其処は、この世の底辺だった。
真っ暗闇を照らすのは、液晶モニターの明かりだけ。
響く音は、キーボードを叩く音だけ。
其処に居る自分もまた、底辺の存在だった。
真っ暗闇を照らすのは、液晶モニターの明かりだけ。
響く音は、キーボードを叩く音だけ。
其処に居る自分もまた、底辺の存在だった。
「……けっ、ざまあみろ」
下卑た笑みを浮かべながら、ディスプレイに向かって虚しい勝利宣言をする。
前傾姿勢を改めたことで、椅子の背もたれが軽く軋んだ。
もう何年も使い倒した椅子だが、安物なうえに何度もストレスに負け殴打しているため、そろそろ買い替えどきかもしれない。
前傾姿勢を改めたことで、椅子の背もたれが軽く軋んだ。
もう何年も使い倒した椅子だが、安物なうえに何度もストレスに負け殴打しているため、そろそろ買い替えどきかもしれない。
「ちう様に喧嘩売ろうなんざ、数億年早いんだよ」
スーパーネットアイドルちう。
それが、私の正体である。
それが、私の正体である。
とはいえ実際に大人気ネットアイドルだったのは数年以上前のことであり、今ではすっかり落ち目のロートル扱いだ。
日々訪れる老いには抗うことが出来ず、フォトショップ修正を行ってもなお若いコスプレイヤー相手にファンの数で劣りつつある。
少女と表現するのが妥当な年齢も、何年も前に終えてしまった。
日々訪れる老いには抗うことが出来ず、フォトショップ修正を行ってもなお若いコスプレイヤー相手にファンの数で劣りつつある。
少女と表現するのが妥当な年齢も、何年も前に終えてしまった。
しかしながら、それを認めるわけにはいかない。
もしもそれを受け入れてしまえば、今まで積み重ねてきた“ちう”としてのアイデンティティが崩壊してしまう。
リアルの全てを犠牲にし、もう10年近く“ちう”をコスプレ界の頂点に君臨させることだけを生き甲斐としてきた。
もしもこれでネットアイドルを引退しようものなら、人生で最も大切な時期と引き換えたにしてはあまりに虚しいリターンじゃないか。
せめてあと10年くらいは、業界で大きな顔をしていたい。
もしもそれを受け入れてしまえば、今まで積み重ねてきた“ちう”としてのアイデンティティが崩壊してしまう。
リアルの全てを犠牲にし、もう10年近く“ちう”をコスプレ界の頂点に君臨させることだけを生き甲斐としてきた。
もしもこれでネットアイドルを引退しようものなら、人生で最も大切な時期と引き換えたにしてはあまりに虚しいリターンじゃないか。
せめてあと10年くらいは、業界で大きな顔をしていたい。
「……」
まともに電気代を払えず、すでに取り外してしまった天井の蛍光灯を見つめていてもしょうがない。
視線をディスプレイへと戻すと、今度は憎き新人アイドルのホームページではなく、自分自身の城を表示した。
もう何年も更新している雑記の項目を選ぶと、自分の歴史を感じ取れる。
とはいえここ最近は、昔ほどキレのある文章が書けなくなっていた。
時折過去の記事を眺めては、当時の自分の勢いと熱さを、苦笑いと共に羨んだものだ。
視線をディスプレイへと戻すと、今度は憎き新人アイドルのホームページではなく、自分自身の城を表示した。
もう何年も更新している雑記の項目を選ぶと、自分の歴史を感じ取れる。
とはいえここ最近は、昔ほどキレのある文章が書けなくなっていた。
時折過去の記事を眺めては、当時の自分の勢いと熱さを、苦笑いと共に羨んだものだ。
「聖杯戦争、ね」
かつての自分に思いを馳せることを止め、少しでも建設的なことを行おうと新規投稿ボタンを押す。
今日投稿する予定の記事は、今話題の都市伝説の『聖杯戦争』なるものだ。
何でも聖杯を賭けて戦って、最後まで残れば願いが叶うのだとか。
くだらない迷信だろうし、こんな世迷い事を本気にするほど愚かではないのだが、記事にするには持ってこいの話題である。
今日投稿する予定の記事は、今話題の都市伝説の『聖杯戦争』なるものだ。
何でも聖杯を賭けて戦って、最後まで残れば願いが叶うのだとか。
くだらない迷信だろうし、こんな世迷い事を本気にするほど愚かではないのだが、記事にするには持ってこいの話題である。
「……願いが叶う、か」
ふと呟くと、まだ無垢な中学生だった頃の思い出が蘇ってくる。
無垢というにはインターネットの毒素に侵されすぎていたように思えるが、それでもあの頃は全てが輝いていた。
少なくとも、今の自分にはそう見える。
無垢というにはインターネットの毒素に侵されすぎていたように思えるが、それでもあの頃は全てが輝いていた。
少なくとも、今の自分にはそう見える。
あの頃自分が通っていた、麻帆良学園中等部。
魔法なんていう非現実的なものの存在を、あの学校で知ることになった。
麻帆良に伝わる噂話には何らかの裏があることも、数年に渡る大冒険で身を持って知った。
魔法なんていう非現実的なものの存在を、あの学校で知ることになった。
麻帆良に伝わる噂話には何らかの裏があることも、数年に渡る大冒険で身を持って知った。
故に、根も葉もない噂話に間違いないと、断言まではできないでいた。
今なお麻帆良の学園都市に住んでおり、その噂話の裏に隠れた非現実がすぐ傍にないとも限らない。
気軽にサイトにアップしてもいいものか。
今なお麻帆良の学園都市に住んでおり、その噂話の裏に隠れた非現実がすぐ傍にないとも限らない。
気軽にサイトにアップしてもいいものか。
(私なら――何を願うんだろうな)
中学生の頃だったら、永遠の若さと不死なんてものを願ったかもしれない。
けれでも今は、そんなものを手に入れてもしょうがないと知っている。
100年経っても死なず老いずの立場になったら、身分証の提示が出来なくなってしまうし、
身分証を取得するために事情を話せば待っているのは実験動物だ。
けれでも今は、そんなものを手に入れてもしょうがないと知っている。
100年経っても死なず老いずの立場になったら、身分証の提示が出来なくなってしまうし、
身分証を取得するために事情を話せば待っているのは実験動物だ。
最強のネットアイドルの座も、願って手に入れるものじゃない。
確かに、ライバルアイドルにウイルス送り込んだりと、お世辞にもクリーンな戦いをしているとは言えないだろう。
それでも、裏工作を引っ括めて全て自分の力で手に入れたものだから、ここまで固執し喜びを味わえるのだ。
確かに、ライバルアイドルにウイルス送り込んだりと、お世辞にもクリーンな戦いをしているとは言えないだろう。
それでも、裏工作を引っ括めて全て自分の力で手に入れたものだから、ここまで固執し喜びを味わえるのだ。
それじゃあ、例えば――――
「ちーうちゃーん」
思考の中断をするように、インターホンが鳴らされる。
その後、ドアを叩く音と共に間の抜けた声が聞こえてきた。
その後、ドアを叩く音と共に間の抜けた声が聞こえてきた。
通販した食料品が必要なためインターホンの音を切るわけにはいかないが、
こうして不定期にやってくる知り合いのことを考えると、
いっそインターホンを叩き壊してしまいたくなる。
こうして不定期にやってくる知り合いのことを考えると、
いっそインターホンを叩き壊してしまいたくなる。
「たまには外に出ないと体に悪いよー」
朝倉和美。
中学時代に同じクラスで、ハグレモノ同士そこそこ会話をした間柄だ。
と言っても一方的に声をかけられるだけだったし、友人だったわけではない。
そもそもクラスでまともに会話をする相手がいなかった自分と違って、朝倉は友人とまでは呼べなくとも“つるむ相手”には困ってなかった。
単なる気まぐれと好奇心で秘密を知られ、そして時折手伝わされた程度の関係だ。
中学時代に同じクラスで、ハグレモノ同士そこそこ会話をした間柄だ。
と言っても一方的に声をかけられるだけだったし、友人だったわけではない。
そもそもクラスでまともに会話をする相手がいなかった自分と違って、朝倉は友人とまでは呼べなくとも“つるむ相手”には困ってなかった。
単なる気まぐれと好奇心で秘密を知られ、そして時折手伝わされた程度の関係だ。
「花火しようよー、花火ー!」
続いて聞こえる脳天気な声は、椎名桜子のものだろう。
こいつは小学生の頃からの付き合いだが、本当にただ顔見知りの期間が長いだけだった。
会話はあまりしないし、朝倉ほど積極的に声をかけてくるわけではない。
特に目立たない等散々な評価をくれた奴だが――それでも、困ってる時は手を差し伸べてきた。
最もそれが余計なお世話であるがため、今もこうして居留守を使っているのだけれども。
こいつは小学生の頃からの付き合いだが、本当にただ顔見知りの期間が長いだけだった。
会話はあまりしないし、朝倉ほど積極的に声をかけてくるわけではない。
特に目立たない等散々な評価をくれた奴だが――それでも、困ってる時は手を差し伸べてきた。
最もそれが余計なお世話であるがため、今もこうして居留守を使っているのだけれども。
「うーん、駄目ですね……やっぱり入れません」
そして、相坂さよ。
大嫌いな非現実の体現者であり、ざっくりというと地縛霊だ。
この学園都市に住み着いており、朝倉のことを慕っている。
麻帆良の近辺をよくうろついている朝倉と共に、今の私を訪ねてくる回数が最も多い存在だ。
ちなみに朝倉・相坂に続く第3位は教師として学内で就職した佐々木まき絵で、椎名の馬鹿は持ち前の運で仕事をこなし暇してるからか第4位。
第5位には、やや差が開いて、佐々木とつるんでたまに訪れる大河内アキラあたりがランクインするだろう。
大嫌いな非現実の体現者であり、ざっくりというと地縛霊だ。
この学園都市に住み着いており、朝倉のことを慕っている。
麻帆良の近辺をよくうろついている朝倉と共に、今の私を訪ねてくる回数が最も多い存在だ。
ちなみに朝倉・相坂に続く第3位は教師として学内で就職した佐々木まき絵で、椎名の馬鹿は持ち前の運で仕事をこなし暇してるからか第4位。
第5位には、やや差が開いて、佐々木とつるんでたまに訪れる大河内アキラあたりがランクインするだろう。
「無駄に世界でも有数の安全地帯よね、ここ」
ドア越しに聞こえてくる言葉は、さほど大袈裟なものではない。
魔法なんていう狂ったものに精通した連中から購入した道具を駆使し、危険なものは立ち入れないようにしている。
引きこもり当初こそ相坂の奴に侵入を許し外に出そうとするお節介ズを生んでしまったが、今では幽霊だろうとこの部屋には入れない。
魔法なんていう狂ったものに精通した連中から購入した道具を駆使し、危険なものは立ち入れないようにしている。
引きこもり当初こそ相坂の奴に侵入を許し外に出そうとするお節介ズを生んでしまったが、今では幽霊だろうとこの部屋には入れない。
「…………」
耳をそばだてる。
適当に人の部屋の前でくっちゃべってから帰っていった。
多分、今回も、ドアノブに何か差し入れをぶら下げて。
適当に人の部屋の前でくっちゃべってから帰っていった。
多分、今回も、ドアノブに何か差し入れをぶら下げて。
「何だ、こりゃ」
小一時間ほど室内で待機してから、扉を開けて差し入れを確認する。
即座に差し入れを回収しようとして、死角に隠れていた朝倉達に捕まったことがあるため、今ではすっかり差し入れを回収するのに時間を置くようになってしまった。
ソレが四葉五月の作った小籠包だったりすると冷めてしまって猛烈に後悔するのだが、どうやら今回は食べ物の類ではないらしい。
袋には、よく分からない骨董品のようなものが入っていた。
即座に差し入れを回収しようとして、死角に隠れていた朝倉達に捕まったことがあるため、今ではすっかり差し入れを回収するのに時間を置くようになってしまった。
ソレが四葉五月の作った小籠包だったりすると冷めてしまって猛烈に後悔するのだが、どうやら今回は食べ物の類ではないらしい。
袋には、よく分からない骨董品のようなものが入っていた。
「……ま、貰えるもんは貰っとくか」
大方、また身の安全を守るためのものだろう。
何せ私は元麻帆良学園中等部3年A組にして、あの白き翼の元メンバーだ。
今ではすっかり有名になり、そして危険も増えてきた2つの組織に不本意ながら属していたのだ、そりゃ自室に防衛設備くらい設ける。
もはや朝倉達を追い払うためにしか使われていないが、それでもいつ本当にヤバい相手に襲われるか分からない。
何せ私は元麻帆良学園中等部3年A組にして、あの白き翼の元メンバーだ。
今ではすっかり有名になり、そして危険も増えてきた2つの組織に不本意ながら属していたのだ、そりゃ自室に防衛設備くらい設ける。
もはや朝倉達を追い払うためにしか使われていないが、それでもいつ本当にヤバい相手に襲われるか分からない。
だからこうして、朝倉達も定期的に魔法世界の防衛アイテムを持ってくる。
それを拒んだことはないし、いざという時のために全て残しておいてあった。
単純に、さすがにソレを朝倉達に使うのは気が引けるというのもある。
それを拒んだことはないし、いざという時のために全て残しておいてあった。
単純に、さすがにソレを朝倉達に使うのは気が引けるというのもある。
「……願い、か」
顔を上げると、再びうっすら光を放つディスプレイが視界に入る。
不意に、願いが頭をよぎる。
しかしそれを、すぐさま頭からかき消した。
不意に、願いが頭をよぎる。
しかしそれを、すぐさま頭からかき消した。
「……馬鹿くせぇ」
鼻を鳴らし、自分の思考を嘲笑する。
確かに、私は、あいつらのことが嫌いじゃなかった。
朝倉達にしろ、追い返してはいるものの、別段嫌っているわけではない。
確かに、私は、あいつらのことが嫌いじゃなかった。
朝倉達にしろ、追い返してはいるものの、別段嫌っているわけではない。
むしろ――あの頃は、彼女達に対し、好意すら抱いていた。
もっともそれを口に出すつもりはないし、指摘されたら一生否定するのだろうが。
それでも長い年月と、そして失われていった多くのものが、胸の内ではその感情を認めさせていた。
自分は、あの麻帆良学園中等部が好きだったのだと。
それでも長い年月と、そして失われていった多くのものが、胸の内ではその感情を認めさせていた。
自分は、あの麻帆良学園中等部が好きだったのだと。
「やり直しなんて、出来るものかよ」
それは、否定の言葉だった。
けれどもそれは、何より願ってやまないことだった。
けれどもそれは、何より願ってやまないことだった。
「……問おう、貴様がマスターか」
瞬間、パソコンが光に包まれて。
気が付くと、目の前にしわがれた老人が立っていた。
気が付くと、目の前にしわがれた老人が立っていた。
「は……?」
口から出たのは間抜けな声。
そして同時に全身の毛穴から嫌な汗が噴き出している。
これでも修羅場を何度か潜って来た身だ、さすがに分かる。
そして同時に全身の毛穴から嫌な汗が噴き出している。
これでも修羅場を何度か潜って来た身だ、さすがに分かる。
こいつは、ヤバい。多分私は、殺される。
「聖杯戦争における、このパンタローネのマスターなのか問うているんだ、人間」
言葉が喉に引っかかり、何も喋ることが出来ない。
多分、息を吐くことすら出来ていないと思う。
胃液も喉で引っかかってくれているだろうことだけは、不幸中の幸いだろうか。
多分、息を吐くことすら出来ていないと思う。
胃液も喉で引っかかってくれているだろうことだけは、不幸中の幸いだろうか。
「ふん……薄っぺらな笑顔だ」
部屋を見渡した爺――パンタローネは、何やらディスプレイを覗きこんでいた。
どうやらパソコンから出てきたというわけではないらしい。
ディスプレイには、変わらず『ちうのホームページ』が映されている。
どうやらパソコンから出てきたというわけではないらしい。
ディスプレイには、変わらず『ちうのホームページ』が映されている。
「顔の造形をこのようにするくらい、我々自動人形(オートマータ)にでも出来る」
嘲笑。
そして底意地の悪そうな笑み。
オートマータを自称するパンタローネは、同じくオートマータのような存在である絡繰茶々丸と比べて、恐ろしく感情豊かに思えた。
そして底意地の悪そうな笑み。
オートマータを自称するパンタローネは、同じくオートマータのような存在である絡繰茶々丸と比べて、恐ろしく感情豊かに思えた。
「やはり、聖杯戦争とやらで優勝するのが、フランシーヌ様にお笑い頂く最善最短の道か」
顎に手を添え、品定めをするように眺め回される。
喉のつっかえが突然取れたかのように、言葉が口からついてでた。
絞り出すような声ではあったが、胃液が一緒に出なかっただけ上等だろう。
喉のつっかえが突然取れたかのように、言葉が口からついてでた。
絞り出すような声ではあったが、胃液が一緒に出なかっただけ上等だろう。
「うるせえな……」
恐怖はあった。
言いたいこともたくさんあった。
聖杯戦争という単語に引っかからないわけがなかった。
言いたいこともたくさんあった。
聖杯戦争という単語に引っかからないわけがなかった。
「今、心から笑えてねえことくらい、誰より自分が分かってンだよ……!」
それでも、一番最初に口から出たのは、その言葉だった。
何よりもそれは、今の自分が気に病んでいたことだったから。
何よりもそれは、今の自分が気に病んでいたことだったから。
「ちゃんと昔は、笑えてたんだ。トップアイドルらしく」
毎日自分を撮りながら、ずうっと思い続けてた。
今の自分が浮かべる笑顔は、なんて薄っぺらいのだろうと。
今の自分が浮かべる笑顔は、なんて薄っぺらいのだろうと。
「でも、しょうがねえだろ! 突然意味のわからねえことに巻き込まれて、挙句クラスメートの一人が人身御供になって!」
「何かがズレて! 異常が普通に変わっていって! 私だけが取り残されてんだ!」
狭い狭い自分の世界に、かつて居場所と信じた場所に、一人戻っただけのはずなのに。
あの麻帆良学園中等部の空間こそが、いつしか居場所になってしまっていた。
あの麻帆良学園中等部の空間こそが、いつしか居場所になってしまっていた。
「外から聞こえる鬱陶しい楽しそうな声にも!
勝手に使命を背負ってどこかに行っちまう馬鹿共にも!
なんとかそれでも前を向いてる残された奴らにも!」
勝手に使命を背負ってどこかに行っちまう馬鹿共にも!
なんとかそれでも前を向いてる残された奴らにも!」
一度溢れ出した感情は、もう止めることが出来ない。
こんなことを言ってもどうにもならぬと分かっているのに、言葉を止めることが出来ない。
こんなことを言ってもどうにもならぬと分かっているのに、言葉を止めることが出来ない。
「歯車が狂って、もうどうにもできないとこまで来ちまったんだ。
止まっちまった歯車には、全体をどうこうすることなんて出来ねえんだよ!」
止まっちまった歯車には、全体をどうこうすることなんて出来ねえんだよ!」
込み上げた涙を見られぬように、視線を地面へと移す。
瞳には、不気味なパンタローネでも、もう三週間掃除していない誇りだらけの床でもなく、あの日々が映し出されている。
何だかんだで悪くなかったあの日々は、瞼を閉じればいつでも思い出すことが出来たし、嫌でも脳裏に浮かんでくることさえ会った。
瞳には、不気味なパンタローネでも、もう三週間掃除していない誇りだらけの床でもなく、あの日々が映し出されている。
何だかんだで悪くなかったあの日々は、瞼を閉じればいつでも思い出すことが出来たし、嫌でも脳裏に浮かんでくることさえ会った。
「やり直してえよ……」
本当は、ずっと思っていた。
それが無理だと分かっていたから、ずっと冷めた目をして座り込んでいただけ。
足掻いている皆の背中も見えなくなって、どうしようもなくなって……
いつしか、思うことすらやめていただけだ。
それが無理だと分かっていたから、ずっと冷めた目をして座り込んでいただけ。
足掻いている皆の背中も見えなくなって、どうしようもなくなって……
いつしか、思うことすらやめていただけだ。
「私だって、願いが叶うなら全部やり直して心から笑いたいに決まってるだろ!」
ぶちまけて、それから自分が口にしたことの重大さにようやく考えが至る。
都市伝説を信じるなら、聖杯戦争で勝ち残れば願いが叶う。
もし今の叫びを願いとみなされたなら、私はこの聖杯戦争に参加したことになるのだ。
都市伝説を信じるなら、聖杯戦争で勝ち残れば願いが叶う。
もし今の叫びを願いとみなされたなら、私はこの聖杯戦争に参加したことになるのだ。
「よかろう」
そしてそれは、見ず知らずの者との殺し合いを意味している。
何の覚悟もないままに、勢いだけで決めてしまった参加表明。
死ぬ覚悟なんて勿論ないし、殺す覚悟だってない。
何の覚悟もないままに、勢いだけで決めてしまった参加表明。
死ぬ覚悟なんて勿論ないし、殺す覚悟だってない。
「今は、お前がマスターだ」
しかしクーリングオフの類はないと、パンタローネの歪んだ表情が如実に表していた。
万が一キャンセルが出来たとしても、主従関係じゃなくなった瞬間殺されてもおかしくない。
もう、逃げられないのだ。
万が一キャンセルが出来たとしても、主従関係じゃなくなった瞬間殺されてもおかしくない。
もう、逃げられないのだ。
「フランシーヌ様よりは格が低いが、仮にも主君」
己の軽率さを悔いている隙をつかれ、肩に担がれてしまう。
不摂生でやや体重が増加しているのに、苦もなく持ち上げられてしまった。
そして、そのまま――
不摂生でやや体重が増加しているのに、苦もなく持ち上げられてしまった。
そして、そのまま――
「笑いたいと言うのならば、まずは貴様にフランシーヌ様のために用意した芸を披露してやろう」
ガシャンと窓を突き抜けた。
あまりのことに、悲鳴すら出ない。
パンタローネはそのまま空中で数回回転すると、綺麗にポージングを決めながら着地して見せた。
あまりのことに、悲鳴すら出ない。
パンタローネはそのまま空中で数回回転すると、綺麗にポージングを決めながら着地して見せた。
「ふむ、これは気に入らんか」
「そこで次なる演目を見ているがいい」
そう言うと、私をベンチに座らせた。
随分高圧的ではあるし、敬意は欠片も感じ取れないが、一応私を主君扱いしているようだ。
この調子なら、上手くやれば、アイツをコントロールすることも出来るかもしれない――
随分高圧的ではあるし、敬意は欠片も感じ取れないが、一応私を主君扱いしているようだ。
この調子なら、上手くやれば、アイツをコントロールすることも出来るかもしれない――
「あ、あの……」
冷静に聖杯戦争での立ち回りを計算している自分に気が付きふと顔をあげると、そこにはパンタローネではなく、よく知らない少女がいた。
私の顔を心配そうに覗きこんでいる。
私の顔を心配そうに覗きこんでいる。
ああ、そうか。
いくら非日常に溢れていても、窓から人が落下してきたらざわつきはするし、心配してくれる奴の1人か2人は居るわな。
すっかり外の世界は異常で満ちてしまったと思っていたが、全部が全部変わったわけじゃないらしい。
少しだけ、ほっとする。
いくら非日常に溢れていても、窓から人が落下してきたらざわつきはするし、心配してくれる奴の1人か2人は居るわな。
すっかり外の世界は異常で満ちてしまったと思っていたが、全部が全部変わったわけじゃないらしい。
少しだけ、ほっとする。
「だいじょうb――――」
しかし、なんと返せばいいのか。
曖昧な、すっかり板についてしまった形だけの笑みを口元に浮かべ、少女の目を見つめ返そうとして。
少女の頭部が砕け散り、見つめ返す目が失くなったことに気が付いた。
曖昧な、すっかり板についてしまった形だけの笑みを口元に浮かべ、少女の目を見つめ返そうとして。
少女の頭部が砕け散り、見つめ返す目が失くなったことに気が付いた。
「……………………は?」
きゃあああああああ、なんて悲鳴がそこら中から聞こえ始める。
文字にすれば間抜けだが、実際は凄惨で必至な声。
もっと心から捻り出されたような声だが、他に表記のしようもない。
文字にすれば間抜けだが、実際は凄惨で必至な声。
もっと心から捻り出されたような声だが、他に表記のしようもない。
「な、んだよ、これ……」
そんな悲鳴も、次々上がらなくなっている。
もう上げようがない状態にさせられた少女達。
その原因は、はっきりと分かっていた。
もう上げようがない状態にさせられた少女達。
その原因は、はっきりと分かっていた。
「どうだ、鬱陶しい声も響かなくなっただろう?」
にたりと笑う、オートマータ。
歯だけはカチカチと鳴るのに、体はちっとも動かない。
まるで、金縛りにでも遭ったかのようだ。
歯だけはカチカチと鳴るのに、体はちっとも動かない。
まるで、金縛りにでも遭ったかのようだ。
「逃げてください、長谷川さん――!」
そんな金縛りを解いたのは、金縛る側であるはずの、この学園の地縛霊。
相坂が、無謀にもパンタローネの挑みかかろうとしていた。
追加の花火や酒でも買うためこの場を離れていたのだろうか、ぶら下げていたコンビニ袋をポルターガイストで振り回している。
相坂が、無謀にもパンタローネの挑みかかろうとしていた。
追加の花火や酒でも買うためこの場を離れていたのだろうか、ぶら下げていたコンビニ袋をポルターガイストで振り回している。
「…………っ!」
逃げろ。
それは、本当ならば私が言わねばならない言葉だったのに。
喉だけが、金縛りに遭い続けている。
それは、本当ならば私が言わねばならない言葉だったのに。
喉だけが、金縛りに遭い続けている。
「今、皆さんが先生を呼んできてますから!」
パンタローネは私には手を出さないだろうし、逃げるべきは相坂だ。
きっとこいつは自分が霊体だから平気と思っているのだろう。
けれど――
きっとこいつは自分が霊体だから平気と思っているのだろう。
けれど――
「だから、早……ッ!?」
けれど、私は見たのだ。
パンタローネの掌に穴が空いているのを。
そしてその穴をかざして、少女の体に穴を空けているところを。
もしそれが、空気を吸い込み真空を作る技のようなものだとすれば――
パンタローネの掌に穴が空いているのを。
そしてその穴をかざして、少女の体に穴を空けているところを。
もしそれが、空気を吸い込み真空を作る技のようなものだとすれば――
「あ……っ」
自身が存在していた空間を吸い込まれ、相坂は、見えなくなってしまった。
最期に何かを告げることもなく。
おそらく何が起きたか理解せぬままに、ここから消えてしまった。
消滅したのかは分からない。
だが――消滅した可能性が存在し、そして、それは、紛れも無くこの私のせいだった。
最期に何かを告げることもなく。
おそらく何が起きたか理解せぬままに、ここから消えてしまった。
消滅したのかは分からない。
だが――消滅した可能性が存在し、そして、それは、紛れも無くこの私のせいだった。
「やれやれ、たかが人間如きが敵うつもりか?」
幽霊などという不可思議な存在を滅した直後でも、パンタローネに油断はない。
背後からの奇襲に対しても冷静で、振り下ろされた刀に対して掌の穴をかざす。
背後からの奇襲に対しても冷静で、振り下ろされた刀に対して掌の穴をかざす。
「くっ……!」
襲撃者――葛葉刀子の愛刀に、拳大の穴が空く。
今でも学園屈指の実力者である葛葉先生が洒落にならない化け物を撃退する所を、今まで何度も見てきた。
だが、愛刀を折られたなどという話、付き合いの長い桜咲刹那からすら聴いたことがない。
今でも学園屈指の実力者である葛葉先生が洒落にならない化け物を撃退する所を、今まで何度も見てきた。
だが、愛刀を折られたなどという話、付き合いの長い桜咲刹那からすら聴いたことがない。
「貴様ァ!」
多くの死体を見て怒れども、葛葉先生の太刀筋は乱れない。
けれども、これでは勝てないと、頭の中で何かが告げていた。
けれども、これでは勝てないと、頭の中で何かが告げていた。
葛葉先生は確かに強い。
けれども、一部の狂った連中と比べると、どうしても見劣りをしてしまう。
一部というのは、あのフェイト・アーウェルンクスやエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、それにネギ先生あたりを指す。
けれども、一部の狂った連中と比べると、どうしても見劣りをしてしまう。
一部というのは、あのフェイト・アーウェルンクスやエヴァンジェリン・A・K・マクダウェル、それにネギ先生あたりを指す。
「ククク、ただの人間にしては多少はやるようじゃないか」
そして――パンタローネは、その“一部”の連中と、同じ雰囲気を持っていた。
「すまない、遅くなった!」
案の定押され始め、トドメを刺されそうになったその一瞬。
何者かが割って入ってきた。
この学園にいる、“一部”の存在の一人――高畑・T・タカミチだ。
何者かが割って入ってきた。
この学園にいる、“一部”の存在の一人――高畑・T・タカミチだ。
「大丈夫!?」
どうやら椎名や朝倉が高畑先生を呼んできたらしい。
おそらくは朝倉の支持で椎名が行ったのだろう。
奴の幸運ならば、騒ぎの流れ弾などで死ぬおそれが少ない。
そして、現場に行っても死ぬおそれがない相坂を、こちらに寄越したというところか。
おそらくは朝倉の支持で椎名が行ったのだろう。
奴の幸運ならば、騒ぎの流れ弾などで死ぬおそれが少ない。
そして、現場に行っても死ぬおそれがない相坂を、こちらに寄越したというところか。
なるほど、賢明な判断だよ。
自分も動きたい所をこらえて、ここよりやや離れた場所にいた連中の避難をさせていたあたりも含めて。
でも――
自分も動きたい所をこらえて、ここよりやや離れた場所にいた連中の避難をさせていたあたりも含めて。
でも――
「…………ッ」
せわしなく視線を動かす朝倉に対し、謝らなくてはと思った。
なのに、「すまねえ」というたった四文字ですら喉を通らない。
死ぬはずがない相坂の姿が見えないことに、朝倉の顔色が悪くなるのが分かった。
なのに、「すまねえ」というたった四文字ですら喉を通らない。
死ぬはずがない相坂の姿が見えないことに、朝倉の顔色が悪くなるのが分かった。
「なるほど、貴様はナルミのような打撃を打つ」
この惨撃で、初めてパンタローネが退いた。
高畑先生の気の篭った拳を受け、パンタローネが距離を置く。
高畑先生の気の篭った拳を受け、パンタローネが距離を置く。
「だが貴様程度ではこのパンタローネには勝てん」
下卑た笑みでの挑発にも、高畑先生は動じない。
ただ冷静に、構えを取った。
いや――冷静ではないか。
ただとっくに、この惨状を目にした時点で、コレ以上心乱されようがないくらい、怒髪天にきているだけだ。
ただ冷静に、構えを取った。
いや――冷静ではないか。
ただとっくに、この惨状を目にした時点で、コレ以上心乱されようがないくらい、怒髪天にきているだけだ。
「生憎、こういう芸も持っていてな」
心底楽しそうな笑みで、パンタローネが空気を吸い込む。
それを意に介さないかのように、高畑先生が高速の拳を抜いた。
例え真空状態であろうとも。
例え拳がズタズタになろうとも。
決して止まらぬ、絶対無比の破壊力を込めた拳。
それを意に介さないかのように、高畑先生が高速の拳を抜いた。
例え真空状態であろうとも。
例え拳がズタズタになろうとも。
決して止まらぬ、絶対無比の破壊力を込めた拳。
「なッ……!」
真空状態は、元に戻ろうと周囲のものを引き寄せる。
そのことは、遥か昔の人斬りや、馬鹿で有名なスタンド使いでも知っていることだ。
そして、知識だけは得続けることが出来る自動人形でも知っている。
そのことは、遥か昔の人斬りや、馬鹿で有名なスタンド使いでも知っていることだ。
そして、知識だけは得続けることが出来る自動人形でも知っている。
「ほうら、こうして拳が鈍る」
吸い込まれたのは、葛葉先生。
盾にするように、高畑先生との間に吸い寄せられた。
それでも、拳は止まらない。
例え急激なブレーキをかけようとも。
例え威力をどれだけ殺そうとしても。
決して止まらぬ。絶対無比の、破壊力が込められた拳は。
盾にするように、高畑先生との間に吸い寄せられた。
それでも、拳は止まらない。
例え急激なブレーキをかけようとも。
例え威力をどれだけ殺そうとしても。
決して止まらぬ。絶対無比の、破壊力が込められた拳は。
「ハハハハハハハハ!」
だが高畑先生は、拳の威力を弱めてしまった。
どれだけ弱めようとも、葛葉先生の体を貫くことに代わりはないのに。
それでも彼の優しさが、拳の威力を弱めてしまった。
どれだけ弱めようとも、葛葉先生の体を貫くことに代わりはないのに。
それでも彼の優しさが、拳の威力を弱めてしまった。
結果残るは、無慈悲に笑う人形のみ。
緩めた上に人体越しの打撃では、人形を破壊するほどまで至れない。
そして、その隙を逃してやるほど、パンタローネはお人好しではなかった。
ましてや今は大虐殺の演目中、手を緩めてやる理由はない。
緩めた上に人体越しの打撃では、人形を破壊するほどまで至れない。
そして、その隙を逃してやるほど、パンタローネはお人好しではなかった。
ましてや今は大虐殺の演目中、手を緩めてやる理由はない。
「ごめんさよちゃん、今行く」
高笑いをするパンタローネを見据えて、ぽつりと朝倉が呟いた。
その言葉に、椎名のみならず私の首までぐりんと動く。
首だけでもスムーズに動かせるようになるほどの衝撃が、その言葉には込められていた。
だって、つまり、その言葉の意味するところは――
その言葉に、椎名のみならず私の首までぐりんと動く。
首だけでもスムーズに動かせるようになるほどの衝撃が、その言葉には込められていた。
だって、つまり、その言葉の意味するところは――
「桜子は、千雨を連れて逃げて」
桜子から制止の言葉が出るより早く、朝倉は弾かれたようにパンタローネへと突っ込んでいった。
相手は自動人形、魔法使いとはまた違う。
例え魔法使い相手に生き延び続けた朝倉でも、勝てる道理なんてないのに。
相手は自動人形、魔法使いとはまた違う。
例え魔法使い相手に生き延び続けた朝倉でも、勝てる道理なんてないのに。
「千雨ちゃん、走れる!?」
朝倉は、死ぬ気だ。
そして、もう、止められない。
それが分かったからだろう、千雨の手を引き、桜子が走り始めた。
そして、もう、止められない。
それが分かったからだろう、千雨の手を引き、桜子が走り始めた。
「ごめんね……」
走っているというよりも、引きずられているに近い。
私の足はおぼつかず、完全にお荷物となっていた。
なのに、謝罪の言葉は、椎名の口から聞こえてくる。
私の足はおぼつかず、完全にお荷物となっていた。
なのに、謝罪の言葉は、椎名の口から聞こえてくる。
「このタイミングで、外に出ようなんて言っちゃって」
ああ、くそ。
なんだよ、それ。
お前ら、どんだけお人好しなんだよ。
なんだよ、それ。
お前ら、どんだけお人好しなんだよ。
そんなんだから。
“普通”が通用しないくらい、平和ボケしてやがったから。
“普通”が通用しないくらい、平和ボケしてやがったから。
だから私は、今も昔も、眩しすぎて直視できなかったんじゃないか。
「あーあ……私、ラッキーガールだったのになあ」
突然、視界が傾いた。
転倒したとすぐに気が付かなかったのは、椎名の体が視界を覆っていやがったから。
一緒に倒れこんだのだ。
転倒したとすぐに気が付かなかったのは、椎名の体が視界を覆っていやがったから。
一緒に倒れこんだのだ。
「吐いたことも、なかったのに……」
早く逃げないと、椎名まで殺される。
そう想い、どかそうとして――全身から、何やら液体を浴びた。
それが血の類であることは、匂いがせずとも想像できる。
そう想い、どかそうとして――全身から、何やら液体を浴びた。
それが血の類であることは、匂いがせずとも想像できる。
「でも……よかった……」
必至に椎名の体をどかす。
気弱になってんじゃねえ、逃げるんだろ――
そう声をかけようとして、絶句した。
気弱になってんじゃねえ、逃げるんだろ――
そう声をかけようとして、絶句した。
「千雨ちゃんだけでも、助かって……」
目を丸くする私の視界に、椎名は半分ほどしか映ってない。
ピントが合ってないわけじゃなかった。
背中から後ろが、綺麗にえぐりとられて、物理的に半分になっていたのだ。
ピントが合ってないわけじゃなかった。
背中から後ろが、綺麗にえぐりとられて、物理的に半分になっていたのだ。
「そう考えると……やっぱり、ラッキー……かな……」
知っていた。
こいつが、お人好しだってことは。
アーティファクトで幸運を分けるために、家の前で定期的にチアダンスをしていることも。
そのついでに、朝倉が近況報告をしてくれていることも、相坂が見まわってくれていることも。
こいつが、お人好しだってことは。
アーティファクトで幸運を分けるために、家の前で定期的にチアダンスをしていることも。
そのついでに、朝倉が近況報告をしてくれていることも、相坂が見まわってくれていることも。
なのに私はそれに応えてやれなかった。
それどころか、私のせいで、こいつらは――――
それどころか、私のせいで、こいつらは――――
「緊張状態からの緩和が笑いに繋がるという」
言わねばならない言葉はあった。
謝罪の言葉も感謝の言葉も、いっぱいあったはずなのに。
なのにとうとう、言葉にすることが出来なかった。
たくさんあった告げたい想いは、外に出せぬまま、胸の中にとどまり続ける。
謝罪の言葉も感謝の言葉も、いっぱいあったはずなのに。
なのにとうとう、言葉にすることが出来なかった。
たくさんあった告げたい想いは、外に出せぬまま、胸の中にとどまり続ける。
「どうだったかね、我がマスターよ」
甘く見ていた。
人の命を奪うことを。
聖杯戦争というものを。
人の命を奪うことを。
聖杯戦争というものを。
甘く見ていた。
非日常を体験したことがあるからと。
実際に友人が死ぬ所を、目にしたことなんてなかったのに。
非日常を体験したことがあるからと。
実際に友人が死ぬ所を、目にしたことなんてなかったのに。
「ふむ、これもダメか」
こんなことなら、さっさと踏み出せばよかった。
完璧にやり直せなくとも、少しだけ、軌道修正できていたかもしれないのに。
やり直せるチャンスは、たくさんあったはずなのに。
完璧にやり直せなくとも、少しだけ、軌道修正できていたかもしれないのに。
やり直せるチャンスは、たくさんあったはずなのに。
「ならば、やはり聖杯で願いを叶えるしかないな」
私は、やり直したかった。
けれども、それは、こういうことなんかじゃなかったのに。
今失った奴らこそ、もう一度、やり直したい相手だったのに――
けれども、それは、こういうことなんかじゃなかったのに。
今失った奴らこそ、もう一度、やり直したい相手だったのに――
【マスター】
長谷川千雨@魔法先生ネギま!
長谷川千雨@魔法先生ネギま!
【能力・技能】
パソコンのハッキング。
パソコンのハッキング。
【weapon】
ノートパソコン
ノートパソコン
【人物背景】
麻帆良学園中等部3年A組。
ネットアイドルであり、他のライバルに妨害工作を図る陰湿な性格を持ち合わせる。
担任教師ネギ・スプリングフィールドに外の世界へ連れだされてから態度は軟化。
否定し続けた魔法というファンタジーに囲まれながらも、少しずつ交流を深めていった。
本聖杯戦争では、神楽坂明日菜が人身御供となった後の未来から参戦。
なお、明日菜が人身御供にならなかった未来でも、千雨は引きこもりと化していた。
麻帆良学園中等部3年A組。
ネットアイドルであり、他のライバルに妨害工作を図る陰湿な性格を持ち合わせる。
担任教師ネギ・スプリングフィールドに外の世界へ連れだされてから態度は軟化。
否定し続けた魔法というファンタジーに囲まれながらも、少しずつ交流を深めていった。
本聖杯戦争では、神楽坂明日菜が人身御供となった後の未来から参戦。
なお、明日菜が人身御供にならなかった未来でも、千雨は引きこもりと化していた。
【マスターの願い】
全てを、やり直す
全てを、やり直す
【クラス】ライダー
【真名】パンタローネ@からくりサーカス
【パラメーター】
筋力C 耐久D 敏捷B++ 魔力D 幸運E 宝具C
筋力C 耐久D 敏捷B++ 魔力D 幸運E 宝具C
【属性】
秩序・悪
秩序・悪
【クラススキル】
騎乗:C
大玉等、曲芸に見立てれば、無骨な岩製だろうと人肉製だろうと乗りこなせる
騎乗:C
大玉等、曲芸に見立てれば、無骨な岩製だろうと人肉製だろうと乗りこなせる
対魔力:E
炎等、実在するものを発動するタイプの魔術には、ある程度耐性があるといえる。
生来の頑丈さ故だが、人形だからと炎や雷が特別苦手というわけではない。
一方で、人形破壊者の血は猛毒となっている。
炎等、実在するものを発動するタイプの魔術には、ある程度耐性があるといえる。
生来の頑丈さ故だが、人形だからと炎や雷が特別苦手というわけではない。
一方で、人形破壊者の血は猛毒となっている。
【保有スキル】
憤怒:E
怒りスイッチが入ることで、フランシーヌ以外の者の命令を無視し感情のままに行動することができる。
憤怒:E
怒りスイッチが入ることで、フランシーヌ以外の者の命令を無視し感情のままに行動することができる。
最古の四人:B
フランシーヌ人形を笑わせることが存在意義であるため、フランシーヌ人形を否定するような行動を取ることが出来ない。
フランシーヌ人形のためならば、マスターにだろうと牙を向くことが出来る。
ただし、フランシーヌ人形を否定するような言動を取ると、存在意義を失ってしまい自壊していく。
フランシーヌ人形を笑わせることが存在意義であるため、フランシーヌ人形を否定するような行動を取ることが出来ない。
フランシーヌ人形のためならば、マスターにだろうと牙を向くことが出来る。
ただし、フランシーヌ人形を否定するような言動を取ると、存在意義を失ってしまい自壊していく。
【宝具】
『深緑の手(レ・マン・ヴェール・フォンセ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:大量
真空状態を生み出し相手の体を抉り取ることが可能な穴を持つ、フランシーヌ様にお作り頂いた両手。
応用として地面を削り取り武器としたり、空気を打ち出し遠距離攻撃をすることも可能。
長い腕で大人数を同時に相手取ることも可能。
『深緑の手(レ・マン・ヴェール・フォンセ)』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1~10 最大補足:大量
真空状態を生み出し相手の体を抉り取ることが可能な穴を持つ、フランシーヌ様にお作り頂いた両手。
応用として地面を削り取り武器としたり、空気を打ち出し遠距離攻撃をすることも可能。
長い腕で大人数を同時に相手取ることも可能。
【weapon】
『大玉』
いつでもどこでも新緑の手で作り出せる大玉。
基本何でも新緑の手で削りとって形を整えられる。
岩だと物理ダメージが強いし、人肉だと精神的ダメージが強い。
『大玉』
いつでもどこでも新緑の手で作り出せる大玉。
基本何でも新緑の手で削りとって形を整えられる。
岩だと物理ダメージが強いし、人肉だと精神的ダメージが強い。
【人物背景】
自動人形(オートマータ)最古の四人の一人。
主君であるフランシーヌ人形を笑わせるだけに生み出され、そのためならば手段を厭わない。
子供の肉塊で玉乗りをしたり、滑稽なポーズを研究したりと、フランシーヌ人形のために様々なことに取り込んでいる。
また、観客に見てもらう必要もあるため、武器を持たぬ者の前では高速で動けないなど、自動人形の秩序に対しては従順。
人間のことを見下しており、度々油断しては激おこぷんぷん丸となるのが特徴。
それでも戦闘力は超一級品で、新緑の手を使い多くの猛者を殺害してきた。
自動人形(オートマータ)最古の四人の一人。
主君であるフランシーヌ人形を笑わせるだけに生み出され、そのためならば手段を厭わない。
子供の肉塊で玉乗りをしたり、滑稽なポーズを研究したりと、フランシーヌ人形のために様々なことに取り込んでいる。
また、観客に見てもらう必要もあるため、武器を持たぬ者の前では高速で動けないなど、自動人形の秩序に対しては従順。
人間のことを見下しており、度々油断しては激おこぷんぷん丸となるのが特徴。
それでも戦闘力は超一級品で、新緑の手を使い多くの猛者を殺害してきた。
【サーヴァントとしての願い】
フランシーヌ様「ニッコリ」
フランシーヌ様「ニッコリ」
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