「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-58c

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匿名ユーザー

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 相手が慎重に動いている様子に、九十九はふむ、と思考を巡らせた
 ひとまず、高所から相手の動きを観察してはいるが………どうやら相手は地面にヒビを入れ続けているようだ
 一体、何をしようと言うのか

(……まぁ、せっかくだ。利用させてもらうか)

 前もって、この戦闘部隊に仕掛ておいたワイヤーの量はかなりのものである
 ワイヤーの質量で押しつぶせなくもない、とは思うが……

(相手は身体能力強化系に見えるな。皓夜ほどの怪力かどうかまではわからないが)

 どちらにせよ、質量で押しつぶすと言うのもつまらない
 もう少し「遊んで」、相手の能力を観察させてもらおう

 ……いつか、あの女性が。自分達にとって脅威となるかもしれないのだから
 備えておく事に、こしたことはないのだ


 ……カリ……………カリ、カリ、カリ………

「………?」

 今、何か聞こえた?
 瑞希は警戒し、辺りを見回した
 目視できる範囲に、ワイヤーは見えないが

 ……カリ、カリ…………ガリガリッ、ガリ

 本当に、本当に小さな音
 油断していれば聴き逃してしまうような、それほどまでに小さな
 その音を、瑞希は聴き逃しはしなかった
 そして、数多の都市伝説と戦ってきた経験が告げる。「跳べ」、と
 本能からの警告に従い、一足でその場から一気に跳んで移動した

 ほんの一瞬前まで瑞希が立っていたその、足元から
 ガリィッ!!と、何かを削るような音と共に、ワイヤーが飛び出してきた
 瑞希を貫くことに失敗したワイヤーは、また地面の下へと戻っていく

(いつの間に………、まさか、これ、私が作ったヒビを通って?)

 そう、瑞希が自身の作戦の為に割り続けていた地面のヒビ
 ワイヤーは、そこから飛び出してきたのだ
 つくもが瑞希の作戦に気づいたかどうかはまだわからないが、どうやら彼は、瑞希の作り出したヒビを逆に利用しようと考えたらしい
 恐らく、地面を割り続ければ割り続ける程に、そのヒビをワイヤーが這っていき、そこから攻撃してくるのだろう

(聞こえてきていた音は、ワイヤーが地面の中を進んでいる音だったのね)

 微妙にヒビがつながっていなかった箇所は、削るようにして繋いでいたのだろう
 元から広い九十九の攻撃範囲が、更に広がったということだ

 それでも、瑞希は不敵に笑う
 すでに、こちらの支度は整っている
 …仕掛ける事は、出来る
 ぽんっ、と口の中に一口大のチョコレートを放り込み、もぐもぐっ、と飲み込むと
 仕掛けるべく、動き出した


「………!」

 ごぉおおおおお、と轟音が聞こえた気がした
 投げつけられた、二つの家屋
 …家を投げつける等、非常識極まりない攻撃だ
 この空間だからこそ許される荒業といえるだろう
 だが、このくらいならば、避けられ………

「は?」

 瑞希がとった行動を前に、九十九は思わず、魔の向けた声をあげた
 …思えば、先程の家屋もこちらに投げつけられた訳ではなかった
 ただ、彼女は、烏賊置く二つほぼまるごとを、「上空に放り投げた」のだ
 そしてその直後、地面へと手を突っ込み、地面をまるでちゃぶ台返しでもするかのように、宙へと放り投げてきたのだ

「これは、ちょっと洒落にならな……っ!!??」

 ごがががっ!!と
 滞空していた家屋二つが、連続で蹴り出される
 己に巻きつけていたワイヤーを操り、それを避けるべく移動した
 あれは、流石にワイヤーで受け止めきれる質量ではない
 家屋を避けながらも、更にこちらへと向かう攻撃を補足する
 先程ちゃぶ台返しされた地面が、そのまま突っ込んできているのだ
 ……不意打ち用に隠していたワイヤーも使ってしまうが、仕方ない

 ぎゅるるるっ、と、ワイヤーがあちらこちらの地面から、建物から、一気に飛び出す
 そしてそれらは、まとめて、九十九に向かってきている地面だった物へと巻き付いて
 ギャリギャリギャリギャリギャリ、と耳障りな音を立て………地面だったその塊は、バラバラになった
 これであれば、ワイヤーでじゅうぶんに防ぐことが出来る

「……なるほど」

 ふと、口を出たこの言葉
 果たして、どちらが発したものか

 恐らく、地面を「抱えて」突進してきていたのだろう
 破壊したそれの向こう側から、瑞希が飛び出してきた


 危なかった
 大きな塊は避けていたから受け止めきれないのだろう、とは思っていた
 ……が、「破壊できないとは言っていない」と言うやつだったのか
 嫌な予感を感じて、とっさに少しだけ後ろに引いてよかった

 どちらにせよ、接近は出来た
 すぅ、と息を吸い込んで

「            !!!!」

 肺に蓄えた空気を、口を通して一気に外へと撃ち出した
 モニター越しに見ている人逹にも結構な大音量として聞こえたかもしれないが、仕方ない。ちょっと我慢してもらおう

 大音量による一喝
 至近距離でのそれに、さしもの九十九もポケットに突っ込んでいた両手を出して耳をふさいだ
 多分、鼓膜は破れてない………だろう、多分、きっと、恐らく
 万が一破れていても、治療班の人が頑張ってくれると信じるまで

 本命につながるための。「一泊」が生まれた
 そのまま、攻撃の体勢へと入る

「ハリネズミは、好きか?」

 ……ふと、耳をふさいだままの九十九がそう呟いた

 気づく。九十九がポケットから手を出したことで、辺りにばらまかれたものに
 きらきらと、宙に投げ出された、無数の針
 いや、これは針ではない
 正確にはこれも「ワイヤー」だ。先端を尖らせ、短く切った
 重力に従い、地面へと落ちていこうとしていたその無数の短いワイヤーは、九十九の、未だ不明の契約都市伝説の能力によって操られて

 四方八方から、一斉に、瑞希に向かって発射された






to be … ?







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