夢現聖杯儀典:re@ ウィキ

南条光&ライダー

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 ―――例題です。

 ここに、ひとりの少女がいました。
 誰より正義に憧れる少女です。
 誰より正義を信じる少女です。
 誇り高い少女でした。幼くも勇気に満ちた、怖いものなどないはずの少女でした。
 どんな者が相手でも決して怯まずに、少女は自分の信じる道を決して曲げません。
 少女は、正義の味方でした。

 しかし―――

 少女は、戦いに巻き込まれてしまいました。人の命など簡単に吹き飛んでしまう、とても怖い戦いです。
 少女は何も持っていません。持っていないと思っています。
 正義の心は持っているけれど。力はありません。覚悟はありません。
 少女はひとりきりだと思っています。何をしたらいいかわかりません。

 少女は泣いてしまいそうです。
 少女は震えています。


 ―――どうすべきですか?


 少女は、目を閉ざして諦めるべき?
 少女は、両手を真紅に染めるべき?
 少女は、誰かに助けを求めるべき?

 少女は―――

◇ ◇ ◇

 ずっと憧れていた。
 困っている人に手を差し伸べ、弱い人を悪の手から守り、誰かの笑顔のために頑張る。
 ヒーロー、英雄、正義の味方。呼び名は色々あるけど、要するにアタシはそういうものになりたかったんだ。
 テレビから、漫画から、時にはステージの上から皆に勇気と希望を与えてくれる。誰かを支えて、誰かに支えられて、皆を幸せにするヒーローに。
 アタシは、ずっと憧れていた。

「でも、やっぱり駄目みたいだ、アタシ」


 備え付けのソファに浅く腰掛け、南条光は噛み締めるように声を絞り出した。
 聖杯戦争。記憶を取り戻した時に、おおよその知識は頭に入っている。その意義は闘争であり、自分たちを除く全ての主従を排除しなければならない凄惨な殺し合い。
 そんなものは認められない。当たり前だ、誰かが血を流すことをヒーローが認めるはずがない。いや、これは最早ヒーロー云々以前の問題だ。
 止めなくては。理性はそう叫んでいるけど。でも心が固まって動かない。
 怖い、怖い、怖い。体が震えて仕方が無い。普段はあれだけ勇気だ正義だと言っておいて、いざとなればこうなるなんて我ながら情けない。
 震えを誤魔化すために、光は傍にいる己がサーヴァントへと声をかけた。

「なあライダー。ライダーには、やっぱり叶えたい願いがあるのか……?」
「願い、か」

 呟く声。不遜に、傲慢に。
 男の影がそこにはあった。軍服にも似た白い服で身を包む男だった。雷電のような、不思議な奇矯さに満ちた男だ。
 ライダーと呼ばれた彼は、刺すような視線を光に向け、言った。

「万能の願望器たる聖杯と、それを手にするための奪い合い。
 代償と犠牲を得て一滴の願いを叶える器か。下らん」

 ただ短く、吐き捨てる。細める視線に、稲光の如き鋭さを湛えて。

「欺瞞の極み。傲慢の果て。ああ、かの"鐘"を思い出す悪辣さだ。心底、下らん」

 呟くライダーの表情は最初と変わらない仏頂面ではあったけど、どこか苦虫を噛み潰したような歪みがあった。
 その様子を見るだけでも、ライダーが聖杯というものにどんな感情を抱いているのかがありありと分かる。
 強い人だ。素直にそう思う。目の前の理不尽に激し、常に正しくあろうとする姿勢は今の自分にはない姿だ。

「……そっか、そうだよな。アタシもさ、こんなの絶対間違ってるって思う。でもさ、アタシの心のどこかで、それを否定しきれないところがあるんだ」

 なんのことはない。それは保身と逃避から来る感情だ。自分が死にたくないから、自分が傷つきたくないから。誰かを救うことなんてせず自分だけ助かりたいという浅ましい欲求。
 只人として見るならば、それは当然の思考かもしれない。誰しも自分が一番可愛いのは当たり前だし、命のかかった場面でなお自分より他者を優先できる者は少ない。他者を手にかけるのではなく自らの保身に走るのみであるならば、あるいは仕方ないと人は言うかもしれない。
 しかしここにいるのは南条光だ。誰よりヒーローを求め、誰よりヒーローたらんとする彼女だ。人が仕方ないと諦めることを、仕方ないと言いたくないがために努力する少女なのだ。
 そんな自分が、あろうことか保身に走るなど……誰よりも何よりも自分で自分を許せない。
 そして、それでもなお、体を縛る恐怖は根強いもので。


「……ライダー。アタシは、どうしたらいいかな」
「さて、な」

 光の心情を聞き終わり、それでもライダーは何も答えない。ふぅ、と、どこか気の抜けたように嘆息すると、改めて光へと向き直った。

「私はサーヴァントだ。サーヴァントとはマスターに付き従う存在であり、故にマスターが望むならば全ての敵を屠り、その手に聖杯を掴むことさえ目指すだろう」

 不本意ながらな、とライダーは付け加える。

「だからこそ。南条光、私はお前に問う。お前は、私に何を望むのか」

 いつになく真剣な表情で、ライダーはそう言った。
 視線はまっすぐに光へと向いている。輝くような双眸に、見据えられる。

「私を動かすのは人の輝きだ。つまり、お前次第だ」
「何もかもを諦め、暗闇に沈むか。ここでもなお諦めず、輝き続けるか」
「お前は、どちらを選ぶ」

 ……そんなもの。
 そんなもの、決まってる。

 暗いのは嫌だ。暗闇は嫌だ。アタシはアイドルとして、ヒーローとして。もっともっと輝いていたい。
 事務所の仲間たちと過ごした日々を思い出す。アタシはあの陽だまりのように、いつだって明るくありたい。
 だけど。

「輝きなんて……ある、かな」

 自然と口が開き、勝手に言葉が飛び出す。
 こんな無力な自分に。恐怖で動けない自分に。殺し合いを強いる聖杯に何もできない自分に。
 "輝き"なんてものが、本当にあるのか、と。

「あるとも」

 即答だった。何の逡巡もなく、何の淀みもなく。ライダーはそう断言した。

「本当、か?」
「お前にも、ある」

 ―――本当に?

「だったら、アタシは……」

 ―――本当に。
 本当に、ライダーの言うように、アタシにも輝きがあるのだとするなら。

「……輝きたい! 今より、もっと、ずっと!
 絶対に諦めたりしない! 暗闇になんて逃げない!
 アタシは、ヒーローになることを絶対に諦めない!」

 叫ぶ。ありったけの声で。
 正義の味方は決して挫けない。そう宣言するように。

「決めたよライダー。アタシはもう迷わない。誰かを不幸にする聖杯なんて絶対に認めない。
 だから頼む。アタシを、助けてくれ」
「―――ああ」

 瞬間、ライダーの姿が輝いて。
 柔和な笑みを浮かべた彼の姿がそこにあった。

「無論だとも。我が真名ニコラ・テスラにかけて、これより私はお前と共に在る。
 お前の輝きに誓い、我が勇壮なる雷が応えよう」

 そしてここに、光は紫電の瞬きを目にする。
 人として当然の恐怖を乗り越え、尊いほどの純粋な願いと意思とを兼ね備え、焦がれし輝きとなった光を前にして。
 ライダーの蒼い双眸は、眩しそうに歪んでいたのだった。


◇ ◇ ◇

 少女は―――

 少女は、叫びました。
 助けて、と。涙を堪えて叫びました。するとどうでしょう。

 どうなりましたか?
 助かりましたか?

 どうにもなりませんでしたか?
 助かりませんでしたか?


 それは―――


「お前の声は届く。時に世界が若人を殺さんとしても、世界の敵がそれを阻む。誰が見逃そうとも、私は来よう」

「故に」

「羽ばたくがいい。天駆ける雷の鳳の如く。あらゆる機構を振り払い、空へ」


【クラス】
ライダー

【真名】
ニコラ・テスラ@黄雷のガクトゥーン ~What a shining braves~

【ステータス】
筋力C 耐久D 敏捷A+ 魔力B 幸運C 宝具B

【属性】
中立・善

【クラススキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。

騎乗:C
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。

【保有スキル】
雷電魔人:A+
新大陸の祖霊にして強大なるふるきもの『雷の鳳』にかけられた永遠の呪い。あらゆる電子・電気を操る異能であり、肉体は幻想の雷電と化している。
雷電による攻撃の他、自身を送電しての回避行動、電磁力による虚空跳躍、索敵、雷化、非実体への攻撃など応用の幅は広い。ただし雷電による攻撃は対魔力スキルによって軽減・無効化される。
自身の肉体や宝具たる電気騎士が砕かれても再構成が可能であるが、それには相応の魔力消費が必要となる。また、霊核が完全に砕かれた場合は再構成不可能。
マスターからの魔力供給が満足に為されていないためステータス及びスキルランクが大幅に低下している。
制約として以下の事項が存在する。
  • 一切の虚言が許されない(誤魔化しや黙秘は可能)。
  • 雷電が散ることから、水、特に海水に浸かっている場合は常に魔力が散逸し続ける。
  • 幻想なりしものであるため、彼を基底現実に繋ぎ止める楔(今回はマスターとのパス)がなくなった場合全ての電力を散らして消失する。
  • 雷電の源たる“輝き”が近くに存在しない場合、全てのステータスが1ランク、雷電魔人のスキルランクが2ランク低下する。その代わり"輝き"が傍にいる間は常に自身の魔力が微回復する(あくまでライダーの魔力であってマスターの魔力ではない)。

バリツ:B
東洋武術を祖とした無刀術。雷電魔人の異能と合わせた使い方もできる。

機関技術:A
機械技術。電磁兵装や電気機械の作成に長け、またそれらの豊富な知識を併せ持つ。

世界介入:-
基底現実を限定的に書き換える力。キャスタークラスでの現界ではないため現在は失われている。

【宝具】
『電界の剣』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大捕捉:5
5本の剣状の発光体。雷電で形成されており、実体があるのは核たる黒色の柄部分のみ。
ライダーの周囲に浮遊する形で出現し、飛翔・滑空しながら敵に襲い掛かる。また、剣の周囲に存在する者を任意で防護する効果もある。
黒色の柄は"深淵の鍵"と呼ばれており、かつてライダーが"黒の王"と呼ばれる存在から簒奪した暗黒物質であり、《神々の残骸》とされている。
5つの剣はそれぞれにトール、ヴァジュラ、レイ=ゴン、ユピテル、ペルクナスの銘を持つ。

『電気騎士(ナイト・オブ・サンダー)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:600
第3次テスラ・コイル実験の折にライダーが製作した数十フィートの巨大な戦闘人形であり、雷の鳳が残した永遠の呪いの一つ。
ライダー自身の超電磁形態であり、ライダーが搭乗することで雷電魔人としての力の規模をそのまま拡大する。
フランクリン機械帯に電界の剣の核たる“深淵の鍵”を差し込むことで呼び出される。剣・斧・槍・鎚・弓に酷似した専用の兵装を使用可能。
また、白銀の盾(アガートラム)と呼ばれる巨大な4枚の盾により周囲や自身を防護することもできる。
巨大化も可能であるが、相応に魔力を消費する。
神霊の権能ではあるが、戦闘用に科学的なチューンが施されているため神秘としてのランクは低い。

【weapon】
  • フランクリン機械帯
ライダーの雷電能力を制御し、時に拡大応用させる碩学機械式ベルト。

【人物背景】
電気学を修める天才碩学。雷の鳳に与えられた呪いにより不老となっており、外見は青年であるもののその中身は老成している(原作においては実年齢92歳)。
人の輝きを尊び世の安寧を願い、暗躍する秘密結社や宇宙の分神的存在と戦い続け10万を超える人々を救った正真正銘の『ヒーロー』。
性格は一言で言えば傲岸不遜。理想を口にする割には情が薄い印象を受け、周囲の人間に対する扱いは割と酷いものがある。
しかし性根は完全に善性の人物であり情が薄く見えるのも表情が分かりにくいだけ。敵対した者であろうと、自分を傷つけようとした者であろうと「助けて」と請われれば決して見捨てることがない(※ただしガチ邪悪を除く)。

【サーヴァントとしての願い】
彼自身は聖杯に託す願いはない。強いて言うならば無辜の人々の安寧だが、ライダーは誰かの犠牲の上に成り立つ平和を良しとすることはない。むしろ聖杯を"鐘"と同じ類の存在ではないかと疑い、嫌悪している。
南条光の"輝き"に惹かれ、それを守護するために召喚に応じた。


【マスター】
南条光@アイドルマスターシンデレラガールズ

【マスターとしての願い】
ヒーローは誰かを泣かせるようなことはしない。

【能力・技能】
アイドルとしての技能。身体能力は同年代の少女よりは上だろう。
特撮知識がかなりある。

【人物背景】
徳島出身の14歳、南条光はアイドルである。
正義の味方を自称する大の特撮ヒーローマニアで、その入れ込み具合は筋金入り。アイドルになった理由も特撮の主題歌を歌いたかったから。
特撮が好きなだけでなく自身もヒーローたらんとしており、非常に明るく快活な性格。自分に厳しく他人に優しい、努力は決して怠らない。
それでも彼女は年相応の少女であることに変わりは無く、相応に脆い部分も存在する。

【方針】
誰かの笑顔を犠牲にする聖杯は認めない。打倒聖杯。



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