バンクス・イタリア軍の攻勢作戦準備
バンクス・イタリア空軍は当該地域(タオエ州)に避難勧告と降伏を促す旨を掲載したビラを投下し、
ヴィクタリア民国の壊滅を目指す本格的な活動を行うことを宣言しました。
バンクス・イタリア軍の対ヴィクタリア作戦総司令官のヴィセンテ・グラツィアーニ元帥は「この本格的な攻撃はタオエ州の奪還とヴィクタリア軍の壊滅を目標にしているが、
かの軍は他国による支援により近代的で性能の高い兵器を持ち、高い士気をもってこれまで抵抗を続けてきた。
この作戦は慎重に計画・実行されなければ、内戦はより長いものとなるだろう」とコメントしました。
なお当初行われる予定だったインフラの破壊は、多数の現地住民を巻き込むことを恐れて計画が破棄されました。
バンクス陸軍は「自国土を破壊してまでの徹底的な攻撃を必要とする敵ではない」と非常に楽観的な見方をしていますが、
ヴィクタリア軍は日増しに質・量ともに膨れ上がる一方です。
なお、新式装備の配備が進んだバンクス陸軍は、攻勢に出るための演習を重ねています。
キーゼル共和国製のティーガー重戦車を装備する第1独立重戦車旅団の車輛と、大型の重戦車に興奮する同隊の歩兵。
重戦車の実戦使用は、バンクス・イタリア軍における重戦車装備の試験的な意味合いも兼ねていると言われている。
ヴィクタリア空軍の「大戦果」
ヴィクタリア空軍第2ストルモ・第211グルッポ所属のFAS-8軽爆撃機3機は、哨戒機の報告によりタオエ州東部付近を航行していた、
バンクス海軍の駆逐艦「フィアンメ」(トルチア・デッラ・グローリア級駆逐艦)を攻撃しましたが、三機が投下した三発の爆弾はすべて命中し、
船体後部を直撃し操舵装置を破壊したうえ艦橋を吹き飛ばし、同艦は座礁しました。
駆逐艦一隻といえども、バンクス海軍にとっては貴重な戦力であり、また同艦はヴィクタリア軍が回収して修理しています。
アウティースタ作戦の開始
バンクス・イタリア軍は、タオエ州都タオエの南に広がるロッコ山地を強引に大部隊で突破しタオエへ侵攻するアウティースタ作戦を開始しました。
バンクス軍は当該地域に存在するヴィクタリア軍の戦力はわずかだと見込んでいましたが、ヴィクタリアは寧ろ、山地の要塞化を行いながら兵力を蓄えており、
同国軍にとっては気候の厳しさこそあるものの、補給基地が整備されており、兵士一人一人が詳細な地理を把握した上での戦いとなるため、
非常に有利な戦いとなるでしょう。
バンクス・イタリア軍のCV.28快速戦車とCV.25快速戦車(手前の車輛、戦闘室が大きく破壊されている)。
ヴィクタリア軍のM18E8戦車( 博柳之国製)との交戦時の写真。
比較的強力な主砲を備えており、バンクス軍の各種主力戦車は同車に対してまったく歯が立たなかったが、対戦車戦闘に特化したCV.28戦車の攻撃により損害を被り、防御力の低さが露呈した。
しかし擱座した車輛の多くは修理可能で、同車の極めて高い信頼性もまた示された。
アウティースタ作戦の難航
バンクス軍の攻撃はヴィクタリア軍の事前の準備により非常に遅々として進まず、増援を要するまでになっています。
第4アルピーニ師団はロッコ山地に対する攻撃のための増援部隊として派遣されましたが、ヴィクタリア軍はこれを察知しています。
兵器の性能差はいかんともしがたいもので、バンクス軍は数で勝りながらも、しばしば大きな損害を出して攻撃の中止を強いられています。
第4アルピーニ師団の第2山岳戦車中隊と第1アルピーニ大隊。
主力戦車CV.31Mは小型軽量で高い踏破性能を持つためあらゆる環境での使用ができることも長所となっていますが、
攻撃力・防御力の不足はもはや致命的であることも証明されてきました。
ヴィクタリア軍第1戦車旅団(第1戦車中隊)の 博柳之国製M18E8中戦車。
ヴィクタリア軍の装備する車両の中では最も使い勝手が良く、高くない防御力もバンクス軍相手ではそれほど問題となっていません。
ロッコ山地での戦いが終結
バンクス軍のアウティースタ作戦は損害が目立ちすぎたために中止され、ロッコ山地における戦いは終結しました。
バンクス軍は戦車の稚拙な運用によって、攻撃のかなめとなる快速部隊・戦車部隊に大損害を被り、一方でヴィクタリア軍は多少の損害を出したものの、ロッコ山地における戦車の使用に関してよく計画していたため、
バンクス軍を一方的に攻撃する形となった戦闘が多く、非常に有利に戦闘を進めました。
勝者と敗者。
マッツァ作戦の開始
タオエ平地において、バンクス軍はついに大規模な攻撃を開始しました。
遮るもののない、広大で平坦なタオエ平地は戦車の投入にうってつけで、バンクス軍は キーゼル共和国から供与された
ティーガー重戦車の200輌(Ⅰ型、Ⅱ型)を根こそぎ投入して強力に作戦を推し進めようとしています。
大規模な航空戦の予兆も現れていますが、ヴィクタリア空軍は各種供与兵器及び、生産を進めた常春国設計の航空機によりすっかり強化され、
対するバンクス軍は数でこそ勝るものの、戦闘機の不足が著しく、扶桑帝国の援助なくしてはまともな戦闘を続けることができないありさまとなりかけています。
バンクス軍はこの戦況に焦りを覚えており、扶桑帝国や日ノ本共和国連邦といった友好国に対して兵器の供与や支援を必死に求めています。
内戦では投入される兵器の性能・相性もばらばらで、ロッコ山地において大活躍を果たした 博柳乃国製のM18E8中戦車が
バンクス軍戦車部隊(ティーガー重戦車および国産のリークトル重戦車、少数のケストレル製多砲塔戦車を装備する第1,2,3独立重戦車旅団。
第1旅団はティーガー重戦車のみを装備する)と交戦しましたが、生粋の重戦車たるティーガーとの戦闘に耐える性能とは言い難く、
数両のリークトル及びケストレル製各種多砲塔戦車を撃破ないし損傷させた記録はあるものの、多くの場合は一方的に撃破されました。
ティーガー重戦車と撃破・放置されたM18E8戦車。
ヴィクタリア空軍に配備された ケストレル民主共和国製の45式複座重戦闘機と 博柳乃国製のF7A1戦闘機。
それぞれヴィクタリア空軍ではCh.45(p)、F.F7A1と改称されています。
また、国籍標識はバンクス軍と似通ったフィンラッシュのみの新仕様となっています。
カンピーニ戦闘機の航続距離の問題から護衛機の機数が不足するバンクス軍爆撃機隊に対し、この2機を組み合わせた運用は非常に効果的とされています。
45式重戦闘機は非常に高い火力をもって容易にバンクス軍爆撃機を撃墜することが可能でありながら、F7A1戦闘機の高い空戦性能はバンクス側の護衛機による反撃を許しません。
密集して飛行するバンクス空軍のカンピーニ戦闘機を攻撃するヴィクタリア空軍の 博柳乃国製のF-6B1戦闘機。
F.F6B1と改称され使用されています。
複葉機の中でも運動性能の優秀なカンピーニに迫る運動性能を持ち、優秀な低空性能を持つ同機はバンクス軍からの制空権獲得に多大な役割を果たしています。
バンクス軍の使用する 日ノ本共和国連邦製のSA-7野砲。
同砲は高い汎用性と信頼性、操作性を備えており、大規模に使用されています。
また後ろには ケストレル民主共和国製の装甲車、 シュトランド連合公国製のT-1AusfA.1(バンクス空軍での名称はS.T101)戦闘機が見えており、
両軍が激しくぶつかり合うこの戦域において国産兵器が頼りにならないことを示しています。
ロッコ山地に取り残されたバンクス陸軍のCV.31M戦車を攻撃するFAS-8( 常春国製T-8の改造型)。
FAS-8は戦争初期から使われている軽爆撃機ですが、バンクス空軍相手には速力の不足も致命的な欠点とはならず、
また搭載可能な爆弾はバンクス軍機甲部隊を効果的に攻撃することが可能です。
バンクス軍の分断を図りタオエ平地を進軍するヴィクタリア軍第1機甲師団のM18E8戦車とうっすらと写る菊池半装軌車(両方とも 博柳乃国製)。
バンクス・ヴィクタリア双方にとって未曽有の激戦となっているこの戦いでは、大規模な戦車部隊による衝突が見られます。
ヴァーレス・イタリアが国家の統一を宣言
バンクス・ヴィクタリア両国がタオエ平地で激戦を繰り広げていた時、両国にとって思いもよらぬニュースが飛び込んできました。
ヴァーレス・イタリアのロドルフォ・ベラールディ書記長は突如、分断されている国家の統一を宣言してヴィクタリアに宣戦布告しました。
その過程で、バンクス・イタリアに対しては一時的に同盟を締結してヴィクタリアを攻撃するよう求めましたが、
バンクスのドゥーチェはこれを却下し、ヴィクタリア民国と休戦し、ヴァーレス・イタリアに対抗する「キティークメオト統一戦線」を結成しました。
しかしヴィクタリア民国軍将兵の半数近くは民主主義を保証するヴァーレス・イタリアとの結託を希望し、
ヴァーレスはこれを許可してバンクス・イタリアを「民主主義に対する脅威」としてヴァーレス側での活動を望むヴィクタリア軍を統合し、その支配領域にカネスク氏を首相とする傀儡政権を立てました。
そして激しい戦闘ののち、ヴィクタリアはバンクスの指揮下でヴィクタリア民国政府の統治する「ヴィクタリア民国」とヴァーレス政府の傀儡国家である「ヴィクタリア民主主義人民共和国」に分断されました。
ヴィクタリア共和国軍は補給を得ることができず早期に殲滅され、残党はヴァーレス島へのがれましたが、その数日後にヴァーレス軍はヴィクタリア東部へ強襲上陸を行いました。
しかしヴァーレスにとってバンクスとの同盟の締結の失敗は予想外であり、ヴァーレスの敗戦は時間の問題だとの見方が強いです。
ヴァーレス軍と戦闘するバンクス軍部隊。
日ノ本共和国連邦製のSG-01突撃砲とPT-2戦闘機、 扶桑帝国製の自走砲。
バンクス軍の死に物狂いの抵抗によりヴァーレスの電撃戦は阻止され、ヴィクトーリア島の東岸近くで戦線は膠着を始めました。
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