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爬虫類型異星人×人間♀ 2

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爬虫類型異星人×人間♀ 2 1-318様

「あ、ウロコ?どうせ君の事だから別に何してる訳でもないでしょ?お宅の嫁さんがひどい事になったから迎えに来て。今いつもの飲み屋にいるから。んじゃ」
 一方的に用件だけを告げて電話を切る同僚。明日は休日である。瑞穂は同僚と飲み会とかで出かけており、爬虫類型知性生物、ゼゴ族の「ウロコ」は久々に一人の空間を味わいながら趣味の映画鑑賞をしているところであった。まだ嫁を取った覚えはないとか、なぜ俺はあだ名であるウロコとしか呼んで貰えないのかとか悩みつつ、ウロコは出かける。
 ぬめらかに蠢く幾重にも枝分かれした触手。それに抱え込まれるのは、頬を赤く染め、荒い息を吐く瑞穂。あたかも磔刑の如く、あるいは蝶を捕らえた蜘蛛の巣の如く。女体を捕らえている触手の持ち主は、ふたりの同僚である、オザブ星人『皮手袋』であった。
 あ、こいつ殺すしかねえ。瞬時にそう判断し、歯をギリギリ鳴らしながら攻撃の構えを取るウロコの前に、灰青色の体毛に覆われた大きな頭部がぬっと突き出された。
「あのね~、ウロコ君違うのよ~そうじゃなくて~、えっとぉ」
「トゥーゾ、考えてから喋る癖付けたら?使わないと脳にカビ生えるぜ」
 カロン龍トゥーゾの長い首と尾がしょぼんと垂れる。全長7メートルあまりの複翼の竜といった外見から受ける印象とは違い、カロン龍は概ね穏やかで平和的な種族である。「穏やかというよりは愚鈍だ」と言われることもあるが。
「君の嫁さんが酔って暴れるからちょっと抑えといたの、ただそれだけ。心配する気持ちは分かるけど、強姦も触手プレイもさせてないから安心していいよ」
『ちょっと待ちたまえシャミイ。それじゃあ私が強姦魔か何かみたいじゃないか!私は同意のない相手を無理になどという卑劣な真似はしないぞ!』
「へえ違ったの。ボク知らなかった」
 瑞穂を開放しながら第1腕と第6腕を激しく震わせて主張する『皮手袋』に、"猫"シャミイが冷ややかな視線を送る。険悪な空気にトゥーゾがおろおろしていたが、今はそれどころではない。完全に触手がほどかれると、支えを失った瑞穂はくてんと卓に突っ伏した。慌てて抱え起こし、簡単に体をチェックする。とりあえず外見的には問題無さそうだ。ほっとするウロコ。
『ウロコ、君までそんなことをするのか。いいさ、理解など得られなくても。私なんか所詮大人のオモチャか何かだと思われてるんだ』
「ようやく正しい自己認識に辿り着いたみたいじゃん?おめでと」
 シャミイのその一言で『皮手袋』は本格的にいじけてしまったらしく、6本の触手を円盤状の本体に畳み込んで固まってしまった。
悪い事をしたかな。ウロコは少し反省する。しかし誤解されやすい種族(オザブ星人は雌雄同体であり、友情と愛情の間にある垣根が非常に低いことで知られる)なのだから、もっと慎重に振舞うべきだ、よし俺は悪くない。それにしてもいつの間に俺の名はウロコで定着してしまったのか。
「あれーウロコ?いつ来たのお?」
 抱える腕の中で、ぼんやりした表情の瑞穂が顔を上げる。おそらく全てはこいつの責任だ。
「君に帰ってもらおうと思ってさっきボクが呼んだふんぎゃっ!」
 今まで潰れていたとは思えない速度で飛び掛られ、尾を踏まれたような奇声を上げるシャミイ。
「ちょ、放せ放せ放せ痛ったいキショい酒くさーい!」
「フハハハ、この手触りこの手触り!圧倒的ではないかねわが軍わああ!!」
 瑞穂は抵抗をものともせずにシャミイを抱き締め、全身の手触りを確かめにかかる。シャミイはぬいぐるみのようにいじり回され、にゃあにゃあ悲鳴をあげた。
「あらら~シャミイ君が~どうしようウロコ君」
「いや、どうしようって言われても」
 不測の事態にうろたえているトゥーゾを役に立たないと判断し、ウロコは瑞穂を止めにかかった。酔っ払い特有の思いもよらぬ抵抗に手を焼かされつつ、どうにかこうにか引き剥がす事に成功する。
「びっくりした、ああもうびっくりした。これだから酔っ払いは嫌だよほんとに」
 瑞穂の手が届かない位置に移動し、乱れた毛並みを舐めて整えながら文句を言うシャミイ。その様子は祖先形である地球猫と、殆ど変わったところがない。
「いや・・すまない。悪かった、この通りだ」
「別にいいさ、酔っ払いに理性なんか求めてないもんね。このひとの場合シラフでもさほど変わらんけど」
 口ではそう言いながらも、シャミイは不機嫌そうに瑞穂を睨んでいる。平謝りしながら、ウロコは何故俺が謝らねばならないのだろうかと一瞬疑問を感じた。
「ウロコ手触り悪ーい」
 こんな事を言われればなおさらだ。
「・・・悪かったな」
「あれ、怒ったの?だいじょーぶだよお、毛皮がなくてもちゃーんとウロコの事は好きだから」
「ひ、人前で何を!」
 ウロコの太い首に腕を回し、へらへら笑いながら頬擦りする瑞穂。酔っ払いは始末におえない。「死ねバカップル」という周囲の視線と、同僚たちの好奇の目が入り混じって二人に突き刺さる。助けてくれ、いやせめて見ないでくれ。視線が苦痛なんだ。
「照れてますね?照れてますねウロコ氏。かーわーいーいー」
「わあバカめ止めろ放せ、いややめて下さい本当に。お願いします」
「ふふ~ん」
 全く動じず話を聞かず、楽しげにまとわりついてくる瑞穂。ダメだ、完全に酒毒が脳に回っている。このままでは被害が拡大するばかりだ。
「あら~仲良しでいいわね~」
「いや所嫌わずお盛んな事で」
「よし帰るぞミズホっ」
 とにかくこの混沌から脱しようとウロコは行動に移る。同僚への挨拶もそこそこに、瑞穂を小脇に抱えて卓を離れようとしたウロコをシャミイが引き止める。
「ウロコ、金」
 そうか、俺が払うのか。そうだよなあ。飲み食いした覚えはないが。少しゲンナリしながら金を置いて、今度こそ帰路に着くウロコであった。
「ウロコ君、呼び出しちゃって良かったのかしら~、かわいそうみたい~」
「別にいいんじゃない?ペットの始末は飼い主がするもんでしょ。大体ウロコなんざ放っとけばコケが生えるまで動かない生物なんだから」
 対照的な態度を取る二人の異星人。その後ろで『皮手袋』は誰にも慰めてもらえないままになおもいじけていた。
 家まで瑞穂を担いで戻り、やっとベッドに下ろして一息ついた。何だかどっと疲れた、水でも飲もうかと立ち上がろうとしたウロコの尻尾を、布団の中から伸びた手が引き戻した。
「何のつもりだ?」
「ん、お礼?謝罪?みたいな」
 振り向いた顔に口付けをして、にへらっと笑う瑞穂。据え膳喰わぬは男の恥よと言うが、薬品で理性を失っている相手にこの言葉は適用されるのか?ウロコは考え込む。案外理屈っぽい男である。
「あれ、やらんの?」
「いや、やる」
 まあいいか。本人もいいと言っている事だし。瑞穂を引き寄せ、腕の中に抱え込んだ。ウロコは単純な男であった。
 ゆるやかな凹凸のある滑らかな体に指を這わせながら考える。地球人というのはどうしてこうも柔らかく脆そうなのか。少し力を入れればあっけなく壊れてしまうような気がして、どうしても触れ方が遠慮がちになってしまう。
「あんたって案外優しいよね。顔怖いのに」
 もっと乱暴でもいいのにさ、噛まなきゃと瑞穂は囁き、そのまま唇をつけてきた。ゼゴの口には地球人のような柔軟な唇はないので、キスにはそれなりの技術が必要とされる。鋭い歯を舌でなぞられ、お返しにそいつに舌を絡めてやる。
「あのな、顔の話は余計だ」
 ウロコは強面である。凶相といってもいい。いや顔つきは種族的なものだからどうしようもないのだが、とにかく歩いているだけでガキに泣かれる顔であり、ウロコはその度に少し落ち込むのだった。
「いやいや、恐いなりに味のある顔だと思いますよあたしは」
 ざらついた肩に顎を乗せ、鱗の隙間をなぞりながら瑞穂がにやつく。ちくしょうこいつめ。苛めてやりたい衝動に駆られ、ウロコは両手で瑞穂の体を押さえつけると、長い尾であちこちをくすぐるように愛撫する。
「ちょ、やめてよばかっ!ひゃあ」
 瑞穂は拘束を外そうともがくが、所詮は地球人、しかも非力な女。体格と力の差はいかんともしがたく、水から上げられた魚のようにのたうつばかりだ。
「や、だもうっ、ゃん、ばか、なにが、ぁ、楽しいわけっ」
 文句だけは一丁前に言うが、暴れ疲れたのか抵抗は弱まって、大人しくなった。手を離しても逃れようとはしない。
「このっ・・・つかまえたっ!」
 と思って油断していたら、尻尾を掴まれてしまった。なにやら勝ち誇ったような表情を浮かべながら、尾の先端をいじりはじめる瑞穂。
「やめれ」
「やだ」
 あのね、分かってるとは思うけど、そこは性感帯なんです。あんまり触っちゃダメなの、興奮しちゃうから、ね?だからほら口はいけない甘噛みは犯罪ですいけませんったら―――
「うおおおおぉ!!」
「うひゃあ」
 理性がさようならと去っていき、ウロコは相手にのしかかって荒々しく息を吐く。
「ウロコ、重い・・・」
 知らん。俺はなにも聞いてない。細い体を押さえ、尾端の生殖器を秘所に挿入する。
「あーもうこのバカぁっ、あん、ちょっとは、はなし、きいてよぉぅ」
「飲み屋でひとつも俺の話を聞かなかったのは何処のどいつだ?ん?言ってみろ」
 口の中でごめんごめんと言いながら、背に手を回しすがりつく瑞穂。同族に比べれば頼りなく、しかし確かにそこにある肉体。
潰さないように加減しながら抱き返し、尾の先端をぐりぐりと、毒を打ち込む蠍のようにつき立てた。
「あのねえ、あたしあんたがだいすき。毛皮がなくてもいいんだよ」
 まだ酔いが抜けきっていないのか、ウロコの顎の体鱗を触りながら、瑞穂はそんな事を言った。
「あんたは単純でバカで変なとこで理屈っぽい割にふだん大雑把だけど、それでも好きだよ」

 狼狽するウロコ。それを言ってどうしようと言うのか。俺に何を求めているのか。やはり毛皮はあったほうがいいのか。
「あはは、照れてる照れてる」
 そういうとこも見方によってはかわいいよね、と悪意の感じられる笑い方をしながらのたまう瑞穂であった。






  • このカップル大好きです。ウロコかっこいいよウロコ。瑞穂はた迷惑で可愛いよ瑞穂。女が男を尻に敷くのはいいものだと思うんだ…いつか作者さんが続きを書いてくれないかなーなんてちょっと思ってる -- (名無しさん) 2009-02-17 02:44:38
  • すごくうれしいけどすごくはずかしいのでかんにんしてください -- (作者) 2009-04-28 21:37:53
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