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「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 次世代の子供達-58d

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匿名ユーザー

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 第二回 組織 首塚 その他 合同戦技披露会
 死ぬまで戦うわけではないが、当然のごとく負傷者は出る
 そして、その負傷者を治療する治療班と言うものが当然の如く、存在しているのである
 治療班には「組織」や「首塚」の構成員だけではなく、他組織やらフリーランスの治癒能力持ち契約者も参加していた
 治癒能力を持つ都市伝説契約者は貴重だ
 都市伝説やらそれに類する存在は数多存在すれど、その中で治癒能力を発動できる者は一割にも満たないと言われている
 同じ治癒能力にしても、個々によってどれだけ治癒できるかも変わってくる
 戦技披露会においては、怪我人が出るにしてもただの切り傷打撲だけですまない場合もあるため、様々な状況に対応できるよう、人材が集まっていた

「いやぁ、だとしても。ここまで見事に氷漬けとは」
「芯まで凍ってたらアウトだよな、これ」

 じゅわぁ
 メルセデスによってかっちんこっちんに凍らされた狼少年を解凍する灰人と診療所の「先生」
 灰人は治療系都市伝説ではないものの、「切り裂きジャック」との契約の影響にプラスして診療所の手伝いもしているせいか治療技術はある
 よって、「先生」の助手として治療班に参加していたのだ

 戦技披露会の出場者になるつもりは灰人にはなかった
 未だ、油断すると「切り裂きジャック」として暴走しかねない自分が出場しても、他者の迷惑になるだけだ
 それなら、治療班に回っていた方がいい
 性格的に色々と問題がある「先生」ではあるが、治療技術については本物だ
 契約都市伝説に頼らない治療技術も持っているのが、ありがたい。性格に問題はあるが

「…そう言えば、「先生」。あんたも試合に参加するんじゃなかったのか?」

 予備の包帯を取り出しながら、灰人は「先生」に問うた
 だいぶ解凍されてぷるぷるしている狼少年の治療を続けつつ、「先生」が答える

「正確には、私ではなく私の作品が参加、だね」
「………ちょっと待て。猛烈に嫌な予感がしてきたぞ」
「なぁに、大丈夫大丈夫。自立行動するし、殺さない程度の加減するように設定してあるから」

 …それでも嫌な予感しか無い
 ちょうど手が空いていた事もあり、灰人は試合会場を映し出す画面へと視線を移した


 戦闘のための空間が広がる
 町中を思わせるフィールド………では、ない
 それは荒野を思わせる舞台だった
 少し風を感じるが、突風と言う程ではないため、特に問題はない

「……先生も、またすごいもの作ったわね」

 それを見上げて、優はそう口にした

 でかい
 説明不要と言いたくなる程に、でかい
 それは、土で形作られたゴーレムだ
 ヘブライ語で「胎児、未完成、不完全」を意味する名を持つそれは、「生命なき土くれ」とも呼ばれる
 無機質な材料に生命を吹き込み作られる魔法生物とも言われる
 ユダヤの伝承によるとラビ(律法学者)がカバラの秘術によって作り出すとされており、ユダヤ人を差別や圧政から守るために創造されたと言う
 ……最も、今ではゲームで魔導師が作り出す存在として、広く知られているのだろうが

 戦技披露会に参加した優の対戦相手
 それが、このゴーレムだった
 診療所の「先生」が作ったゴレームだ
 ……あの人は医者として働いてはいるが、元々本業は「創り出す」存在だった。それを思い出す

「まぁ、幸いにして材料は土みたいだし……それなら、いける!」

 っば、と能力で出現させた赤いちゃんちゃんこを羽織る
 「赤いちゃんちゃんこ」としての戦闘能力を引き出し………一気に、ゴーレムへと接近した
 ゴーレムの動きは、とろい。スピードでは圧倒的に優が勝っていた

「どぉんっ!!」

 ごがぁんっ!!と、優の拳がゴーレムの頭を木っ端微塵に粉砕した
 頭を失いながらも、ゴーレムはぶぅんっ、とその太い腕を振り回したが、優は己へと襲いかかったゴーレムの右腕を安々と蹴り崩す
 頭と右腕を失い、ゴレームはふらふらとバランスを崩し

 粉々に砕け散っていたその頭と、腕が。破壊された事によってまき散らかされた土を吸い寄せていきながら、再生していく
 しかも、ただ再生していくだけではない
 この荒野のフィールドの地面の土をも少し削り取っていっており、右腕が先程よりも一回り大きくなっている

「そう簡単には終わらないか……おぉっと!!」

 重力に任せて振り下ろされたゴーレムの腕を、両腕をクロスさせて受け止めた
 ミシミシミシッ、と、地面が重量によってヒビ割れていく

「せぇいっ!!」

 がごしゃぁあああん!!
 受け止めていたゴーレムの腕を、ぽんっ、と弾き飛ばした後、そのままアッパーカットで破壊
 そうしてから、とんとんっ、とゴーレムと距離を取った
 闇雲に破壊していても、辺りの土を使って再生してしまう
 ならば、どうするべきか
 ゴーレムの「弱点」を、知識の中から引っ張り出す

「……確か、特定のワードの頭部分削ればいいのよね。ロレーナさんが言うには」

 そこさえ壊せば良いのなら、どうすれば良いのか
 優は静かに拳を握りしめ、ゴーレムを睨みつけた



「どこだと思う?「אמת」の文字が刻まれているのは」

 モニターから試合の様子を見ながら、遥がそう口にした
 はて、と、龍哉は首を傾げる

「どこなのでしょう?少なくとも、表面上はどこにあるのか、わかりませんね」
「……内部に隠している、のだと思う。ゴーレムの弱点だから」

 珍しくスマホには視線を落とすこと無く、じっとモニターを見つめる晃がそう続けた
 そう、「אמת」の文字はゴーレムの弱点だ

「「אמת」の一文字、「א」を消して「מת」にしてしまえば、ゴーレムは活動が止まるっすからね」

 ゴーレムの体には、「אמת」と刻まれており、それが原動力となる
 しかし、その一文字を削り「מת」(死んだ)にしてしまえば、活動を停止
 ゴーレムは、ただの無機物へと戻るのだ
 つまるところ、攻撃されるとまずい弱点である
 本来の伝承であれば額にその文字が書かれた羊皮紙が張られていると言うが、診療所の先生が作り上げたゴーレムは、ゴーレム本体のどこかに文字を刻んでいるタイプらしい
 すなわち、戦いながら文字を見つけるしかないのだ

「確かに、表面上見えねぇが……なんでだろうな」
「すっげー、嫌な予感を感じるっすね」

 憐の言葉に、遥が頷く
 直斗や神子がこの場にいたら、同じく頷いていた事だろう

 そして、モニターに映し出されているゴーレムは、優の攻撃によってあちらこちらに穴が空いたりしつつ再生を繰り返し

『ーーーー見つけたぁ!!』

 優の声が、モニター越しに響き渡った



 おい
 おい、ちょっと待て

「おい、そこのセクハラの権化。どこに文字刻み込んでいるんだ」
「確かに私はおっぱいと太ももの観察者であるという自覚はあるがセクハラはせんぞ。YESおっぱい、NOタッチだ」

 違う、今言っているのはそういうことじゃない
 とりあえず、後で一発殴ろう、と灰人はそう心に誓った

 モニター越しに見えた、「先生」が作成したゴーレム
 その………人間で言うと、股間の部分。そこに「אמת」の文字が刻まれていたのだ
 セクハラと言いたくなっても悪くないだろう

「場所的に、女性は触りたがらんだろうし、男性は攻撃を躊躇するだろう?」
「ナイスアイディアみたいに言うな」

 確かに、言われてみればその通りなのかもしれない
 かもしれない……………が

「たった今、優がゴーレムの股間の「אמת」の「א」を打ち砕いたぞ」
「おや」

 うん
 優に、そんな事を気にするデリカシーがあるか、と問われれば、「ない」と断言するのが幼馴染である灰人の意見である
 きっと、他の幼馴染組も、全く同じことを考えただろう

 優は、男の急所くらい、平気で攻撃する

 まぁ、どちらにせよ、「先生」は一発殴ろう
 もう一度、そう心に誓いながら、崩れたゴーレムの残骸踏みつけながら勝利のポーズを取る優の姿をモニター越しに眺めたのだった






終われ





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