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「テレドキュ」というのは、おそらく「テレビドキュメント」の略だろう。ヴラース先輩は慣れた手つきでマウスを滑らせ、カチカチと小気味のいい音を響かせてフォルダーを開いて奥へ、奥へと進んでいく。
「これ、前回の大会に出した奴でね。州大会では最優秀取ったんだ〜。」
機嫌良さげに語るヴラース先輩の視線の先の画面には、「td03.mp4」と名前のついたファイルがあった。
「それじゃ、再生するよん。」
ダブルクリックの音と共にウィンドウが開き、続けてそれが全画面化した。画面にはテストパターンと共に、「198 ELE þlat lolke lilonigh 」と表示されていた。
「それではお楽しみください~」
ヴラース先輩がそう言い、わざとらしくお辞儀をしてから再生ボタンを押して画面の前から去って行った。アカリはぺちぺちと拍手している。
「皆さんは、こんな経験はありませんか?」
5秒ほどのテストパターンの次にヴラース先輩の声で流れたナレーションのあと、授業している教室を前から映した映像がテレビを流れる。恐らくそうなるよう計算づくで作られた、特に面白くもつまらなくもない「普通の授業」の映像だった。
視点が変わり、ある一人の男子生徒の顔が映る。必死に教科書を読みノートを取っているが、突然、操り人形の糸が切れたように手が力を失い、項垂れる。
「おいお前ェ!」
その音を聞いた先生が黒板から振り返り、怒鳴る。明らかに体育会系の、所謂「怖い教師」という雰囲気の衣装の先生の顔を見て涎をたらしかけていた男子生徒は驚いて顔を上げ、続いて顔がみるみる青白くなっていく。
「授業中の居眠り。斯く言う私も、一日一回はやらかします。」
思わずヴラース先輩の方を見てしまった。というか三人とも見ている。クランツ先輩はケラケラと笑っている。隣のアカリから「マジ…?」と微かな声が聞こえた。
「だー!そこはどうでもいいから、ほら動画に集中して!」
「でも一回も赤点は取ってないんだよ、こいつ。毎回ギリギリで回避してるの。」
「余計なこと言わんでいい!恥ずかしいから!」
顔を真っ赤にしたヴラース先輩がノルビス先輩を一度どついたあと、今の時間で流れてしまった分を巻き戻して再び動画をスタートさせる。
「実際、我が校の皆様も…」
顔にモザイク処理を施された生徒が画面に映る。さながら本物のインタビューのようだ。
「やっぱり寝ちゃいますよ、昼食の後とか…」
右側には、「プライバシー保護のためにモザイク処理をしております」とテロップが出ている。
「あんまりないですけど、たま~に…」
これは次に映った生徒の回答。真面目そうな生徒だった。
「先生にはバレてないんですけど、結構寝てます~」
三人目。いかにも悪ガキという風な生徒。でも去年の作品ということだから確実に私よりは年上なのだろう。
「ちょっと、今度秘訣を個人的にお伺いしてもいいですか?」
…これもヴラース先輩。やかましい。
「私たちが調査したところ、やっぱり悩んでいる生徒は多いみたいです。」
円グラフが出てくる。「寝たことがある」が七割を占める表示だった。
「と、言うわけで今回は~…」
溜めのあとに、大仰な効果音に合わせて
「授業中の居眠り対策委員会~!」
大き目のテロップ、というかタイトルロゴに、先輩のタイトルコール。わかりやすく「ここから本編」だ。
「これ、前回の大会に出した奴でね。州大会では最優秀取ったんだ〜。」
機嫌良さげに語るヴラース先輩の視線の先の画面には、「td03.mp4」と名前のついたファイルがあった。
「それじゃ、再生するよん。」
ダブルクリックの音と共にウィンドウが開き、続けてそれが全画面化した。画面にはテストパターンと共に、「
「それではお楽しみください~」
ヴラース先輩がそう言い、わざとらしくお辞儀をしてから再生ボタンを押して画面の前から去って行った。アカリはぺちぺちと拍手している。
「皆さんは、こんな経験はありませんか?」
5秒ほどのテストパターンの次にヴラース先輩の声で流れたナレーションのあと、授業している教室を前から映した映像がテレビを流れる。恐らくそうなるよう計算づくで作られた、特に面白くもつまらなくもない「普通の授業」の映像だった。
視点が変わり、ある一人の男子生徒の顔が映る。必死に教科書を読みノートを取っているが、突然、操り人形の糸が切れたように手が力を失い、項垂れる。
「おいお前ェ!」
その音を聞いた先生が黒板から振り返り、怒鳴る。明らかに体育会系の、所謂「怖い教師」という雰囲気の衣装の先生の顔を見て涎をたらしかけていた男子生徒は驚いて顔を上げ、続いて顔がみるみる青白くなっていく。
「授業中の居眠り。斯く言う私も、一日一回はやらかします。」
思わずヴラース先輩の方を見てしまった。というか三人とも見ている。クランツ先輩はケラケラと笑っている。隣のアカリから「マジ…?」と微かな声が聞こえた。
「だー!そこはどうでもいいから、ほら動画に集中して!」
「でも一回も赤点は取ってないんだよ、こいつ。毎回ギリギリで回避してるの。」
「余計なこと言わんでいい!恥ずかしいから!」
顔を真っ赤にしたヴラース先輩がノルビス先輩を一度どついたあと、今の時間で流れてしまった分を巻き戻して再び動画をスタートさせる。
「実際、我が校の皆様も…」
顔にモザイク処理を施された生徒が画面に映る。さながら本物のインタビューのようだ。
「やっぱり寝ちゃいますよ、昼食の後とか…」
右側には、「プライバシー保護のためにモザイク処理をしております」とテロップが出ている。
「あんまりないですけど、たま~に…」
これは次に映った生徒の回答。真面目そうな生徒だった。
「先生にはバレてないんですけど、結構寝てます~」
三人目。いかにも悪ガキという風な生徒。でも去年の作品ということだから確実に私よりは年上なのだろう。
「ちょっと、今度秘訣を個人的にお伺いしてもいいですか?」
…これもヴラース先輩。やかましい。
「私たちが調査したところ、やっぱり悩んでいる生徒は多いみたいです。」
円グラフが出てくる。「寝たことがある」が七割を占める表示だった。
「と、言うわけで今回は~…」
溜めのあとに、大仰な効果音に合わせて
「授業中の居眠り対策委員会~!」
大き目のテロップ、というかタイトルロゴに、先輩のタイトルコール。わかりやすく「ここから本編」だ。
「製作は、ミスティリフ州立高等学校、放送部でした。」
……その後は、「どのような条件で眠りやすいか」、「生徒がやっている対策の紹介」、「ミスティリフ大附属病院の心療内科の医師に対策を取材」、で一度オチをつけてからおまけで「先生はどのくらい気付いているのか」と取材して番組の〆。
体感もっと長かったが、それでいてあっという間だった8分間が終わり、最初と同じテストパターンが5秒ほど表示され、画面は暗転した。
「…はい。どうだったー?」
動画を止めたヴラース先輩が、自慢げにこちらを振り返ってくる。
「すごかったです!!これ、ほんとに先輩たちが作ったんですか!?」
一番反応がいいのはアカリ。動画が終わった後多分三人の中で一番長く拍手していた。
「凄いです。本物のテレビ番組みたい…」
私も素直な感想を述べた。
「三人だけでこれは、凄いですね…」
クラフは反応が薄いな、経験者からすると物足りないところでもあったか…と、思っていたら、
「最初に寸劇から入って関心を惹きつけ、生徒と先生の正直な声を盛り込むことで審査員である教職の好感度を稼ぐ、全体的に間の取り方と画面構成もしっかりしてて見やすいですし、病院まで出向いた取材努力もあり所々のコミカルな展開も飽きさせない工夫で。これ、編集と構成はどちらの先輩ですか?」
実は一番楽しんでいたのだった。
……その後は、「どのような条件で眠りやすいか」、「生徒がやっている対策の紹介」、「ミスティリフ大附属病院の心療内科の医師に対策を取材」、で一度オチをつけてからおまけで「先生はどのくらい気付いているのか」と取材して番組の〆。
体感もっと長かったが、それでいてあっという間だった8分間が終わり、最初と同じテストパターンが5秒ほど表示され、画面は暗転した。
「…はい。どうだったー?」
動画を止めたヴラース先輩が、自慢げにこちらを振り返ってくる。
「すごかったです!!これ、ほんとに先輩たちが作ったんですか!?」
一番反応がいいのはアカリ。動画が終わった後多分三人の中で一番長く拍手していた。
「凄いです。本物のテレビ番組みたい…」
私も素直な感想を述べた。
「三人だけでこれは、凄いですね…」
クラフは反応が薄いな、経験者からすると物足りないところでもあったか…と、思っていたら、
「最初に寸劇から入って関心を惹きつけ、生徒と先生の正直な声を盛り込むことで審査員である教職の好感度を稼ぐ、全体的に間の取り方と画面構成もしっかりしてて見やすいですし、病院まで出向いた取材努力もあり所々のコミカルな展開も飽きさせない工夫で。これ、編集と構成はどちらの先輩ですか?」
実は一番楽しんでいたのだった。
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