「都市伝説と戦う為に、都市伝説と契約した能力者達……」 まとめwiki

連載 - 首塚-86b

最終更新:

Bot(ページ名リンク)

- view
だれでも歓迎! 編集
 町中がざわめいている
 何かの予感を、誰もが無意識に感じ取り…しかし、気づかぬ程度にその危険を避けながら、いつも通りの生活を続けていた
 この様子は、二年前の秋の…「夢の国」の騒動の時に、どこか似ていた

 学校町は、ずっとそんな事を繰り返してきたのだ
 人ならざる存在が集まりやすい土地
 故に、トラブルも起きやすい
 特殊すぎるその土地を利用しようとする者、我がものにしようとする者がどうしても現れる
 だからこそ、古くから学校町に住まう住人達は、遺伝子レベルで、できる限り安全地点へ逃亡できるようになっていた
 それを究極レベルで身に着けた家系もあるのだが……それは、今、触れるべき問題ではない

「………うー………」

 今、問題となったのは
 これらの事を、学校町の住人達は無意識レベルでやってのける

 だが
 それは……それら住人達が、「契約者」ではないから
 契約者達は、個々で得意不得意はあるとはいえ、大なり小なり人ならざる存在の気配を感じ取ることができる
 人ではない存在を、「見て見ぬふり(スルー)」はできない

 故に
 今、学校町を包み込もうとする災いから、完全には逃れられない



 小さな子供が二人、町中を駆け抜けている
 ……いや、正確には、「駆け抜けようとしている」
 少女の方が着物を纏っているせいで、走る事ができないのだ
 それでも、できるだけ早く進もうとしている事は確かだ
 少年が、少女の手をしっかりと握って、駆け足で進んでいる

「うー、明日葉、早く!」
「そう急くな、幸太。これでも、急いでるんだ」

 少年の名は鮫守 幸太
 少女の名は明日葉…それが姓か名かは不明だが、とにかくそう呼ばれている

 小学校のクラスメイトであり、友人同士である二人
 そして……契約者同士である二人

 学校町の異変を感じ取り、安全地点に逃げようとしているのだ
 しかし、前述の通り、明日葉は着物である
 しかも、今時珍しい事に、履物もきっちりと草鞋なんぞ身に着けている
 速く走れる訳がない

「…幸太、もういい。一人で行け」
「……!」
「俺を連れているより、お前一人の方が早い」

 周囲を…特に背後を気にしながら、そう口にする明日葉
 …危険が近づいてきている
 それを、本能的に感じ取る
 危険な存在が、町中に解き放たれている
 それを、明日葉は本能的に……否、はっきりと理解していて
 そして、自分達の傍に、それが近づきつつあることにも気付いていた
 今はまだ、向こうがこちらに気付いていない
 だが、気づけば襲い掛かってくるだろう

 そうなれば、少なくとも自分は逃げられない
 だが、幸太一人なら、逃げられる

 どうせ、自分には「死など意味がない」
 明日葉は、それをはっきりと理解していた
 だから、平気で自分を犠牲にできる、否、犠牲ですらない
 ちょっと痛い思いをするだけ
 その程度の認識しかないのだ

「うー!駄目!!明日葉も一緒に逃げる、うー!」
「…お前なぁ」

 まったく、と明日葉は小さく苦笑する

 ……鮫守 幸太は、知らない
 明日葉が、何と契約しているのか、いや、どんな存在なのかを
 ハッピー・ジャックなどと呼ばれる存在ならば知っている
 だが、「鮫守 幸太」は知らないのだ
 少なくとも、幸太はそういう事にしている
 だから、明日葉は幸太のその態度に、突っ込みを入れるわけでもなく、通常の対応を取らざるを得ないのだ

「……わかった。だが、後悔するなよ?」
「うー、しない!後悔しない!」

 しっかりと明日葉の手を握り、駆け続ける幸太
 明日葉は、引かれるがまま進んでいく

 ……後ろに近づいてきていた気配は、離れていった
 どうやら、別の道を進んでくれたらしい
 その事実に、明日葉はほっとした
 そのまま、幸太と一緒T字の道を曲がって……

「……うーーーー!!??」
「おぉっと、衝突事故」

 そこには
 炎を纏い、四つの首を生やし、四枚の翼をもち、小牛の足をした、2メートル程の化け物が一体、居座っていて
 それは、幸太と明日葉を見つけ、雄たけびを上げる

(……サミュエルの集団から離れてきた奴だな。本体が倒れりゃあ、こいつも消えるが……)

 …さて、自分達は、そんな幸運に恵まれるかな?
 幸太の背後で、明日葉は小さく自嘲するように、笑った











to be … ?







タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
記事メニュー
ウィキ募集バナー