21世紀深夜アニメバトルロワイアル@ウィキ

守りたいから私は殺る!

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003 守りたいから私は殺る! ◆/Fnde2WILg


ターン。

静かな森に銃声が鳴り響き、携帯食料のスパム缶に弾丸が命中する。
銃を撃ったのは黒い衣装に身を包んだ鋭い目つきの少年、吾妻玲二。
その二つ名は暗黒社会に名を轟かす世界最強とされる暗殺者、――ファントム・ツヴァイである。

「アサルトライフルステアーAUG。射程、反動、精度、威力、特に問題なし。」

よく整備されたいい銃だ。これなら効率よく参加者を処理できるだろう。
実はこの男、このようなゼロサムゲームを経験したのは初めてではない。
殺人の技術を身につける為に行った地獄のような訓練の中にこのようなサバイバルも存在した。

(……始めて人を殺したのも、こんな夜の森の中だったな。)

思い出したくもない思い出。あの時あの瞬間、記憶を失った日本人の少年は死に、一人の殺人者が誕生したのだろう。
ならばこのふざけたゲームの目的もおそらく……。

(生き残ったものは最強の殺人者。……しかし。)

名簿には同僚のアインの名もあった。彼女も殺せというのか?
それに、目を覚ましたときに居たあの得体の知れない力をもった連中。

(生き残った者は、『何を殺す者』になるんだ?宇宙人とでも戦わされるのか?)

くだらない妄想を振り払い、丘の下を見る。人影が見えた。
この暗い森の中遠目からでも致命的なくらい白く目立つ銀髪の少女が歩いている。

考察は後回しだ。今は生き残るのが先決。生き残る為には、殺す。



玲二はライフルをセットし、スコープにごしに少女を見た。
よく見ると非常に美しい少女だ。しかし格好に何か違和感を感じる。
そう、明らかに下半身の布が足りない。スカートやズボンを履いておらず、白いタイツしか履いていないのだ。
何処の露出狂だろうか。しかもその手に持っているのは……。

(……モップ?)

どうみても何の変とつもない掃除道具だった。あれで戦う気か?
不幸な事に支給品にも当たり外れがあるらしい。
可愛そうだが、試し撃ちの的にはこれ以上ない位ちょうどいい。
玲司は躊躇なく、少女の顔の真ん中に照準を合わせた。

「その綺麗な顔を吹っ飛ばしてやる、てか、ははは。」

引き金を引いた、その瞬間。

「――何!?」

少女がスコープ越しにこちらに目を合わせニヤリと笑い――姿を消した。
弾丸は誰も居ない地面に突き刺さり砂埃を巻き上げる。

(外した!?馬鹿な!?)

慌てて照準を左右に振り少女を捜すが何処にも居ない。まるで最初から存在していなかったかのように――。
「どこだ?何処に消え――!?」



「ドコミテンダオメー?」

玲司は声のする方に顔を向けた。そこに見えたのは、視界いっぱいに広がる少女の股間と純白のタイツ。
あまりの眩しさに目を覆いそうになったが、直後に振り下ろされたモップのようなものの一撃で意識が戻る。
(くっ、しまった!)
後ろへ跳び頭部への攻撃は免れたものの銃器にその一撃は手に当たり銃器が地面に落ちる。

「イキナリウッテクルナンテヒドイジャネーカ。」
「貴様!?どうやってここまで来た!?」
「エ、トンダンダケド?マ、ジマンジャナイガ、コレクライデキテトーゼンナンダケドナ。ウィッチダシ。」
「ウィッチ……魔女……?」

あまりに不条理な事態に混乱する。空を飛んで一気に間合いを詰めただと?
そんな馬鹿な話があるか。だが、迷っている暇はない。
殺らなければ、殺られる!
腰に手を回し、もうひとつの支給品、コンバットナイフに手をかける。
ファントム・ツヴァイはアインの手ほどきによって格闘戦の心得もあるのだ。
「……ふっ!」
この距離なら外しようがない。喉元めがけてナイフで斬り付け―――
「な!?」
―――白刃が虚しく、空を切った。

「ムリダナ。オマエジャワタシハコロセネー。
 ワタシニハミライガミエルンダ。マ、ホンノチョットノサキダケドナ。」

バランスを崩した玲司の脇腹に少女に拾われた銃器の照準が合わせられ、銃口が火を噴いた。
「……がっ!」
弾丸に肉をえぐり取られ、地面に倒れ付す刹那。少女の足元の地面が靴の形に数センチ彫られているのが見えた。
その分だけ下がったということだろう。つまり。
(ギリギリで見切って……かわしただと……?)
ということは狙撃も外したのではなく、かわされたと言う事なのだろうか。ありえない。だが。
『魔女』という単語が頭を反芻し、ふっと苦笑いする。

(……ああ、そういえば魔法使いを殺す訓練はしてなかったな……。)



 ◇  ◇  ◇

「モウダメダナ。ワルイガココデシンデモラウゾ。」

エイラはいきなりこんな殺し合いに放り込まれたかなり焦っていた。
しかもサーニャも参加しているではないか。あの優しいサーニャが人殺しなんてできる訳がない。
だから、自分が遣らないといけない。彼女を守る為に。

地面に倒れ、今銃口を向けている男は腹の肉が抉り取らる致命傷を負っている。
最初に殺すのが、こんな歩いてる人を躊躇なく撃ってくる様な殺人者で本当によかった。
何十機ものネウロイを落としてきた自分だが人を殺したことは一度もない。
だが何の違いがあるというのだろう。
重要なのはネウロイか人かではない。自分の、サーニャの、敵か味方か。それだけなのだ。

「……どうした?……早くとどめをさせよ。」
「イワレナクテモ。」
「……ああ、なるほど。これが始めてなんだな、お前。」
「ソレデ?」
「……チャンスがあったらすぐ殺せ。迷うな。でないと死ぬぞ。」
「ソウダナ。ソウスルヨ。」
「……そうだ、ころせ、そして……今日からお前が俺になれ。」
「!?」

エイラは目を見開き、

「ソンナメデワタシヲミルナァ!!」

弾装されたすべての弾を顔面に叩き込んだ。
最後にこの男が見た光景は何だったのだろう?
共に戦場を生き延びてきた大切な仲間の顔か、娘のように可愛がった少女の笑顔か。
はたまた、暗殺者になる前の、普通の少年だったころにみた風景か。知る由もない。

「……ハァハァ……。」

息を切らしてかつて人間だった肉片を一瞥する。
震えも、特に感傷もなく、罪悪感など微塵も沸かない。所詮はこういうものなのだ。

「サーニャガワルインダゾ……サーニャガカワイスギルカラ!」

もはや迷いはなくなった。エイラ・イルマタル・ユーティライネンはこれより姫を守る騎士になる。
彼女を危険にさらすものは誰であろうと皆殺しにする。――たとえ芳佳だろうと!

男からナイフを奪い、エイラはその場から立ち去った。


暗がりだったからか、最後の言葉に気を取られたからか。
ツヴァイが指で地面に書いていた文字に気付かなかった事はどういう結果を招くのか誰もわからない。

その言葉は

『ハ イ テ ナ イ』


【吾妻玲二(ツヴァイ)@Phantom ~Requiem for the Phantom~ 死亡】


【残り75人】





【一日目 E-3 森林 深夜】


【エイラ・イルマタル・ユーティライネン@ストライクウィッチーズ
[状態]:健康
[装備]:アサルトライフルステアーAUG(0/30)@現実
[道具]:基本支給品×1、コンバットナイフ@現実、モップ@現実、アサルトライフルの予備弾薬×4@現実、
    未確認支給品0~2
[思考]
基本:サーニャのために他の参加者を皆殺しにする
1:サーニャと合流する
2:武器を集める

※E-3にツヴァイの顔面の破壊された死体があります。そばに指で書かれたダイイングメッセージが書かれています。




001:教会と銃声 投下順に読む 003:a hard day's night
時系列順に読む
000:胎動 エイラ・イルマタル・ユーティライネン 027:―テイク・オフ―
吾妻玲二(ツヴァイ) 死亡

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