その戦いは、互いに必殺の一撃を押し付け合うことから始まった。
「警官」は彼の点数を見た瞬間に撃ち放ち、
「貴族」は彼が侵入した瞬間に刃を振り落とした
「貴族」は彼が侵入した瞬間に刃を振り落とした
「ふむ…」
「なるほど。」
「なるほど。」
「ここに入ったという事は、二度目の死を求めていると考えて相違ないな?」
「ええ、百点をとっくに超え、そして近世からの現れたなどという世をいくらでも乱せる貴方の死を、ですが。」
「ええ、百点をとっくに超え、そして近世からの現れたなどという世をいくらでも乱せる貴方の死を、ですが。」
お互いに最小の動きで相手の攻撃を避け、領域が展開される。
───思考は巡る
(相手の死因は銃、実際に相対するのは今が初めてだが、処刑人のように冷徹な一射だ)
(相手の死因は断頭台、自らの領地に侵入した者は情け容赦なく処刑するという情報は仕入れていたが…想定より断頭台の生成されるスピードが速い)
((そして──
止まっているのは最悪の手だ))
(相手の死因は断頭台、自らの領地に侵入した者は情け容赦なく処刑するという情報は仕入れていたが…想定より断頭台の生成されるスピードが速い)
((そして──
止まっているのは最悪の手だ))
それにたどり着いた時、やる事は二人とも一致していたらしい。
片方はバイクを、片方は馬車を召喚し、霧の森を走り出した。
「警官」の前方に刃を振り下ろしながら「貴族」は言う
「君の死因は銃殺ではなかったのかね?」
時代に合わぬその刃を「秩序」を乱すと断じ、いくつもの銃口から弾丸を撃ち放ち、無力化した「警官」は答える
「まあ、死因に関連していた、と言ったところですよ。そちらは?」
そのまま自らに向けられた銃口を「不敬」と断じ、鈍い光を放つ刃で両断した「貴族」は答える
「なあに、『私』は処刑される前に、逃げ出し、馬車から引きずり出されただけだ」
「君の死因は銃殺ではなかったのかね?」
時代に合わぬその刃を「秩序」を乱すと断じ、いくつもの銃口から弾丸を撃ち放ち、無力化した「警官」は答える
「まあ、死因に関連していた、と言ったところですよ。そちらは?」
そのまま自らに向けられた銃口を「不敬」と断じ、鈍い光を放つ刃で両断した「貴族」は答える
「なあに、『私』は処刑される前に、逃げ出し、馬車から引きずり出されただけだ」
この一見和やかな会話の合間にも、凄まじい程の死が交わされている。
通常の死者ならば、標的にされるどころか巻き込まれるだけで消えてしまいかねないほどの殺意が交わされていく。
そして。
車を牽く馬が銃殺された。
バイクのタイヤが跳ね飛ばされた刃により引き裂かれた。
その隙を見逃す両者ではない。
銃口が車を覆った。
バイクを中心から二つに切り裂くように刃が振り下ろされた。
通常の死者ならば、標的にされるどころか巻き込まれるだけで消えてしまいかねないほどの殺意が交わされていく。
そして。
車を牽く馬が銃殺された。
バイクのタイヤが跳ね飛ばされた刃により引き裂かれた。
その隙を見逃す両者ではない。
銃口が車を覆った。
バイクを中心から二つに切り裂くように刃が振り下ろされた。
そして、その程度で死ぬような両者ではない。
「さて、なぜ君は私が馬車に乗り続けているなどと思っていた?」
「はて、貴方はなぜその程度で私の隙をつけたと考えているのです?」
「はて、貴方はなぜその程度で私の隙をつけたと考えているのです?」
「──これが君の本領か。」
「──これが貴方の真髄ですか。」
「──これが貴方の真髄ですか。」
互いに相手の術中に嵌っていたと気付いたのも、口を開いたのも同時だった。
「私は貴族として革命に奔走する民衆の狂気に殺された。故に相手に何かへの熱中を強制できる」
「お恥ずかしいことに、私は生前秩序から自ら外れた結果、一度目の生を失ってしまいまして。
故に私は相手に当たり前のそうあるべきである常道、定石から外れされることができる。」
「お恥ずかしいことに、私は生前秩序から自ら外れた結果、一度目の生を失ってしまいまして。
故に私は相手に当たり前のそうあるべきである常道、定石から外れされることができる。」
「厄介だね、流石じゃないか」
「やはり、200超えは格が違いますか。」
「やはり、200超えは格が違いますか。」
「その力のせいで、私は君の逃げ道を塞ぐという詰みへと向かう定石が使えなかった」
「それのせいで、私はあなたが私が見えない面から馬車を飛び出した事を見失った訳ですか」
「それのせいで、私はあなたが私が見えない面から馬車を飛び出した事を見失った訳ですか」
「「ならば──
完全に邪道へと堕ちるとしよう」
私の意識など関係なく、撃ち抜いてしまえばいい」
完全に邪道へと堕ちるとしよう」
私の意識など関係なく、撃ち抜いてしまえばいい」
『『私の名は』』
自らに最も近く、影響を与える存在へと自らの存在を叫び、存在定礎を底上げする。
二人とも、これ以上隠し立てする意味も理由も消えた故に。
『狗井定、死因は秩序に背いたことによる銃殺』
『ル・シュプリシエ・アンコニュ、名も無き刑死者、あの革命の折、首を切られて死んだ者の矜持の集合体である』
自らに最も近く、影響を与える存在へと自らの存在を叫び、存在定礎を底上げする。
二人とも、これ以上隠し立てする意味も理由も消えた故に。
『狗井定、死因は秩序に背いたことによる銃殺』
『ル・シュプリシエ・アンコニュ、名も無き刑死者、あの革命の折、首を切られて死んだ者の矜持の集合体である』
死因と名が開示され、互いに全力となる。
そして、先に動いたのは、
シュプリシエの方だった。
『拡大解錯』
それは、より多様な、より殺傷力の高い一撃を求めた末に幽霊どもがたどり着く、自らの死因を拡大し、直接関係ないものを引き寄せる技。
『処荊百般【ダンス・イディオット・ドゥ・ラ・モール】』
彼にとってそれは、あの時代の処刑による凡ゆる死因をかき集めることだったらしい。
「『処刑人の斧』、『処刑人の縄』、『処刑人の銃』、『処刑人の楔』、『処刑人の病魔』、『処刑人の苦痛』、『処刑人の剣』。」
彼は、次々と武具を召喚してゆき、最後に剣を自らの手にした。
「さて、私はこれを使うことそれそのものが不合理だ。意表をつくための技を、主要な技としている訳だからね。断頭台より存在の強度も劣るが、まあ君を殺すのには事足りるだろう」
そして、先に動いたのは、
シュプリシエの方だった。
『拡大解錯』
それは、より多様な、より殺傷力の高い一撃を求めた末に幽霊どもがたどり着く、自らの死因を拡大し、直接関係ないものを引き寄せる技。
『処荊百般【ダンス・イディオット・ドゥ・ラ・モール】』
彼にとってそれは、あの時代の処刑による凡ゆる死因をかき集めることだったらしい。
「『処刑人の斧』、『処刑人の縄』、『処刑人の銃』、『処刑人の楔』、『処刑人の病魔』、『処刑人の苦痛』、『処刑人の剣』。」
彼は、次々と武具を召喚してゆき、最後に剣を自らの手にした。
「さて、私はこれを使うことそれそのものが不合理だ。意表をつくための技を、主要な技としている訳だからね。断頭台より存在の強度も劣るが、まあ君を殺すのには事足りるだろう」
しかし、イヌイもそれを黙って見ていた訳ではないらしい。
『拡大解釈』
同じく、彼は自らの死因を拡大する
「『装填【リロード】』」
彼にとってそれは──
「『87,』」
「私の死因、いえその始まりは、人の死を数値でしか捉えられなくなってしまった時だったのでしょう」
「そして、今も殺した数をただの数値にへと変換する場所に身を置いている」
「故に、私は100以上の殺傷数を弾丸へと、そう、不浄を殺す魂の『銀の弾丸』へと変換できるのですよ」
『拡大解釈』
同じく、彼は自らの死因を拡大する
「『装填【リロード】』」
彼にとってそれは──
「『87,』」
「私の死因、いえその始まりは、人の死を数値でしか捉えられなくなってしまった時だったのでしょう」
「そして、今も殺した数をただの数値にへと変換する場所に身を置いている」
「故に、私は100以上の殺傷数を弾丸へと、そう、不浄を殺す魂の『銀の弾丸』へと変換できるのですよ」
互いに戦闘の準備が整ったのは同時、動き出したのはシュプリシェだった。
なぜなら、ホーミングしてくる弾を避けることの彼にとっての常道は、止まって受けに回ること故に。
なぜなら、ホーミングしてくる弾を避けることの彼にとっての常道は、止まって受けに回ること故に。
シュプリシエが剣を持って駆け出し、刃をイヌイへと向ける。
しかし、その最短距離には当然銃弾が来ている。それをシュプリシエは回避せず、血に濡れた斧により弾き飛ばす。
その斧を足掛かりとし、彼は跳ね上がる。
そして召喚した銃を使用し、未だ動いておらぬイヌイに照準を向ける。
そしてイヌイも飛び上がった隙を逃さず、自ら構えた銃の照準を向ける。
構えたのは同時、そして互いにそれを処理する方法も同じだった。
シュプリシエは、飛び上がった後に360度全て銃弾により包囲されていることに気づいた。
イヌイは、自らの足が縄と楔により動けなくされ、そして後方からは斧、前方からは剣が迫っていることに撃ち放った後に気づいた。
しかし、その最短距離には当然銃弾が来ている。それをシュプリシエは回避せず、血に濡れた斧により弾き飛ばす。
その斧を足掛かりとし、彼は跳ね上がる。
そして召喚した銃を使用し、未だ動いておらぬイヌイに照準を向ける。
そしてイヌイも飛び上がった隙を逃さず、自ら構えた銃の照準を向ける。
構えたのは同時、そして互いにそれを処理する方法も同じだった。
シュプリシエは、飛び上がった後に360度全て銃弾により包囲されていることに気づいた。
イヌイは、自らの足が縄と楔により動けなくされ、そして後方からは斧、前方からは剣が迫っていることに撃ち放った後に気づいた。
『鉄処女』
シュプリシエはそう唱えると一瞬にしてアイアン•メイデンを召喚し、その刃をいくつもの処刑道具で切り落とした後、それをシェルター代わりとして、弾丸を防ぎ切った。
シュプリシエはそう唱えると一瞬にしてアイアン•メイデンを召喚し、その刃をいくつもの処刑道具で切り落とした後、それをシェルター代わりとして、弾丸を防ぎ切った。
イヌイはシュプリシエが弾を防ぎ切ってみせたのを見て、いくつかの弾を自らへと飛ぶ斧と剣へと飛ばし、さらに縄と楔を撃ち抜き、拘束を解除した。
そして───
「やあ!」
「どうも?」
「やあ!」
「どうも?」
シュプリシェは勢いよくその鉄の棺から飛び出し、剣をイヌイの首にかけた。
イヌイは銃を構え、一切の動揺なくシュプリシエへの額へと突きつけた。
イヌイは銃を構え、一切の動揺なくシュプリシエへの額へと突きつけた。
そしてその程度で終わる彼らではなく、
シュプリシエは空中に断頭台を出現させ、イヌイはいつでも撃てる状態の銃をシュプリシエの背後にへと召喚した。
互いに互いの命を完全に握り、どちらかが引き金を引けば、もう一人が断頭台の刃を降ろし、どちらかが剣で首を引き裂けば、もう一人が銃弾により頭を弾き飛ばした。
シュプリシエは空中に断頭台を出現させ、イヌイはいつでも撃てる状態の銃をシュプリシエの背後にへと召喚した。
互いに互いの命を完全に握り、どちらかが引き金を引けば、もう一人が断頭台の刃を降ろし、どちらかが剣で首を引き裂けば、もう一人が銃弾により頭を弾き飛ばした。
完全なる均衡が発生し、沈黙が領域を支配する。
そして二人が選んだのは、武器を下ろすことだった。
「君も私も、まだやることがある。」
「私も貴方も、まだ死ぬわけにはいかないらしい。」
そして二人が選んだのは、武器を下ろすことだった。
「君も私も、まだやることがある。」
「私も貴方も、まだ死ぬわけにはいかないらしい。」
「「だから、
今はここでおしまいだ」
今回は見逃すとしましょう」
今はここでおしまいだ」
今回は見逃すとしましょう」
「貴方は危険因子ですし、貴方が匿っている100に近い点を持つ子も危険だ。いずれ排除しますよ」
「ああまた来るといい。今度はもっと準備をして歓迎するとしよう。」
「ああまた来るといい。今度はもっと準備をして歓迎するとしよう。」
その言葉を皮切りに、二人は振り向き、別れ、自分達が破壊し尽くした硝煙煙る森を歩き出した。