概要
1966年に放送を開始した日本テレビの演芸バラエティ番組『笑点』は、個人録画はおろか日本テレビでさえも最古の録画が第369回(1973年8月26日放送)で、立川談志(7代目)司会時代、前田武彦司会時代の本編映像は現存しないとされていた。放送局用VTRは1970年代まで2インチ規格で場所を取り、ビデオテープも1巻当たりの単価が高価であり、放送済みのビデオテープは消去されて使い回されていたことがこの背景ある。
また、『笑点』制作陣は長らく「笑いというものはその場限りの物。VTRを保存することはまかりならない」という方針であったため、一部の回を除き、1997年以前の映像は日本テレビに残存していないとされる。
現存状況(本編映像)
映像の流出
2025年6月頃、第88回(1968年3月10日放送)を録画したものとされる映像がYouTubeに流出した。その後、投稿者のアカウントが停止され元動画は削除されたが、転載拡散され今でも検索すれば視聴可能な状態となっている。
流出映像は提供紹介、桂歌丸の真打昇進披露口上(その回で特別に行われたもの)、立川談志による対談コーナー(1987年まで演芸と大喜利の間に存在したコーナー)、大喜利メンバーの自己紹介パートを含み、大喜利自体は含まれない。長さは2分強ほどで、一部映像がぶつ切りになっているので録画素材そのままではなく、YouTubeにアップロードするにあたってカットされたと考えられる。なお、当時の放送はカラーだったが、流出映像はモノクロである(そのため一部で出回っているカラー版はAIで着色したものと考えられる)。
また、音声のみではあるが11分弱版の転載も確認されており、2分強版と同様に提供紹介から始まるので録画素材は同一と考えられる。
この流出映像は、桂米丸(4代目)(*1)が録画し、2024年の没後にNHKに寄贈された773本のビデオテープに含まれていた可能性が極めて高い。実際、NHK番組発掘プロジェクトの当該ブログを確認すると、民放番組のためNHKアーカイブで引き取れないものとして「笑点 口上 43.3.10」と書かれたビデオテープの存在が確認でき、録画素材がNHKから日本テレビに引き渡される過程(後述)で何者かが流出させたと考えられる。
映像の公開
その後、録画素材はNHKから日本テレビに引き渡されたと思われ、2026年5月2日、『笑点』60周年を記念する特別映像の一部に使われる形で初めて正式に公開された。
特別映像の公開を伝えるニュース記事では「当時番組にも度々出演し縁も深かった桂米丸が亡くなった後に同局に寄贈されたビデオテープに入っていた」と報じられているが、録画素材が一度日本テレビではなくNHKに寄贈されたこと、YouTubeに流出したことなどについては触れられていない。
現存状況(オープニング映像)
現在オープニング映像に使用されている「笑点のテーマ」はオープニング曲としては3代目であり、それ以前は「笑点音頭」が使用されていた。この「笑点音頭」が使用されたオープニング映像はアニメーションフィルムとして現存しており、過去にはDVD-BOX(*2)にも収録されたことがある(ただし、DVD-BOX収録映像はアニメーションフィルムにレコード音源を合わせたもので、実際に放送されたものとは異なる)。前述の桂米丸による録画素材が発見されるまでは、このアニメーションフィルムが唯一現存する1960年代の映像とされていた。
なお、「笑点音頭」より以前に使用されていたとされる初代オープニング曲については映像はおろか音源・楽曲名の情報さえ残されておらず、詳細は不明である。
メディアギャラリー
流出映像
2分強版(削除済み)
11分弱版(音声のみ)
公式映像
『笑点』60周年特別映像(冒頭8秒間、および0:45付近が当該映像)
オープニング映像
「笑点音頭」が使用されたオープニング映像(DVD-BOX収録映像に当時の録音音源を重ねて復元したもの)