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悪魔が目覚める日

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悪魔が目覚める日◆x/rO98BbgY


「いったい、何があったの……?」

硝煙の臭いが漂う校舎の入り口で、芳佳は呆然と呟く。
自分が気を失っている間に……少なくとも、二名の人命が失われてしまったのだ。
軍人である自分が助けなければならなかったのに。
せめてもの救いは、左腕に怪我を負った女性を無事治療出来た事だが――

「ごめんなさい……。私にも何が起こったのか、よくわからないの……でも見て! 何かダイイングメッセージが残されてるみたい!」

リャン・チーと名乗った女性が指さした場所には、音無が残したとおぼしき文字があった。
その文字は中国の簡体字で書かれていたのだが……なぜか芳佳には扶桑のひらがなとして読める。

『か な ん に き を つ け ろ』

かなん……犯人の名だろうか。
それとも何かの暗号……眉をひそめる芳佳をフォローするように、リャンは嘯く。

「きっとあの女の名前ね……」
「女?」
「ええ、ちらっとだけ見たんだけど、プラチナブロンドの……若い女だったわ。
 見て! 名簿にも名前が載っている。気を付けないと……」

女は芳佳の荷物から名簿を取り出すと、勝手にそこにアンダーラインを引く。

「また襲ってくるかもしれないわ。長居は無用よ。早くここから去りましょう」
「は、はい……」

えらく手際のいい女性だと思ったが、命令される事に慣れている下士官気質か。芳佳は従順にその言葉に従う。
飛び散った荷物を回収し、音無たちの死体は……酷い話だが、この場に放置していくより他にはなかった。

「ごめんなさい……この戦いを終わらせたら、絶対戻ってきますから……」

守れなかった少年たちに別れを告げ、芳佳たちが校舎を出ようとしたその時である。

「ま、待ってください! 騙されちゃ駄目です! 私、見てました。犯人は――その人ですっ!!」

告発の叫びをあげながら、その細い腕でリャン・チーを指さして。
桃色のロングヘアを持つ少女が、校庭の木陰から現れた。



「ハァ? アンタ、何言ってんのォ?」
「私、全部見ていたんです……貴方があの男の子を刺すところも……女の子を爆発させたところも……っ!」
「え? ええ!?」

ぶるぶると震えながら、桃色の少女――劉備は声を張り上げる。
そう、ずっと見ていた。助けなきゃいけなかったのに、怖くて身体が動かなかったから――。
闇の中で、目を凝らしてリャン・チーのやる事を、ただ見ていたのだ。
情けなさと、申し訳なさで涙が滲む。
だが、このまま見過ごすわけにはいかなかった。
少年少女を闇討ちにし、芳佳を騙してカナンという人を犯人に仕立てようなんて人を、野放しにするわけにはいかないから……

(鈴々ちゃん、愛紗ちゃん、力を貸してっ!)

「早く、その人から離れて!」

劉備には、義妹たちのような戦闘技能はほとんどない。
それでも荷物の中に入っていた剣を正眼に構え、勇気を振り絞ってリャン・チーと対峙する。

驚いたのは、芳佳である。
彼女の中では、リャンの第一印象は怪我を負った「助けなきゃいけない人」であった。
それがいきなり音無たちを殺した犯人だと決めつけられて――そうだったのかと納得出来るはずがない。
その瞳は、劉備とリャンの間を行き来し……果たしてどちらが真実を言っているのかと彷徨うばかり。
だが、言われてみれば、確かにおかしなところがなかったわけではない。
例えばなぜ『カナン』は音無を突き刺すほど間近に接近しておきながら……自分とリャンだけを見逃したのか――

「騙されないで芳佳! あの娘が『カナン』なのよ!」

猜疑心に揺れる芳佳に、リャンが声を掛ける。

「え? だって、さっきはプラチナブロンドの娘だって……」
「見間違えたのよ!」
「……そ、そうなんだ」

確かにリャンにも怪しい部分がないわけでもなかったが、それは目前の少女も同様である。
信じる根拠がどちらにもないのであれば、果たして自分はどっちを信じればいいのか。
果たしてどちらが、音無たちを殺した『カナン』なのか。

「もうっ! 嘘ばっかりっ! 私の名前は劉備です! 危ないから、早くその人から離れて! こっちに来てください!」

焦れたように、桃色の少女が腕を振るう。
すると、少女の肉体の一部が、その動きを増幅するかのように激しく揺れ、芳佳の首もそれに釣られるように小刻みに上下した。
頬を一瞬にして紅潮させ、瞳を輝かせた少女の熱い視線は、誰にも誤魔化しきれるものではない。

たゆん。ゆん。ゆん。ゆん……

「「「…………」」」

その反応を見た劉備は、今一度試すように身体を踊らせてみる。
揺れる。揺れる。
おっぱいが揺れる。
それに合わせて、意識を喪失したかのようなとろんと蕩けた顔で、ふらりと芳佳の足が、劉備に向けて一歩踏み出す。
まるで、おっぱいという名の重力圏に引き寄せられるかのように。

それを見て、劉備は確信した。
この少女には理屈や説得なんかより、おっぱいのほうが効くのだと。
南蛮の少女たちと同じなのだ。
思いだしてみれば、この少女も先ほど獣耳を生やしていた。彼女たちの同族なのかもしれない。
妙な格好もそのためだろう。

「よ、よーしっ! それなら……おっぱい体操はっじめるよーーーっ!! 寄せて寄せてイー、アル(1、2)♪」
「え? ちょ、ちょっと……なにそれ……なにやってんのよ……」
「お、おお……おおおっ!」

宣言と共に、劉備はその自身に備わった豊満な胸を、両腕を使って寄せては上げ、寄せては上げる。
さわり心地の良さそうなシルクの生地に包まれた柔軟な肉の膨らみが、キュッキュと挟み込まれて更に強調された巨乳ぶりを魅せ付ける。
突如として、戦場に現れた桃色の空気に戸惑うリャン・チー。
そんな戸惑いを尻目に、もはや芳佳の眼は劉備に釘付けである。
その芳佳の視線に応えるように、劉備のおっぱい体操は止まるところを知らない。

「横に揺らしてサン、スー(3、4)♪」
「う、うわぁーっ!?」
「縦に揺らしてウー、リュー(5、6)♪」
「ゆ、揺れて……揺れて、す、凄いっ」
「……………………」

縦に、横に、劉備の動きに合わせて縦横無尽に美巨乳が踊り狂う。
美事に張り詰めた胸の膨らみが、朗らかな劉備の掛け声に合わせて重たげに揺れる有り様は、おっぱい魔人の芳佳のみならず、
アルファルド以外には興味を持たないリャンですら思わず声を失うほどの迫力があった。


一歩、二歩。
両腕をまるでキョンシーのように突き出し、ふらふらと歩きだす芳佳。
その指はわきゃわきゃと、まるで異次元の生物のように蠢いている。
だがそれを――黙って見逃すほど、リャンはその空気に同化したわけではなかった。
芳佳を手放すわけにはいかない。
かと言って、リャンには劉備に対抗出来るほどのモノはない。故に。

「何チチなんぞに釣られてやがんだぁー! このド変態娘がぁーーー!!」
「あうっ!?」

ミニスカートほどもない、短いチャイナドレスの裾を翻して。
リャンがそのスリムな肉体から掃腿脚を繰り出すと、足を刈られた芳佳はその場に倒れ伏す。
溜め込んだ苛立ちをぶつけるように、芳佳のスクール水着のようなズボンに包まれた尻に、リャンはズゲシと蹴りを入れる。

「いたっ!」

元々、彼女は演技派ではあるが、それほど我慢強い性格ではない。
ゲシゲシと芳佳の尻を蹴り込みながら、リャン・チーは高らかに吼える。

「ああ、そうだよ。殺したよぉー。私が殺したんだよォォーっ! 背中をブスゥーってやってやって、頭をドカーンってふっ飛ばしてやった!
 アハハハハハ、騙されたと知った時のあいつらの顔と来たらっ、アハハハ、ハハハハハハハッ!! 文句あんのかオラーーーーーッ!!」
「そ、そんな……リャンさんがっ」

言葉と共に、背中に顕現するのは、武装錬金「ニアデスハピネス」。
まるで蝶の羽のようにも見えるこの美しい黒色火薬の武装錬金こそが、この場で3人もの命を奪った凶器である。

「あー、もうめんどくせーな。いいから黙って私に従いなっ! さもないと……」
「う……うぅ……」
「あ、ああ……」

指向性を持つ黒い火薬を、周囲に散布し始める。
それを見ても、リャンに踏みにじられている芳佳はもちろん、劉備にも為す術はない。
元より、彼女に勝利の為の戦略などなかった。
ただ、リャン・チーの無法が許せなくて――義を正すためにだけに、無力なその身をこの場に晒したのだから。


だから、この二人の命運を握る者は、黒色火薬の武装錬金を操るリャン・チーと。

――そして、その場に新たに現れた、もう一人の少女に他ならない。


「あー、もう。うっさいなー。寝てられないじゃないか……。んー? 何してるんだ? 宮藤」
「ハ、ハルトマンさん……」

現れたのは、まるで今の今まで寝ていたかのような、しどけない姿をした一人の少女。
スポーティーなブラジャーと、お揃いの白いズボンだけを身に纏い、ハルトマンと呼ばれた少女が今、校舎の中から現れた。

「ハルトマンさん、気を付けてっ! この人は――」
「殺すよぉー、ぶっとばすよぉー!! 姉さま見ててェー! 私が――私が、貴方に仇為す全てを駆逐してご覧にいれますからぁ!
Get Some!! Get Some!! Get Some!!」

周囲を漂っていた黒色火薬が、リャンの明確なイメージに基づきその姿を整えていく。
殺意を目に見える形に変えたその姿は、手榴弾。
10を超える小型の爆弾が、エーリカのブロンドの頭部に降り注ぐ。
等間隔を保つ、その攻撃に逃れる隙間などない。
点ではなく、面を制圧する爆風は、ネウロイのビームをも避けるウィッチの回避性能を持ってしても回避しきれるものではない。
だが、彼女こそはエーリカ・ハルトマン中尉。
芳佳たちストライクウィッチーズ――連合軍第501統合戦闘航空団の一員にして、人類史に燦然とその名を刻む
史上最高のスーパーエースである。
彼女と共に飛ぶ限り、その僚機が敵に撃墜される事は――ない。



「疾風(シュトゥルム)!!」

ぴょこんと、使い魔であるダックスフントの尻尾が、エーリカのお尻に生える。
凛々しく紡がれたその言葉は、嵐を意味する彼女の固有魔法である。

轟!!

仄かに輝く少女を中心に渦巻く気流が、黒色火薬の武装錬金を捉え、弾き返す。
その力の返る先にあるのは――武装錬金の本体である、リャンの姿だった。

「え……、ギニャーーーーーーーーーーーーー!!」

爆風に吹き飛ばされたリャンの肉体が夜空に消える。
エーリカは黒衣の軍服を羽織るように纏うと、Vサインを繰り出した。

「ヴイッ! ……あれ、宮藤はどこだ?」
「と、飛んでっちゃいました……」

エーリカの疑問に応えたのは、一部始終を見届けていた劉備であった。
エーリカ・ハルトマン中尉。彼女と共に飛ぶ限り、その僚機が敵に撃墜される記録は残されていない。
だが――地上に居る時の彼女は、非常に大味で、だらしのない性格であった。


【一日目 E-5 学校校庭 黎明】

【エーリカ・ハルトマン@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~3
[思考]
基本:一体何が起こってるんです?
1:宮藤はどこいった?

【劉備@真・恋姫†無双】
[状態]:健康
[装備]:リャン・チーの中華刀
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2
[思考]
基本:殺し合いを止めたい
1:こ、この人はいったい……?



夜空に赤い星が瞬く。
それは黒色火薬の武装錬金「ニアデスハピネス」によって宙を浮遊するリャンであった。
身に纏ったチャイナドレスはボロボロになっているが、火傷は負っていない。
手榴弾を返された瞬間、リャンは同量の火薬を使い、そのダメージを相殺したのである。

だが――その代償として、「ニアデスハピネス」の火薬量はその埋蔵量の半分以上を使いきっていた。
これでは、今までのような使い方をしていてはあっという間になくなってしまうだろう。
まだ、カナンも倒していないというのに……。
リャンはその事実に臍を噛む。

「許さない……許さないわよっ! はいてない奴らめっ!」

リャンはボロボロになったチャイナドレスを脱ぎ捨て、自分をこんな目に合わせた連中への復讐を誓った。
半透明なスリップとショーツだけになった、魔女の如きその姿を恥じる様子もなく。


【一日目 E-4 上空 黎明】

【リャン・チー@CANAAN】
[状態]:健康
[装備]:核鉄「ニアデスハピネス・アナザータイプ」@武装錬金
[道具]:基本支給品×1、グロック17、マイクロUZI
[思考]
基本:アルファルドのために他の参加者を皆殺しにする
1:アルファルドと合流する
2:打倒カナン
3:はいてない奴らに復讐する

※ニアデスハピネス・アナザータイプの火薬量が半分を切りました。



一方、その爆発に巻き込まれた芳佳もまた、地に伏せていた事もありダメージはなかった。
が、高い木の枝にセーラーの襟が引っ掛かったその姿は、まるで「吊られた男」であった。

「うう……誰か助けて……」

【一日目 E-5 森 黎明】

宮藤芳佳@ストライクウィッチーズ】
[状態]:健康
[装備]:なし
[道具]:基本支給品×1、未確認支給品0~2、音無と翔子の荷物
[思考]
基本:殺し合いなんて絶対に駄目です!
1:酷いですよハルトマンさん

[備考]
※音無と翔子の仲間の名前を知っています。


019:関羽、トリエラとフラテッロの契りを結ぶのこと 投下順に読む 021:DANCING JUNK
015:鮫は地を這い、竜は天を撃つ 時系列順に読む 027:―テイク・オフ―
000:胎動 エーリカ・ハルトマン 048:ドキッ乙女だらけのいらん子中隊
劉備
001:邪気乱遊戯 宮藤芳佳 040:宿縁
リャン・チー 053:死の先を逝く者たちよ

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