Previous→デッドマンズ:ティーパーティー
「……順番が逆じゃないか。この空気で話せというのか」
しんみりとした空気の中、きまりが悪そうな顔でガリアスが愚痴り、ビスケットをばきりと噛み砕いた。
「えっと……ごめんなさい?」
「ああいや、ミーナを責めたわけじゃない。ただの自戒だ、気にするな」
「ああいや、ミーナを責めたわけじゃない。ただの自戒だ、気にするな」
ぶっきらぼうで、それでいて堅物のガリアスも、さすがにミーナのような少女を前にしてそういう態度ではいられなかった。
目頭を押さえ、深いため息を吐いて、ぬるくなった紅茶をぐいと飲みほして、そうしてようやくガリアスの腹は決まった。
目頭を押さえ、深いため息を吐いて、ぬるくなった紅茶をぐいと飲みほして、そうしてようやくガリアスの腹は決まった。
「シオン。お前が見たのは正夢だ。俺とこいつは、まだ出会ったばかりの頃に本気で刃を交えたことがある。その時の事を教えてやろう──言っておくが、あまり期待はするなよ。俺は手短に済ませたい」
その男が振るう力には「誇り」が無かった。ただそこに在って、降りかかる火の粉を払い除けるだけ。逃げるならば追わず、力の差を測りかねた愚者は殺す。肉を潰し、骨を砕き、魂を塵へと変える。形を持った「力」が物言わず暴れ回っているような、そんな現象の如き幽霊がかつて「ガリアス」と呼ばれた男である。
その日も、微動だにしない彼の周囲を、見知らぬ景色が覆っていた。
「お前が噂の戦士か」
「……外の事情など知らん」
「……外の事情など知らん」
己よりも更に歳の行った老人の声である。足元には踏み固められた土の感触、ここは道の上。ここへ続くように緑芽吹く草原をかき分け、金色の西日を背に負って、男が歩いてくる。逆光に姿を隠す老爺 だが、陰影は腰に提げた二つの直線をも描き出していた。
「今日は剣士か……」
「私を呼ぶなら『騎士』と呼んでほしい。ああ、名前は名乗らないでおこう。お前のためだ」
「称号も名前もどうでもいい。死ぬか逃げ去るかの相手を記憶しておく必要などない」
「それには一理あるが──もし私が、お前を殺しに来たのではないとしたらどうだ?」
「──はあ」
「私を呼ぶなら『騎士』と呼んでほしい。ああ、名前は名乗らないでおこう。お前のためだ」
「称号も名前もどうでもいい。死ぬか逃げ去るかの相手を記憶しておく必要などない」
「それには一理あるが──もし私が、お前を殺しに来たのではないとしたらどうだ?」
「──はあ」
呆れともため息ともつかない気の抜けた声が漏れる、下手な冗談だった。
「油断させようというなら、剣の前に話を磨け」
「待て。冗談ではない。私は──」
「よく喋る」
「待て。冗談ではない。私は──」
「よく喋る」
これ以上の言葉を嫌ったガリアスはハンマーの柄尻を地面につけた。領域の展開である。
途端に彼の足元は踏み固められた道からごろごろとした砂利が無数に転がる山肌へと変化し、肥沃 で広大な草原はごつごつとした岩肌が剥き出しになった山岳の谷間と混じり合っていく。夕晴れの空には夜に近い陰りが生じ、濃くかかる霧が日の光を遮って、老爺の姿を露わにした。
明るい茶色の髪を端正に撫でつけた男は、白いチュニックに深い青の羽織を纏い、腰の両方に一本ずつ剣を提げている。羽織の胸元には金糸の刺繍で描き出された牡鹿がガリアスを見つめている。「騎士」という言葉の意味は知らないが、高貴な身分であることは全く疑いようのない装いだった。
領域の展開を以って既にガリアスの敵意は明示された。それでも男は後ろ手を組んだまま、己の得物である二本の剣には手を掛けようとしない。
途端に彼の足元は踏み固められた道からごろごろとした砂利が無数に転がる山肌へと変化し、
明るい茶色の髪を端正に撫でつけた男は、白いチュニックに深い青の羽織を纏い、腰の両方に一本ずつ剣を提げている。羽織の胸元には金糸の刺繍で描き出された牡鹿がガリアスを見つめている。「騎士」という言葉の意味は知らないが、高貴な身分であることは全く疑いようのない装いだった。
領域の展開を以って既にガリアスの敵意は明示された。それでも男は後ろ手を組んだまま、己の得物である二本の剣には手を掛けようとしない。
「……頑なだな。刃を交える前に、対話で済ませたいのだが」
「俺は傭兵だ。交わす言葉は敵についてのみ。後は殺す。俺の信用を得たいなら報酬を示せ」
「生憎手持ちがない。困ったな、交渉にならん」
「ならば消えろ。剣を取った時が最期だ、命が惜しければ──」
「俺は傭兵だ。交わす言葉は敵についてのみ。後は殺す。俺の信用を得たいなら報酬を示せ」
「生憎手持ちがない。困ったな、交渉にならん」
「ならば消えろ。剣を取った時が最期だ、命が惜しければ──」
最後まで言い切る前に、男は剣の柄を握り、刃を抜き放っていた。霧のわずかな隙間から差し込んだ西日が刃をぎらりと照らし出す。男の自信をこれ以上なく示すように。
「では力づくで行く。ちょうどいい、お前の力を見せてみろ」
「……阿呆が」
これまでに死ぬことになった愚者たちですら賢く思えるほどの呆 け老人を前にし、もはやガリアスにはため息も無かった。携えたハンマーで頭を打ち据えれば少しは頭の調子も良くなるか──などと内心で皮肉を吐く程度には男を軽視していた。
「呆 けている場合か?」
見透かした言葉の剃刀 が首筋を撫でる。首を中心に交わるよう左右から迫る刃を、反射的にそれぞれハンマーと大楯で受け止めたガリアスは、ここで初めて男の表情を確かめた。
「──随分と剣呑だな」
「当然だろう。殺す気だぞ」
「当然だろう。殺す気だぞ」
刃を押し進めようとぎりぎりと力を込める男は、品の良い笑顔の中に戦場の血気がどうしようもなく見え隠れしている。天運だけではなく、己の腕で戦場に血路を開いた者の気迫が、蛇の口のようにガリアスを飲み込まんとしていた。
しかし単純な力比べなら彼に分がある。筋骨隆々、巌 の如き大男であるガリアスは大地にしっかりと両足を踏ん張り、上半身の力のみで男の二刀を押し返した。男は満足げに微笑み数歩退き、二人は再び睨み合う。
しかし単純な力比べなら彼に分がある。筋骨隆々、
「爺 が。俺に力比べで敵うように見えるか」
「まったく。だが私としては防御を褒めたい。その図体で大した反応だ」
「こんなのは序の口だ──」
「まったく。だが私としては防御を褒めたい。その図体で大した反応だ」
「こんなのは序の口だ──」
たった一合ではあるが、既にガリアスの内から驕りは消え去っていた。この男は紛れもなく戦士である、と、即座に意識が切り替わる。焦らず、しかし主導権を握る必要がある。
彼は左手の大楯を前に構えて腰を落とし、体の大部分をその後ろに隠した。ハンマーの柄は長く取り、リーチで主導権を握る。ガリアスが得意とする待ちの戦型 である。踏み込みを誤れば一撃で頭蓋を砕き、踏み入ったとて全てを盾で塞ぐ、シンプルながら確実な「必殺」。
彼は左手の大楯を前に構えて腰を落とし、体の大部分をその後ろに隠した。ハンマーの柄は長く取り、リーチで主導権を握る。ガリアスが得意とする待ちの
「ほう、これはこれは……」
男は右剣の切っ先を突き付けたまま、比較的攻め込みやすいガリアスの右側面へ回り込もうとゆっくりとサークリングを始める。当然ガリアスもそれに追従し、二人はさながら天体の周回のように回り続ける。
男の頭がわずかに下がった瞬間、ガリアスのハンマーは地を這っていた。一撃で殺すことができない相手ならば、まずは足を潰して機動力を削ぐ。
しかし男はそれを冷静に読み切り、二歩の踏み込みで小さく飛び上がった。ブーツの下を鎚頭 が走り、右剣は大上段、左剣は肩を狙った左袈裟で既に振るわれている。
ガリアスは左腕を右へ振るった。男の右剣が盾で防がれ、そのまま自身の右肩まで持ち上げて左剣も弾いた。その遠心力を利用し体を右回転、裏拳のように振るうハンマーの、今度は尖頭部が空を割く。
男の頭がわずかに下がった瞬間、ガリアスのハンマーは地を這っていた。一撃で殺すことができない相手ならば、まずは足を潰して機動力を削ぐ。
しかし男はそれを冷静に読み切り、二歩の踏み込みで小さく飛び上がった。ブーツの下を
ガリアスは左腕を右へ振るった。男の右剣が盾で防がれ、そのまま自身の右肩まで持ち上げて左剣も弾いた。その遠心力を利用し体を右回転、裏拳のように振るうハンマーの、今度は尖頭部が空を割く。
「おっと」
男は上体を反らして躱す。続けて大楯による打突。これを二刀で受け、体重をかけて下へと押し下げる。追撃はなく、男は大楯を利用してガリアスから視線を切ろうと今度は左へ回り込んだ。
「チッ」
向き直っている時間はない。ガリアスは姿勢を支えるべく素早く右手のハンマーを地面に押しつけ、丸太のような左足を大きく弧を描くように外へ振る。
「器用な!」
足裏に肉と骨の感触があった。衝撃はいなされているが、どのみち目的は接近の拒否。男が飛び退る、砂利を踏む音が数度聞こえた。
仕切り直し。振り返ると、男は左肩をぐるぐると回しながらガリアスの様子を窺っている。
「これが『殺す気』か? 領域効果 も無しとは、随分と悠長に構えたな」
「私の『領地』にはタネがないので手品にならん。日が出て沈むだけの、平凡なものだ」
「私の『領地』にはタネがないので手品にならん。日が出て沈むだけの、平凡なものだ」
男は西に輝く太陽を誇らしげに見上げた。領域という「己の死の風景」が「平凡なもの」であることを心から喜んでいる人間の表情に、ガリアスは盾の裏でわずかに顔をしかめる。
「お前こそ見せなくていいのか? 私は構わないぞ」
「……言ったな。後悔しても遅い」
「……言ったな。後悔しても遅い」
脳裏に過 る最期の光景が領域の輪郭を更に強固にしていく。豊かな緑に覆われた大地が次々と味気のない砂利に塗り替えられ、黄金の西日は霧に包まれた夜明け前の空、東へと一瞬で位置を変える。
「俺の名はガリアス。死因は……『戦死』」
名乗り上げを以って領域の支配は完了した。二人はガリアスの領域である霧深い隘路 の中途で対峙し、大楯を構えたままのガリアスは一歩、後退した。
「!」
説明しようのないきな臭さを感じ取った男は、すぐさま追って駆け出す。逃げるようにガリアスは更に後退し、霧の中に姿を隠そうとしている。
「ガリアスか! 覚えたぞ!」
男は右剣を振るい霧を払う。その先に垣間見えるガリアスの鋭い眼光。地面に垂直に構えられた大楯が接近を拒むように突き出される。男は剣を眼前に構えながら、打撃を喰らわないように飛び退いた。
磨き上げられた刃の表面は鏡代わりに男の背後を映し出す。霧の中に影の黒点が小さく落ちている。背後から何かが迫っている──男はすぐさま自分の左へと走った。読みが正しければ、ガリアスとてハンマーを振るってくる暇は無いはず。
磨き上げられた刃の表面は鏡代わりに男の背後を映し出す。霧の中に影の黒点が小さく落ちている。背後から何かが迫っている──男はすぐさま自分の左へと走った。読みが正しければ、ガリアスとてハンマーを振るってくる暇は無いはず。
「勘のいい──」
彼のつぶやきは男に聞こえていない。耳元を掠めた矢の風切り音が射抜いて行ったからだ。そしてそれは、すぐさま「雨」としての本領を発揮して男に襲い掛かる。
(戦死)
背中を射抜こうと次々に降り注ぐ矢の雨から逃げ、時に切り払いながら、男はガリアスの死について思考を張り巡らせる。
(射かけられて死んだ、と言うには些 か多いな)
個人を殺すだけではあまりに多い10や20の矢が、更に間断なく降りかかってくる。男の考え得る限り、そんな状況は数を揃えて殺し合う戦場以外にない。先に語った「傭兵」という言葉がそれを裏付ける。
(ならば罠の類も有り得るな。「ガリアス」に気を払いながら、全方向を警戒するわけだ)
領域の「死」は敵味方を区別しない。当然ながらこの矢の雨はガリアスにも降り注いでいるわけだが、ここで彼の大楯が活きてくる。ことごとくがそこで阻まれて彼には決して届いていない。恐らくは生前彼を殺したものは、今や彼の武器として敵に牙を剥いている。
機動を制限する土地条件。視界を遮る霧と暗い空。次々に降りかかる矢の雨。何より、それら全てを味方につけ、不動で戦い抜く技術と胆力。まるで神が采配したかの如く全てが噛み合い、ただ一人の「前線」を構築している。
単独でかかるような相手ではないことを認めながらも、しかし男の顔にはうっすらとした笑みが浮かんでいた。練り上げた技と力を全力でぶつけるに相応しい敵──好敵手との出会いが、戦士の本能を否応にも駆り立てていた。
機動を制限する土地条件。視界を遮る霧と暗い空。次々に降りかかる矢の雨。何より、それら全てを味方につけ、不動で戦い抜く技術と胆力。まるで神が采配したかの如く全てが噛み合い、ただ一人の「前線」を構築している。
単独でかかるような相手ではないことを認めながらも、しかし男の顔にはうっすらとした笑みが浮かんでいた。練り上げた技と力を全力でぶつけるに相応しい敵──好敵手との出会いが、戦士の本能を否応にも駆り立てていた。
「少し、走るか」
男は矢から逃げ回るのではなく、あえてその中へ飛び込んだ。
「向かってくるか!」
「無論。この剣以外に武器も無し!」
「無論。この剣以外に武器も無し!」
ただ、これは破れかぶれでも博打でもない。矢は両者に平等に降り注ぐのだから、ガリアスとて射貫かれれば死、良くても魂を大きく削られるのは避け得ない。であれば、ガリアスに肉薄して切り結んでしまえば、自分の死因で共倒れか、矢を止めるかの二択を強いることができる。その上でさらに男には秘策があった。
「チッ!」
ガリアスは早々に矢を消し去り、男を待ち構える。先程までと同じような白兵戦が再開される、とそう思っていたのだが、内容は少しだけ違っていた。
「行くぞ」
突然、男の速度が跳ね上がり、わずか一呼吸の内に剣の間合いまで接近を許していた。
「何──」
咄嗟に大楯が跳ね上がるものの、速度と体重を乗せて押し込んでくる二刀の力を完全にいなしきれず、ここで初めてガリアスが一歩圧された。
「フッ」
強引にチャンスを作り出した男は怒涛の剣戟を見舞う。長柄のハンマーは剣の間合いではギリギリ取り回しが利かず、全てを大楯で受けざるを得ない。そうして防御に意識を回した瞬間、今度は小さくサイドステップで側面に回り込み、わずかに庇いきれない肩、腕、脚などに刃を這わせる。減点するように、少しずつガリアスの皮膚に赤い線が増えていく。
「お前は頭が固いな」
「っ、何だと?」
「っ、何だと?」
ラッシュの最中、更に男は口撃まで仕掛けてきた。
「我らは既に人にあらず。常識などとうに通用しない」
「だから殺しても許せとでも言うのか?」
「違う。己の武器を理解し、殺しの算段を組み立て運用するのは見事と言って良い。だがそれは枠に嵌まった考えだ。もっと心で世界を見ろ」
「やかましいぞ爺! 俺を惑わそうとしても無駄だ!」
「ふむ──ならば一層、惑わせたくなった」
「だから殺しても許せとでも言うのか?」
「違う。己の武器を理解し、殺しの算段を組み立て運用するのは見事と言って良い。だがそれは枠に嵌まった考えだ。もっと心で世界を見ろ」
「やかましいぞ爺! 俺を惑わそうとしても無駄だ!」
「ふむ──ならば一層、惑わせたくなった」
男の口の端が歪むが、それを目が捉えられたのはほんの一瞬だけだった。
次の瞬間には眼前にいた男の姿が掻き消え、そしてすぐさま3つに増えた状態で現れた。
次の瞬間には眼前にいた男の姿が掻き消え、そしてすぐさま3つに増えた状態で現れた。
「!?」
驚愕。しかしガリアスとて歴戦の勇士である。目の前で起きている事の正体はすぐさま看破していた。
(領域の力か──つまらない嘘を!)
横並びの3つの頭をまとめてかち割るべくハンマーが薙ぎ払われる。だが返ってきたのは得物を弾かれた右手に走る鈍い痺れと、大楯を強引にこじ開けられて引っ張られる左手のモーメントと、頬を撫でる白刃の冷たさの3つ。それらがガリアスの感覚上では同時に襲い掛かってきた。
「──!!」
浅く切られた頬から血が滴り、冷や汗と混じって顎から落ちる。ほんの少し切っ先を下げれば首でも胸でも切られていた。命に手がかかったことをはっきりと突き付けられ、ガリアスの表情は一層険しくなった。
一方、再びただ一人の姿に戻った男は距離を取って、「どうだ?」と得意げに笑いかけた。
一方、再びただ一人の姿に戻った男は距離を取って、「どうだ?」と得意げに笑いかけた。
「……今のが『枠に嵌まらない考え』だとでも言うか?」
「その通り! 嘘をついたことは既に知れているだろう、だから能力 のタネを教えよう。私の死因は『老衰』だ。後は自分で考えろ」
「その通り! 嘘をついたことは既に知れているだろう、だから
それきり男は動きを止めた。言葉通りに、ガリアスが思考を巡らせる時間を作ったのだ。一対一の勝負としてはあまりにも異常な時間の使い方である。それは男がガリアスの資質を確かめるため、という、言外の意図を含んでいた。
『もし私が、お前を殺しに来たのではないとしたらどうだ?』
(まさか本当なのか。本当に、俺を殺しに来たのではないと)
言葉だけでは信じようもなかったが、一度殺せる機会を得た男の言葉には、にわかに信憑性が増す。男の言葉を全て信用するわけではないが、今の状況は無駄にできない。もし宣言通りに生かされたのだとしたら、拾ったチャンスを捨てるのは傭兵として下の下の選択である。
言われるままにするのは癪 だが、そこに光明の予感もあった。決して男から目をそらさず、ガリアスの思考が巡る。
言われるままにするのは
(老衰。見た目通り爺の死に方だ。それが何だ? 何の変哲も無い……いや、逆か。ここでは「死」が「力」になる、老衰にさえ力が宿るということ……)
まずは前提を変える。
(何かの力が働いて、奴は速く動いていた。「老衰」と「速さ」を繋ぐものは……「時間」か)
次に関連性を紐解く。
そこに自ずと答えは見えた。
そこに自ずと答えは見えた。
「お前は老衰で死んだ。即ち『時間の流れに殺された』。だから死者として、時間の流れを操ることができる……。違うか?」
「素晴らしい。拍手できんのが惜しいほど見事な解答だ」
「素晴らしい。拍手できんのが惜しいほど見事な解答だ」
能力が分かったところで、男に対するガリアスの困惑は一層深まった。殺しに来たわけでもなく、手の内を自分から明かして考えさせるなどといった行いの理由が全く分からない。ついに困惑を抱えきれなくなった彼は、素直に男に問うていた。
「なぜ手を止めた。なぜ手の内を明かす。殺しに来たのではないとして……ならば、何が目的だ? 俺に何をさせようと言うんだ」
「ようやく話ができるな。単刀直入に言おう、私は強い仲間を求めている。お前の力を求めてここに来た」
「ようやく話ができるな。単刀直入に言おう、私は強い仲間を求めている。お前の力を求めてここに来た」
男は敵対の意思を収めたことを示すように、剣を地面に突き刺した。それを賢者の杖代わりに手を置き、静謐な意思の宿る瞳がガリアスを見つめる。
いつか、どこかで見たような目だ。彼の心中に一筋の光明が差し込み、暗い霧に覆われていた過去の記憶を撫でる。感傷に浸るほどではないが、放っておくのも違う。
いつか、どこかで見たような目だ。彼の心中に一筋の光明が差し込み、暗い霧に覆われていた過去の記憶を撫でる。感傷に浸るほどではないが、放っておくのも違う。
「仲間。何の」
「戦う意思がない者を守るための、だ。ここには私やお前のような戦士ばかりいるわけでないのは承知だろう。それら弱者を、蹂躙を好む悪鬼や、闘争のための闘争を求めるような死狂いの類から保護する。そのために強く、聡い仲間が要る」
「……それが、俺だと?」
「うむ。戦士としての実力は申し分ない。死者の戦い方に対する嗅覚 も利く。どうだガリアス、人を護る気はないか?」
「────」
「戦う意思がない者を守るための、だ。ここには私やお前のような戦士ばかりいるわけでないのは承知だろう。それら弱者を、蹂躙を好む悪鬼や、闘争のための闘争を求めるような死狂いの類から保護する。そのために強く、聡い仲間が要る」
「……それが、俺だと?」
「うむ。戦士としての実力は申し分ない。死者の戦い方に対する
「────」
ついに男が語った目的にガリアスは言葉を失った。それはいつか、どこかで聞いたような言葉だった。何もかもを失った少年の言葉であり、大切なものを失いたくなかった戦士の言葉だった。彼が鎚を振るう理由であり、盾を取った真意だった。
『俺はもっと強くなります。大事なものを守れるようになりたいんです』
『殿は俺が務める。安心しろ、ここは死んでも通さない。必ず守り抜く』
「だとしても」
一度は命に手がかかったのは確かだ。だがどんな理由があれど、殺されなかった以上勝敗は決していない。だからまだ勝負はついていない──分かっている、そんなものは子供じみた屁理屈だ。首を即座に縦に振らなかったのは単なる意地。
「お前は、俺を従えるための報酬を、提示していない」
「……やれやれ。素直でない男だ」
「……やれやれ。素直でない男だ」
男は苦笑し、剣を抜いた。状況はまたふりだしに戻る。
「提示できるものなどポイントしかない。それを望むか?」
「興味がない。復活など求めん」
「どうしようもないな。どうすれば折れてくれる?」
「折れん。お前が下がれ」
「ハハハッ! そうなるだろうな。しかし私も引き下がる気はない」
「興味がない。復活など求めん」
「どうしようもないな。どうすれば折れてくれる?」
「折れん。お前が下がれ」
「ハハハッ! そうなるだろうな。しかし私も引き下がる気はない」
二人は感じ取っていた。互いに魂の奥底に根差すものは同じであることを。その上で、この先、この場を制するのはもはや「意地」以外にないと。
力を見せ、意志を示し、言葉を交わして、なお平行線を行くのであれば、あとはお互いの道を叩き合って、望む方向に捻じ曲げるしかない。
何よりそれはガリアス自身の望みでもあった。男の理想は確かに眩しいが、綺麗事の実現には何よりも力がいる。その力でガリアスを捻じ伏せ、あるいはへし折ってでも「納得」させてみろ、という一種の「試練」、あるいは「儀礼」なのだ。
力を見せ、意志を示し、言葉を交わして、なお平行線を行くのであれば、あとはお互いの道を叩き合って、望む方向に捻じ曲げるしかない。
何よりそれはガリアス自身の望みでもあった。男の理想は確かに眩しいが、綺麗事の実現には何よりも力がいる。その力でガリアスを捻じ伏せ、あるいはへし折ってでも「納得」させてみろ、という一種の「試練」、あるいは「儀礼」なのだ。
「共に来い、ガリアス」
理想のために「騎士」は再び剣を構える。
「お断りだ。消えろ、爺」
再演のような睨み合いを嫌って、第二幕はガリアスが口火を切った。
「むっ?」
まっすぐに突っ込んでくる。これまで待ちの戦型だったガリアスが初めて見せる積極策だ。大きな一歩ですぐに二人の距離は縮まる。だが盾の後ろに隠されたままの右手は一向に振るわれようとしない。リーチの有利を自分から失っている。
(何を──)
さらに一歩。既に長柄の武器を振るえる距離を逸し、剣の間合いに入ってなお足を止めない。だが盾も動いていない。ただの体当たりを疑ったところで、ようやくガリアスの右腕が動くのが見えた。
「うおおっ!」
「!」
「!」
彼が握るハンマーは、鍛冶屋が握るような大きめの金槌程度まで縮小されていた。リーチはないが、踏み込んでしまえば剣より更に小回りの利くサイズになったハンマーが、男のあばらをへし折ろうと体の内へと潜り込んでくる。
即座に左剣で受けるものの、筋力で勝るガリアスの一撃を片手だけでは完全にいなしきれず、左腕に重い痺れが残った。間髪入れずに押し付けられた大楯が右腕を払い除け、初めて男の胴が空く。
即座に左剣で受けるものの、筋力で勝るガリアスの一撃を片手だけでは完全にいなしきれず、左腕に重い痺れが残った。間髪入れずに押し付けられた大楯が右腕を払い除け、初めて男の胴が空く。
「ハァッ!」
剛腕にて振るわれる重い金属の塊が、しかと胴を打ち据えた。柔らかい肉を押しのけて衝撃が内臓まで達した感覚が伝わってくる。
「ごはっ──」
鍛え抜かれているとはいえ老体には強烈な一撃に、臓腑から空気を押し出され、男は数歩後退する。
「ちょうどいい」
ガリアスは得物をまっすぐ男に向け、目線をぴたりと揃える。
『常識は通用しない』。今ならその言葉の意味が分かる。領域が持つ力だけでなく、見知ったこれらの武器も、ガリアスの感じ方一つで姿を変えるということ。その通りに、ハンマーは振り回しやすい大きさまで縮めることができた。であれば、今度はその逆だ。
『常識は通用しない』。今ならその言葉の意味が分かる。領域が持つ力だけでなく、見知ったこれらの武器も、ガリアスの感じ方一つで姿を変えるということ。その通りに、ハンマーは振り回しやすい大きさまで縮めることができた。であれば、今度はその逆だ。
「伸びろ」
途端に柄が勢いよく伸び、男の元へと殺到する。
「大きく」
更に衝突の瞬間に鎚頭が男の身長と同程度にまで巨大化し、その身体を覆い隠しながら延々と伸び続けていく。もはやハンマーとも言えないものに押し出されて、男は後方の岩肌に叩き付けられた。
「ひと思いに逝け」
土煙の中の男に心配などせず、ガリアスは追撃を放っている。それは生前この場所で戦った際に仕掛けていた落石の罠。人が振るうハンマーの比ではない質量と速度を持った「死」の塊が、男の頭上に降り注ぐ。
「ゲホッ……やってくれる」
心なしか嬉しそうな声が聞こえ、直後、それが正しかったと証明するように、巨大な岩は空中で木っ端微塵に切り裂かれた。普通ならば到底あり得ない出来事だが、それでもガリアスの動揺は最小限で済んだ。常識など通用しないことこそがこの世界の常識であると、彼は自らの意識に新しいルールを書き加えている。後は頭と体がそれに慣れるだけだ。
霧が揺れた。体勢を立て直した男が攻め込んでくるのを察し、ガリアスは異様に延伸したハンマーを振るう。柄にはもはや硬さもなく、まるで鞭のようにしなって男を狙う。
しかし付け焼刃の技術には隙があるものだ。そして対峙する男はガリアスよりもそのことに詳しかった。大岩を切っておきながら刃こぼれ一つない剣を振るって、最も硬いはずの鎚頭を軽々と真っ二つにしてみせる。
霧が揺れた。体勢を立て直した男が攻め込んでくるのを察し、ガリアスは異様に延伸したハンマーを振るう。柄にはもはや硬さもなく、まるで鞭のようにしなって男を狙う。
しかし付け焼刃の技術には隙があるものだ。そして対峙する男はガリアスよりもそのことに詳しかった。大岩を切っておきながら刃こぼれ一つない剣を振るって、最も硬いはずの鎚頭を軽々と真っ二つにしてみせる。
「筋は良いが──!」
新しいハンマーと男の二刀が交わり、ハンマーがこれまた簡単に断ち切られた。
「クソッ……!」
懐に入り込まれ、ガリアスは小型のハンマーを次々と振るう。しかしどれもが熱したナイフをバターに入れるように軽々と切り裂かれ、刃を止めることさえできずにいた。
「一長一短だ! 変形したものは、原形を保ったものよりも脆い!」
「なら……こうだろッ!」
「なら……こうだろッ!」
全神経を大楯に集中させて二刀を受け止める。大楯は男の言う通りの「原形」を維持している、だからこれまで何度男の剣を受け止めても切られなかった。防御は問題ない。あとは攻撃だ。
「ぶっ壊れろォッ!」
その答えはもう出ている。脆いものであっても、それがガリアスの膂力 で振るわれれば威力は充分だ。ゆえに、壊れることを前提に、全力の一撃を叩き込む──!
「くぉっ──」
金属同士を打ち付け合う音が強く響いた。ガリアスの想定通り、彼の全力に耐え切れずにハンマーは砕け散るものの、その衝撃は剣を伝って男の全身を余すことなく蹂躙していた。振動が脳まで駆け上がり男の平衡感覚を容赦なく揺さぶる。そして無防備な顔面にガリアスの大きな拳が正確に叩き込まれた。
「──これが一番強いだろ」
最も頑丈な「原形」、それ即ち「肉体」。戦士の勘は解を正しく察していた。
「う──くぅ──っ」
ハンマーで殴られるより強烈な一撃を叩き込まれ、男は不規則なリズムで数歩後ずさる。動きを制御できていない、「効いた」証拠だ。その顔から血が滴り落ちる。鼻は折れ、目の下に青いアザができていた。間違いなく痛打を喰らい、それでも彼は意識を強く保ち、両の脚で大地を踏みしめた。
「……ゲホッ。もう少し、手加減してくれても……いいのではないか? この通り、老い先短い、老人、なのだが。ゲホッ!」
仕立ての良いサーコートの裾で乱暴に鼻血を拭い、男は愉快そうに笑う。今更ながらの冗談を飛ばす中には、気心の知れた友人と後腐れのない喧嘩をした後のような、そんな爽やかさすらあった。
「くたばってんのに老い先もないだろ。それに、今のでそんだけ元気そうなら問題ない」
ガリアスもガリアスで、今持てる技と力の全てを披露しつくした戦いに高揚と充足を覚えていた。間違いなく死後で一番の使い手との戦いだった。もはや男の実力を疑いはしない。認めるに足る男であると、魂が言っている。
けれど。
「……良い雰囲気、か?」
「馬鹿を言うな、決着はついていない。お前が膝をつくまで、俺はやめる気などない」
「馬鹿を言うな、決着はついていない。お前が膝をつくまで、俺はやめる気などない」
それでもガリアスは首を縦に振らなかった。
それはやはり、ただの意地で──
それはやはり、ただの意地で──
「わかったわかった。そうまでして決着をつけたいか! ならばもう良い、私も言葉を置く。ただの戦士として白黒をつけよう!」
「──ハッ。やっと面白くなってきた」
「──ハッ。やっと面白くなってきた」
──時々そうしないと生きていけない、男という生き物の馬鹿な生き様だ。
語るべき言葉、ここにあらず。語るべき相手、ここにおらず。ただ、死力を尽くすのみ。
「おおおっ!」
「はぁぁっ!」
「はぁぁっ!」
「……クソ。なんてしぶとい爺だ……ッ。そんな、体で……ハァ、よく立つ……!」
「四肢のひとつ、くらいは、落とすつもりだったが……まったく、やたらに……硬い!」
「四肢のひとつ、くらいは、落とすつもりだったが……まったく、やたらに……硬い!」
どれほどの時間戦い続けたのか、二人の感覚では分からない。疲労困憊、満身創痍になるまで戦っても領域は解けず、どちらも膝をつかずにいることだけが唯一つの真実だ。
「埒が明かんな……ガリアスよ、勝負を諦めるなら今だぞ……」
「投げ出す気は、ないがな……不毛なのは、同意だ……っ」
「投げ出す気は、ないがな……不毛なのは、同意だ……っ」
どちらも「戦いを降りる」とは言わなかったが、気持ちは一緒だった。もはや譲歩一つでも負けを認めたことになってしまう。それすら意地で立つ今の二人には許しがたい。戦わずして勝敗をつける手段が早急に必要だった。
「……お前、酒は飲むか?」
「ビール……。戦勝は必ずビールと決めている」
「良し。ならば……飲み比べだ! 先に酔い潰れた方が負け、どうだ」
「ビール……。戦勝は必ずビールと決めている」
「良し。ならば……飲み比べだ! 先に酔い潰れた方が負け、どうだ」
男は剣を鞘に納め、赤く擦り剥けた手をガリアスに差し出した。
「ああ……いい。お前を酔い潰して、頭も潰す……」
その手を取るまでは行かない。しかし、自分の掌を打ち合わせるくらいなら問題ない。
ぱしん、と乾いた音が清廉な空に響き渡った。
ぱしん、と乾いた音が清廉な空に響き渡った。
「ん……朝、か」
「……それはいい。朝から飲む酒は格別に旨い」
「……それはいい。朝から飲む酒は格別に旨い」
見れば、地平線から太陽が昇り、見渡す限りを照らし出そうとしていた。「領域」という死に閉じられた空間の中でも命が目覚め、また一日が始まろうとしている。当たり前すぎて忘れてしまうような奇跡が、ここにはあった。
「……名乗れ。これほどの戦士の名だ。是非とも知りたい」
「よくぞ聞いてくれた。我が名はベルフリート・フォン・アーデシュミット。誉れある『騎士』だ。覚えておけ、『傭兵』……ガリアス」
夜明けを見ずに孤独に逝った男は、日の出をもたらす男と出会った。
太陽の如く照らす騎士。太陽の昇らぬ空を守る傭兵。
生まれも時代も違う二人の男は、結局飲み比べでも勝負をつけられなかった。
「酔えん!」
そうして二度目の勝負も流れ、今は契約が二人を繋いでいる。
「いつか究極のビールをお前に振る舞ってやろう。それが報酬だ」
本当はただ酒を酌み交わして、腹を割って話し、親交を深めたという至極真っ当な友人関係なのだが──本人たちのプライドのために、知らなかったことにしておいてあげてほしい。
勝負がついていなければ、またいつでも共に酒を飲めるのだから。
最後を勝手に締め括り、アーサーがまるで舞台でも観終えたかのように大きな拍手を送った。勢いにつられてミーナとシオンも拍手を送り、ガリアスの渋面は一層渋くなった。
「そうして二人はお友達になったのよね!」
ミーナの純粋な言葉が更なる追い打ちをかける。まさか彼女を怒鳴りつけるわけにもいかず、その矛先は余計なことを言ったアーサーに向けるほかなかった。
「──おいアーサー、最後の余計な一言は何だ?」
「面白くするための脚色ですよ」
「学者がそれを言うかッ! 黙ってろ! まったく……」
「くっくっ、そう苛立つなガリアス。……してシオンよ、私たちの過去はどうだった」
「うん、面白かった。ただ一つ解せないことがある。なぜ友人だと認めない?」
「ゥぐっ、けほっ、かはっ、お前、シオンっ」
「ハッハッハッハッハッ! フッ、ンフフフフ。ほら、シオンさんにだって分かってますよ。素直じゃない人ですねえ」
「フッ。シオンよ、言ってやるな。それがそいつの性 というものだ」
「ああクソ、やっぱりするんじゃなかった、こんな話……。すまんミーナ、ティーポットを借りるぞ」
「あっ! またお部屋に籠るつもりでしょ! ダメよ、せっかくもっと仲良くなりましょうって時に!」
「そうだぞガリアス。説明を聞いていない。まだ話があるだろう、お前の生前のことや──」
「やめろやめろ! お前らっ、そんな目で俺を見るな!」
「面白くするための脚色ですよ」
「学者がそれを言うかッ! 黙ってろ! まったく……」
「くっくっ、そう苛立つなガリアス。……してシオンよ、私たちの過去はどうだった」
「うん、面白かった。ただ一つ解せないことがある。なぜ友人だと認めない?」
「ゥぐっ、けほっ、かはっ、お前、シオンっ」
「ハッハッハッハッハッ! フッ、ンフフフフ。ほら、シオンさんにだって分かってますよ。素直じゃない人ですねえ」
「フッ。シオンよ、言ってやるな。それがそいつの
「ああクソ、やっぱりするんじゃなかった、こんな話……。すまんミーナ、ティーポットを借りるぞ」
「あっ! またお部屋に籠るつもりでしょ! ダメよ、せっかくもっと仲良くなりましょうって時に!」
「そうだぞガリアス。説明を聞いていない。まだ話があるだろう、お前の生前のことや──」
「やめろやめろ! お前らっ、そんな目で俺を見るな!」
太陽が少しずつ西の空へ向かい、夜の静寂を連れてこようとしていても、今日、この時、この瞬間の喧騒は、まだまだ終わる兆しを見せない。夜を徹し、朝を迎えても、きっと終わることはないだろう。
騎士は一人微笑む。己の目指した理想の形が、こうして在る。理想を守るための力として欲した男が、その中心で平和に揉まれている様のなんと愉快なことか。
彼らはこれからも祈りと共に刃を振るう。こんな眩しい時間 が、誰にも訪れ、長く、永く続くようにと──。