されていた
それには、この一文が記されていた
『暗殺等に関与の疑いあり。完全な証拠はまだないが、報酬次第でそのような仕事も請け負うらしい』
試合会場は、町中を思わせる作りとなっていた
隠れながらの戦闘も可能なフィールドである
彼女、篠塚 瑞希は油断なく、前方で微笑んでいる青年を見据えた
茶色い髪をオールバックにし、薄手のセーターにジーンズと言うラフな服装をしている
両手をジーンズのポケットにつっこんで、特に構えた様子もなく立っている
しばし、相手の様子を警戒していたが………あちらから攻撃してくる様子も、ない
…恐らく相手もまた、動くのを待っているのだろう
隠れながらの戦闘も可能なフィールドである
彼女、篠塚 瑞希は油断なく、前方で微笑んでいる青年を見据えた
茶色い髪をオールバックにし、薄手のセーターにジーンズと言うラフな服装をしている
両手をジーンズのポケットにつっこんで、特に構えた様子もなく立っている
しばし、相手の様子を警戒していたが………あちらから攻撃してくる様子も、ない
…恐らく相手もまた、動くのを待っているのだろう
「仕掛ける気がないのなら、こっちから!」
「超人」と呼ばれる所以を、この若者に見せてあげるとしよう
すぅ、と一呼吸
すでに、全身に結界を纏い終えている
前方にいる青年……九十九屋 九十九へと向かって、一気に距離を縮めようとした
すぅ、と一呼吸
すでに、全身に結界を纏い終えている
前方にいる青年……九十九屋 九十九へと向かって、一気に距離を縮めようとした
薄く、九十九屋が笑って見えて
きらり、何かが……
きらり、何かが……
「………っ!!」
ぞくり、と悪寒を感じて
っば、と後方へと大きく跳んで再び九十九屋と距離を取る
っば、と後方へと大きく跳んで再び九十九屋と距離を取る
瑞希と九十九屋の間
そこにいつの間にか細い、細いワイヤーが何本も張られていたのだ
そのまま突っ込んでいたら、このワイヤーによってずたずたに引き裂かれたことだろう
そこにいつの間にか細い、細いワイヤーが何本も張られていたのだ
そのまま突っ込んでいたら、このワイヤーによってずたずたに引き裂かれたことだろう
「流石に気づくか」
相変わらずポケットに両手を突っ込んだまま、九十九屋は笑った
つい一瞬前まで、そこにワイヤー等なかったはずだ
つまり……あのワイヤーは、九十九屋が出現させた、と言うことなのだろう
見れば、九十九屋の周囲に、まるで結界でも貼っているかのように無数のワイヤーが張られていた
これをかいくぐって攻撃するのは、少々骨か
つい一瞬前まで、そこにワイヤー等なかったはずだ
つまり……あのワイヤーは、九十九屋が出現させた、と言うことなのだろう
見れば、九十九屋の周囲に、まるで結界でも貼っているかのように無数のワイヤーが張られていた
これをかいくぐって攻撃するのは、少々骨か
「……それなら!」
だんっ、と地を蹴り飛び上がる
そして、勢い良く、すぐ傍の壁を蹴り壊した
九十九屋の頭上から瓦礫が降り注ぐ。たとえ、ワイヤーを貼っていようとも重量で押しつぶせるだろう
そして、勢い良く、すぐ傍の壁を蹴り壊した
九十九屋の頭上から瓦礫が降り注ぐ。たとえ、ワイヤーを貼っていようとも重量で押しつぶせるだろう
さぁ、どうでるか
瑞希としては、これで九十九屋を倒せるとは思っていない
ただ、これで相手がどう動くか、見るだけだ
ただ、これで相手がどう動くか、見るだけだ
かくして、九十九屋は瓦礫の下敷きになどならなかった
くんっ、と、まるで何かに引っ張られるように斜め上へと跳び上がり、瓦礫を避ける
そうして、とんっ、と、空中に「立った」
くんっ、と、まるで何かに引っ張られるように斜め上へと跳び上がり、瓦礫を避ける
そうして、とんっ、と、空中に「立った」
(……違う。あれ、ワイヤーの上に立ってる?)
そう、張り巡らせていたワイヤーの上に立っている
ワイヤー自体が九十九屋の体重に耐えられるのかという疑問はあるが、よくよく見れば九十九屋自身の体にもやや太めのワイヤーが絡みついており、恐らくワイヤーを使って自身を宙吊りにしているような状態なのだろう
ワイヤー自体が九十九屋の体重に耐えられるのかという疑問はあるが、よくよく見れば九十九屋自身の体にもやや太めのワイヤーが絡みついており、恐らくワイヤーを使って自身を宙吊りにしているような状態なのだろう
「なるほど、ワイヤー使い、と」
「そういう事だね」
「そういう事だね」
空中から見下ろし、九十九屋は笑う
…両手はまだポケットの中に入れたまま。隠し玉でもあるのだろうか
…両手はまだポケットの中に入れたまま。隠し玉でもあるのだろうか
…思考する時間等与えない
そうとでも言うように、四方八方、建物の影から太いワイヤーが飛んできた
恐らく、試合開始前に申請を出して仕掛けておいたものなのだろう
襲いかかるワイヤーを、瑞希はひらひらと避けていく
そうとでも言うように、四方八方、建物の影から太いワイヤーが飛んできた
恐らく、試合開始前に申請を出して仕掛けておいたものなのだろう
襲いかかるワイヤーを、瑞希はひらひらと避けていく
「それで、あなたはそこで高みの見物?」
「そりゃ、接近されたらヤバそうな相手にわざわざ接近するほどバカでもないしな」
「そりゃ、接近されたらヤバそうな相手にわざわざ接近するほどバカでもないしな」
ッガ、ッガ、ッガ、ッガ、ッガ!!と、九十九屋が操っているのだろうワイヤーが地面へと突き刺さり、辺りを切り裂いていく
嵐のような猛襲をさばきながら………視界の端にうつった物を、瑞希は見逃しはしなかった
先程、九十九屋の頭上に落とそうとした瓦礫
それに、くるくる、くるくるとワイヤーが巻き付いていっていて
ぐぅんっ、と。全面にワイヤーが巻きつけられた大きな瓦礫が持ち上げられた
それはそのまま、ごうっ、と轟音を上げて、まるで巨大なハンマーのように瑞希へと叩きつけられた
嵐のような猛襲をさばきながら………視界の端にうつった物を、瑞希は見逃しはしなかった
先程、九十九屋の頭上に落とそうとした瓦礫
それに、くるくる、くるくるとワイヤーが巻き付いていっていて
ぐぅんっ、と。全面にワイヤーが巻きつけられた大きな瓦礫が持ち上げられた
それはそのまま、ごうっ、と轟音を上げて、まるで巨大なハンマーのように瑞希へと叩きつけられた
to be … ?
【戦技披露会 狩人と猛獣へ続く】