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概要
すヾみ舟(すずみぶね)は、1932年(昭和7年)に製作された日本初のアダルトアニメである。モノクロ、サイレント映画。『神田川』『川開き』『花火』『夕涼み』『マンガ』という作品名でも流通した。黎明期を代表するアニメーター、木村白山によって作成され、35mmフィルム版は猥褻物として警察に押収されたが、16mmフィルム版が出回り、杉本五郎の伝聞では終戦直後に進駐軍により試写され、後に16ミリプリントが「ウタマロ・アニメ」として外国で売られていたという話もある。ブルーフィルム研究の第一人者である長谷川卓也は本作について次のように評している
純日本情緒を漂わせ、ほのかなユーモアをまじえた作者の浮世絵タッチの構想は、みごとであった。わずか10分間ほどのものとはいえ、原画は1万5千枚を超えたはず。しかも、いまのアニメ製作のように便利な装置も技術もなく、たった一人の筆先だけでこなしたのだから、その労力たるや想像に絶する。現在でも「もし入手できるなら、百万円出してもいいね」という人もいるほど。いまなお百万円の値を呼んでいるのは、この『すヾみ舟』と、戦後製の『風立ちぬ』ぐらいではなかろうか。
その存在は長らく都市伝説とされていて、来日したウォルトディズニーが絶賛したなどデマも多く流れたため、この作品について流通している情報の多くは不正確であった。しかし、本作は1932年に警察の摘発を受けて以降、実に85年以上にわたってフィルムの所在が不明となっていた。そのため失われた映画として長らく伝説化していたが、2017年に東京国立近代美術館フィルムセンター(現・国立映画アーカイブ)に押収版とみられる本作の35mmフィルムが秘かに寄贈された。同センターに所蔵されたフィルムは719.02フィート(219.1m)と693.11フィート(211.2m)の計2本である。寄贈の経緯は不明だが、アダルトメディア研究家の安田理央は「警察関係者からの寄贈なのでは」と推測している。
2018年9月、京都府のおもちゃ映画ミュージアムが木村白山の研究発表会「木村白山って、何者?」を開催するにあたり、フィルムセンターに「作品を借用して上映したい」と依頼した所「寄贈者との取り決めで公開できない」との回答があったという。ミュージアム側のスタッフは「このまま死蔵されてしまうのは惜しいので、せめて研究者に公開できるよう寄贈者にお願いして欲しい」と同センターに要請している。
以上の背景から公的機関でも本作品を『発見した』という表現はされておらず、存在を公的に認めたという状況にとどまっている。
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