いのち の ぬくもり(後編) ◆sUD0pkyYlo
「ふぅ…………」
温かな湯に腰まで浸かりながら、トリエラはどこか色気のある溜息をつく。
この広い露天風呂を「たった2人」で独占できるなんて、何とも贅沢な話だ。
泥と汗と返り血を落とし、髪を洗い、タオルで顔を拭く。
肩の刀傷は湯に染みるが、こうして上半身を水面上に出している限りは快適そのもの。
つい先ほど「激しい運動」を演じたばかりだから、余計に心地いい。
この広い露天風呂を「たった2人」で独占できるなんて、何とも贅沢な話だ。
泥と汗と返り血を落とし、髪を洗い、タオルで顔を拭く。
肩の刀傷は湯に染みるが、こうして上半身を水面上に出している限りは快適そのもの。
つい先ほど「激しい運動」を演じたばかりだから、余計に心地いい。
湯の中で今日1日の出来事を反芻する。
最初は、真っ直ぐ優勝を目指すつもりだった。全ての参加者を片端から殺していくつもりだった。
けれども、トマと出会って会話を交わし、考えが変わった。
しばらく悩んだ末、殺し合いに乗っている「テロリストのような参加者」だけを殺すと決めた。
学校の近くで黄色い人形を襲う少年と出くわした。相手の拳法と魔法に苦戦しつつも、殺すことができた。
続いて、少女を襲っている少年を見つけた。射殺したが、目晦ましを使われ逃げざるを得なかった。
視力が回復した所で、リルルに追いつかれた。そのまま今に至るまで彼女とは行動を共にしている。
夕方には、リルルと共に、のび太と出会った。彼の情報のままに、剣を手にした少女と戦った。
とどめを刺そうとした所で、のび太がペテンを告白した。紆余曲折の末、その2人を置いたまま街を目指した。
そして、つい先ほど……。
最初は、真っ直ぐ優勝を目指すつもりだった。全ての参加者を片端から殺していくつもりだった。
けれども、トマと出会って会話を交わし、考えが変わった。
しばらく悩んだ末、殺し合いに乗っている「テロリストのような参加者」だけを殺すと決めた。
学校の近くで黄色い人形を襲う少年と出くわした。相手の拳法と魔法に苦戦しつつも、殺すことができた。
続いて、少女を襲っている少年を見つけた。射殺したが、目晦ましを使われ逃げざるを得なかった。
視力が回復した所で、リルルに追いつかれた。そのまま今に至るまで彼女とは行動を共にしている。
夕方には、リルルと共に、のび太と出会った。彼の情報のままに、剣を手にした少女と戦った。
とどめを刺そうとした所で、のび太がペテンを告白した。紆余曲折の末、その2人を置いたまま街を目指した。
そして、つい先ほど……。
トリエラはチラリと湯船の近くに置かれた洗面器を見る。
持ち物や服は脱衣所に置いてきたが、護身のためにナイフと拳銃だけは洗面器に入れて持ち込んでいる。
風呂から上がったら、水気を拭いて手入れをしておかなければならないだろう。
ひょっとしたら、拳銃の方は分解整備までしておいた方がいいかもしれない。けっこう大変なことではある。
ただ、それだけの手間に見合うものはあるとも思う。
安心と安全を確保したまま、この温泉を味わえるのは実に有り難いことだ。
一緒に風呂に入っている少女も、つい先ほど確保した新たな『得物』を風呂場に持ち込んでいる。
気持ちは似たようなものということか。
持ち物や服は脱衣所に置いてきたが、護身のためにナイフと拳銃だけは洗面器に入れて持ち込んでいる。
風呂から上がったら、水気を拭いて手入れをしておかなければならないだろう。
ひょっとしたら、拳銃の方は分解整備までしておいた方がいいかもしれない。けっこう大変なことではある。
ただ、それだけの手間に見合うものはあるとも思う。
安心と安全を確保したまま、この温泉を味わえるのは実に有り難いことだ。
一緒に風呂に入っている少女も、つい先ほど確保した新たな『得物』を風呂場に持ち込んでいる。
気持ちは似たようなものということか。
「ほんと、生き返るわね~」
「…………」
「貴女は? 気持ちよくない? 私なんかとこうしているのは、嫌?」
「…………」
「…………」
「貴女は? 気持ちよくない? 私なんかとこうしているのは、嫌?」
「…………」
返事はない。聞こえてないわけではないのだろうが、返事に困っている様子。
トリエラは軽く苦笑すると湯の中で立ち上がる。
洗い場に出て、椅子を並べ、用意を整えてから少女を手招きする。
トリエラは軽く苦笑すると湯の中で立ち上がる。
洗い場に出て、椅子を並べ、用意を整えてから少女を手招きする。
「こっち来て座って、ククリ。
髪、洗ってあげる。さっき入った時は、ひまわりの世話でそれどころじゃなかったんでしょう?」
髪、洗ってあげる。さっき入った時は、ひまわりの世話でそれどころじゃなかったんでしょう?」
* * *
トリエラがククリの首を切り裂こうとした、あの瞬間――
その凶行を間一髪止めたのは、リルルだった。
音も無く宙を飛んで来た桃色の髪の少女が、ギリギリの所でナイフを握った手首を掴む。
その凶行を間一髪止めたのは、リルルだった。
音も無く宙を飛んで来た桃色の髪の少女が、ギリギリの所でナイフを握った手首を掴む。
「――待って、トリエラさん」
「……邪魔する気? 予め警告しておいたわよね?
邪魔するなら、あなたも私の敵ってことになるけど……」
「彼女は、殺し合いには乗っていないはずだわ」
「……邪魔する気? 予め警告しておいたわよね?
邪魔するなら、あなたも私の敵ってことになるけど……」
「彼女は、殺し合いには乗っていないはずだわ」
トリエラの鋭い視線に、リルルは無表情のまま淡々と答える。
彼女が思いだしたのは、昼間の遭遇。
ゴンとフランドールから逃げ出して、でもリルルと会った後、2人を止めに行こうとしていたククリの姿。
彼女が思いだしたのは、昼間の遭遇。
ゴンとフランドールから逃げ出して、でもリルルと会った後、2人を止めに行こうとしていたククリの姿。
「確かにこの人間は、思考回路にバグがあるのか論理や行動が一貫しないところがあるわ。
でも、他人を殺すという行動方針は持っていなかったはずよ。方針転換した可能性も低い。
今回の行動も私たちの破壊を目的としていたのではなく、判断ミスに基づく過剰防衛だと推測されるわ」
「……翻訳すると、『怯えて思わず撃っちゃっただけ』、ってこと?」
「前回、彼女が理に合わない危険を犯そうとしたのは、他者に危険が迫っていた時だったわ。
データが不足しているから推論の信頼性は低いけど、今回もそうである可能性が十分にある」
「つまり他にも仲間が居て、その子を守ろうとしてた、ってこと? ……ねえ、そうなの?」
「…………」
でも、他人を殺すという行動方針は持っていなかったはずよ。方針転換した可能性も低い。
今回の行動も私たちの破壊を目的としていたのではなく、判断ミスに基づく過剰防衛だと推測されるわ」
「……翻訳すると、『怯えて思わず撃っちゃっただけ』、ってこと?」
「前回、彼女が理に合わない危険を犯そうとしたのは、他者に危険が迫っていた時だったわ。
データが不足しているから推論の信頼性は低いけど、今回もそうである可能性が十分にある」
「つまり他にも仲間が居て、その子を守ろうとしてた、ってこと? ……ねえ、そうなの?」
「…………」
トリエラは改めて押し倒した少女に問い掛ける。
……少女からの返事は無かった。いや、返事の出来る状況ではなかった。
ようやく死の危機を脱したとの実感が湧いてきたのか、今になってボロボロと泣いていた。
大粒の涙を零しながら、まだ完全には状況が掴めないのだろう、魂の抜けたような呆けた表情。
こんな顔を見てしまえば、もう、刃を振り下ろせるはずがない。
ナイフを仕舞って少女の上から身を退くと、素直に謝罪の言葉を述べる。
……少女からの返事は無かった。いや、返事の出来る状況ではなかった。
ようやく死の危機を脱したとの実感が湧いてきたのか、今になってボロボロと泣いていた。
大粒の涙を零しながら、まだ完全には状況が掴めないのだろう、魂の抜けたような呆けた表情。
こんな顔を見てしまえば、もう、刃を振り下ろせるはずがない。
ナイフを仕舞って少女の上から身を退くと、素直に謝罪の言葉を述べる。
「……ごめんね、怖い思いさせちゃって。互いに誤解してたみたいね、危ないところだったわ」
「…………あ」
「ただ、さっきの炎は危なかったな。直撃してたら私たちの方こそ死んでたかもしれない。
だから……これでおあいこ。ね?」
「…………あ」
「ただ、さっきの炎は危なかったな。直撃してたら私たちの方こそ死んでたかもしれない。
だから……これでおあいこ。ね?」
トリエラは一転して柔和な笑みを浮かべてみせる。
助け起こされた少女は、やがて、声を上げて泣き始めた。
助け起こされた少女は、やがて、声を上げて泣き始めた。
* * *
湯気が漂う中、小柄なククリを自分の前に座らせて、長い三つ編みを解く。
くせのついたボリュームのある髪を、備え付けのシャンプーをたっぷり使って泡立てていく。
これだけ長いと、髪を洗うだけでも一苦労だ。洗ったら洗ったで、丁寧に乾かしてまた編み込まねばならない。
とてもではないが、赤ん坊をあやす片手間で出来る仕事ではない。
くせのついたボリュームのある髪を、備え付けのシャンプーをたっぷり使って泡立てていく。
これだけ長いと、髪を洗うだけでも一苦労だ。洗ったら洗ったで、丁寧に乾かしてまた編み込まねばならない。
とてもではないが、赤ん坊をあやす片手間で出来る仕事ではない。
「……トマの件は、私も信じられないな」
「じゃあ、トリエラさんも嘘だと思うの?」
「嘘じゃなくて、勘違いかもしれない。何かトラブルでもあったのかも。
もう1回その人と話せれば詳しい事情も分かるけど、また電話に出てくれるかどうかは怪しいわね。
向こうから切っちゃったんでしょう?」
「……はい」
「そうだ、後で電話の使い方、教えてあげる。分かれば結構簡単よ。
そのミミカ草、とかいうのである程度慣れてるだろうしね」
「じゃあ、トリエラさんも嘘だと思うの?」
「嘘じゃなくて、勘違いかもしれない。何かトラブルでもあったのかも。
もう1回その人と話せれば詳しい事情も分かるけど、また電話に出てくれるかどうかは怪しいわね。
向こうから切っちゃったんでしょう?」
「……はい」
「そうだ、後で電話の使い方、教えてあげる。分かれば結構簡単よ。
そのミミカ草、とかいうのである程度慣れてるだろうしね」
ククリの髪を丹念に洗ってやりながら、トリエラは小さく微笑む。
あの後、彼女たちは互いに自己紹介からやり直した。
最初は警戒していたククリも、トリエラがトマとの出会いを語って聞かせたことで、一気に落ち着いた。
勇者ニケほどではないが、トマは大事な仲間の1人だ。信頼できる。
何より、戦闘態勢を解除したトリエラの優しさが、少女を安心させた。
リルルに対する激しい警戒も、こうして信頼を得たトリエラが間に立つことで少しは収まって。
あの後、彼女たちは互いに自己紹介からやり直した。
最初は警戒していたククリも、トリエラがトマとの出会いを語って聞かせたことで、一気に落ち着いた。
勇者ニケほどではないが、トマは大事な仲間の1人だ。信頼できる。
何より、戦闘態勢を解除したトリエラの優しさが、少女を安心させた。
リルルに対する激しい警戒も、こうして信頼を得たトリエラが間に立つことで少しは収まって。
「じゃ、泡流すわよ。目を閉じてて」
「んッ……!」
「んッ……!」
トリエラはククリの頭からお湯をかけ、洗い流してやる。
元々、トリエラは他人の世話を焼くことが苦にならないタチである。
むしろ、頼まれてもいないのについついお節介を焼いてしまう。
その性格もあって、元の世界、『公社』の義体たちの間では「お姉さん」のような立ち位置になっていた。
今もこうして、自分からククリの長い髪を丁寧にすすいでやっている。
こうしていると、入院中のアンジェリカの黒髪を梳かしてやった時のことが、ふと思い出されてくる。
元々、トリエラは他人の世話を焼くことが苦にならないタチである。
むしろ、頼まれてもいないのについついお節介を焼いてしまう。
その性格もあって、元の世界、『公社』の義体たちの間では「お姉さん」のような立ち位置になっていた。
今もこうして、自分からククリの長い髪を丁寧にすすいでやっている。
こうしていると、入院中のアンジェリカの黒髪を梳かしてやった時のことが、ふと思い出されてくる。
(あんまり馴れ合ってしまうのも、互いのために良くないんでしょうけど、ね……)
別にトリエラは、ククリやひまわりをずっと守り続けてやるつもりはない。
そんなものはそれこそ「勇者さま」の仕事だ。トリエラの領分ではない。
足手まといにしかならない赤ん坊を抱えて動き回りたくはないし、いずれ彼女たちとは別れを告げるつもりだ。
状況が悪い方向に進み、優勝を目指さざるを得なくなった場合には、敵対する可能性だってある。
それでも、休憩を取る間くらいなら、「優しいお姉さん」を演じるのも悪くない。
ここで少し休んで、英気を養って、それから武器や銃弾を探しに街に行こう。
そんなものはそれこそ「勇者さま」の仕事だ。トリエラの領分ではない。
足手まといにしかならない赤ん坊を抱えて動き回りたくはないし、いずれ彼女たちとは別れを告げるつもりだ。
状況が悪い方向に進み、優勝を目指さざるを得なくなった場合には、敵対する可能性だってある。
それでも、休憩を取る間くらいなら、「優しいお姉さん」を演じるのも悪くない。
ここで少し休んで、英気を養って、それから武器や銃弾を探しに街に行こう。
(ちょっと順番が前後しちゃったけどね。
リルルもすぐには動いてくれそうにないし……ま、リルルもこの子たちに押し付けてもいいかもしれないけど)
リルルもすぐには動いてくれそうにないし……ま、リルルもこの子たちに押し付けてもいいかもしれないけど)
ククリがリルルを怖れていた理由――サトシを「壊して」しまった一件を聞いた時には、思わず呆れたものだ。
人間とロボットの常識の違いを差し引いても、その言い分は流石に非常識だ。
とはいえ、それをストレートに言ってもリルルには分からない。言い方を工夫せねばならない。
「修理する能力もスキルも無いのに『壊してしまう』なんて、非難されても仕方ないでしょう?」
……と言ってはおいたが、さて、どれほど通じたかどうか。
面倒見のいいトリエラにも、リルルの存在は多少持て余し気味だった。
人間とロボットの常識の違いを差し引いても、その言い分は流石に非常識だ。
とはいえ、それをストレートに言ってもリルルには分からない。言い方を工夫せねばならない。
「修理する能力もスキルも無いのに『壊してしまう』なんて、非難されても仕方ないでしょう?」
……と言ってはおいたが、さて、どれほど通じたかどうか。
面倒見のいいトリエラにも、リルルの存在は多少持て余し気味だった。
「そういえば……ひまわり、大丈夫でしょうか? あの人と一緒なんて……」
「ん~、大丈夫でしょ? 流石に同じミスを繰り返すほどバカじゃないだろうし」
「ん~、大丈夫でしょ? 流石に同じミスを繰り返すほどバカじゃないだろうし」
2人の視線が、すぐ傍に立て掛けられた杖に向かう。
トリエラが折ってしまった『ベホイミの杖』に代わって、トリエラの同行者が快く譲渡してくれた新しい杖。
その杖の前の持ち主は、その頃……。
トリエラが折ってしまった『ベホイミの杖』に代わって、トリエラの同行者が快く譲渡してくれた新しい杖。
その杖の前の持ち主は、その頃……。
* * *
「…………」
リルルは真剣な面持ちで、その「生き物」を観察する。
穏やかな寝息を立て続ける小さな肉の塊に、おそるおそる手を伸ばす。
穏やかな寝息を立て続ける小さな肉の塊に、おそるおそる手を伸ばす。
ぷにっ。
「あっ…………」
指先から伝わってきた弾力と、成人よりも高い体温。
柔らかい。そして温かい。
その「生き物」が目を覚まさないことを確認すると、さらに何度か触ってみる。
柔らかい。そして温かい。
その「生き物」が目を覚まさないことを確認すると、さらに何度か触ってみる。
ぷにぷに。ぷにぷに。
「…………」
本当に、この小さくて柔らかくて暖かい「生き物」が、トリエラやククリと同じ種なのだろうか。
いや知識としては知っていた。地球侵攻を前に、情報だけなら既に得ていた。
これが「生産」されたばかりの「人間の幼体」であることは、すぐに分かった。
だが実際に目にしてみると、これがいずれトリエラたちのような姿になるのだとは信じがたい。
リルルはじっとひまわりの寝顔を見つめる。
いや知識としては知っていた。地球侵攻を前に、情報だけなら既に得ていた。
これが「生産」されたばかりの「人間の幼体」であることは、すぐに分かった。
だが実際に目にしてみると、これがいずれトリエラたちのような姿になるのだとは信じがたい。
リルルはじっとひまわりの寝顔を見つめる。
トリエラには、2人で風呂に入っている間、ここでひまわりを見守っているよう頼まれた。
この外を見張るのにも都合のいい位置にある客室で、周囲の警戒のついでに見ていてくれないか、と。
そして、もしも異変が起きたら、ひまわりを抱えトリエラたちの所に来るように、と。
別に命令に従う義理はなかった。けれど、断る理由もなかったので了承した。
リルルにとっても、ひまわりを観察する時間が持てるのは都合がいい。利害は一致している。
この外を見張るのにも都合のいい位置にある客室で、周囲の警戒のついでに見ていてくれないか、と。
そして、もしも異変が起きたら、ひまわりを抱えトリエラたちの所に来るように、と。
別に命令に従う義理はなかった。けれど、断る理由もなかったので了承した。
リルルにとっても、ひまわりを観察する時間が持てるのは都合がいい。利害は一致している。
「…………」
こうして観察すればするほど、驚かざるを得ない。
この「赤ん坊」、単に大人を小さく縮めたものではない。頭や四肢の比率からして異なっている。
つまり体型が大きく違っているわけだが……では「中身」はどうなっているのか。
果たして、本当に全ての「パーツ」が揃っているのだろうか。
レッドを解体した際に見た人間の臓器、あれが本当に全てこの小さな身体に詰まっているのだろうか。
サトシの時のように直せなくなってしまうのは困るが、可能なら一度分解して確認してみたいとも思う。
将来人間たちを奴隷化する際、その幼体についての知識が活きる日も来るかもしれないのだ。
この「赤ん坊」、単に大人を小さく縮めたものではない。頭や四肢の比率からして異なっている。
つまり体型が大きく違っているわけだが……では「中身」はどうなっているのか。
果たして、本当に全ての「パーツ」が揃っているのだろうか。
レッドを解体した際に見た人間の臓器、あれが本当に全てこの小さな身体に詰まっているのだろうか。
サトシの時のように直せなくなってしまうのは困るが、可能なら一度分解して確認してみたいとも思う。
将来人間たちを奴隷化する際、その幼体についての知識が活きる日も来るかもしれないのだ。
いや、だがしかし今は、そんなことより。
リルルは真顔のまま、眠るひまわりの頬を突く。起こさないよう、傷をつけないよう注意しながら突く。
その感触に突き動かされるように、夢中になってつつく。
リルルは真顔のまま、眠るひまわりの頬を突く。起こさないよう、傷をつけないよう注意しながら突く。
その感触に突き動かされるように、夢中になってつつく。
ぷにぷに。ぷにぷに。ぷにぷに。ぷにぷに……ちゅっ。
「あっ…………!」
何度かつつくうち、指先が滑って唇に触れ、逆にひまわりに吸い付かれてしまった。
目を閉じ、眠ったまま、小さな手がリルルの指を捕まえる。小さな口がチューチューと吸い上げてくる。
夢の中で母のおっぱいでも飲んでいるつもりなのだろうか?
指先から湿り気と体温を感じる。ひまわりの命の鼓動を感じる。
何故だか、不思議と不快ではない。いつまでもこうしていたい、そんな気すら湧きあがる。
自分でもよく分からない衝動そのままに、リルルはひまわりの寝顔を眺め続けた。
目を閉じ、眠ったまま、小さな手がリルルの指を捕まえる。小さな口がチューチューと吸い上げてくる。
夢の中で母のおっぱいでも飲んでいるつもりなのだろうか?
指先から湿り気と体温を感じる。ひまわりの命の鼓動を感じる。
何故だか、不思議と不快ではない。いつまでもこうしていたい、そんな気すら湧きあがる。
自分でもよく分からない衝動そのままに、リルルはひまわりの寝顔を眺め続けた。
【G-1・温泉旅館露天風呂/1日目/夜】
【ククリ@魔法陣グルグル】
[状態]:魔力消費(少)、軽い精神疲労。
[装備]:さくらの杖@カードキャプターさくら、
[道具]:基本支給品×2、目覚まし時計@せんせいのお時間 、レミリアの日傘@東方Project、
インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録 、生乾きの服
[服装]:全裸(海鳴温泉の浴衣)
[思考]:やっと、まともな人と会えた……。
第一行動方針:風呂から上がったらトリエラから携帯電話の使い方を習う
第二行動方針:旅館で休息をとる
第三行動方針:ひまわりの保護とお世話
第四行動方針:勇者さまとトマくんを探す。
基本行動方針:勇者さまと合流してジェダを倒す
[備考]:ネスとのび太の姿をはっきりとは見ていません。
携帯電話には、島内の主要施設の番号がある程度登録されているようです。
ベホイミの杖@ぱにぽに は、トリエラとの戦いで折れて使えなくなってしまったため、捨てました。
さくらの杖@CCさくら は、戦いの後にリルルから譲渡されたものです。
[状態]:魔力消費(少)、軽い精神疲労。
[装備]:さくらの杖@カードキャプターさくら、
[道具]:基本支給品×2、目覚まし時計@せんせいのお時間 、レミリアの日傘@東方Project、
インデックスの0円ケータイ@とある魔術の禁書目録 、生乾きの服
[服装]:全裸(海鳴温泉の浴衣)
[思考]:やっと、まともな人と会えた……。
第一行動方針:風呂から上がったらトリエラから携帯電話の使い方を習う
第二行動方針:旅館で休息をとる
第三行動方針:ひまわりの保護とお世話
第四行動方針:勇者さまとトマくんを探す。
基本行動方針:勇者さまと合流してジェダを倒す
[備考]:ネスとのび太の姿をはっきりとは見ていません。
携帯電話には、島内の主要施設の番号がある程度登録されているようです。
ベホイミの杖@ぱにぽに は、トリエラとの戦いで折れて使えなくなってしまったため、捨てました。
さくらの杖@CCさくら は、戦いの後にリルルから譲渡されたものです。
【トリエラ@GUNSLINGER GIRL】
[状態]:胴体に重度の打撲傷、中程度の疲労。右肩に激しい抉り傷(骨格の一部が覗いている)
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数1)、
ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
十字架×1、ダイエットフード×1、山彦草×1)、US M1918 “BAR”@ブラックラグーン(残弾数0/20)
ネギの首輪、金糸雀の右腕(コチョコチョ手袋が片方だけついている)、血塗れの拡声器
[服装]:全裸(普段通りの男装)
[思考]:いいお湯……。
第一行動方針:風呂から上がってククリに携帯電話の使い方を教えた後、旅館で少し休息
第ニ行動方針:リルルとの同盟を了承
第三行動方針:好戦的な参加者は積極的に倒す
第四行動方針:この北東の街で銃器店or警察署を探して武器弾薬の補給を図る。無ければ南西の街へ
第五行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)
[備考]:
US M1918 “BAR”@ブラックラグーンは、地面に叩きつけられた際、歪みを生じている可能性があります。
少なくとも肉眼的には異常は見られません。
サトシの墓を暴いた人物を好戦的かつ異常者と判断。警戒しています
[状態]:胴体に重度の打撲傷、中程度の疲労。右肩に激しい抉り傷(骨格の一部が覗いている)
[装備]:拳銃(SIG P230)@GUNSLINGER GIRL(残段数1)、
ベンズナイフ(中期型)@HUNTER×HUNTER、 トマ手作りのナイフホルダー
[道具]:基本支給品、回復アイテムセット@FF4(乙女のキッス×1、金の針×1、うちでの小槌×1、
十字架×1、ダイエットフード×1、山彦草×1)、US M1918 “BAR”@ブラックラグーン(残弾数0/20)
ネギの首輪、金糸雀の右腕(コチョコチョ手袋が片方だけついている)、血塗れの拡声器
[服装]:全裸(普段通りの男装)
[思考]:いいお湯……。
第一行動方針:風呂から上がってククリに携帯電話の使い方を教えた後、旅館で少し休息
第ニ行動方針:リルルとの同盟を了承
第三行動方針:好戦的な参加者は積極的に倒す
第四行動方針:この北東の街で銃器店or警察署を探して武器弾薬の補給を図る。無ければ南西の街へ
第五行動方針:トマとその仲間たちに微かな期待。トマと再会できた場合、首輪と人形の腕を検分してもらう
基本行動方針:最後まで生き延びる(当面、マーダーキラー路線。具体的な脱出の策があれば乗る?)
[備考]:
US M1918 “BAR”@ブラックラグーンは、地面に叩きつけられた際、歪みを生じている可能性があります。
少なくとも肉眼的には異常は見られません。
サトシの墓を暴いた人物を好戦的かつ異常者と判断。警戒しています
[備考]:
トリエラは拳銃とベンズナイフを洗面器に入れて、ククリはさくらの杖を、それぞれ浴場に持ち込んでいます。
それ以外の服と装備は脱衣所に残されています。
(つまり、[装備]欄のものだけが手の届く所にあり、[道具]欄のものは脱衣所。服はカッコ内のが脱衣所に)
トリエラは拳銃とベンズナイフを洗面器に入れて、ククリはさくらの杖を、それぞれ浴場に持ち込んでいます。
それ以外の服と装備は脱衣所に残されています。
(つまり、[装備]欄のものだけが手の届く所にあり、[道具]欄のものは脱衣所。服はカッコ内のが脱衣所に)
【G-1・温泉旅館・客室/1日目/夜】
【野原ひまわり@クレヨンしんちゃん】
[状態]:健康。熟睡中。
[装備]:ガードグラブ@SW
[道具]:ピンクの貝がら、基本支給品、生乾きの服
[服装]:海鳴温泉の浴衣(お子様用サイズ)
[思考]:…………むにゃむにゃ
第一行動方針:(おねえさんといっしょに、おにいさん(グリーン)を探したい)
第二行動方針:(しんのすけが死んだなんて信じたくない)
第三行動方針:(おねえさんの探している人を見つけてあげたい)
基本行動方針:(おうちに帰る)
[備考]:ひまわりはまだリルルとトリエラの存在を認識していません。ずっと眠っていました。
[状態]:健康。熟睡中。
[装備]:ガードグラブ@SW
[道具]:ピンクの貝がら、基本支給品、生乾きの服
[服装]:海鳴温泉の浴衣(お子様用サイズ)
[思考]:…………むにゃむにゃ
第一行動方針:(おねえさんといっしょに、おにいさん(グリーン)を探したい)
第二行動方針:(しんのすけが死んだなんて信じたくない)
第三行動方針:(おねえさんの探している人を見つけてあげたい)
基本行動方針:(おうちに帰る)
[備考]:ひまわりはまだリルルとトリエラの存在を認識していません。ずっと眠っていました。
【リルル@ドラえもん】
[状態]:左手溶解、故障有(一応動くが、やや支障あり)、人間への強い興味
[装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心(切れ味がほとんどない)
[道具]:基本支給品×2、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら
[服装]:機械部分の露出している要所や左手を巻いたシーツで隠した上から、普段の服
[思考]:…………。(ひまわりの寝顔に夢中)
第一行動方針:小さな人間(ひまわり)に強い興味。もっとひまわりのことを知りたい。
第ニ行動方針:とりあえずトリエラに同行。邪魔をしないよう注意しながら、観察を続ける
第三行動方針:人間に興味。「友達」になれそうな人間を探す。
第四行動方針:兵団との連絡手段を探す。
第五行動方針:のび太に再会できたら、そのときこそ一緒に行動する
基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する
[状態]:左手溶解、故障有(一応動くが、やや支障あり)、人間への強い興味
[装備]:長曾禰虎徹@るろうに剣心(切れ味がほとんどない)
[道具]:基本支給品×2、クロウカード(花、灯、跳)@カードキャプターさくら
[服装]:機械部分の露出している要所や左手を巻いたシーツで隠した上から、普段の服
[思考]:…………。(ひまわりの寝顔に夢中)
第一行動方針:小さな人間(ひまわり)に強い興味。もっとひまわりのことを知りたい。
第ニ行動方針:とりあえずトリエラに同行。邪魔をしないよう注意しながら、観察を続ける
第三行動方針:人間に興味。「友達」になれそうな人間を探す。
第四行動方針:兵団との連絡手段を探す。
第五行動方針:のび太に再会できたら、そのときこそ一緒に行動する
基本行動方針:このゲームを脱出し(手段は問わない)、人間についてのデータを集めて帰還する
≪202:彼女の意思を継いで僕は…… | 時系列順に読む | 207:かえりたい≫ |
≪202:彼女の意思を継いで僕は…… | 投下順に読む | 204:伸ばしたその手は拒まれて≫ |
≪169:ここはG-1、海鳴温泉なの! ≪175:第一回定時放送 |
ククリの登場SSを読む | 212:北東市街は静かに眠る≫ |
≪186:集結の夜 | トリエラの登場SSを読む | 212:北東市街は静かに眠る≫ |
≪169:ここはG-1、海鳴温泉なの! ≪175:第一回定時放送 |
野原ひまわりの登場SSを読む | 212:北東市街は静かに眠る≫ |
≪186:集結の夜 | リルルの登場SSを読む | 212:北東市街は静かに眠る≫ |