001 邪気乱遊戯 ◆RwUmY1K.wU
音無結弦は混乱していた。
目の前で繰り広げられた殺戮と、自らが置かれた状況に。
目の前で繰り広げられた殺戮と、自らが置かれた状況に。
音無結弦は混乱していた。
一瞬前まで確かに暗い大部屋にいたはずなのに、今は満天の星空の下にいる。
音無が気を失っていたわけではない。
意識は完全に連続している。
一瞬前まで確かに暗い大部屋にいたはずなのに、今は満天の星空の下にいる。
音無が気を失っていたわけではない。
意識は完全に連続している。
音無結弦は混乱していた。
今その手の中にある拳銃の重さに。
使い慣れたグロック17が、今はまるで重いハンマーのように感じられる。
今その手の中にある拳銃の重さに。
使い慣れたグロック17が、今はまるで重いハンマーのように感じられる。
音無結弦は混乱していた。
首元に手をやれば冷たい感触がある。
首輪のようなものが巻かれている。
圧迫感を感じる。
首元に手をやれば冷たい感触がある。
首輪のようなものが巻かれている。
圧迫感を感じる。
音無結弦は混乱していた。
『人が死んだ』。
あの閉じた世界では決して起こり得ない、
絶望的なまでの断絶。
かつて音無自身何度も経験した『死』とは違う。
彼らは『生き返らなかった』。
『人が死んだ』。
あの閉じた世界では決して起こり得ない、
絶望的なまでの断絶。
かつて音無自身何度も経験した『死』とは違う。
彼らは『生き返らなかった』。
音無結弦は混乱していた。
今この瞬間、音無へと機関銃を構える少女に、どう対処すべきかわからなかったから。
今この瞬間、音無へと機関銃を構える少女に、どう対処すべきかわからなかったから。
銃を手にしていたのがまずかった。
お互いの姿を確認したのはほぼ同時だったが、状況を把握できていなかった音無はとっさに少女に銃を向けてしまったのだ。
お互いの姿を確認したのはほぼ同時だったが、状況を把握できていなかった音無はとっさに少女に銃を向けてしまったのだ。
少女は弾かれたように自分の銃を構えた。
まずいと思ったときにはもう遅かった。
まずいと思ったときにはもう遅かった。
撃たれる前に撃つか?
その少女は銃など持ったことがないのだろう。
汗に濡れ、体は震え、目線は定まらず、引き金にかけた指は哀れなほどに硬直している。
しかし機関銃だ。
乱射されれば弾丸の一発や二発が音無に命中してもおかしくはない。
この状況なら音無が勝つ確率は十分にある。
天使と戦っていたときのように引き金を引けば、簡単にあの少女を無力化できる――
その少女は銃など持ったことがないのだろう。
汗に濡れ、体は震え、目線は定まらず、引き金にかけた指は哀れなほどに硬直している。
しかし機関銃だ。
乱射されれば弾丸の一発や二発が音無に命中してもおかしくはない。
この状況なら音無が勝つ確率は十分にある。
天使と戦っていたときのように引き金を引けば、簡単にあの少女を無力化できる――
(できる、のか? もしかしたら、殺してしまうんじゃ……)
ゴランという男が死んだ、否、殺されたときの光景が脳裏に浮かび、音無をためらわせる。
おそらくここでは死は絶対なのだ。
傷ついても時間がたてば癒える、致命傷だって跡形もなく。
なぜなら音無達は既に死んでいるのだから――そんな音無の常識は、どうやら通用しそうにない。
だからこそ、容易く人を死に至らしめるこの銃という武器の重さを、音無は初めて恐怖していた。
おそらくここでは死は絶対なのだ。
傷ついても時間がたてば癒える、致命傷だって跡形もなく。
なぜなら音無達は既に死んでいるのだから――そんな音無の常識は、どうやら通用しそうにない。
だからこそ、容易く人を死に至らしめるこの銃という武器の重さを、音無は初めて恐怖していた。
もちろん音無に人を殺す気はない。
銃を向けられたのは事故の様なものだ。
少女にもその気はなかったはず。
だからできるなら傷つけることなくこの場を収めたい。
銃を向けられたのは事故の様なものだ。
少女にもその気はなかったはず。
だからできるなら傷つけることなくこの場を収めたい。
音無と少女の間の緊張は刻一刻と高まっていき、もはや迂闊に動くこともできなかった。
少しでも音無が動く気配を見せたら、少女は反射的に引き金を引いてしまうかもしれない。
こうなったらまずなんとか機関銃の射線から逃れるように走り、
少女から銃を取り上げるしかないか――と音無が思ったとき。
少しでも音無が動く気配を見せたら、少女は反射的に引き金を引いてしまうかもしれない。
こうなったらまずなんとか機関銃の射線から逃れるように走り、
少女から銃を取り上げるしかないか――と音無が思ったとき。
「銃を下ろしてください! 人間同士で殺し合うなんて、そんなの間違ってます!」
女の子が、音無と少女の間に飛び込んできた。
その人物は――なんというかよくわからない格好をしていた。
上はセーラー服だ。それはいい。
だが下が問題だ――何も履いていない。
いや、よく見れば水着のようなものを履いてはいたが、白い足がむき出しだった。
一般的な女性の観点からすれば多分恥ずかしいはずだと音無は思ったが、その女の子は気にした様子もない。
両手をいっぱいに広げ、音無と少女の間に立ちはだかっていた。
その人物は――なんというかよくわからない格好をしていた。
上はセーラー服だ。それはいい。
だが下が問題だ――何も履いていない。
いや、よく見れば水着のようなものを履いてはいたが、白い足がむき出しだった。
一般的な女性の観点からすれば多分恥ずかしいはずだと音無は思ったが、その女の子は気にした様子もない。
両手をいっぱいに広げ、音無と少女の間に立ちはだかっていた。
「お願いです、銃を下ろして!」
はっとして音無は銃を下ろした。
よくわからないが、これはチャンスかもしれない。
よくわからないが、これはチャンスかもしれない。
「ま、待ってくれ! 俺だって殺し合う気なんてない! 銃を向けたのは驚いたからで、君を殺そうとしたわけじゃないんだ!」
女の子の向こうにいる少女へと、音無は叫んだ。
目を白黒させる少女。
これでは足りないかと、音無は銃を地面に置いて軽く蹴った。
銃は回りながら離れていく。
これでは足りないかと、音無は銃を地面に置いて軽く蹴った。
銃は回りながら離れていく。
「俺の名前は音無! 殺し合うつもりなんてない、本当だ!」
「……ふぁ」
「……ふぁ」
風船から空気が抜けるような息を漏らして、少女は銃を下ろした。
もとより腕の筋肉も限界だったのだろう。
下ろしたというより落としたという方が適切だった。
音無もほっと息を吐く。
もとより腕の筋肉も限界だったのだろう。
下ろしたというより落としたという方が適切だった。
音無もほっと息を吐く。
「良かった……」
後から現れた女の子は音無と同じように安心して力が抜けたのか、地面へ座り込んだ。
音無は近づいていって手を差し伸べる。
音無は近づいていって手を差し伸べる。
「ありがとう、おかげで助かったよ」
「あ、いえいえ。誰も怪我をしなくて何よりです。あ……私、宮藤芳佳です」
「あ、いえいえ。誰も怪我をしなくて何よりです。あ……私、宮藤芳佳です」
宮藤は立ち上がると少女へと近寄っていく。
「あの、お怪我ないですか?」
「あ……だ、大丈夫……です……」
「私、宮藤芳佳です。あなたのお名前は何ですか?」
「羽佐間……翔子、です……」
「あ……だ、大丈夫……です……」
「私、宮藤芳佳です。あなたのお名前は何ですか?」
「羽佐間……翔子、です……」
体が弱いという翔子を音無が背負い、三人は地図で近くにあると確認した学校へと向かっていた。
道すがら、宮藤が名簿を広げお互いの知り合いの情報を簡単にだが交換していく。
三人が三人とも五人以上の仲間が、三人合わせればちょうど二十人の探し人がいることがわかった。
全八十人のうち四分の一の数を集めれば、きっと殺し合いなんてせずにすむ。
不安を内包した笑顔を浮かべ宮藤はそう言った。
そして学校の敷地に入ったとき、
道すがら、宮藤が名簿を広げお互いの知り合いの情報を簡単にだが交換していく。
三人が三人とも五人以上の仲間が、三人合わせればちょうど二十人の探し人がいることがわかった。
全八十人のうち四分の一の数を集めれば、きっと殺し合いなんてせずにすむ。
不安を内包した笑顔を浮かべ宮藤はそう言った。
そして学校の敷地に入ったとき、
――ドンッ!!
体を震わせるような轟音とともに、学校の教室が一つ爆発した。
「な、なんだ!?」
翔子を校門の陰へと下ろし、機関銃を借りた音無が周囲を警戒した。
「誰か、もう殺し合ってるやつがいるってのか?」
「音無さん、私が様子を見てきます」
「いや宮藤は羽佐間を頼む。俺が行ってくる」
「音無さん、私が様子を見てきます」
「いや宮藤は羽佐間を頼む。俺が行ってくる」
まだ引き金を引く決意はできていなかったが、それでも女の子を危険な目に遭わせるわけにはいかず音無はそろそろと校門をくぐる。
開いていた入り口から校舎へと進入した。
開いていた入り口から校舎へと進入した。
「誰だ!」
物音がしたところに反射的に銃を向ける。
そこには、左腕からだくだくと血を流す一人の女がいた。
そこには、左腕からだくだくと血を流す一人の女がいた。
「助……けて……」
「おい、しっかりしろ!」
「おい、しっかりしろ!」
音無は膝から崩れ落ちた女を抱き起こす。
女の左腕は何か鋭い刃物で切りつけられたように大きな傷が一つ走っていた。
女の左腕は何か鋭い刃物で切りつけられたように大きな傷が一つ走っていた。
「何があったんだ!?」
「急に……襲われて……まだ……仲間が向こうに……」
「くっ、ちょっと待ってろ、すぐ手当てをしてやる」
「音無さん、私がやります!」
「急に……襲われて……まだ……仲間が向こうに……」
「くっ、ちょっと待ってろ、すぐ手当てをしてやる」
「音無さん、私がやります!」
突然宮藤の声が聞こえ、音無は押し退けられた。
宮藤は傷ついた女へと手をかざし、意識を集中させる。
ぽう、と宮藤の手が輝くと、その光を浴びた女の出血が緩慢に収まっていく。
宮藤は傷ついた女へと手をかざし、意識を集中させる。
ぽう、と宮藤の手が輝くと、その光を浴びた女の出血が緩慢に収まっていく。
「宮藤?」
「私、治癒魔法が使えるんです」
「魔法……?」
「私、治癒魔法が使えるんです」
「魔法……?」
音無の友人である「天使」の能力ハンドソニックのようなものだろうか?
と考えて、今はそんな場合ではないと音無は頭をかいた。
横を見れば入り口のところに翔子がいた。校門に一人で置いていくわけにもいかず宮藤が連れてきたのだろう。
女の傷はゆっくりとだが確実に塞がっているようだ。
宮藤の能力は本物だ。
ならば、音無が現時点で彼女にできることはない。
と考えて、今はそんな場合ではないと音無は頭をかいた。
横を見れば入り口のところに翔子がいた。校門に一人で置いていくわけにもいかず宮藤が連れてきたのだろう。
女の傷はゆっくりとだが確実に塞がっているようだ。
宮藤の能力は本物だ。
ならば、音無が現時点で彼女にできることはない。
「宮藤、俺はあっちの様子を見てくる。この人の事、頼んだ」
「はい!」
「はい!」
爆発が起きたと思われる教室へ走った。
中に入ると机や椅子が散乱していたが、その中に人影を見つけ音無は駆け寄った。
中に入ると机や椅子が散乱していたが、その中に人影を見つけ音無は駆け寄った。
「おい、しっかりし……?」
人影の体に触った瞬間、そいつの体はぼろっと灰が崩れるようにばらばらになった。
至近距離で起こった爆発のあまりの高熱に一瞬で焼き尽くされたのだ。
よく見てみればその死体のそばが爆心地だったのだろう。
そこから放射状に教室は破壊されていた。
至近距離で起こった爆発のあまりの高熱に一瞬で焼き尽くされたのだ。
よく見てみればその死体のそばが爆心地だったのだろう。
そこから放射状に教室は破壊されていた。
「くそ、一体誰が……あっ!」
教室の片隅に、机に埋もれて人の足のようなものが見えた。
近寄って掘り出してみると、音無と同じ年ごろの少年だった。
近寄って掘り出してみると、音無と同じ年ごろの少年だった。
「まだ息がある。おい、しっかりしろ!」
「うう……」
「ちょっと待ってろ、すぐ仲間を呼んでくる! こんな怪我なんてすぐに治せるから、だから絶対に死ぬな!」
「うう……」
「ちょっと待ってろ、すぐ仲間を呼んでくる! こんな怪我なんてすぐに治せるから、だから絶対に死ぬな!」
音無は火傷を負った箇所を触らないようにしてその少年を背負う。
「に…………て」
「喋るな、すぐ助けてやるから!」
「にげ……て」
「喋るな、すぐ助けてやるから!」
「にげ……て」
「だから黙ってろって!」
「逃げ……女が……襲って……っ!」
「……おい?」
「逃げ……女が……襲って……っ!」
「……おい?」
喋り終えた瞬間、少年は大きく痙攣した。
背負った体から力が抜けるのを感じた。
背負った体から力が抜けるのを感じた。
「おい……嘘だろ……」
少年の体が軽くなったように感じた。
何かが抜け落ちたの……もう手遅れなのだと、音無は悟ってしまった。
何かが抜け落ちたの……もう手遅れなのだと、音無は悟ってしまった。
――ドンッ!!ドンッ!!
その瞬間、教室の外でまた爆発音がした。
しかも今度は二回だ。
しかも今度は二回だ。
「また!? くそ……ごめんな、後で必ず来るから!」
もう死んだと判断するしかない少年を下ろし、音無は宮藤と翔子のところに駆け出した。
道中、ちりちり肌を焼く炎が音無を包む。
よほど強力な爆弾なのだろうと音無は考えた。
道中、ちりちり肌を焼く炎が音無を包む。
よほど強力な爆弾なのだろうと音無は考えた。
「宮藤、羽佐間!」
校舎の入り口にまで来た。
そこには宮藤が倒れていて。
そこには宮藤が倒れていて。
「羽佐間がいない? おい宮藤、大丈夫か!?」
「…………」
「宮藤!……よかった、気を失ってるだけか」
「…………」
「宮藤!……よかった、気を失ってるだけか」
銃を置いて宮藤を抱き起こす。
宮藤に目立った外傷を発見できず、音無は息を吐いた。
宮藤に目立った外傷を発見できず、音無は息を吐いた。
――ザクッ
「え?」
ほっと安心した瞬間、音無の胸から鋭い金属の棘が生えていた。
一拍遅れて痛みというより熱さを感じた。
のどに血が吹き上がってきて、うまく呼吸できない。
なんとか首を巡らせて背後を見る。
そこには宮藤が治療していた女が、唇を吊り上げて音無を見ていた。
一拍遅れて痛みというより熱さを感じた。
のどに血が吹き上がってきて、うまく呼吸できない。
なんとか首を巡らせて背後を見る。
そこには宮藤が治療していた女が、唇を吊り上げて音無を見ていた。
「あんた……どうして……?」
「ご苦労さまねえ。おかげで助かったわぁ」
「お前が……あの爆発の……?」
「運が悪かったと思いなさい。私と姉さまのために死ねるのだから、お前は幸せ者よ」
「ご苦労さまねえ。おかげで助かったわぁ」
「お前が……あの爆発の……?」
「運が悪かったと思いなさい。私と姉さまのために死ねるのだから、お前は幸せ者よ」
女がぐりっと手元を捻る。
音無の胸を貫通した刃が動き、傷口をえぐった。
音無の胸を貫通した刃が動き、傷口をえぐった。
「ガハッ……!?」
「死んじゃうんだよォォ~お前は死んじゃうんだよォォ~」
「死んじゃうんだよォォ~お前は死んじゃうんだよォォ~」
うっとりと歌を口ずさみ、女は更にガラス片を押し込んだ。
――中には勘違いされている方もいると思うので予め言っておきますが――死んだ人間は生き返りませんよ。当然
唐突に、音無の脳裏に一人の男の映像が再生された。
最初の大部屋で最後に現れた男がこう言っていた。
あれは今考えれば音無に……いいや、音無達SSSメンバー全員に向けて言ったんだろうと思った。
最初の大部屋で最後に現れた男がこう言っていた。
あれは今考えれば音無に……いいや、音無達SSSメンバー全員に向けて言ったんだろうと思った。
(俺、消えるのか?)
それが最後だった。
音無結弦の意識はそれで途絶した。
音無結弦の意識はそれで途絶した。
「サビ歌いなさい……ってあら、もう死んじゃったの? だらしねぇな」
リャン・チーは握っていた窓ガラスの破片を投げ捨て、音無の死体を突き飛ばした。
刺すときにちゃんと布で傷口を押さえていたので返り血は飛んでいない。
さきほど爆殺した小娘の死体から剥ぎ取った服だ。
今度は爆弾――リャン・チーに支給された武装錬金「ニアデスハピネス」の威力を抑えたため、跡形もなく死体が吹っ飛ぶということはなかった。
どうやら使うものの意志一つで自在に黒色火薬を生成、遠隔操作もできる武器らしい。
さきほど二人の少年を襲ったときは加減を間違えて自分をも巻き込んでしまったが、今度は成功した。
手榴弾を投げるイメージをすれば火薬を生成しやすかった。
刺すときにちゃんと布で傷口を押さえていたので返り血は飛んでいない。
さきほど爆殺した小娘の死体から剥ぎ取った服だ。
今度は爆弾――リャン・チーに支給された武装錬金「ニアデスハピネス」の威力を抑えたため、跡形もなく死体が吹っ飛ぶということはなかった。
どうやら使うものの意志一つで自在に黒色火薬を生成、遠隔操作もできる武器らしい。
さきほど二人の少年を襲ったときは加減を間違えて自分をも巻き込んでしまったが、今度は成功した。
手榴弾を投げるイメージをすれば火薬を生成しやすかった。
「にしても……魔法、ねぇ。ボナーとも思えないけど」
リャンは倒れている宮藤を見下ろした。
初回の爆発が予想外に大きく、飛び散った破片で傷ついてしまったリャンを治療した少女だ。
最初は殺す気だったもののその能力は使えると判断したため、ニアデスハピネスを宮藤の視界の外から怪我をしない程度の威力で爆発させて気絶させた。
そして状況を理解できない翔子をこちらは遠慮なく爆殺し、音無が戻ってくるのを待っていたのだ。
血相を変えて戻ってきて銃を下ろした音無は隙だらけで、背後に回って刺すのはとても簡単だった。
初回の爆発が予想外に大きく、飛び散った破片で傷ついてしまったリャンを治療した少女だ。
最初は殺す気だったもののその能力は使えると判断したため、ニアデスハピネスを宮藤の視界の外から怪我をしない程度の威力で爆発させて気絶させた。
そして状況を理解できない翔子をこちらは遠慮なく爆殺し、音無が戻ってくるのを待っていたのだ。
血相を変えて戻ってきて銃を下ろした音無は隙だらけで、背後に回って刺すのはとても簡単だった。
「おっと、こうしちゃいられない。この娘が目を覚ます前に……」
まだ硬直の始まっていない音無の指を動かし、床に血文字を描く。
『か な ん に き を つ け ろ』
「うん、上出来ぃ♪」
花が咲いたようにリャンは微笑む。
噂に名高き【鉄の闘争代行人】をこんな小細工でどうにかできるとは思っていないが、ないよりはマシだろう。
そして宮藤を軽く蹴る。
噂に名高き【鉄の闘争代行人】をこんな小細工でどうにかできるとは思っていないが、ないよりはマシだろう。
そして宮藤を軽く蹴る。
「う……?」
彼女が目を覚ます前に、リャンは少し離れた場所へと横たわった。
宮藤が治療してくれた腕の傷を軽くひっかき、固まりかけていた血を再度流しだす。
そして、目を閉じた。
宮藤が治療してくれた腕の傷を軽くひっかき、固まりかけていた血を再度流しだす。
そして、目を閉じた。
「あ、あれ……?私……」
宮藤が目を覚ましたらしい。
リャンは息を潜めた。
リャンは息を潜めた。
「音無さん!? しっかり……そ、そんな……!」
音無の死体を見つけたらしい。
だがすぐに息は無いとわかるだろう。
だがすぐに息は無いとわかるだろう。
「翔子さん……いない。あっ、大丈夫ですか!?」
もう一人の小娘はすでに爆殺している。
衣服を奪うため首から下は残してあるが、頭部は粉々だ。
そして目論見どおり床に倒れているリャンを発見して宮藤が近づいてきた。
衣服を奪うため首から下は残してあるが、頭部は粉々だ。
そして目論見どおり床に倒れているリャンを発見して宮藤が近づいてきた。
「しっかりしてください!」
「う……?」
宮藤に抱き起こされるリャン。
固く閉じていた目を弱々しく開き、か細く息を吐く。
固く閉じていた目を弱々しく開き、か細く息を吐く。
「傷が開いてる……待っててください、すぐに治しますから!」
「あり……がとう……」
「あり……がとう……」
懸命に治療を施す宮藤を見て、リャンは笑い出しそうになるのを我慢した。
――いい駒拾ったわぁ。この子がいれば姉さまが怪我をしていても私が治してあげられる。
――姉さま、待っててください。すぐに私がそばに参りますから……!
――姉さま、待っててください。すぐに私がそばに参りますから……!
【コウタ@エルフェンリート 死亡】
【広野紘@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【羽佐間翔子@蒼穹のファフナー 死亡】
【音無結弦@Angel Beats! 死亡】
【広野紘@ef - a tale of memories./melodies. 死亡】
【羽佐間翔子@蒼穹のファフナー 死亡】
【音無結弦@Angel Beats! 死亡】
【残り76人】
【一日目 E-5 学校 深夜】
【リャン・チー@CANAAN】
[状態]:左腕に切り傷
[装備]:核鉄「ニアデスハピネス・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:アルファルドのために他の参加者を皆殺しにする
1:アルファルドと合流する
2:宮藤芳佳を利用する
[状態]:左腕に切り傷
[装備]:核鉄「ニアデスハピネス・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1
[思考]
基本:アルファルドのために他の参加者を皆殺しにする
1:アルファルドと合流する
2:宮藤芳佳を利用する
【宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康、精神的に動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:とにかくリャン・チー(名前は知らない)を治療する
2:音無さんと翔子さんは……?
[備考]
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。
[状態]:健康、精神的に動揺
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:とにかくリャン・チー(名前は知らない)を治療する
2:音無さんと翔子さんは……?
[備考]
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。
※E-5に結構な大きさの爆発音がしました。
※学校の教室内にはコウタと紘の荷物が落ちています。
※学校の廊下にグロック17、マイクロUZI、音無と翔子の荷物が落ちています。
※学校の教室内にはコウタと紘の荷物が落ちています。
※学校の廊下にグロック17、マイクロUZI、音無と翔子の荷物が落ちています。
000:胎動 | 投下順に読む | 002:教会と銃声 |
時系列順に読む | ||
リャン・チー | 020:悪魔が目覚める日 | |
宮藤芳佳 | ||
コウタ | 死亡 | |
広野紘 | 死亡 | |
羽佐間翔子 | 死亡 | |
音無結弦 | 死亡 |