◯月◯日。研究室。私はとある資料を作成していた。
内容についておおまかに言えば、巫女が降ろす神性と地域と個人の持つ信仰はどのように関係するかというもの。
人工的神降ろしであれば、降ろす神性と関わりがある場所であれば成功率が上がる。加えて巫女との関わり、「縁」があればより効果的となる。
そして結論から述べると、必ずしも信仰されている神話の地域からしか登場する神性の巫女が生まれないとは限らない(勿論、強く信仰されてる地域の方が確率としては圧倒的に多い)。
遠く離れた地にて一見関係性の無いように見える神性を下ろすケースは存在する。それは以下の例である。
遠く離れた地にて一見関係性の無いように見える神性を下ろすケースは存在する。それは以下の例である。
一例目は血族や名、趣味趣向による結びつきの縁。中には分家が異国に渡った後も連続で子孫が神降ろし対象となり巫女になったと言う事例。
二例目は、最近流行りの『推し活』というソシャゲやアニメ等のキャラや巫女のアイドル信仰から巫女となったもの。
対象を囲うように祭壇を作り、グッズを自作して崇め、踊る様は儀式のそれに類似しているためであると私は推測した。
対象を囲うように祭壇を作り、グッズを自作して崇め、踊る様は儀式のそれに類似しているためであると私は推測した。
三例目は、神格移殖(ディバイン・アサイメント)によるもの。巫女と神の同意さえあれば可能であり、緊急時はその場で儀式をする場合が多いため比較的信仰地域と異なる場で行われたケースが確認されている。ただし神との適性があることが条件であるため巫女も神も受け入れる側も同意したうえで適性値が足りずに失敗しているケースも見受けられ、同一地域同士の神格移殖(ディバイン・アサイメント)よりも失敗の確率はやはり高い。
そして最後に単純な巫女個人の信仰心が強いこと。これがおそらく最も多いパターン。
生まれと育ちが異なるというケースも含めて生まれつき別地域の神性を信仰し、神と個人の縁が強く結ばれていたからだと思われる。
生まれと育ちが異なるというケースも含めて生まれつき別地域の神性を信仰し、神と個人の縁が強く結ばれていたからだと思われる。
大抵別地域の神性を降ろす巫女はこれら四例のどれかに当てはまる。しかしながらそれでも数が少なく、やはり神性の信仰が根付いている発祥地域が多い。そして信仰が多ければ同神巫女もまた多くなる。それは、信仰と神降ろしが密接に関与している証拠といえよう。
「だいたいこんな感じね」
私は一言つぶやいて筆をとる手を一旦手を止める。
休憩に耽るついでに、かつて自分が人工的神降ろしを手配した巫女、白瀬狐のライブを見るためにテレビのスイッチを入れた。
休憩に耽るついでに、かつて自分が人工的神降ろしを手配した巫女、白瀬狐のライブを見るためにテレビのスイッチを入れた。