「………チェックメイト」
こつん
静かに置かれる、駒
それによって……キングは、倒された
静かに置かれる、駒
それによって……キングは、倒された
「っち。そっちの勝ちだ」
「うー!僕勝てたー!うー!」
「うー!僕勝てたー!うー!」
うーうーと、白い駒を動かしていた少年が、無邪気に勝利を喜ぶ
黒い駒を扱っていた少女は、倒れたキングを見て小さくため息をついた
黒い駒を扱っていた少女は、倒れたキングを見て小さくため息をついた
「最近、ちっともお前に勝てなくなってきたな」
「うー、そんな事ない。僕、まだ明日葉に勝てない事がある」
「うー、そんな事ない。僕、まだ明日葉に勝てない事がある」
少年は明日葉と呼んだその少女にそう告げた
明日葉と呼ばれたその少女は、少年のその言葉に笑って見せる
明日葉と呼ばれたその少女は、少年のその言葉に笑って見せる
「何だ、幸太……お前は、俺とのチェス勝負の勝率を100%にでもしたいのか?」
「うー?」
「うー?」
明日葉の言葉に、少年、幸太は首をかしげて見せる
…やれやれ、と明日葉はあきれたように笑う
…やれやれ、と明日葉はあきれたように笑う
「まったく、相変わらず考えが読めないな、お前は………さて、そろそろお暇させてもらうか」
「明日葉、帰るの?」
「あぁ。お邪魔したな、幸太」
「明日葉、帰るの?」
「あぁ。お邪魔したな、幸太」
すっく、と立ち上がる明日葉
長い髪が、ゆらりと揺れる
長い髪が、ゆらりと揺れる
「近頃物騒だからな。俺のような幼女の姿をした人間が、一人でうろつくには時間を選ばないとな」
「うー、今、夕方と夜の中間。一番危ない時間。うーうー」
「うー、今、夕方と夜の中間。一番危ない時間。うーうー」
……そう
今の時刻は、夕方と夜が混ざり合った微妙な時間帯だ
正直、かなり暗い
今の時刻は、夕方と夜が混ざり合った微妙な時間帯だ
正直、かなり暗い
どこか心配するような幸太の言葉に、明日葉はくくっ、と笑う
「なぁに、問題ない、むしろ、そんな時間帯だからこそ、一人で帰るのだよ」
「………うー?」
「わからんか?まぁ、度胸試し的なもののパワーアップバージョンだと思えばいい」
「………うー?」
「わからんか?まぁ、度胸試し的なもののパワーアップバージョンだと思えばいい」
小さく笑うその姿は…正直、年相応の少女には、見えない
小学校低学年程度のはずなのだが、酷く、大人びているのだ
それは、彼女が、まるで喪服のような黒い着物を纏っている事も関係していたかもしれない
そんな明日葉に対し、幸太はごく普通に接して見せる
小学校低学年程度のはずなのだが、酷く、大人びているのだ
それは、彼女が、まるで喪服のような黒い着物を纏っている事も関係していたかもしれない
そんな明日葉に対し、幸太はごく普通に接して見せる
「うー……じさつがんぼー?うー…」
「なぁに、いかにこの街が他よりも若干変態が多く、若干凶悪事件が多く、若干行方不明者が多いとは言え、俺が巻き込まれる確率はそう高い訳ではない」
「なぁに、いかにこの街が他よりも若干変態が多く、若干凶悪事件が多く、若干行方不明者が多いとは言え、俺が巻き込まれる確率はそう高い訳ではない」
だから、心配するな、と
そういうように、幸太の頭を軽く撫でた
そういうように、幸太の頭を軽く撫でた
「では、俺はこれで。ちょいと、用もあるのでな」
「…………ふぅん」
「…………ふぅん」
明日葉が、幸太から離れようとした……その、直後
幸太の雰囲気が、ガラリと変わった
幸太の雰囲気が、ガラリと変わった
そして、それと同時に……周囲の雰囲気も、変わる
そこは、鮫守家の、幸太の部屋の中だったはずなのに………真っ暗な空間へと、なり替わっていた
そこは、鮫守家の、幸太の部屋の中だったはずなのに………真っ暗な空間へと、なり替わっていた
「……何をするつもり?アンジェリカ」
「おぉ、怖い怖い。ミンチはやめておくれよ?お前の関係者にちょっかいを出しに行く訳じゃない」
「おぉ、怖い怖い。ミンチはやめておくれよ?お前の関係者にちょっかいを出しに行く訳じゃない」
くくくっ、と
ガラリと雰囲気が変わり……敵意すら向けてくる幸太に対し、明日葉は笑っているままだ
……明日葉、のはずである
だが、どこか、違う
あえて言うならば、服装は同じなのだが……まるで、猫耳のようにつけていたリボンが、本物の猫耳になり替わっていた
まるで、彼女が「人間ではない」事を、現しているかのように
ガラリと雰囲気が変わり……敵意すら向けてくる幸太に対し、明日葉は笑っているままだ
……明日葉、のはずである
だが、どこか、違う
あえて言うならば、服装は同じなのだが……まるで、猫耳のようにつけていたリボンが、本物の猫耳になり替わっていた
まるで、彼女が「人間ではない」事を、現しているかのように
「今回の件では、お前の関係者は大体が安全圏だ。一人、やや危ういのがいるが……まぁ、何とかなるだろう。そう、牙をむくな」
「…………」
「…………」
明日葉…らしき少女…の言葉に、幸太は、俯いて
「……うー」
……雰囲気が、元に戻る
それと同時に、周囲の光景も……幸太の部屋の中へと、戻った
明日葉の雰囲気も元に戻り、猫耳はただのリボンになる
それと同時に、周囲の光景も……幸太の部屋の中へと、戻った
明日葉の雰囲気も元に戻り、猫耳はただのリボンになる
「気を付けて帰ってね」
「……やれやれ。ここは僕が送る、と言うところなのだがな。フラグ的には」
「……やれやれ。ここは僕が送る、と言うところなのだがな。フラグ的には」
うー?と明日葉の言葉に、幸太は首をかしげる
気にするな、と明日葉は楽しげに笑って見せた
気にするな、と明日葉は楽しげに笑って見せた
「あぁ、そうだ、幸太。明日は暇か?」
「うー?……用事、ない」
「ならば、明日もチェスの相手をしてくれないか?クラスメイトにチェスができる奴がおらんでな………対戦相手に飢えているのだよ」
「いいよ。また明日も遊ぼうね」
「あぁ………明日も、チェスを楽しもうじゃないか」
「うー?……用事、ない」
「ならば、明日もチェスの相手をしてくれないか?クラスメイトにチェスができる奴がおらんでな………対戦相手に飢えているのだよ」
「いいよ。また明日も遊ぼうね」
「あぁ………明日も、チェスを楽しもうじゃないか」
楽しげに
そして、意味ありげに笑って
またね、と、明日葉は鮫守家を後にした
そして、意味ありげに笑って
またね、と、明日葉は鮫守家を後にした
はらはら、はらはらと
振ってくる雪に白い息を吐きつつ、歩き出す
振ってくる雪に白い息を吐きつつ、歩き出す
「………さぁて。クラスメイトが話していた棺桶背負った司祭を探すとするか、棺桶の中身は死体と相場が決まっているものだが、死臭はするのかねぇ?」
さくさく、さくさく
純白の雪の中、漆黒の着物を纏う少女は、独り言をつぶやきつつ、歩く
純白の雪の中、漆黒の着物を纏う少女は、独り言をつぶやきつつ、歩く
「…まぁ、俺は答えを知っているのだがね」
笑う、明日葉
笑っている、その笑顔は
笑っている、その笑顔は
どこか、魔女のようにも、見えた
to be … ?