21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

MOTER

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MOTER ◆/Fnde2WILg


羽佐間翔子
近藤剣司
小楯衛
カノン・メンフィス


春日井甲洋。


(……畜生!)

仲間が、友達が、自分の知らない場所で次々と死んでいく。
……甲洋も死んだ。結局、まともに話し合うことすらできなかった。
彼は俺の知っている甲洋だったのか、ホムンクルスというコピーだったのか。
衛と翔子は本当に生き返ったのか、……きっと、もう知る術は無い。
剣司、カノン。フェストウムとの戦いの中で最後まで一緒に生き延びた友達ももう居ない。
そして真矢は、誰かを殺した。

(今まで何をやってたんだ、俺は!?)

地面に拳を打ちつける一騎の前には顔を押さえて苦しそうに俯くシャーリーが居る。
さっきまでの惨殺ショーは一体なんだったのか、幻覚の一種だとでもいうのか、
彼女はピンピンしている。無事で良かった事は幸いだが……。

「そんな、馬鹿な……!?」

――――この人がこんなに動揺するなんて。

温泉で自分を励ましてくれた、あの何事にも動じそうな包容力を備えたシャーリーさんが
尋常でないほど狼狽している。それほど大切な人が死んだというのか。

「あの……シャーリーさん、ひょっとして……。」


真矢が殺したらしい、恐らくシャーリーさんと同じ世界から来た仲間。
心臓が跳ねる音がする。
自分の友達が、この人の大切な人を奪ったというのだろうか?

「サーニャさん、て……。」
「近藤剣司、君の友達か?」
「!?」

俯いたままのシャーリーに剣司の名前を告げ、思わずその場で立ち止まる。
そういえば、剣司を殺したというのは――。

「……ルッキーニが人を殺したって?ははっ、そんな馬鹿な。」

サーニャとリーネが死んだこともショックだったが、
彼女をかつて無いほど困惑させているのはその後続いた内容である。
エイラは言いたくないが、仕方が無い。
あの娘は普段はヘタレだけどこういう場に放り込まれたら
サーニャを助ける為にたとえ501全員を敵に回してでも戦うだろう。
サーニャが絡んでいる状況ならそれだけの覚悟がある筈だ。
でも、ルッキーニは……。

「私の、せいなのか?だとしたら、とんだ監督不届きだな。」
「……シャーリーさん。」

現場を知らない者は、殺した側と殺された側の状況は判らない。
淡々とした放送のみで想像されるのは常に最悪なイメージでしかない。

「俺の友達も、きっとあなたの友達を殺しました。」
「……全員を殺すしか、確実に帰れる方法が無いみたいだからな。
 嫌味なくらいよくできたゲームだな、本当。
 で、友達を殺した奴の仲間の私を殺したくなったかい?一騎君。」
「そんなこと、できる筈が無いです!」

報復の連鎖。わざわざ下手人を公開した主催者の狙いは正にそれだろう。
ここで乗せられてせっかく心を許したものを憎み、
疑心暗鬼になってしまっては完全に思う壺である。

「そうか、じゃあ、私も、少し冷静にならないとな。」

両手で自分のほっぺを叩いて、シャーリーは立ち上がる。

「私はルッキーニを捜すよ。絶対、なにか事情がある筈なんだ。
 私が信じてあげなくてどうする。真矢って娘も、きっと何かある筈だよ。」
「ええ!」

いつの間にか、自分が知っている彼女の顔に戻っていた。
過去の事を悔やんでも仕方が無い。前に進むことが、生き残った者の義務である。

「……と、言ったものの、ちょっと問題ありだなー、こりゃ。」

問題というのは、幻覚から目覚めた時に一騎が発見した置手紙である。
『逃げた少年を追う為に、これを借りる』と書かれた内容どおり、シャーリーが装備していた
武装錬金「モーターギア・アナザータイプ」がなくなっいていた。
放送の無いようだとアルファルドが甲洋を殺した訳ではないというのは不幸中の幸いであったが
今自分達には高速移動の手段が無い。探索するには不十分だ。

「アルファルドが戻ってくるのを待つか?いや、多分戻ってこないだろうなー。」

一時的に手を組んだ、それだけの知り合いである。
あっさり見捨ててしまう可能性も十分考えられる。

「あーあ、やっぱ、歩くしかないかな。」
「そうですね。……ん?」

病院の外で、蹄の音がする。
二人で壁越しに外の様子を見た。
そこに居たのは……。

「な、なんだありゃ!?」
「……咲良!!!!」

一騎は病院から飛び出し、女性を乗せた馬に駆けつけた。

「ちょっと、一騎君!?」
「仲間です!あの人は俺たちの!」
「そ、そうか、それはいいんだが……。」

シャーリーも後に続いて駆け寄る。
その女性、馬に跨る要咲良の様子もまた尋常では無かった。
なにせ全裸である。服を何も身に着けていないのだ。
ぶつぶつと何かを呟きながら、
まるでフェストゥムに同化されたかのような虚ろな瞳で黒竜号にまたがる
その姿にかつて要流の師範代を務め、竜宮島最強の女と呼ばれていた面影は
微塵も残されていない。

「……これは酷いな。一体何をされたんだ?」
「咲良!しっかりしろ!」
「……き。」
「え?」

「……嘘つき。」

剣司が、死んでしまった。
いつか自分よりも強くなって私を護ると言ってくれたあいつが。
ゴリラに強姦されそうになるような地獄における、唯一の希望が失われた。
もう、何を信じればいいんだろう。何もわからない。もうどうでもいい。

「と、とにかく、病院に戻ろう。」

二人掛りで馬から下ろされている時もまるで現実感が無かった。
片方は、ひょっとして一騎だろうか?……ははっ結局一勝もできないままだったね、剣司。
もう片方の胸の大きい女の子は黒竜号を希望に満ちた瞳で見つめていた。
一体なにがそんなに嬉しいのか。

「……馬!乗り物っ!」
「シャーリーさん?」
「……すまない一騎君。必ず戻ってくるから、この娘と一緒に少し待っててくれないか?」
「気持ちは分かりますけど、でも。」
「頼む、私はルッキーニを捜さなきゃいけないんだ!」

その名前を聞いて、咲良の瞳に生気が戻った。


剣司を殺した奴の名前。

なんでその名前が今出てくる?

そうか。

「仲間なんだ、ルッキーニの。」
「咲良?」

その瞬間、一騎の体を突き飛ばした咲良は、鞍に引っ掛けていた散弾銃を手に取った。

「このぉ!!」
「……シャーリーさん!?危ない!」
「え?」

子気味良い発砲音と共に、散弾銃が火を噴いた。
不意を突かれたシャーリーの体に、12ゲージショットシェルの雨が降り注がれる。
避ける間もなくそれらをすべて豊満な身体に受けたシャーリーは、
血を撒き散らしながらその場へ崩れ落ちた。

「シャーリーさん!!!!」
「どいて!一騎ぃ!」
「なんてことを!」
「そいつの仲間が殺したのよ!剣司を!」
「こんなことしたって意味が無い!」
「うるさい!邪魔すんなぁ!」

間髪居れずに一騎にも銃口が向けられる。
反応とした避けようとした一騎が、何かに服を引っ張られた。
息も絶え絶えなシャーリーである。

(……すまない一騎君。)

口から血を流しながら、何かを小さな声で何かを伝えていた。

(ルッキーニは、殺し合いに乗る娘じゃない。もし遭えたら、ちゃんと話を聞いてあげてくれないか?)
(シャーリーさん?何を!?)

シャーリーの身体が光り、ウサギの耳がぴょこんと生える。
その発光はいつの間にか一騎と、もう片方の手で触れていた黒竜号にも移っていた。

(……頼む、最期の、お願いだ!)
「うわっ!?」

一騎はシャーリーの手によって黒竜号の上に投げ出され、背中に乗せられた。
それと同時に、立ち上がったシャーリーが黒竜号を思いっきり蹴り飛ばす。
その衝撃に驚いた黒竜号は思わず走り出し、異常な速さでその場から姿を消していった。

「……えぇ!?」

その場に取り残された咲良は呆然と立ち尽くす。
全身から血を垂らしながら立っているシャーリーは語りかけた。

「なぁ、私を殺したら、ルッキーニにを殺しにいくのか?」
「あ、当たり前じゃない。」
「……そっか。」

言葉を終えた直後、一瞬でシャーリーの身体が膨張した。
錯覚させる程の速度で彼女は咲良の目の前に立っていたのだ。
慌てて散弾銃の引き金を引こうとするが、手に感触がない。
何事かと慌てふためく咲良はそれに気付く。
目を離した覚えは無いのに、銃口を向けていたはずのシャーリーが、
逆に散弾銃をこちらに向けていることを。

「……なに、これ?」
「種も、仕掛けも無い、ただの、魔法だよ。」
「……剣っ!」

原始的な発砲音が鳴り響き、全裸の咲良に非情な散弾が降りかかる。
散弾は撃つ距離が近づけば近づくほど一部を集中して破壊する。
助かる可能性は、0だった。

(……けん、じ……。)

信じられないような顔をしたまま、咲良の身体は空を見上げて倒れ込む、そのまま動かなくなった。

「……すまないな……でも……私もあの娘には死んで欲しくないんだよ。
 君と君の彼氏の対価は……私一人の命で勘弁してくれないかな?」

シャーリーの通った場所は、異常な速度で噴出した彼女の血液で道が作られていた。
即死しなかったとはいえ、この状態で加速の魔法を使うことは自殺に等しい行為だったのだ。
咲良の死体を悲しそうに見つめながらシャーリーは皮肉そうに嗤う。

(……これで私も一緒だな、ルッキーニ……。)

そしてシャーリーもまた、空を見上げながら大の字になって倒れこんだ。
太陽が眩しい。夜が明けて朝になっていたのだ。

――もし地獄があるのなら、私はそこで待ってるよ。
――私も罪人なんだ、同じ場所で、また遭えるさ。寂しくないだろう。
――でも、でも出来ればやっぱり生き延びてくれ。
――何があっても、私だけは最後までルッキーニの味方だからさ。
――空の上から、ずっと見守って……。

ゆっくりと、目を閉じる。
それが開かれることは、二度と無かった。

【 シャーロット・E・イェーガー@ストライクウィッチーズ 死亡 】
【 要咲良 @蒼穹のファフナー 死亡 】
【 残り36人 】

【一日目 D-5 道路 朝】


【真壁一騎@蒼穹のファフナー】
[状態]呆然自失、深い喪失感
[装備]宝剣・靖王伝家@真・恋姫†無双 、黒龍号@魁!!クロマティ高校
[道具]基本支給品×1、不明支給品0~1
[思考]
基本:竜宮島の仲間を島に帰す
1:咲良…シャーリーさん…
2:総士、翔子を守る
3:竜宮島の仲間を探す

※現在南へ向かって通常の三倍の速度で移動中です。
※C-4の二人の死体の傍にに散弾銃、ランダム支給品0~3が放置されています。


064:世界の蝶番はうめく 投下順に読む 066:留守番
時系列順に読む
053:死の先を逝く者たちよ 真壁一騎 0:[[]]
053:死の先を逝く者たちよ シャーロット・E・イェーガー 死亡
046:誤解~だんぜつ~ 要咲良 死亡

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