「お、終わったのか……」
ブレイズドラゴンは死に、『始まりの魔法少女』もまた姿を消した。
パトリシアは安堵の息を零す。
運営側に身を置く彼女にとって、ブレイズドラゴンは難敵であり、『始まりの魔法少女』は絶望だった。
パトリシアは安堵の息を零す。
運営側に身を置く彼女にとって、ブレイズドラゴンは難敵であり、『始まりの魔法少女』は絶望だった。
(もっとも、ブレイズドラゴンと違い、『始まりの魔法少女』は死んだわけではない……いや、そもそも遥か昔に死んだはずの存在だ。
どうして現代に出現を……)
どうして現代に出現を……)
分からん、と結論をつける。
伝説・歴史にそう詳しいわけではない。
パトリシアが従うべきは狩人の掟のみ……。
伝説・歴史にそう詳しいわけではない。
パトリシアが従うべきは狩人の掟のみ……。
(ならば、事情通から詳しい情報を得るか)
そう思い、パラサイドドールに視線を向ける。
「イェーイ……やったね、えへへ、大勝利、ぶいっ!」
「お、おう……」
うきうきと伸ばされた掌に、パトリシアは面食らいながらも掌を合わせる。
二人の魔法少女はハイタッチを決めた。
二人の魔法少女はハイタッチを決めた。
「今回の儀式の、最大の障害は解決した……!
本当に良かった……やっと、安心できるよ……」
本当に良かった……やっと、安心できるよ……」
「そうなのか? あれは、まだ消えて無いんじゃないのか?」
死んだはずのバーストハートが蘇生し、『始まりの魔法少女』に転じた。
ならば呪いによる死も、『始まりの魔法少女』には無意味ということになる。
一時的に姿を消しただけで、依然脅威のままでは……とパトリシアは思う。
ならば呪いによる死も、『始まりの魔法少女』には無意味ということになる。
一時的に姿を消しただけで、依然脅威のままでは……とパトリシアは思う。
「消えてないよ……けど……最低でも1000年はもう出て来れないよ……あれは、そういう存在だから……」
「どうして、そんな風に言い切れる? 何か根拠があるのか?」
「あれが顕現するには、条件が厳しいんだよ……数千年単位で魔力を集めないと、顕現できない……そして『ドラゴン』を殺したら、直ちに霧散する……そうしないと、『世界』の方が、耐え切れないから……そういう、ひどく不自由で、惨めな存在だから……いい気味だよ」
まぁ、だから根絶は不可能なんだけどさ……とパラサイトドールは憂鬱な表情を見せる。
「このゲームが破壊されるシナリオで……一番可能性が高かったのが、あいつの介入だった……。呼ばなくても、勝手に乱入してくるだろうし……ゲーム始める前に殺しても、藪蛇になるかもしれないし……。
だから、ゲームに招いた上で、近くに仮想敵を設置して……引きずり出して、偽りの敵で『ドラゴン殺し』を果たしてもらって、1000年後までバイバイしてもらう……うん、上手く行って良かった」
だから、ゲームに招いた上で、近くに仮想敵を設置して……引きずり出して、偽りの敵で『ドラゴン殺し』を果たしてもらって、1000年後までバイバイしてもらう……うん、上手く行って良かった」
色々、不安があったからね……とパラサイトドールは肩を落とす。
「ブレイズドラゴンが降伏したり……彼女を始末する前に、こっちの存在に気づいて魔法王の城に突撃されたり……あるいは、全然出てこなくて、ブレイズドラゴンが別の理由で死んだ後に遅れて登場したり……全部、杞憂に終わって良かったよ……」
「だが、まだティターニアが居る。他にも、ゲームに積極的でない、我々運営に反旗を翻そうとする魔法少女は多いぞ。
それに、邪神教団……。我々の中に紛れた裏切り者の件も……」
それに、邪神教団……。我々の中に紛れた裏切り者の件も……」
「ああ……その辺は……どうにでもなるから。面倒だけどね……」
確かに、とパトリシアは思う。
『始まりの魔法少女』と比較し、その他の脅威は、対処の仕様がある。
難敵だが、狩れない獲物ではない。
『始まりの魔法少女』と比較し、その他の脅威は、対処の仕様がある。
難敵だが、狩れない獲物ではない。
そして、更に考える。
パラサイトドール、ここまで事情通の彼女は、パトリシアが思う以上に、このゲームの中枢に位置する人物なのかもしれない。
パラサイトドール、ここまで事情通の彼女は、パトリシアが思う以上に、このゲームの中枢に位置する人物なのかもしれない。
「……ところで、パトリシア。君にちょっと、頼みたいことあるんだけど……」
「……何だ?」
パラサイトドールは、パトリシアの耳元に顔を近づける。
「——————を、殺してきてくれないかな……?」
◇
プアは酩酊していた。
魔法少女の命を奪う毒。
毒物に一定の耐性があるブレイズドラゴンを追い詰めた、究極の猛毒。
その代償は、大きい。
かつてボムシェルを始末したときは、一週間ほど麻薬中毒のような状態に追い込まれた。(そのため宮島優香には娼館で薬漬けにされていたと誤解されている)。
今もまた、プアは変身を解除し、ミアのまま、その豊満な肢体を大地に投げ出して荒く息を吐いていた。
魔法少女の命を奪う毒。
毒物に一定の耐性があるブレイズドラゴンを追い詰めた、究極の猛毒。
その代償は、大きい。
かつてボムシェルを始末したときは、一週間ほど麻薬中毒のような状態に追い込まれた。(そのため宮島優香には娼館で薬漬けにされていたと誤解されている)。
今もまた、プアは変身を解除し、ミアのまま、その豊満な肢体を大地に投げ出して荒く息を吐いていた。
世界が、ぐるぐると回天している。
街が消えたり現れたりを繰り返していたが、どうやら強い幻覚を見ているようだ、とミアは自覚した。
街が消えたり現れたりを繰り返していたが、どうやら強い幻覚を見ているようだ、とミアは自覚した。
『ぬしはまた、人を殺したのかえ』
蜃気楼のように揺れる影。
赤地に金色の刺繍が施された高級着物に身を包んだ、長身の美女がミアを見下ろしている。
赤地に金色の刺繍が施された高級着物に身を包んだ、長身の美女がミアを見下ろしている。
『よくも人殺しの身で、宮島家に転がり込めたものでありんすねぇ』
「ボムシェル……さま……」
『使ってやった恩を忘れて、とんだ疫病神。
ぬしにはもう、帰るところはありんせん』
ぬしにはもう、帰るところはありんせん』
「分かっています……」
これは、幻覚だ。
ボムシェルが、格下であるミアに声をかけるはずがない。感情を向けるはずがない。
ボムシェルの幻覚が語る言葉は、ミアの偽りざる本心だ。
ボムシェルが、格下であるミアに声をかけるはずがない。感情を向けるはずがない。
ボムシェルの幻覚が語る言葉は、ミアの偽りざる本心だ。
「私は……所詮、人殺し……」
「けど……」
魔法少女だと明かしたときの、宮島祐樹のわくわくとした瞳を覚えている。
ただの人殺しに過ぎないミアを、変身ヒーローかのように扱ってくれた。
幼い故に、現実を知らないだけなのかもしれない。
非日常に憧れるあまりに、ミアに勝手な期待を押し付けているのかもしれない。
ただの人殺しに過ぎないミアを、変身ヒーローかのように扱ってくれた。
幼い故に、現実を知らないだけなのかもしれない。
非日常に憧れるあまりに、ミアに勝手な期待を押し付けているのかもしれない。
けれど、あの瞳にミアは確かに救われたのだ。
「この……殺し合いは……一刻も早く……終わらせないと……」
40人を超える魔法少女の殺し合い。
その余波でどれだけの無辜の人々が死んでしまうのか。
宮島家にどれだけの厄災が降りかかるのか。
その余波でどれだけの無辜の人々が死んでしまうのか。
宮島家にどれだけの厄災が降りかかるのか。
周囲に、人が集まっているのを感じた。
誰かは、判別がつかない。
ただ、戦闘は終結したらしい。
ミアがどれだけ勝利に貢献できたかは分からないが、一戦を乗り越えたことに、安堵する。
誰かは、判別がつかない。
ただ、戦闘は終結したらしい。
ミアがどれだけ勝利に貢献できたかは分からないが、一戦を乗り越えたことに、安堵する。
ゲームに乗っていないのは、ミアだけではない。
メリィも……クリックベイトも、他にも多くの魔法少女が乗っていないはずだ。
大丈夫、このゲームは絶対に破壊できる。
メリィも……クリックベイトも、他にも多くの魔法少女が乗っていないはずだ。
大丈夫、このゲームは絶対に破壊できる。
だから。
「みなさん……私たち、これからも……」
頑張っていきましょう、と言おうとして。
ミアの額に、風穴が空いた。
ミアの唇が、それ以上動くことはなかった。
【ミア/プア 死亡】
【残り 27人】
【残り 27人】
◇
「——嘘だろ」
思わず、喉からそう漏れた。
嘘だと思う出来事が連続していた。
殺し合いに巻き込まれて、部長が死んで、くそつよ厄介戦闘狂魔法少女に襲われて、仲間が死んで、生き返って、インフレバトルをして、くそつよ厄介戦闘狂魔法少女が死んで。
衰弱しているミアの元に、メリィとクリックベイト、そしてホッケーマスクを被っていた魔法少女が集まっていたのだ。傍らには意識を取り戻さないバーストハートとネコサンダーも連れて来ていた。
ついでに、ペストマスクの魔法少女もひょっこり顔を出していた。
嘘だと思う出来事が連続していた。
殺し合いに巻き込まれて、部長が死んで、くそつよ厄介戦闘狂魔法少女に襲われて、仲間が死んで、生き返って、インフレバトルをして、くそつよ厄介戦闘狂魔法少女が死んで。
衰弱しているミアの元に、メリィとクリックベイト、そしてホッケーマスクを被っていた魔法少女が集まっていたのだ。傍らには意識を取り戻さないバーストハートとネコサンダーも連れて来ていた。
ついでに、ペストマスクの魔法少女もひょっこり顔を出していた。
全員が全員混乱していて、ひとまず大規模な戦闘を起こしてしまったこの場所から離れようということで意見がまとまっていた。
皆で手分けしてミア、バーストハート、ネコサンダーを負ぶって、ティターニアと天城千郷が目撃された学生街を目指そうと意見を纏めたときだった。
皆で手分けしてミア、バーストハート、ネコサンダーを負ぶって、ティターニアと天城千郷が目撃された学生街を目指そうと意見を纏めたときだった。
ミアが、額から血を流して死んだ。
貫通した痕から、血が放射状に広がる。
貫通した痕から、血が放射状に広がる。
「だ、誰が……何で……」
「狙撃だ!」
みんな散れ! とクリックベイトが叫んでいる。
メリィはバーストハートを抱えた。身体能力は他の魔法少女より劣っているが、常人よりは強い。
少女一人、大した重荷ではない。
メリィはバーストハートを抱えた。身体能力は他の魔法少女より劣っているが、常人よりは強い。
少女一人、大した重荷ではない。
だが。
肩に痛みが走った。
撃たれたのだ、と知る。
生身ならばともかく、変身しているのなら、多少の銃撃は耐えられる。
だが、当たり所が悪ければ、命に関わる。個人差はあるが、少なくともメリィは銃で殺せる魔法少女だ。
悲鳴を挙げながらメリィは建物の中に逃げ込む。バーストハート(?)が街を修復してくれたおかげで隠れる場所はたくさんある。
肩に痛みが走った。
撃たれたのだ、と知る。
生身ならばともかく、変身しているのなら、多少の銃撃は耐えられる。
だが、当たり所が悪ければ、命に関わる。個人差はあるが、少なくともメリィは銃で殺せる魔法少女だ。
悲鳴を挙げながらメリィは建物の中に逃げ込む。バーストハート(?)が街を修復してくれたおかげで隠れる場所はたくさんある。
そして、クリックベイトはただ、隠れるだけでは終わらなかった。
「そこか!」
電気屋の四階に、乗用車をぶつける。
経験豊富なクリックベイトは、二度の銃撃から狙撃手の場所に予測をつけることができた。
ネコサンダーを抱えながら避難し、同時に攻撃。
そして——魔力の枯渇を感じた。
経験豊富なクリックベイトは、二度の銃撃から狙撃手の場所に予測をつけることができた。
ネコサンダーを抱えながら避難し、同時に攻撃。
そして——魔力の枯渇を感じた。
(くそっ、さっきバーストハートにお願いして回復させてもらうべきだったか)
街と違い、ブレイズドラゴン戦の疲労が、未だ体に残っている。
状態は、絶不調だ。
状態は、絶不調だ。
早期に決着——あるいは撤退をしなければならない。
(まったく、休む暇も無いのか)
今の攻撃で仕留められていればいいか。
そう願うクリックベイトの頭上に、落下する物があった。
そう願うクリックベイトの頭上に、落下する物があった。
視覚を塗り潰す光。
クリックベイトは思わず顔を覆った。
経験豊富な彼女だが、今行われた攻撃が何なのか、咄嗟に判断できなかった。
経験豊富な彼女だが、今行われた攻撃が何なのか、咄嗟に判断できなかった。
もしブレイズドラゴンが生きていれば、すぐに感づいただろう。
DRC——特殊閃光弾。
DRC——特殊閃光弾。
潰れた視界の中で、クリックベイトは抱えていたネコサンダーを遠くに放り投げた。
攻撃の正体が分からなくても、この後の展開を推測することは出来たからだ。
ガードするべくリールを振り上げ——轟音と共に、身体が抉られたのを感じた。
攻撃の正体が分からなくても、この後の展開を推測することは出来たからだ。
ガードするべくリールを振り上げ——轟音と共に、身体が抉られたのを感じた。
仮に、もしブレイズドラゴンに襲撃されず。
深夜と同じように、メリィが他の魔法少女の動向を余裕をもって調べることが出来れば。
気づくことが出来たのかもしれない。あまりに異常事態のため、公のニュースにはなっておらず、戒厳令が敷かれていたが、メリィの魔法ならばそれらのセキュリティを容易く蹂躙できる。
深夜と同じように、メリィが他の魔法少女の動向を余裕をもって調べることが出来れば。
気づくことが出来たのかもしれない。あまりに異常事態のため、公のニュースにはなっておらず、戒厳令が敷かれていたが、メリィの魔法ならばそれらのセキュリティを容易く蹂躙できる。
だが、そんな余裕は無かった。
ネットにダイブしたときは、ブレイズドラゴンの弱点を探るのに精いっぱいで、他の動向など探る時間などなかった。
ネットにダイブしたときは、ブレイズドラゴンの弱点を探るのに精いっぱいで、他の動向など探る時間などなかった。
故に、彼女たちは知らなかった。
『警察署を、奇妙な格好をした少女たちが襲撃し、対糧鮴特殊部隊の装備一式が強奪された』ことを。
「きゃは」「きゃは」「きゃはは」
Eチームは武装を欲していた。何しろ優勝を狙うのだ。他の魔法少女と協力できる他チームと違い、Eチームは基本的にチームだけで戦い、勝利しなければならない。
ならば強い武装を手に入れることは責務であり、あにまん市で最も強い武器が集まるのは——治安を守る警察署である。
市内各地で起こった異変の調査に多くの人員が駆り出されていたこともあり、Eチームは一匹の犠牲を出すことなく、特殊部隊の装備を強奪することに成功した。
狙撃銃、閃光弾もその一つであり。
ならば強い武装を手に入れることは責務であり、あにまん市で最も強い武器が集まるのは——治安を守る警察署である。
市内各地で起こった異変の調査に多くの人員が駆り出されていたこともあり、Eチームは一匹の犠牲を出すことなく、特殊部隊の装備を強奪することに成功した。
狙撃銃、閃光弾もその一つであり。
「きゃははははは、ライフル鬼つええ!」
対物ライフル。
ナサリーブラウンが学校に隠したものとは別物であるが、その威力は傭兵が対異能者(つまり魔法少女)用に準備するもの。
つまりは——大抵の魔法少女は、対物ライフルは致命的だ。
そして、クリックベイトもまた、例外ではなかった。
ナサリーブラウンが学校に隠したものとは別物であるが、その威力は傭兵が対異能者(つまり魔法少女)用に準備するもの。
つまりは——大抵の魔法少女は、対物ライフルは致命的だ。
そして、クリックベイトもまた、例外ではなかった。
「きゃはははは、一網打尽だ」
「とつげきー」
「どうなるかな、どうなるかな」
「とつげきー」
「どうなるかな、どうなるかな」
自動小銃に防弾チョッキを装備した数匹のオオカワウソが、周囲のビルから降りてくる。
クリックベイトは彼女たちを睨み、割れたバイザーを投げ捨てた。
クリックベイトは彼女たちを睨み、割れたバイザーを投げ捨てた。
右腕が、肩から抉れている。
胴体も、傍目で分かるほど——減っている。
胴体も、傍目で分かるほど——減っている。
致命傷だ。
「……引きが、悪いからなぁ……僕は」
思慮深く、心配性な彼女だが、今際の際では、もはや自身のことは心配していなかった。ただ、苦笑が漏れる。
「隠れているペストマスク君。ネコサンダーをお願いしてもいいかな」
柱の陰から、おずおずとウェンディゴが姿を表す。
「……すまない。たぶんこれも、私のせいだ」
「よく分からないけど、元々僕は引きが悪いんだ。気にしなくていいよ」
この場に居る知り合いたちに何か言葉を遺すべきだろうか。
クリックベイトは思案し、そんな時間は無いと諦めた。
クリックベイトは思案し、そんな時間は無いと諦めた。
「うん、僕の知り合いに会ったら、今までありがとうと伝えておいて」
「お、おい、何をするつもりなんだ!?」
と、バーストハートを抱えたまま、メリィが声を張り上げる。
「一緒に逃げるんじゃないのかよ!」
「随分キャラが崩れてるじゃないか、メリィ。
……僕はもう助からない。ここで足止めするから君たちは逃げろ」
……僕はもう助からない。ここで足止めするから君たちは逃げろ」
「そんなの……」
メリィはバーストハートに視線を送った。
もう一度奇跡を起こせば。
もう一度奇跡を起こせば。
「さっき何やっても起きなかっただろ。
世の中そんなに甘くないよ」
世の中そんなに甘くないよ」
クリックベイトは諦めたように言う。
「け、けど……」
「……君の魔法と、バーストハートが起こした奇跡は、このゲームを壊す鍵だ。
それに……一時期、ゲームに乗っていた負い目もあるしね。
僕はここでかっこよく決めさせてもらうよ」
それに……一時期、ゲームに乗っていた負い目もあるしね。
僕はここでかっこよく決めさせてもらうよ」
「……分かったのだ。クリックベイト! これだけで許してあげると思ったら大間違いなのだ! 生きてまた会ったらお説教なのだ、へけっ!」
メリィとウェンディゴは、バーストハートとネコサンダーを抱えてその場を去っていく。
オオカワウソは追撃をしようとし。
オオカワウソは追撃をしようとし。
「おっとそこは禁漁地だ」
クリックベイトの糸が自在に動き、オオカワウソの動きを止める。
「きゃはは」
「おもしろーい」
「ボスキャラかな、ボスキャラかな」
「それって英雄気取りだね」
「おもしろーい」
「ボスキャラかな、ボスキャラかな」
「それって英雄気取りだね」
口調こそ少女のように姦しく、されど彼女たちもまた探索者。
クリックベイトの難敵さに気づいたのか、アイコンタクトを躱しながら、油断なく陣形を作っていく。
クリックベイトの難敵さに気づいたのか、アイコンタクトを躱しながら、油断なく陣形を作っていく。
「……まったく、ただの雑魚エネミーなら楽なんだけどなぁ」
つくづく、引きが悪い。
「……まぁ、悪くないけど」
父親の死と引き換えに魔法少女となり。
様々な人間と絆を紡ぎ。
18年間の人生は、そう悪いものではなかった。
様々な人間と絆を紡ぎ。
18年間の人生は、そう悪いものではなかった。
「僕みたいな魔法少女には——出来過ぎた末路さ」
オオカワウソの銃口が光る。
クリックベイトの糸が自在に動く。
クリックベイトの糸が自在に動く。
10匹と一人の戦いは、熾烈を極め。
【佐々利 こぼね/クリックベイト 死亡】
【残り 26人】
【残り 26人】
【桐生 ヨシネ/バーストハート? 復活】
【轟 猫耳/ネコサンダー? 復活】
【残り28人】
【轟 猫耳/ネコサンダー? 復活】
【残り28人】