| 前の話 | 次の話 |
「ここが私たち放送部の部室、その1!」
階段から二つ階を上がり、突き当りまで歩き、ある教室の前でヴラース先輩は自信満々な顔で大きく手を広げた。
「…メディア編集、スタジオ?」
あまり馴染みのない教室名に首をひねっていると、補足が飛んできた。
「そ。もう一つの部室こと、校内放送とかの設備がある放送室とごっちゃになっちゃうからね…ま、部室だと思ってくれて大丈夫だよ~。ほら、入って入って!」
先輩に手を引かれ部室の戸を抜けると、2人の先客たちが囲む机と、無理やり屋内に置いた、という雰囲気のプレハブ小屋のような箱が目に入った。
「…お、ヴラース。後輩みつけて来た?」
その2人のうち1人、大人っぽい雰囲気の男子がこちらに向き直った。
「クランツ先輩。そう言う先輩も見つけてきたんですね。」
「うん。初めまして、まぁ座って座って。」
そう言ってクランツと呼ばれた先輩は椅子を引いてくれた。よく見ると、机の上に人数分のお茶とお菓子もある。
「紅茶、大丈夫?」
「ありがとうございます、お言葉に甘えて…」
先輩からティーカップを受け取る。お茶葉の良し悪しはあまりわからないが、上品な感じの匂いがする、気がする。
「せんぱーい、私にも!」
「はいはい、待っててね…」
先輩たちを見ていると、最後の一人――先客のうち、先輩ではない方――肩をつついて話しかけてきた。
「はじめまして!私は灯里・ヴィーシィ。アカリって呼んで!」
……シルフ、ヴラース先輩、と続いて三人目。今日は元気な奴に会う日らしい。
「はじめまして。私はシェスト・パーター。…ハーフ?」
「うん、お母さんがエスティナの高金のあたりの人で…あ、でも私は生まれてこの方ずっとこの辺に住んでるから…」
隣国、エスティナ連合国。――20年前の独立戦争で私たちのネストニアから独立した、元ネストニア植民地――まぁ今は地道な関係改善努力のおかげで、特に仲のいい国を挙げろと言われれば五本の指には入る程度の友好国だが。
「よろしくね。クラス何組?」
「G組だよ。」
「あ、ほんと?私はF組。」
「隣じゃん!こんど遊びにいっちゃおっかな~。」
「待ってるよ。…そういえば…」
他愛のない会話がひと段落して連絡先の交換も済ませたところで、猫舌でも飲めるくらいに冷めた紅茶を飲みつつ部屋の中をぐるりと見回す。
教室の入り口の近くの机に並べられた盾とトロフィーの群れ、続いて目に入ったのは三脚とカメラ。カメラの上にはテレビでよく見るようなモフモフしたマイクがついている。
そしてどうやらプレハブのような箱はどうやら防音室のようだった。
視点を移すと大小様々なディスプレイが並ぶブースがあった。
続けてよくわからない衣装や小道具が大量に詰まった箱、それと本がいっぱいに詰まった棚。
…と、部室の全容を確認したところでもう二人、部屋に入ってくるのが見えた。
「…ここなんですか?」
「うん、ここがまぁ…放送部の部室、って呼んでいいんじゃないかな。ほら、座って座って。」
男子が二人、靴の色的に髪が気持ち長めな片方は二年生で眼鏡をかけているもう片方は一年生。
「失礼します。」
と、しっかり挨拶をして入ってきた。
「それじゃ、一人一人自己紹介でもしようか。」
「そですね。組と名前と…好きな食べ物、それと一言!」
大きな机を囲むように座った私たちのうち、クランツ先輩がそう言い、放送部の体験入部が始まった。
「時計回りで行こうか。」
どうやら私は最後らしい。
「俺から。3年C組、クランツ・ヴァン・リートミュラー。一応部長やってます。好きな食べ物はカレー。みんな入ってくれると嬉しいな。」
上品で落ち着いた人、という印象。緑色の髪が特徴的だ。
「私は2年E組、ヴラース・チェーティリー。副部長です!好きな食べ物はりんご。編集は私に訊けよ!よろしく!」
続いて、階段下で行き倒れていた先輩。本人の所作に肩まで伸ばした金髪が拍車をかけて、活発な印象。
「えっと……2年Ʒ組、ノルビス・ヴァン・ハーロン。好きな食べ物は寿司。仲良く出来ればいいな、と思ってる。よろしく。」
なんとなく落ち着かない感じの先輩。髪も気持ち長め。
「1年G組、灯里・ヴィーシィです!好きな食べ物はみかん。クランツ先輩に誘われて、楽しそうだったので来ました!よろしくお願いします!」
元気だがちょっとハスキーな声の子。サイドテールがよく似合ってる。
「1年A組、クラフ・アルバトス。好きな食べ物はガム。中学時代も放送部だったので戦力になれると思います。よろしく。」
さっきノルビス先輩と入ってきた人。釣り目で少し怖い印象。
「次で最後だね。」
部長がこっちを向く。
「…1年F組、シェスト・パーターです。好きな食べ物はハンバーガー。…とりあえず体験のつもりで来ました。よろしく。」
階段から二つ階を上がり、突き当りまで歩き、ある教室の前でヴラース先輩は自信満々な顔で大きく手を広げた。
「…メディア編集、スタジオ?」
あまり馴染みのない教室名に首をひねっていると、補足が飛んできた。
「そ。もう一つの部室こと、校内放送とかの設備がある放送室とごっちゃになっちゃうからね…ま、部室だと思ってくれて大丈夫だよ~。ほら、入って入って!」
先輩に手を引かれ部室の戸を抜けると、2人の先客たちが囲む机と、無理やり屋内に置いた、という雰囲気のプレハブ小屋のような箱が目に入った。
「…お、ヴラース。後輩みつけて来た?」
その2人のうち1人、大人っぽい雰囲気の男子がこちらに向き直った。
「クランツ先輩。そう言う先輩も見つけてきたんですね。」
「うん。初めまして、まぁ座って座って。」
そう言ってクランツと呼ばれた先輩は椅子を引いてくれた。よく見ると、机の上に人数分のお茶とお菓子もある。
「紅茶、大丈夫?」
「ありがとうございます、お言葉に甘えて…」
先輩からティーカップを受け取る。お茶葉の良し悪しはあまりわからないが、上品な感じの匂いがする、気がする。
「せんぱーい、私にも!」
「はいはい、待っててね…」
先輩たちを見ていると、最後の一人――先客のうち、先輩ではない方――肩をつついて話しかけてきた。
「はじめまして!私は灯里・ヴィーシィ。アカリって呼んで!」
……シルフ、ヴラース先輩、と続いて三人目。今日は元気な奴に会う日らしい。
「はじめまして。私はシェスト・パーター。…ハーフ?」
「うん、お母さんがエスティナの高金のあたりの人で…あ、でも私は生まれてこの方ずっとこの辺に住んでるから…」
隣国、エスティナ連合国。――20年前の独立戦争で私たちのネストニアから独立した、元ネストニア植民地――まぁ今は地道な関係改善努力のおかげで、特に仲のいい国を挙げろと言われれば五本の指には入る程度の友好国だが。
「よろしくね。クラス何組?」
「G組だよ。」
「あ、ほんと?私はF組。」
「隣じゃん!こんど遊びにいっちゃおっかな~。」
「待ってるよ。…そういえば…」
他愛のない会話がひと段落して連絡先の交換も済ませたところで、猫舌でも飲めるくらいに冷めた紅茶を飲みつつ部屋の中をぐるりと見回す。
教室の入り口の近くの机に並べられた盾とトロフィーの群れ、続いて目に入ったのは三脚とカメラ。カメラの上にはテレビでよく見るようなモフモフしたマイクがついている。
そしてどうやらプレハブのような箱はどうやら防音室のようだった。
視点を移すと大小様々なディスプレイが並ぶブースがあった。
続けてよくわからない衣装や小道具が大量に詰まった箱、それと本がいっぱいに詰まった棚。
…と、部室の全容を確認したところでもう二人、部屋に入ってくるのが見えた。
「…ここなんですか?」
「うん、ここがまぁ…放送部の部室、って呼んでいいんじゃないかな。ほら、座って座って。」
男子が二人、靴の色的に髪が気持ち長めな片方は二年生で眼鏡をかけているもう片方は一年生。
「失礼します。」
と、しっかり挨拶をして入ってきた。
「それじゃ、一人一人自己紹介でもしようか。」
「そですね。組と名前と…好きな食べ物、それと一言!」
大きな机を囲むように座った私たちのうち、クランツ先輩がそう言い、放送部の体験入部が始まった。
「時計回りで行こうか。」
どうやら私は最後らしい。
「俺から。3年C組、クランツ・ヴァン・リートミュラー。一応部長やってます。好きな食べ物はカレー。みんな入ってくれると嬉しいな。」
上品で落ち着いた人、という印象。緑色の髪が特徴的だ。
「私は2年E組、ヴラース・チェーティリー。副部長です!好きな食べ物はりんご。編集は私に訊けよ!よろしく!」
続いて、階段下で行き倒れていた先輩。本人の所作に肩まで伸ばした金髪が拍車をかけて、活発な印象。
「えっと……2年Ʒ組、ノルビス・ヴァン・ハーロン。好きな食べ物は寿司。仲良く出来ればいいな、と思ってる。よろしく。」
なんとなく落ち着かない感じの先輩。髪も気持ち長め。
「1年G組、灯里・ヴィーシィです!好きな食べ物はみかん。クランツ先輩に誘われて、楽しそうだったので来ました!よろしくお願いします!」
元気だがちょっとハスキーな声の子。サイドテールがよく似合ってる。
「1年A組、クラフ・アルバトス。好きな食べ物はガム。中学時代も放送部だったので戦力になれると思います。よろしく。」
さっきノルビス先輩と入ってきた人。釣り目で少し怖い印象。
「次で最後だね。」
部長がこっちを向く。
「…1年F組、シェスト・パーターです。好きな食べ物はハンバーガー。…とりあえず体験のつもりで来ました。よろしく。」
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