第7話 合言葉は勇気
男は刀を構えて殺気をバリバリ放っている。
この男は強い。それが気配と雰囲気だけで分かる。面白い! 腕が鳴る!!
「あたしのサビにしてやんよ!!」
ポンシーノはアチョー!と構える。
「面白ぇ女だな!! いくぜ!」
「ガールズ・バ…」
ドガッ!!
バコーン!と後ろからパソコンで殴られる。
「逃げましょう」
「はぁ!? ここはあたしの見せ場でしょ!!」
「あの男はレベルが違う! 危険すぎます!」
震えている。
冷静に戦力を把握できるのは感心だ。だが、経験が足りない。
理解できる故の恐れ。その恐怖をぬぐい去るのは簡単ではないだろう。
「ゴチャゴチャうるせぇ」
そんな事を考えてる場合じゃない。奴は巨大な水大砲を撃ち出してきた。
「時雨"鯉幟"!!」
大砲の形が鯉の形に変わる。
美しい技だ。威力も申し分がない。
冷静に判断しているが、これは避けられない。かといって、まともに喰らえば内蔵破裂で済むだろうか。
ここで死ぬわけにはいかない。
"ガールズ・バイキング イエローイエローハッピー!!"
「やりすぎちまったな。思った以上に骨がな……」
硝煙の中から現れたのはメイド姿のポンシーノだった。
右手には槍のようにモップを持ち、クルクルと回しポーズを決める。
「ほぅ……」
「三国夢双、イッスン・ポンシーノの力見せてやんよ!!」
イワシは逃げ出した!!
「逃がすかっ!!」
再び水を放つ。今度は矢のような形で一直線に突き刺さろうとしていた。
「時雨"雨ノ村雲"!」
突き刺さろうとしたその時。
「!?」
その矢をポンシーノは一瞬でモップで操り、いつのまにか持っていたバケツに収める。
ニヤッと勝ち誇った顔で指を指す。プチッ、と何かが切れる。
男は怒りの形相で一瞬にして姿を消す。
「消えろ」
ノータイムで間合いを詰めて剣閃を浴びせようとしたが、
ポンシーノはモップで見事に受け止め、そしてカウンターで突きをそのまま放つ。
「ちぇっ、あんた強いじゃない」
それを男は交わし、二人は剣で鬩ぎ合う。二人の距離は縮まるが、どちらが優勢とも言えなかった。
まるで男の剣に吸い付くようにモップが呼応していた。
「……、これはお前の能力か!」
「あら、今更気づいたの?」
再び、勝ち誇ったかのように笑う。
「このチビが…」
「チビっていうなー! メイドだぞー!!」
ポンシーノは怒りに任せて構えをとる。
「奥義! ドジッ子無双!!」
『説明しよう! ドジッ子無双とは天然で転びながら奥義を放つメイド流奥義の一つなのだ!!』
「きゃ~~!!」
「そんなふざけた技に負けるわけにはいかねぇんだよ! 奥義"乱れ雪月花"!!」
二つの奥義がぶつかり合おうとしたその刹那。
"ダンシング・クイーン"
ポンシーノの動きが止まり、動けなくなる。男の剣先が喉へと突き立てられた。
「なっ…!」
「おい、邪魔をするな!! DJさわだけ!!」
男は怒り狂い、明後日の方向を叫ぶ。
ヘッドフォンにスキーマスク、そしてニット帽。そんな謎の格好をした男が姿を現わす。
「イワシ…!!」
ヘッドフォンはガッチリイワシの首をロックしていた。
「この男は逃げたフリをして能力を探っていた。震えながらな」
「イワシ、あんた男だよ!!」
ヘッドフォンはガリッと聞こえるぐらいの嫌な歯ぎしりをした。
「太田、黙れ。そんなフザけた女にかまってる程暇ではないんだ」
「ふざけてないぞー! このバカ犬ー!!」
「さっさとトドメをさせ。いや、ささないでいい。私が刺そう」
"ダンシング・クイーン"
指をクイッと動かすと、太田が苦渋の表情を浮かべながらポンシーノに突き立てようとしていた。
ああ、さすがにこれはダメだ。ポンシーノは死を覚悟した。
「ポンシーノー!!」
「……、あれ生きてる?」
ポンシーノの前を巨大な拳が通り過ぎ、太田を吹き飛ばしていた。
「お前は誰だ! 何故邪魔をする!!」
「混ぜろよ」
くちゃくちゃとガムを噛みながら、ボロボロの服を着た男がニヤッと笑う。
「オレはただのバトルマニアだよ!」
見たこともない顔だが、異常に楽しそうだった。
「さっきから鍵、鍵ってなんの事だ?」
桃尻は大量に鍵をよこせと襲われる事に辟易していた。
その時、彼らに怪しい影が近づいている事をまだ知らなかった。
第8話 後悔と火種でございます
桃尻とクロはカフェでお茶を楽しんでいた。
「犯人を捜すって……、なんでお茶なんてゆっくり飲んでるんですか」
クロは怖い顔で桃尻を睨むが、意に返さずお茶をごくごくと飲んでいた。
「クロくん、冷静に考えろ」
「?」
「鍵を寄こせ、と何者かが俺達を襲ってくる。鍵が何かは知らないが、犯人は俺達を狙っているのは間違いない」
クロは意味が分からない、と複雑そうな顔をする。
「つまり、奴らは嫌でも俺達を狙ってくるはずだ。待てばいい、二人を狙って毒の能力を使う奴をな」
なるほど、しかしクロはカッカきていて尻を信じる事は素直に出来なかった。
この男が完全な味方を決まったわけでもない。そう思うと、無性にイライラした。
「君も水を飲め、冷たいドリンクで頭を冷やせ」
「ふむ、うまい水だね!!」
尻は驚いた。目の前に変なヒーローのような格好をした男が座っていたからだ。
「!!?」
「敵か!?」
二人は臨戦態勢に入り身構える。
「お前は誰だ!!」
尋ねると男はポーズを取り叫んだ。思ったより背が低く、声も高い。違和感があった。
「私の名前は……」
その時、先ほどの水が突然大きく膨れあがる。
そして、大きな人のような形になっていった。
「うぐっ!?」
その水がヒーローを吹き飛ばし、壁にたたき付けられる。
水人間はその場で暴れ回り突進していく。
悲鳴があがり、その場にいた客達が悲鳴を上げて逃げ出しパニックになっていた。
「敵…!?」
"ミドリ"!!
「敵と戦うな」
気が走り銃を身構えるクロを桃尻は手で静止させる。
「邪魔をするなぁぁぁあ!!」
トリップモードが始まっている。
「言ったはずだぜクロくん。敵と戦うな。君は『ミドリ』で自分の身を守ることだけを考えていればいい。余計なことはするな」
桃尻は襲ってきた水人間をクロを押して交わさせる。そして、水人形は壁へと突っ込んだ。クロは押した尻を睨んだ。
「つっ……。何故戦わないんですか! あっさり倒せますよ!!」
尻はクロの言葉に首を振る。
「いいや…こいつは遠隔操作のスタンドだ 能力者は近くにはいない……
何度もいろんなスタンドと出会った経験でわかる……
近くで操作するには動作が単純すぎる……向かってくる動きしかしてないからだ」
クロはこの時桃尻は自分の事を侮っていると思いイラッとした。
この男は自分を倒したからって侮っている。ボクだって成長しているんだ。
店へと突っ込んだ水人形は、復活すると再び水人間はクロに向かっていった。
恐怖でクロは銃を乱射する。
「!!」
「わかったぜ 思ったとおりだ。そいつはガラガラヘビのように「可愛い子」を探知して自動的に追撃してくるスタンドなのだ。興奮して体温の上昇したカウィイ君を先に探知したのだ」
クロが乱射するのを尻は止める事が出来なかった。慌てて服を全て脱ぎ、戦闘態勢に入る。
「意志はもう関係ない…。「自動操縦」 だから遠隔操作でもパワフルに攻撃できるッ!」
尻ウエポンが巨大化するが、間に合いそうにない。
「『ミドリ』を出して身を守れッ!」
水人形は銃を乱射しても止まらない。飲み込もうとしていた。
「どうした!早くフルパワーで身を守れッ! そこまで裸で抱きしめても遠すぎるッ!」
迫ってくる水の障壁に弾丸を撃ち込むが効果はない。
「ダメです! 無駄打ちしてしまったんですぅぅ!!」
このあと僕は無事だった 無事だったからこそ本当の後悔ってのがあるんだな。
そしてクロは桃尻を「人生の教師」と思うべきだった。
「厳しい教師」と理解すべきだったと本当の後悔をした。
「エクスプロージョンテレフォン!!」
迫ってくる水の壁が爆発をする。衝撃を吸収して吹き飛ばす能力。
つまり、クロの技を吸収して破壊力は増していた。
「"ピンクフロイド ザ・皮ールド!!"」
巨大な袋の皮がクロの体を包み込む。
「うぐっ!!」
「何者だ、お前は!」
「ただのバトルマニアだっつーの」
男は腕をグルグル回す。
「お前らが誰かなんか知らんが、強そうな奴はぶっつぶす!! 腕が鳴るぜ!!」
「消えろ」
さわだけは腕を宙へと上げ、振り下ろした。
「おっと」
パシッ!!と男は掴む。
「糸、か」
糸を手に取り、男は笑った。手からは血があふれ出ている。
「この程度の能力か? つまんねーな」
"ベースボール・ベアー"
巨大な拳が糸を断ち切る。
「さぁて、ぶっ壊すか!!」
ポンシーノは彼を頼もしく思ったが、完全な味方とは思えなかった。
顔はかなりのイケメンで思わずハァハァしてしまったのだが。
気づけば糸が切れ動けるようになったので、慌てて立ち上がったその時。
「舐めるな」
糸が男の腕を切り飛ばす。切ったはずの糸が再生して再び襲いかかったのだ。
「うぐあぁぁぁ!!」
血はあまり出てないが、腕が飛んだ。
激痛で男が顔を歪める。さわだけはニヤッと凍るように笑った。
「邪魔をするな」
「お前なんか片手で十分だろうが!!」
そして、今度は足を吹き飛ばす。鮮血にその場が染まる。
この事態にポンシーノはなんとかしなくては、そう思いモップをクルクルと回し、戦闘態勢に入る。
「めっためたにしてやんよ!!」
さわだけの手から抜け出したイワシも同じようにパソコンを手に取った。
「能力は解析済みです!!」
空からうなり声が聞こえポンシーノは空を見上げる。
その時、空から一匹の白い犬と二人の男が現れや。
その姿を見て二人は目を丸くした。
「還元セール、そしてナビー・D・ルフィ、登場!!」
「おい、オドール氏はどこだポンシーノ」
還元はドスの聞いた声で叫ぶ。
「なんで?」
「オレの仲間を壊したんだよ!! さっさと出さんと潰す!!」
「はぁ?」
ポンシーノはこの事態の意味が分からなかった。
だが、今の状況ではマズい。味方か分からないが、敵ではないこの男もなんとかしなければ。
考えるのは後で良い。
「ポンシーノさん!! アタックCです!!」
イワシの言葉で覚悟を決め、ポンシーノはバケツを手に取った。
最終更新:2009年10月10日 02:17