日が傾いている
もうすぐ、夜がやってくる
都市伝説の、時間
もうすぐ、夜がやってくる
都市伝説の、時間
ざんっ、と
二人の少年少女が、笛吹探偵事務所の前に姿を現した
二人の少年少女が、笛吹探偵事務所の前に姿を現した
「ここだよね、マドレーヌ」
「そうよ、ここよ、リュリュ」
「そうよ、ここよ、リュリュ」
「13使徒」の「抹消者」、リュリュ・クーヴレールとマドレーヌ・クーヴレール
二人は、エイブラハム・ヴィシャスから命令を受けていた
二人は、エイブラハム・ヴィシャスから命令を受けていた
『いいですか?本日、この街を焼き尽くします。しかし、邪魔が入るかもしれません……私達の邪魔をしてくる異教徒共を、先に地獄へと叩き落としてやりなさい』
と
だが、双子は、今、その命令とは別の考えで動いていた
だが、双子は、今、その命令とは別の考えで動いていた
学校町に来日した、その初日
二人は、この街に住まう一人の少女と友達になった
二人は、この街に住まう一人の少女と友達になった
穀雨 吉静
可愛らしく、優しい少女
……なんとなく、悲しい過去を背負っているように見えて、しかし、それをまったく表に出そうともしない少女
友達になった、その少女は……この街が焼き尽くされたら、どうなってしまう?
可愛らしく、優しい少女
……なんとなく、悲しい過去を背負っているように見えて、しかし、それをまったく表に出そうともしない少女
友達になった、その少女は……この街が焼き尽くされたら、どうなってしまう?
死んでほしくない
素直に、二人はそう思った
「教会」関係以外で、初めて友達になった少女
助けたい
そう、考えたのだ
素直に、二人はそう思った
「教会」関係以外で、初めて友達になった少女
助けたい
そう、考えたのだ
だから、カイザーに相談した
助けたい相手が、この街にいるのだと
カイザーは、しばし悩んで、こう尋ねてきた
助けたい相手が、この街にいるのだと
カイザーは、しばし悩んで、こう尋ねてきた
『……その少女は、心優しい子ですか?』
そうだよ、と双子は頷いた
それは、ゆるぎない事実だから
それは、ゆるぎない事実だから
『……でしたら、私が何とかしましょう。あなた達は、街を焼き尽くす前に……何とかして、その少女を街から逃がしてあげてください』
だから、逃がしに来た
吉静を、この街から逃がす
それを終えたら、自分達の任務に戻ろう
吉静を、この街から逃がす
それを終えたら、自分達の任務に戻ろう
「吉静、僕らの話を聞いてくれるかな?」
「大丈夫よ、リュリュ。きっと聞いてくれるわ」
「そうだよね、マドレーヌ。きっと、聞いてくれるよね?」
「ちゃんと説得しましょう。吉静、お兄さんがいなくなったら悲しむから、そのお兄さんも一緒に逃がしましょう」
「そうだよね、家族がいなくなるのは悲しいもんね、マドレーヌ」
「そうよ、リュリュ。私だって、リュリュがいなくなってしまったら悲しいわ」
「僕だって同じだよ、マドレーヌ。僕は君の前からいなくならないからね」
「私も、あなたの前からいなくならないわ」
「大丈夫よ、リュリュ。きっと聞いてくれるわ」
「そうだよね、マドレーヌ。きっと、聞いてくれるよね?」
「ちゃんと説得しましょう。吉静、お兄さんがいなくなったら悲しむから、そのお兄さんも一緒に逃がしましょう」
「そうだよね、家族がいなくなるのは悲しいもんね、マドレーヌ」
「そうよ、リュリュ。私だって、リュリュがいなくなってしまったら悲しいわ」
「僕だって同じだよ、マドレーヌ。僕は君の前からいなくならないからね」
「私も、あなたの前からいなくならないわ」
うん、と頷きあい、笑いあう
そう、自分達は一緒だ
離れたりするもんか
そう、自分達は一緒だ
離れたりするもんか
意を決して、笛吹探偵事務所に足を踏み入れようとする
その、直後
その、直後
----っば!!と、双子は後方へと跳んだ
感じた気配を、睨み付ける
感じた気配を、睨み付ける
「誰?」
「敵?」
「敵とは、失礼ですねぇ」
「敵?」
「敵とは、失礼ですねぇ」
そこに現れたのは、白衣をまとった男だった
むー、と双子はその男を見つめる
…えーっと
日本に来る前に、その男の姿を見た事があるような
確か、資料か何かで
カイザーが見せてくれた、「組織」の資料か何かだったような気がする
むー、と双子はその男を見つめる
…えーっと
日本に来る前に、その男の姿を見た事があるような
確か、資料か何かで
カイザーが見せてくれた、「組織」の資料か何かだったような気がする
……が
思い出せない
所詮、二人ともまだまだ子供である
あんまり興味のない事は、きっちり覚えられない
思い出せない
所詮、二人ともまだまだ子供である
あんまり興味のない事は、きっちり覚えられない
とりあえず
どうやら、自分達は失礼な事を言ってしまったらしい
謝罪しなければ
どうやら、自分達は失礼な事を言ってしまったらしい
謝罪しなければ
「「ごめんなさい」」
「え?素直に謝るの?」
「え?素直に謝るの?」
双子の反応に、予想外らしい声を上げる白衣の男
どうしてだろう?
失礼な事をしたならば、謝るのは当然なのに
どうしてだろう?
失礼な事をしたならば、謝るのは当然なのに
「おじちゃん、笛吹探偵事務所の人?」
「私達、吉静ちゃんに会いたいの」
「ははは、私はおじさんなどと言う歳ではないのですが……そうですか、彼女に用がありますか」
「私達、吉静ちゃんに会いたいの」
「ははは、私はおじさんなどと言う歳ではないのですが……そうですか、彼女に用がありますか」
す、と
構える、白衣の男
構える、白衣の男
「…何が目的かは知りませんが……そうですね」
白衣の男は、自らが纏う白衣に、手をかける
「穀雨 吉静さんに、会いたいのならば、その前に」
そして
ばっ!!と
白衣を、脱ぎ去った
ばっ!!と
白衣を、脱ぎ去った
「私とヤ ら な い か」
白衣を脱ぎ去った男
そして現れた、その姿は
そして現れた、その姿は
ブーメランパンツ、一丁で
「「変態ーーーーーーーーーーーーっ!!??」」
あまりにも予想外の事態に、双子は結構なショックを受け
故に、ほぼ反射行動で、能力を発動する
故に、ほぼ反射行動で、能力を発動する
リュリュの手から、炎が生まれる
マドレーヌの手から、冷気が生まれる
二人はそれらを、弓矢のように、引き絞って
容赦なく、白衣の男……否、ブーメランパンツ一丁の変態に向かて、射撃した
マドレーヌの手から、冷気が生まれる
二人はそれらを、弓矢のように、引き絞って
容赦なく、白衣の男……否、ブーメランパンツ一丁の変態に向かて、射撃した
二つの力は、ブーメランパンツ一丁の変態………サンジェルマンに、直撃し
今、ここに、戦闘の火ぶたは切って落とされた
今、ここに、戦闘の火ぶたは切って落とされた
to be … ?