ラノロワ・オルタレイション @ ウィキ

彼と彼女の歩む道

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彼と彼女の歩む道 ◆oUz4tXTlQc



『縁があったらまた会おう』

そんな言葉と共に俺の意識はだんだんとフェードアウトしていき、気づけば校門の前に立っていた。
高熱で声も出なかったかったはずの体は何の不自由も無く動き、何も考えられなかった脳も現状に疑問を覚える程度には回復している。
唯一つ、心だけが失恋のショックから立ち直れていない。
あの男の言っていることは半分も理解できなかったけど、殺し合いをしろと命令された事だけは何とか理解することが出来た。
それでも、俺の心は何一つ動かなかった。
クリスマス前の、櫛枝に告白しようとする前の自分なら、日常へ戻る為に誰かを殺してでも生き残ろうとしたかもしれない。
あるいはみんなで団結してなんとかいきて帰るすべを模索したかもしれない。
でも、もういいのだ。
もう、太陽は昇らない。
こんな自分が誰かを殺してまで生き残るなんておこがましい。
こんな自分が誰かの為に動こうとするなんておこがましい。
だから、もういい。
そう思いつつも、体は勝手に荷物を確認していた。
本当に死ぬ気なら不必要な作業。
心の底から死ぬ気にはなれなかったのかもしれないし、あるいは何かを予感していたのかもしれない。
まず最初に目に付いたのは地図。
この地図によると学校がある現在地はE-2らしい。
漠然と、いっそもっと端なら早く死ねたのにと思いつつ次の品に目を移す。
次に目に付いたのは黒光りする鉄の塊。
手に持ってみるとずしりと思い。
いっそこれで頭を打ち抜けば楽になれる。
そう思ったものの実際に行動に移す勇気は無かった。
とりあえず保留して次にいこう。
そう思って次の道具を確認しようとした時に、ここまで平静を保っていた心臓が大きく跳ねた。
その道具は名簿。
死ぬつもりの自分には一切関係の無い品。
無視して次に行けばいい。
そんな思いとは裏腹に体は勝手にページを捲りだす。
こんな事に巻き込まれるのは自分だけでいい。
どうか俺の大切な人たちの名前は見つかりませんように。
そんな想いとは裏腹に次々と見知った名前が見つかってしまう。
唇から彼女たちの名前が零れ落ちていく。
腹の底から湧き上がってくる感情の重みが乗り移ったかのように、その名前は深く、重くその場に響いた。

「───逢坂大河

ひょんな事からお互いの恋を成就させる為に協力することになった小さな虎。
失敗しながらもずっと二人で頑張っているうちに、いつの間にかそばに居るのが当たり前になっていた。
北村が会長が好きだと分かって、その北村の告白が会長にいなされるのを目の当りにして、それでも北村の為に本気で会長に向かっていった大河。
実乃梨に振られて何一つする気力を失ってしまった俺とは雲泥の差だ。
そんな大河に、死んで欲しくないと思う。

「───川嶋亜美

一学期にクラスに転入して来た北村の幼馴染。
櫛枝に振られて、何となく思ったことがある。
川嶋の毒舌には何か意味があったんじゃないかって。
夏の洞窟で、クリスマス前の体育倉庫で。
櫛枝の言う通り、『最後の救い』になろうとして懸命に俺たちが間違わないように導こうとしてくれてたんじゃないかって。
でも心の中にある太陽に目がくらんで、俺はあいつの言葉に耳を貸さなかった。
今でもあいつが何を考えてるのか理解できない。
でも、これだけは分かる。
あいつは、こんなところで死んでいいやつじゃない。

そして。
最後に。

「櫛枝───櫛枝実乃梨

何で。
何で櫛枝が。
もう、感情が言葉にならない。
ただ。
ただひとつ。
死んで欲しくない。
例え自分の気持ちを受け入れて貰えなくても。
それどころか告白さえさせて貰えなくても。
死んでしまえ、とは思えない。
彼女には笑顔で生きていて欲しい。

名簿の名前を全て確認し終えた後、竜児の口元には知らずに乾いた微笑が浮かんでいた。
最早笑うしかなかった。
なんだ。
なんなんだこの仕打ちは。
死のうと思ったのに。
もう、楽になろうと思っていたのに。
心残りができてしまった。
内なる声が俺に囁きかけてくる。
彼女を、彼女たちを見捨てても良いのか?
彼女たちがこの島に居るのに。
全てを無視して自分だけ楽になって、それで満足して死ねるのか?
違う。
違うだろう高須竜児
どうせ死ぬなら、彼女たちの為に死ね。
最後に生き残るのは一人。
俺に彼女たち全員を救うことは出来ない。
それでも、彼女達の誰かが最後の一人になるために、出来ることがあるはずだろう。
気がつけばいつの間にか鞄から銃を取り出していた。


「殺そう」

俺が殺せば殺すほど、彼女達の誰かが最後の一人になれる確率が上がっていく。
だから、殺す。
殺して、殺して、懸命に殺して、俺が死ぬまで殺そう。
こんな事を考える自分はもう壊れてしまっているのかも知れない。
でも、いい
もういいんだ。。
だってもう、太陽は墜ちてしまったんだから。


【E-2/学校/深夜】
【高須竜児@とらドラ!】
[状態]:健康
[装備]:グロッグ26(11/11)
[道具]:デイパック、支給品一式、
[思考・状況]
1.逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨の誰か一人を最後の一人にするために他の人間を殺す。
[備考]原作7巻終了後入院中からの参戦です。







竜児が覚悟を決めて歩き出すまで。
その一部始終を物陰に隠れて見ていた少女が居た。
その少女の名前は島田美波、竜児が立ち去るのを見届けた美波は脱力し、尻餅をついた。

「な、なんなのあいつ……」

そう呟いた彼女の体はいまだに震えていた。
余りにも鋭い眼光。
一つ一つの名前に込められた感情の重さ。
名前を呼び終えた後の口元に浮かんでいた微笑。
そして何よりも最後の『殺そう』という呟き。
それら全てが、竜児が立ち去った今でも美波に恐怖を与え続けていた。
もしこの島に誰も知り合いが居なければ、彼女は当分立ち上がれなかっただろう。
だが、ここに彼女の大切な親友と大好きな人が居た。
その二人に会いたいという想いが美波を強くしていた。

「急いでアキと瑞希を探さないと」

あの男より早く2人と合流しないと、そう思い気持ちを奮い立たせる。
自分一人じゃ何も出来なくても、自分より遥かに頭の良い瑞希や自分より遥かに頭が悪いけどいざという時には行動力のある明久。
この二人と合流すればこんな状況もなんとか出来ると信じていた。
幸いにも美波に支給された道具は半径1km内に居る人物の名前と位置を把握できるレーダー。
時間制限があるのが不安だが、人探しにはこれほど心強いものも無い。
決意を新たにし、竜児が立ち去った方向とは別のほうに向かって歩き出した。
あの男、高須竜児が居た方向に明久や瑞希が居たら───という考えも頭をよぎったものの、先ほどの竜児の眼光が脳裏に浮かんで、どうしても同じ方向には進めなかった。
逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨。
(高須竜児と三人の間に何があったのかは分からないけど、誰かに会ったら高須竜児が逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨の三人を狙っていたって伝えないと)
そう思いつつ美波の足は自然と速くなる。
出来るだけ危険人物から離れる為に。
そして出来るだけ早く大切な人たちに会うために。


【E-2/学校/深夜】
【島田美波@バカとテストと召喚獣】
[状態]:健康
[装備]:レーダー(電力消費小)
[道具]:デイパック、支給品一式、
[思考・状況]
1.吉井明久姫路瑞希の二人に会いたい。
2.安全そうな人にあったら高須竜児が逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨の三人を狙っていた事を伝える。

[備考]原作5巻終了後からの参戦です。
    高須竜児が逢坂大河、川嶋亜美、櫛枝実乃梨の三人を狙っていると思い込みました。
    美波に支給されたレーダーには半径500m以内の人物の名前と位置が表示されます。稼働時間は6時間で再度起動するには充電が必要です。






高須竜児 次:ドラゴンズ・ウィル
島田美波 次:鬼畜眼鏡
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