収穫ゼロ。
そう簡単に得れるとは思っていなかったが、ここまで何も手に入らないと失笑モノだ。
午前の全てを使って街を探索してみたはいいが、何の事態も巻き起こらない。
やはり、初日だからなのか、どの主従も様子を窺っているのだろう。
仲村ゆりは、思っているよりも向こう見ずな主従はいないのだな、と軽くため息をついた。
そう簡単に得れるとは思っていなかったが、ここまで何も手に入らないと失笑モノだ。
午前の全てを使って街を探索してみたはいいが、何の事態も巻き起こらない。
やはり、初日だからなのか、どの主従も様子を窺っているのだろう。
仲村ゆりは、思っているよりも向こう見ずな主従はいないのだな、と軽くため息をついた。
『たかが半日動いた程度で何かがわかる訳がないだろう、阿呆が』
(うっさいわね。血気盛んで目があったら即座に殴りかかってきそうなマスターがいるかもしれないでしょ)
(うっさいわね。血気盛んで目があったら即座に殴りかかってきそうなマスターがいるかもしれないでしょ)
現在、ゆり達は新都のデパートの屋上で少し遅めの昼食をとっている。
腹が減っては戦はできぬ。その言葉通り、サーヴァントを従えている以上、自分の健康は疎かにはできない。
コンビニで買った弁当をかっ食らい、がぼがぼとジュースを口へと運ぶその姿は男のようだ。
容貌はお嬢様といった感じなのに、中身は反比例である。
腹が減っては戦はできぬ。その言葉通り、サーヴァントを従えている以上、自分の健康は疎かにはできない。
コンビニで買った弁当をかっ食らい、がぼがぼとジュースを口へと運ぶその姿は男のようだ。
容貌はお嬢様といった感じなのに、中身は反比例である。
『そのような奴等が相手なら、俺も容赦なく斬れるんだがな』
相棒であるセイバー――斎藤一は鉄面皮を依然として貫いている。
聖杯戦争が始まって以降、自分達の仲は悪化してはいないが、よくもなっていない。
もっとも、両者共に、この程度の距離感が丁度いいとは思っている故に、二人は特には不平を呟かない。
べたべたと甘ったるい共存関係など御免だ。
目的の達成の為に一時的ではあるが手を取り合う。
それが、ゆりと斎藤の境界線だ。
聖杯戦争が始まって以降、自分達の仲は悪化してはいないが、よくもなっていない。
もっとも、両者共に、この程度の距離感が丁度いいとは思っている故に、二人は特には不平を呟かない。
べたべたと甘ったるい共存関係など御免だ。
目的の達成の為に一時的ではあるが手を取り合う。
それが、ゆりと斎藤の境界線だ。
(ねぇ、セイバー。さっき言った奴等とは真逆で、この聖杯戦争で私達のような聖杯なんてクソ食らえって奴等、いると思う?)
『いない、と仮定した方がいい。下手に楽観視して死んでしまっては話にならん』
(はいはい、わかってますー。それにしても、本当に貴方って態度がセメントねぇ。もっと柔らかくできないのかしら)
『俺がそういった物言いができないのは知っているだろう』
『いない、と仮定した方がいい。下手に楽観視して死んでしまっては話にならん』
(はいはい、わかってますー。それにしても、本当に貴方って態度がセメントねぇ。もっと柔らかくできないのかしら)
『俺がそういった物言いができないのは知っているだろう』
このように、不穏であるのか、不穏でないのか。
境界線こそはっきり線引しているけれど、それ以外は曖昧だった。
微妙な空気のまま、彼らの戦争は始まっている。
どんどん前へと進むゆりの後を斎藤がゆっくりと付いて行く。
まだ、一日目なのだ。長いようで短い一週間のが漸く幕を上げたに過ぎない。
急いては事を仕損じる。
わかってはいても、中々落ち着けない。
境界線こそはっきり線引しているけれど、それ以外は曖昧だった。
微妙な空気のまま、彼らの戦争は始まっている。
どんどん前へと進むゆりの後を斎藤がゆっくりと付いて行く。
まだ、一日目なのだ。長いようで短い一週間のが漸く幕を上げたに過ぎない。
急いては事を仕損じる。
わかってはいても、中々落ち着けない。
(さぁてと、学校をサボってまで街を出回っているんだから、何かしらの手がかりは欲しいわ。
これからどう立ち回るか、私達以外は全員敵なのか。さっさとはっきりさせちゃいましょう)
これからどう立ち回るか、私達以外は全員敵なのか。さっさとはっきりさせちゃいましょう)
ゆりは溜息をつきながらも、今は待ちの態勢を続けることこそが一番の近道だとわかっている。
人気の少ないデパートの屋上。ふらふらと動き回る素人っぽい動き。学校をサボっている若々しい美少女(自称)。
自分で言うことではないとわかってはいるが、結構怪しいものではないか。
聖杯戦争という枠組みの内側にいる参加者ならば、気づく可能性が高い。
大体の条件は揃っている。もしも、殺意に塗れたサーヴァントが襲いかかってくるならそろそろのはずだ。
人気の少ないデパートの屋上。ふらふらと動き回る素人っぽい動き。学校をサボっている若々しい美少女(自称)。
自分で言うことではないとわかってはいるが、結構怪しいものではないか。
聖杯戦争という枠組みの内側にいる参加者ならば、気づく可能性が高い。
大体の条件は揃っている。もしも、殺意に塗れたサーヴァントが襲いかかってくるならそろそろのはずだ。
(安全圏でのうのうと生きるなんて、真っ平御免よ。吉と出るか、凶と出るか。賭けようじゃないの)
覚悟は、もうできている。
刹那、急激な寒気を身体が感じ取る。
サーヴァントでない自分でもわかる濃密な悪意。
故に、当然斎藤が気づかないはずもなく、即座に霊体化を解除する。
刹那、急激な寒気を身体が感じ取る。
サーヴァントでない自分でもわかる濃密な悪意。
故に、当然斎藤が気づかないはずもなく、即座に霊体化を解除する。
「……っ!」
腰に携えた日本刀を抜き放ち、『見えない刃』を叩き落とす。
金属同士が擦れ合った嫌な音だ。ご丁寧に急所を狙ったいやらしい一撃だった。
正面から向かってこない手口といい、アサシンだろう。
もしも、戦闘に長けぬ間抜けであったならば一瞬で退場となっていたことに、ゆりは少し肝を冷やした。
そこは、新選組三番隊組長である斎藤一を信じた次第である故に、動揺とまではいかないけれど。
金属同士が擦れ合った嫌な音だ。ご丁寧に急所を狙ったいやらしい一撃だった。
正面から向かってこない手口といい、アサシンだろう。
もしも、戦闘に長けぬ間抜けであったならば一瞬で退場となっていたことに、ゆりは少し肝を冷やした。
そこは、新選組三番隊組長である斎藤一を信じた次第である故に、動揺とまではいかないけれど。
「やあ、絶好の殺戮日和だね」
上等だ、襲い掛かってくる敵に情けをかけるつもりはない。
視線を向けると、そこには全身黒ずくめの道化師が心底愉快そうな面持ちで立っていた。
アサシンのサーヴァント、キルバーンは手に持った鎌をくるくると回しながらゆっくりと此方へと近づいてくる。
話し合う必要なんてない。そもそも、生命を刈り取ろうと迫る死神相手に交渉などできるものか。
彼は敵だ。自分達へと明確な害意を持つ障害物である。
ならば、ゆり達が取る行動なんてただ一つ。
視線を向けると、そこには全身黒ずくめの道化師が心底愉快そうな面持ちで立っていた。
アサシンのサーヴァント、キルバーンは手に持った鎌をくるくると回しながらゆっくりと此方へと近づいてくる。
話し合う必要なんてない。そもそも、生命を刈り取ろうと迫る死神相手に交渉などできるものか。
彼は敵だ。自分達へと明確な害意を持つ障害物である。
ならば、ゆり達が取る行動なんてただ一つ。
「セイバー」
「言われなくても」
「言われなくても」
――邪魔な奴等はぶちのめす。
「やる気みたいだね、結構。そうでなくちゃ面白くはない」
「御託はいい、かかってきな」
「ああ、存分に楽しもうじゃないか。けれど、その前にやることがある」
「御託はいい、かかってきな」
「ああ、存分に楽しもうじゃないか。けれど、その前にやることがある」
相も変わらずくるくると鎌を片手で回しながら、キルバーンは指を鳴らす。
瞬間、悲鳴が木霊する。
鈍い音が数度、そして呻き声。
瞬間、悲鳴が木霊する。
鈍い音が数度、そして呻き声。
「勝手に舞台へと上がっている邪魔者はちょーっとご退場願わないと、ねぇ」
視界を横に向けると、刃が刺さった憐れな犠牲者達が血溜まりに沈んでいた。
目を見開き、何が起こったかすら理解できない顔で、彼らはゴミのように死んでいる。
所詮は換えの効く一般人だ。この聖杯戦争で、何の意味もなさない不純物である彼らをぞんざいに扱って何が悪い。
そう言わんばかりに死体を蹴り飛ばしながら、キルバーンはけたけたと笑う。
此処にある生命は全て、死神である彼の手が握っているとでも言いたげに。
目を見開き、何が起こったかすら理解できない顔で、彼らはゴミのように死んでいる。
所詮は換えの効く一般人だ。この聖杯戦争で、何の意味もなさない不純物である彼らをぞんざいに扱って何が悪い。
そう言わんばかりに死体を蹴り飛ばしながら、キルバーンはけたけたと笑う。
此処にある生命は全て、死神である彼の手が握っているとでも言いたげに。
「――殺す」
NPCとはいえ、彼らは何の罪もない市井の人間だった。
それを、キルバーンの下衆な快楽によって悪戯に殺されていいはずがない。
気に入らない。自分の信念とは真っ向から違うキルバーンの思惑に、反吐が出る。
彼の掲げる悪・即・斬に当てはまる外道に対して、斎藤は刃を向ける。
疾走。そして、一突き。
斎藤は、一撃で終わらせるつもりだった。
それを、キルバーンの下衆な快楽によって悪戯に殺されていいはずがない。
気に入らない。自分の信念とは真っ向から違うキルバーンの思惑に、反吐が出る。
彼の掲げる悪・即・斬に当てはまる外道に対して、斎藤は刃を向ける。
疾走。そして、一突き。
斎藤は、一撃で終わらせるつもりだった。
「おっと、血の気が多いねぇ」
だが、キルバーンは軽やかな足取りで後退し、斎藤の突きを躱す。
まるで、それがわかっているかのように。
斎藤の刃には精細さがないと言わんばかりに。
手を抜いているつもりはない。
けれど、その鋒は彼へと届かなかった。
まるで、それがわかっているかのように。
斎藤の刃には精細さがないと言わんばかりに。
手を抜いているつもりはない。
けれど、その鋒は彼へと届かなかった。
(……何か、あるな)
確かに、先程の突きにはいつもより鋭さが欠けている。
本来の自分ならもっと強く穿てるはずなのに、どうして。
頭に湧いた疑問を噛み砕きながら、斎藤は再び刀を構え特攻。
刀と鎌が打ち合い、ギチギチと鈍い金属音をがなりたてる。
本来の自分ならもっと強く穿てるはずなのに、どうして。
頭に湧いた疑問を噛み砕きながら、斎藤は再び刀を構え特攻。
刀と鎌が打ち合い、ギチギチと鈍い金属音をがなりたてる。
「君にとって、この世界の住人なんて何の縁もないだろう?
それなのに、どうしてそこまで怒りを露わにするのか、僕には理解できないな」
「英霊であっても、この街が偽りであっても。理由など、明確だ。
俺が気に入らん。貴様の振る舞いが、俺の正義と相反している」
それなのに、どうしてそこまで怒りを露わにするのか、僕には理解できないな」
「英霊であっても、この街が偽りであっても。理由など、明確だ。
俺が気に入らん。貴様の振る舞いが、俺の正義と相反している」
払う、突く、薙ぐ。
互いの武器が空を駆け、何度も叩きつけられる。
旋回する鎌を弾き、突くも躱され一旦の小休止。
互いの武器が空を駆け、何度も叩きつけられる。
旋回する鎌を弾き、突くも躱され一旦の小休止。
「戦う理由など、それで十分だ」
届かずとも、折れず。
斎藤一の刃は悪を前に倒れることなどあってはならないのだから。
渋くなった表情で刀を握り締め、再度構えを取るも、どうも様子がおかしい。
眼前のキルバーンは全く狼狽えていない。
まるで、自分の勝利が見えているかのように陽気な態度でこちらを嘲笑い続けている。
斎藤一の刃は悪を前に倒れることなどあってはならないのだから。
渋くなった表情で刀を握り締め、再度構えを取るも、どうも様子がおかしい。
眼前のキルバーンは全く狼狽えていない。
まるで、自分の勝利が見えているかのように陽気な態度でこちらを嘲笑い続けている。
「さてと、そろそろじゃない?」
「……お前の死ぬ時か?」
「違う違う。君の死へのカウントダウンが、さ」
「……お前の死ぬ時か?」
「違う違う。君の死へのカウントダウンが、さ」
だから、理解するまでに時間がかかった。
その言葉と同時に、がくりと膝が落ちる。
刀を持つ手に重みが増し、自分の手ではないかのようだ。
その言葉と同時に、がくりと膝が落ちる。
刀を持つ手に重みが増し、自分の手ではないかのようだ。
「――――っ!」
思うように動かない自分の身体に、斎藤は舌打ちをしながら横っ飛びに動き、キルバーンの振るう鎌を回避する。
何か小細工を弄されたのか、刀を振るう力も入らず拙さを感じる。
足は立つことを拒絶し、刀を握る指は今にも解けそうだ。
しかし、早急に身体の異変を感じ取れたのは幸いである。
このまま気づかぬまま戦っていたら自分はあの鎌の錆となっていただろう。
何か小細工を弄されたのか、刀を振るう力も入らず拙さを感じる。
足は立つことを拒絶し、刀を握る指は今にも解けそうだ。
しかし、早急に身体の異変を感じ取れたのは幸いである。
このまま気づかぬまま戦っていたら自分はあの鎌の錆となっていただろう。
「阿呆、が!」
そして、この影響は自分だけではなく背後にいるマスターにも作用していたらしい。
つい数分前まで快調だった彼女はふるると震え、真っ青な表情で立ち尽くしている。
動くことすらままならない状態である彼女はもうあてにはならない。
この様子では的確な指示など出せるはずもなく、この戦闘は斎藤の判断次第で転ぶだろう。
さてと、どうする。
選択肢は幾つもあるが、正しい答えは一つだけだ。
逃走は論外。キルバーンが逃がしてくれるとは思わないし、自分の士道にも背く。
救援が来るなんて甘い考えも当然無く、必然取る選択肢は決まっている。
つい数分前まで快調だった彼女はふるると震え、真っ青な表情で立ち尽くしている。
動くことすらままならない状態である彼女はもうあてにはならない。
この様子では的確な指示など出せるはずもなく、この戦闘は斎藤の判断次第で転ぶだろう。
さてと、どうする。
選択肢は幾つもあるが、正しい答えは一つだけだ。
逃走は論外。キルバーンが逃がしてくれるとは思わないし、自分の士道にも背く。
救援が来るなんて甘い考えも当然無く、必然取る選択肢は決まっている。
「絡繰の仕組みはわからんが、その前に斬り捨てればいい」
眼前には確かな悪がいる。
それを無視して背中を見せるなど、斎藤の胸に灯る誇りが許すものか。
身体の自由が完全に無くなる前に、キルバーンを殺す。
悪・即・斬。
生前から貫き続けた正義を、愚直に実行したらいい。
それを無視して背中を見せるなど、斎藤の胸に灯る誇りが許すものか。
身体の自由が完全に無くなる前に、キルバーンを殺す。
悪・即・斬。
生前から貫き続けた正義を、愚直に実行したらいい。
「往くぞ」
「できるものなら、どうぞ」
「できるものなら、どうぞ」
この一突きに総てを懸ける。
飄々としたその面に風穴を開けてやろうではないか。
決着をつけるべく、斎藤とキルバーンが同時に駆け、ぶつかろうとしたその時。
飄々としたその面に風穴を開けてやろうではないか。
決着をつけるべく、斎藤とキルバーンが同時に駆け、ぶつかろうとしたその時。
「すまぬが、介入させてもらうぞ」
一陣の風が吹くと共に、白金の騎士が舞い降りた。
手に持った槍をくるりと回し、斎藤の眼前に張られた見えない刃を叩き落としながら彼は悠然と現れる。
騎士は眉を顰めながらも、両者の中間で鋭く目を尖らせる。
手に持った槍をくるりと回し、斎藤の眼前に張られた見えない刃を叩き落としながら彼は悠然と現れる。
騎士は眉を顰めながらも、両者の中間で鋭く目を尖らせる。
「無粋な横槍だねぇ。年を食っているのに空気が読めないなんて、酷いと思うなぁ」
「そう言われると些か傷つくが……今回ばかりは見過ごせぬものでな」
「そう言われると些か傷つくが……今回ばかりは見過ごせぬものでな」
騎士――ガン・フォールはキルバーンへと槍の鋒を向け、いつでも突けるよう警戒を怠らない。
間合いは離れているが、ピエールにしてみたらあってないようなものだ。
罠を張っている可能性を考慮して飛び込まないが、不審なことをしたら即座に斬り捨てる。
間合いは離れているが、ピエールにしてみたらあってないようなものだ。
罠を張っている可能性を考慮して飛び込まないが、不審なことをしたら即座に斬り捨てる。
「お主の非業――しかと見させてもらった。無意味なる虐殺、到底放置しておけぬ。
此方の御仁は見た所、マスターを護ろうとしていたのでな、助太刀に入らせてもらった」
「……余計なことを」
「何、年寄りのお節介だ。遠慮せずに受け取っておけ。
あのまま斬りかかっていたら、地へと伏せていたのはお主の方であるからな」
此方の御仁は見た所、マスターを護ろうとしていたのでな、助太刀に入らせてもらった」
「……余計なことを」
「何、年寄りのお節介だ。遠慮せずに受け取っておけ。
あのまま斬りかかっていたら、地へと伏せていたのはお主の方であるからな」
先程も打ち捨てた見えない刃を設置していたキルバーンは非常に狡猾だ。
容易に攻めては返り討ちに合うのが関の山である。
容易に攻めては返り討ちに合うのが関の山である。
「さてと。形勢はどうやら僕の方が不利みたいだ。流石に二騎相手だと、ちょ~っと辛いね。
そういう訳だから、ここは大人しく撤退するよ」
「逃すと思うか?」
「追うならご自由に。後ろの女の子を放ったらかしにできるなら、ね。
それに、今此処で決着を付けずともまた会えるさ。君達は僕達にとって、面白い遊び相手になりそうだしね」
そういう訳だから、ここは大人しく撤退するよ」
「逃すと思うか?」
「追うならご自由に。後ろの女の子を放ったらかしにできるなら、ね。
それに、今此処で決着を付けずともまた会えるさ。君達は僕達にとって、面白い遊び相手になりそうだしね」
この場で五体の自由が効くのはガン・フォールだけだ。
斎藤は不調を押し殺しており、ゆりに至っては膝をついて倒れる寸前である。
今の彼らを放置していくというのは見捨てるのと同意義だ。
幾ら、戦闘に秀でたサーヴァントであるとしても、コンディションが最悪であれば安々と討ち取られる。
手を組める味方を集めたいガン・フォールからして、その判断は愚策であった。
斎藤は不調を押し殺しており、ゆりに至っては膝をついて倒れる寸前である。
今の彼らを放置していくというのは見捨てるのと同意義だ。
幾ら、戦闘に秀でたサーヴァントであるとしても、コンディションが最悪であれば安々と討ち取られる。
手を組める味方を集めたいガン・フォールからして、その判断は愚策であった。
「……次は殺す」
今にもはち切れそうな怒りを抑え、斎藤はぼそりと呟いた。
斎藤一という男は逃げることを良しとせず、死するその時まで刀を握るが、阿呆ではない。
自分の現状をしっかりと認識し、勝率を図れる侍だ。
だから、キルバーンを相手に今は退く方がいいと頭ではわかっている。
それでも、不甲斐なさに怒りが吹き出すのはしかたがないことだ。
斎藤一という男は逃げることを良しとせず、死するその時まで刀を握るが、阿呆ではない。
自分の現状をしっかりと認識し、勝率を図れる侍だ。
だから、キルバーンを相手に今は退く方がいいと頭ではわかっている。
それでも、不甲斐なさに怒りが吹き出すのはしかたがないことだ。
「この屈辱は必ず晴らす。貴様の仮面を叩き斬ることでな」
「できるものなら、どうぞどうぞ」
「できるものなら、どうぞどうぞ」
「見つけたぜ、獲物共」
お互い、戦況を弁え、引くことを選ぶ。
第三者の介入さえなければ、このまま戦いは続かなかっただろう。
開け放たれた屋上のドアから、ゆっくりと。
こつこつと足音を立て、金髪の少年が口を釣り上げて嗤う姿が露わになる。
そして、その隣で蠢く巨体は、居るだけで圧力を感じさせる化物だ。
第三者の介入さえなければ、このまま戦いは続かなかっただろう。
開け放たれた屋上のドアから、ゆっくりと。
こつこつと足音を立て、金髪の少年が口を釣り上げて嗤う姿が露わになる。
そして、その隣で蠢く巨体は、居るだけで圧力を感じさせる化物だ。
「やれ、バーサーカー」
瞬間、キルバーンへと放たれた巨腕が彼の身体を塵屑のように吹き飛ばす。
折れた鎌が地面を転がり、キルバーンはそのままバランスを崩しながら地面へと堕ちていく。
死んでこそいないが、あれではしばらく戦闘はできないだろう。
折れた鎌が地面を転がり、キルバーンはそのままバランスを崩しながら地面へと堕ちていく。
死んでこそいないが、あれではしばらく戦闘はできないだろう。
「獲物はまだ残っているな」
ブレードトゥース。
人であった獣。獣であった人。
狂戦士の座に付く彼は主以外を、抗うものの総てを、鏖殺し尽くす化外のサーヴァントが咆哮を上げる。
叫声を上げ、誰一人として、生かして返すつもりはない。
そう告げる彼らはまさしく、狂戦士。
蹂躙して奪い尽くす。それこそが、戦いの縮図なのだから。
人であった獣。獣であった人。
狂戦士の座に付く彼は主以外を、抗うものの総てを、鏖殺し尽くす化外のサーヴァントが咆哮を上げる。
叫声を上げ、誰一人として、生かして返すつもりはない。
そう告げる彼らはまさしく、狂戦士。
蹂躙して奪い尽くす。それこそが、戦いの縮図なのだから。
【C-8/デパート屋上/1日目・午後】
【仲村ゆり@Angel Beats!】
[状態]五感に異常 (重度)
[令呪]残り三画
[装備]私服姿、リボン付カチューシャ
[道具]お出掛けバック
[金銭状況]普通の学生よりは多い
[思考・状況]
基本行動方針:ふざけた神様をぶっ殺す、聖杯もぶっ壊す。
0.――――!
1.新都の各所を調査、その後も余裕があれば後回しにしていた場所も見て回る。
2.赤毛の男(サーシェス)を警戒する。
[備考]
学園を大絶賛サポタージュ中。
家出もしています。寝床に関しては後続の書き手にお任せします。
赤毛の男(サーシェス)の名前は知りません。
[状態]五感に異常 (重度)
[令呪]残り三画
[装備]私服姿、リボン付カチューシャ
[道具]お出掛けバック
[金銭状況]普通の学生よりは多い
[思考・状況]
基本行動方針:ふざけた神様をぶっ殺す、聖杯もぶっ壊す。
0.――――!
1.新都の各所を調査、その後も余裕があれば後回しにしていた場所も見て回る。
2.赤毛の男(サーシェス)を警戒する。
[備考]
学園を大絶賛サポタージュ中。
家出もしています。寝床に関しては後続の書き手にお任せします。
赤毛の男(サーシェス)の名前は知りません。
【セイバー(斎藤一)@るろうに剣心 -明治剣客浪漫譚-】
[状態]五感に異常(軽微)
[装備]日本刀
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに付き合ってやる。
1.敵に対処。
2.赤毛の男(サーシェス)に警戒。
[備考]
霊体化してゆりに同行しています。
赤毛の男(サーシェス)の名前は知りません。
[状態]五感に異常(軽微)
[装備]日本刀
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに付き合ってやる。
1.敵に対処。
2.赤毛の男(サーシェス)に警戒。
[備考]
霊体化してゆりに同行しています。
赤毛の男(サーシェス)の名前は知りません。
【ライダー(ガン・フォール)@ONE PIECE】
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 敵に対処。
2.マスターのために戦うのみ。
[備考]
[状態]健康
[装備]なし
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを護る。
1. 敵に対処。
2.マスターのために戦うのみ。
[備考]
【ボッシュ=1/64@ブレス オブ ファイア V ドラゴンクォーター】
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]
[道具]獣剣 ロッドケース
[金銭状況]奪った分だけ。今は余裕がある。
[思考・状況]
基本行動方針:勝利し、空を見に行く。
1.蹂躙する。
2.敵を発見次第、バーサーカーを突撃させ実力を見極める。
3.戦闘の結果を見て、今後どうするかを考える。
[備考]
NPCを何人か殺害しています。
バーサーカーを警戒しています。
[状態]健康
[令呪]残り3画
[装備]
[道具]獣剣 ロッドケース
[金銭状況]奪った分だけ。今は余裕がある。
[思考・状況]
基本行動方針:勝利し、空を見に行く。
1.蹂躙する。
2.敵を発見次第、バーサーカーを突撃させ実力を見極める。
3.戦闘の結果を見て、今後どうするかを考える。
[備考]
NPCを何人か殺害しています。
バーサーカーを警戒しています。
【バーサーカー(ブレードトゥース)@メタルマックス3】
[状態]健康
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを殺す。
1.マスターを殺したい。
[備考]
どんな命令でも絶対服従。近づかない限り暴走はしません。
マスターに殺意を抱いています。
[状態]健康
[装備]無し
[道具]無し
[思考・状況]
基本行動方針:マスターを殺す。
1.マスターを殺したい。
[備考]
どんな命令でも絶対服従。近づかない限り暴走はしません。
マスターに殺意を抱いています。
【アサシン(キルバーン)@DRAGON QUEST -ダイの大冒険- 】
[状態]全身ダメージ(大)、死神の笛破損
[装備]いつも通り
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに付き合い、聖杯戦争を楽しむ。
1. ――――!?
[備考]
サーシェスとは別行動中。
[状態]全身ダメージ(大)、死神の笛破損
[装備]いつも通り
[道具]なし
[思考・状況]
基本行動方針:マスターに付き合い、聖杯戦争を楽しむ。
1. ――――!?
[備考]
サーシェスとは別行動中。
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030:Nowhere/嘘の世界であなたと二人 | 投下順 | 032:Endless Waltz |
030:Nowhere/嘘の世界であなたと二人 | 時系列順 | 032:Endless Waltz |
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004:探し物は見つかりましたか? | 仲村ゆり | 033:空へと至る夢 |
セイバー(斎藤一) | ||
022:老兵は死なず、ただ戦うのみ | ライダー(ガン・フォール) | |
025:地を舐め、天を仰ぐ | ボッシュ=1/64 | |
バーサーカー(ブレードトゥース) | ||
021:だから、戦うんだ | アサシン(キルバーン) | 035:新たな予感 |