6月に入り、ジメジメとした天気が続くなか、珍しく晴れたその日、緋室灯と至宝エリスの2人は赤羽神社を訪れていた。
長い石段を登り、2人は呼び鈴を鳴らす。
「ごめんくださ~い」
少ししてぱたぱたと走る音。
「あかりんにエリスちゃん!ようこそ!元気にしてた?」
赤羽くれはは2人を笑顔で迎える。学校を卒業してから、本格的に巫女としての修行がはじまり、2人とは疎遠になっていた。
今回のアンゼロットの企画した旅行の前の日は3人でお泊まり会をする。それが、くれはの提案だった。
「はい!おかげさまで、天文部も何とかなりそうです」
「私も、問題ない」
「そっかあ…良かった良かった。じゃ、早速あがってあがって」
「はい。お邪魔します」
「お邪魔、します…」
そして2人を自分の部屋へと案内する。
長い石段を登り、2人は呼び鈴を鳴らす。
「ごめんくださ~い」
少ししてぱたぱたと走る音。
「あかりんにエリスちゃん!ようこそ!元気にしてた?」
赤羽くれはは2人を笑顔で迎える。学校を卒業してから、本格的に巫女としての修行がはじまり、2人とは疎遠になっていた。
今回のアンゼロットの企画した旅行の前の日は3人でお泊まり会をする。それが、くれはの提案だった。
「はい!おかげさまで、天文部も何とかなりそうです」
「私も、問題ない」
「そっかあ…良かった良かった。じゃ、早速あがってあがって」
「はい。お邪魔します」
「お邪魔、します…」
そして2人を自分の部屋へと案内する。
「そう言えば、今回の旅行って、ひ~らぎも来るんだっけ?」
何気ない様子で、くれはが言う。思えば卒業の日に攫われてから、くれはは1度も柊と会っていなかった。
「アンゼロットは、来ると言っていた」
「はい。昨日、お弁当箱を返しに来てくれたときに、柊先輩も行くって言ってました。その間は任務もお休みらしいですよ」
「そっかあ…ひ~らぎ、元気にしてた?」
2人の話を聞いて、くれはが頷きながら言う。その言葉にはかすかにうれしさが混じっていた。
「…78時間前のミッションで一緒に戦ったときには疲労はしていたが、問題ない範囲だった」
灯が無表情なまま、最後に見た柊について言う。
「昨日お会いしたときにその後の任務について聞きましたが、大変だったけどいつものことだって言ってました」
エリスはそう答えながらも、忌まわしい記憶を忘れようとする。アンゼロットに転送装置だと言われて見せられたものを。
柊はもうあれで現場に向かったと聞いて、かなり驚いたが、本人が大丈夫だと言っているのなら大丈夫だったんだろう…多分。
「ふ~ん。2人はひ~らぎと会ってたんだあ…な~んか、ずるいなあ…」
その答えを聞いてくれはは少しだけむくれる。仲間はずれにされたみたいで、ちょっと悔しかったのだ。
そんなときだった。呼び鈴が再び鳴らされる。
「あれ?誰だろ…ちょっと見てくるね」
そう言ってくれはは玄関へと向かう。
「はいは~い。どちらさま?」
そう言って開けるとそこには郵便局員の制服を着た、男が立っていた。
「…アンゼロット運送からの、お届け物です。サインで結構ですので、受け取って頂けないでしょうか?」
…特徴的な例の仮面が異常に浮いている、その姿で。
「…大変ですね」
疲れ切った様子のその男を見て、くれははサインをしながら同情のため息をついた。
何気ない様子で、くれはが言う。思えば卒業の日に攫われてから、くれはは1度も柊と会っていなかった。
「アンゼロットは、来ると言っていた」
「はい。昨日、お弁当箱を返しに来てくれたときに、柊先輩も行くって言ってました。その間は任務もお休みらしいですよ」
「そっかあ…ひ~らぎ、元気にしてた?」
2人の話を聞いて、くれはが頷きながら言う。その言葉にはかすかにうれしさが混じっていた。
「…78時間前のミッションで一緒に戦ったときには疲労はしていたが、問題ない範囲だった」
灯が無表情なまま、最後に見た柊について言う。
「昨日お会いしたときにその後の任務について聞きましたが、大変だったけどいつものことだって言ってました」
エリスはそう答えながらも、忌まわしい記憶を忘れようとする。アンゼロットに転送装置だと言われて見せられたものを。
柊はもうあれで現場に向かったと聞いて、かなり驚いたが、本人が大丈夫だと言っているのなら大丈夫だったんだろう…多分。
「ふ~ん。2人はひ~らぎと会ってたんだあ…な~んか、ずるいなあ…」
その答えを聞いてくれはは少しだけむくれる。仲間はずれにされたみたいで、ちょっと悔しかったのだ。
そんなときだった。呼び鈴が再び鳴らされる。
「あれ?誰だろ…ちょっと見てくるね」
そう言ってくれはは玄関へと向かう。
「はいは~い。どちらさま?」
そう言って開けるとそこには郵便局員の制服を着た、男が立っていた。
「…アンゼロット運送からの、お届け物です。サインで結構ですので、受け取って頂けないでしょうか?」
…特徴的な例の仮面が異常に浮いている、その姿で。
「…大変ですね」
疲れ切った様子のその男を見て、くれははサインをしながら同情のため息をついた。
「あ、お帰りなさい。どちらさまだったんですか?」
「うん。お届け物だって。中身、なんだろ?」
エリスに返事をしながら、くれははその封筒大の荷物を開ける。その中身は…
「DVD?」
CDケースに入った、1枚のディスクだった。白無地で記載などは特にない。ただ数字だけが書かれているDVD。
「…アンゼロットから…旅行の前に見て欲しいって書いてある」
封筒からこぼれた便せんを灯が読む。
「ふ~ん、なんだろ?とりあえず、見てみよっか」
そして、くれはが部屋にあるDVDレコーダーにそれを押し込んだ。
―――――
「うん。お届け物だって。中身、なんだろ?」
エリスに返事をしながら、くれははその封筒大の荷物を開ける。その中身は…
「DVD?」
CDケースに入った、1枚のディスクだった。白無地で記載などは特にない。ただ数字だけが書かれているDVD。
「…アンゼロットから…旅行の前に見て欲しいって書いてある」
封筒からこぼれた便せんを灯が読む。
「ふ~ん、なんだろ?とりあえず、見てみよっか」
そして、くれはが部屋にあるDVDレコーダーにそれを押し込んだ。
―――――
某自○の女神像そっくりなアンゼロットの像。その下にはLonginus Picturesのロゴ。
それがブラックアウトすると同時に音楽が流れ出す。
それがブラックアウトすると同時に音楽が流れ出す。
ちゃっちゃ、ちゃちゃ ちゃっちゃ、ちゃちゃ ちゃららちゃららちゃらららら~
某古○風の音楽と共に1人の女性にスポットライトが当てられる。
女はピッタリとした女性用のスーツを着込み、眼鏡を掛けた有能秘書風の格好だが、額に輝く銀色のバイザーが全てをぶち壊しにしている。
女はピッタリとした女性用のスーツを着込み、眼鏡を掛けた有能秘書風の格好だが、額に輝く銀色のバイザーが全てをぶち壊しにしている。
「人ニハ~、他人ニハ知ラレタクナイト言ウコトガアルモノデ~ス。知ラレルト恥ズカシイ、バレルト命ニ関ワル、自分デモ知ラナカッタ…
理由ハ様々デ~ス。ソレハ…アノ男ニ取ッテモ例外デハアリマセ~ン。デスガ、秘密トハバレルモノ。ソウ、今回ノ事件ノヨウニ…」
大きくなる○畑のテーマ。クレジットが流れる
(提供:アンゼロットツーリスト、原作:七瀬晶、主演男優:トカ、助演男優:ゲー、他全部:ヴィオレット)
理由ハ様々デ~ス。ソレハ…アノ男ニ取ッテモ例外デハアリマセ~ン。デスガ、秘密トハバレルモノ。ソウ、今回ノ事件ノヨウニ…」
大きくなる○畑のテーマ。クレジットが流れる
(提供:アンゼロットツーリスト、原作:七瀬晶、主演男優:トカ、助演男優:ゲー、他全部:ヴィオレット)
音楽が終わると共に場所が映像が切り替わる。ニュース番組風の場所に、女と2足歩行のトカゲっぽいもの2匹が座っている。
女が場違いなアメリカン風味に挨拶をする。
女が場違いなアメリカン風味に挨拶をする。
「ハロ~ウ。全国512人ノ招待客-1ノミナサ~ン。私ハァ柊蓮司ニ仕エル、ヴィオレットイイマ~ス」
「わたくし、外宇宙リザード星出身、トカと申す者ですトカ」
「げ~」
「そしてこちらがわたくし1番の友にして相棒、ゲーでございます。本日はこの3人で柊蓮司の秘密に迫る所存でありますトカ」
「わたくし、外宇宙リザード星出身、トカと申す者ですトカ」
「げ~」
「そしてこちらがわたくし1番の友にして相棒、ゲーでございます。本日はこの3人で柊蓮司の秘密に迫る所存でありますトカ」
そして、後ろのテレビ画面にでかでかとタイトルが表示される。
「はじめてのチュウ ~カメラがとらえた衝撃映像!異世界でついに明かされる真実!柊蓮司に熱愛発覚!?そのお相手とは!?~」
「はじめてのチュウ ~カメラがとらえた衝撃映像!異世界でついに明かされる真実!柊蓮司に熱愛発覚!?そのお相手とは!?~」
「ミナサンハ、柊蓮司ト言ウ男ヲゴ存ジデショーカ?」
ヴィオレットが語り始める。
「一部地域デ有名ナ、通称『下がる男』トモ呼バレル彼ハ、学年ガ下ガッタ、レベルガ下ガッタ、実ハ高校ヲモウ卒業シテイルナド、
嘘カ真カ様々ナ噂ガ流レテイマス。ソレハウィザードノミナサンナラバヨクゴ存知ノ事デショー」
「なるほど、わたくし、柊蓮司についてはよく知らないのですが、世界観が違うとか色物とかネタで出来ているトカそう言う存在と言うことでよろしいトカ?」
「オオムネソレデOKデ~スヨトカサン。話ヲ戻シマ~ス。
サテ、コノ柊蓮司、アンゼロットノ指令ヲ受ケテ、実ニ様々ナ所ニ出没シマ~ス。ソレユエ、ウィザードノミナサンナラバ実際ニ目撃シタ、
ト言ウ人モ多イコトデショー。アンゼロットノ送リ込ム、ウィザードノ強力ナ助っ人、ソレガ柊蓮司。
デスガー、例外ガタダ1ツアリマ~ス。ソレハ…」
後ろニ表示されるテロップが変わる。その言葉は…『異世界』
ヴィオレットが語り始める。
「一部地域デ有名ナ、通称『下がる男』トモ呼バレル彼ハ、学年ガ下ガッタ、レベルガ下ガッタ、実ハ高校ヲモウ卒業シテイルナド、
嘘カ真カ様々ナ噂ガ流レテイマス。ソレハウィザードノミナサンナラバヨクゴ存知ノ事デショー」
「なるほど、わたくし、柊蓮司についてはよく知らないのですが、世界観が違うとか色物とかネタで出来ているトカそう言う存在と言うことでよろしいトカ?」
「オオムネソレデOKデ~スヨトカサン。話ヲ戻シマ~ス。
サテ、コノ柊蓮司、アンゼロットノ指令ヲ受ケテ、実ニ様々ナ所ニ出没シマ~ス。ソレユエ、ウィザードノミナサンナラバ実際ニ目撃シタ、
ト言ウ人モ多イコトデショー。アンゼロットノ送リ込ム、ウィザードノ強力ナ助っ人、ソレガ柊蓮司。
デスガー、例外ガタダ1ツアリマ~ス。ソレハ…」
後ろニ表示されるテロップが変わる。その言葉は…『異世界』
「我々ノ調査デハ、柊蓮司ニハ、今回ヲ含メテ3回ノ異世界渡航経験ガアリマ~ス。
デスガ、ソノ3回全テデ、ウィザードノ仲間ヲ伴ワズニ単身デノ渡航ヲ行ッテオリ、詳細ハ謎ニ包マレテマ~ス。
ト、言ウワケデ、今回、我々ハソノ3度目ノ渡航デアル『ファルガイア』デノ彼ノ行動ヲ追ウ事ニシマシタ。
ソレガ…アンナ出来事ニ遭遇スルトモ知ラズニ…」
デスガ、ソノ3回全テデ、ウィザードノ仲間ヲ伴ワズニ単身デノ渡航ヲ行ッテオリ、詳細ハ謎ニ包マレテマ~ス。
ト、言ウワケデ、今回、我々ハソノ3度目ノ渡航デアル『ファルガイア』デノ彼ノ行動ヲ追ウ事ニシマシタ。
ソレガ…アンナ出来事ニ遭遇スルトモ知ラズニ…」
テロップが変わる『ファルガイアで聞く、柊蓮司と言う男について』
そして、街角インタビュー風に場面が変わる。
―――――
1人目は、眼帯をつけた、美女だった。ぴったりとした服が彼女のスタイルの良さを隠すことなく伝えている。
漂う鋭い雰囲気がどこか灯を思い出させる。そんな彼女は突きつけられたマイクにまゆ1つ動かさず回答する。
漂う鋭い雰囲気がどこか灯を思い出させる。そんな彼女は突きつけられたマイクにまゆ1つ動かさず回答する。
証言1 女賞金稼ぎのKさん
Q.柊蓮司ニツイテドー思イマスカ?
「ヒイラギ?…ああ、アシュレーたちと行動を共にしていた剣士のことか。
あいつがいなければ我々は勝てなかったとアシュレーは言っていたが、如何せん私とあいつはそんなに長いつきあいでも無いからな。
特に語る事はない」
「ヒイラギ?…ああ、アシュレーたちと行動を共にしていた剣士のことか。
あいつがいなければ我々は勝てなかったとアシュレーは言っていたが、如何せん私とあいつはそんなに長いつきあいでも無いからな。
特に語る事はない」
Q.デハ、柊蓮司ノ行動デ、何カ気ヅイタ事ハ?
「…うん?そう言えば、あの男と初めて会ったときに、リルカを抱きしめていたな。
最近の若者は進展が速いと聞くし、今思えばあれはそういう意味だったのかも知れん。
思えばリルカも初恋の相手が相手だったせいか、年上好みだからな。年齢的にもあの2人はちょうど良いかもしれんな」
「…うん?そう言えば、あの男と初めて会ったときに、リルカを抱きしめていたな。
最近の若者は進展が速いと聞くし、今思えばあれはそういう意味だったのかも知れん。
思えばリルカも初恋の相手が相手だったせいか、年上好みだからな。年齢的にもあの2人はちょうど良いかもしれんな」
Q.デハ、最後ニ柊蓮司ニ一言ドーゾ
「と、言われても困るが…そうだな。もしまたこちらに来ることがあれば歓迎しよう。その時は、手合わせの1つも頼もうか」
「と、言われても困るが…そうだな。もしまたこちらに来ることがあれば歓迎しよう。その時は、手合わせの1つも頼もうか」
2人目、こんどは異様に白い肌と毛先がカールした長い金髪、そして紅い瞳が印象的な美少女。青いエプロンドレスがよく似合っている。
だが、口元から僅かに除く牙が彼女が人間外の種族であることを如実に示している。恐らくは年も見た目通りでは無いだろう。
そんな彼女は明らかに不機嫌な態度を隠そうともせずに言う。
だが、口元から僅かに除く牙が彼女が人間外の種族であることを如実に示している。恐らくは年も見た目通りでは無いだろう。
そんな彼女は明らかに不機嫌な態度を隠そうともせずに言う。
証言2 ヴァンパイア(仮)のMさん
Q.柊蓮司ニツイテドー思イマスカ?
「あんな無礼な輩の名前など口に出すでないわ!」
「あんな無礼な輩の名前など口に出すでないわ!」
Q.一体ナニガアッタノデスカ?
「思い出すのも忌々しい!あの男のせいでわらわはあんな恥ずかしい格好をみなに見られる事になったのだ!
それだけに飽きたらず、あの男はわらわの大切なものを貫いていった!この怨み、決して忘れぬぞ!」
「思い出すのも忌々しい!あの男のせいでわらわはあんな恥ずかしい格好をみなに見られる事になったのだ!
それだけに飽きたらず、あの男はわらわの大切なものを貫いていった!この怨み、決して忘れぬぞ!」
Q.デハ、最後ニ柊蓮司ニ一言ドーゾ
「あの男に伝えよ!この償いは、いずれ必ずしてもらう。ノーブルレッドの怒り、思い知らせてくれるとな!」
「あの男に伝えよ!この償いは、いずれ必ずしてもらう。ノーブルレッドの怒り、思い知らせてくれるとな!」
3人目、最後に出てきたのは美しい女だった。流れるような青い髪と白い甲冑が印象的な、大人の女性。
彼女はニコニコと笑いながら、証言する。
彼女はニコニコと笑いながら、証言する。
証言3 女剣士のAさん
Q.柊蓮司ニツイテドー思イマスカ?
「私は最後の戦いで一緒に戦っただけだからそう詳しいことは言えないけど…
彼の諦めない姿勢と、強い精神力には驚いたわ。彼がいなかったらもっと大変なことになってたと思うな。
それと…素晴らしい才能を感じたわ。彼だったら、ベアちゃんにすら匹敵するかも」
「私は最後の戦いで一緒に戦っただけだからそう詳しいことは言えないけど…
彼の諦めない姿勢と、強い精神力には驚いたわ。彼がいなかったらもっと大変なことになってたと思うな。
それと…素晴らしい才能を感じたわ。彼だったら、ベアちゃんにすら匹敵するかも」
Q.才能?
「ええ。あれだけの突っ込みの才能。(ピー)年ファルガイアを見てきたけど、100年に1人の逸材ね。
…でも、それだけじゃない。長い時間をかけて磨いた、年期と経験を感じたわ。いい相方がいるのね」
「ええ。あれだけの突っ込みの才能。(ピー)年ファルガイアを見てきたけど、100年に1人の逸材ね。
…でも、それだけじゃない。長い時間をかけて磨いた、年期と経験を感じたわ。いい相方がいるのね」
Q.ナルホド。デハ、最後ニ柊蓮司ニ一言ドウゾ
「多分無いと思うけど、もしこっちに来ることがあったら、よろしくね。お姉さん、歓迎しちゃうから♪」
「多分無いと思うけど、もしこっちに来ることがあったら、よろしくね。お姉さん、歓迎しちゃうから♪」
「デハ、ココデ一旦CM入リマース。トイレヲ済マセルナラ、今ノ内デース」
―――――
「そっかあ…あんの馬鹿、異世界まで行って、そんなことしてたんだあ…」
DVDを見入っていたくれはは、CMタイムに入ると同時に怒りのプラーナを燃え上がらせる。
「柊蓮司…モテモテ」
緋室灯が、直球な意見を述べる。
「だ、大丈夫です!何かの誤解ですよ!」
至宝エリスだけが柊を擁護する。
「柊先輩は、恋愛とか興味無いんです!女の子にも優しくするけど、自覚とかなくって!
私も2人きりで電車に乗ったり孤児院で新婚ってからかわれたりしたけれど、何もありませんでしたし!」
思いっきり墓穴を掘りながら。
「へえ…あんの馬鹿、エリスちゃんにまでそんなことしてたんだあ…」
くれはの怒りが更に強くなる。
「へ!?あ、いえ違うんですよ…」
自分の言ってしまったことにエリスは混乱する。
「…はじまる。2人とも、静かに」
灯が冷静に言わなければ、混乱は更に続いていただろう。
DVDを見入っていたくれはは、CMタイムに入ると同時に怒りのプラーナを燃え上がらせる。
「柊蓮司…モテモテ」
緋室灯が、直球な意見を述べる。
「だ、大丈夫です!何かの誤解ですよ!」
至宝エリスだけが柊を擁護する。
「柊先輩は、恋愛とか興味無いんです!女の子にも優しくするけど、自覚とかなくって!
私も2人きりで電車に乗ったり孤児院で新婚ってからかわれたりしたけれど、何もありませんでしたし!」
思いっきり墓穴を掘りながら。
「へえ…あんの馬鹿、エリスちゃんにまでそんなことしてたんだあ…」
くれはの怒りが更に強くなる。
「へ!?あ、いえ違うんですよ…」
自分の言ってしまったことにエリスは混乱する。
「…はじまる。2人とも、静かに」
灯が冷静に言わなければ、混乱は更に続いていただろう。
「…こうして聞いてみると、柊蓮司と言う男、モテモテみたいトカね。故郷でのわたくしを思い出すトカ」
「ハ~ハッハッハ。ソレハ、誤解ト言ウモノデスヨトカサン。彼ハ、女心ノ分カラナイ朴念仁。何カノ誤解ニ違イアリマセ~ン」
ヴィオレットの発言に3人が深く頷く。
「ソレニ…彼ニハ既ニ心ニ決メタフィアンセガイルノデ~ス」
「「フィアンセ!?」」
だからこそ、次の発言にくれはとエリスは同時に声を上げる。
「フィアンセトカ?」
「イエ~ス。デハ、ココデ、4人目ノ証言ヲ聞イテ頂キマ~ス」
「ハ~ハッハッハ。ソレハ、誤解ト言ウモノデスヨトカサン。彼ハ、女心ノ分カラナイ朴念仁。何カノ誤解ニ違イアリマセ~ン」
ヴィオレットの発言に3人が深く頷く。
「ソレニ…彼ニハ既ニ心ニ決メタフィアンセガイルノデ~ス」
「「フィアンセ!?」」
だからこそ、次の発言にくれはとエリスは同時に声を上げる。
「フィアンセトカ?」
「イエ~ス。デハ、ココデ、4人目ノ証言ヲ聞イテ頂キマ~ス」
証言4 魔女っ子のリルカ・エレニアックさん
そんなテロップと共に出てきたのは、1人の少女だった。栗色の髪と魔法使い風のマントの少女。
服や髪のあちこちにアクセサリをつけているが、派手な印象は無い。
「リルカさんって…柊先輩と抱き合ってたって言われてたような…」
「しっ!静かに!」
エリスをくれはが制する。その表情は真剣そのもの。
服や髪のあちこちにアクセサリをつけているが、派手な印象は無い。
「リルカさんって…柊先輩と抱き合ってたって言われてたような…」
「しっ!静かに!」
エリスをくれはが制する。その表情は真剣そのもの。
その少女は朗らかに言う。
Q.柊蓮司ニツイテドー思イマスカ?
「どうって…う~ん。ちょっと間が抜けてるけど頼りになる、かな?それに心が強いなって思った。
レンジがいなかったら、私、負けてたと思う。だから、レンジには感謝しなきゃって思ってるよ」
「どうって…う~ん。ちょっと間が抜けてるけど頼りになる、かな?それに心が強いなって思った。
レンジがいなかったら、私、負けてたと思う。だから、レンジには感謝しなきゃって思ってるよ」
Q.デハ、男トシテ、柊蓮司ヲ愛シテル?
「へ!?…いやいや、それは無いよ。だって私他に好きな人いるし。
それにさ、レンジにはもう相応しい人いるじゃん?だから、そう言う対象には見れないかなあ」
「へ!?…いやいや、それは無いよ。だって私他に好きな人いるし。
それにさ、レンジにはもう相応しい人いるじゃん?だから、そう言う対象には見れないかなあ」
Q.相応シイ人、ソレハ誰カ知ッテイマスカ?
「うん。それはね…もちろん、アキラ!ナナセアキラだよ!」
「うん。それはね…もちろん、アキラ!ナナセアキラだよ!」
「「誰ッ!?」」
くれはとエリスの声が重なった。
くれはとエリスの声が重なった。
―――――
その言葉と共に、画面が切り替わり、1人の少女のプロフィールが流れる。
七瀬晶、今から2年前に星の騎士の魔剣の1つに導かれ、魔剣使いとして覚醒する。
その後、数々の任務をこなし、高校生ながらやり手のウィザードの1人として知られる。
コスモガード連盟に所属しており、柊蓮司とも何度か任務を共にしている。
昨年6月にとある任務の最中に事故により行方不明となり、現在に至る…
七瀬晶、今から2年前に星の騎士の魔剣の1つに導かれ、魔剣使いとして覚醒する。
その後、数々の任務をこなし、高校生ながらやり手のウィザードの1人として知られる。
コスモガード連盟に所属しており、柊蓮司とも何度か任務を共にしている。
昨年6月にとある任務の最中に事故により行方不明となり、現在に至る…
「サテ、コノヨウナ経緯デ行方知レズトナッテイタ七瀬晶。デスガ、彼女ハ、生キテイタ!
ソシテ、2人ハ、密カニ愛ヲ育ンデイタノデース!」
「「「な、何だってーッ!?」」」
TVの中のトカと、くれは、エリスがハモる。
「コレヨリオ見セスルノハ、七瀬晶本人ノ日記カラ、忠実ニ再現シタ、最後ノ任務ノ映像デース」
ソシテ、2人ハ、密カニ愛ヲ育ンデイタノデース!」
「「「な、何だってーッ!?」」」
TVの中のトカと、くれは、エリスがハモる。
「コレヨリオ見セスルノハ、七瀬晶本人ノ日記カラ、忠実ニ再現シタ、最後ノ任務ノ映像デース」
「サー、イクデースヨ!魔王ハ、モウスグデース!」
再び画面が切り替わる。そこには明らかにプラスチックの安っぽい剣を持ち、輝明学園の女子制服を着たヴィオレットと…
「おう!任せるトカ!さっさと終わらせて、俺は学校に行くトカ!」
同じく剣を持ち、男子制服を着た、2足歩行のトカゲことトカ。
1体と1匹は張りぼてのモンスターを剣で打ち壊しながら、語り合う。
「トコロデ、柊クーン?」
「何トカ?」
「ヤッパリ、クレハサントハ、アマーイステディナ関係ナノデースカ?」
「おおう!?いきなり何を言い出すトカ!?あいつはただの幼馴染みトカ!」
「…オーウ。ソウダッタノデースカ」
「もちろんだトカ!恋人とかそう言うんじゃないトカ!」
「…OK。ダッタラ、サッサト終ワラセルデース!」
「よし、行くトカ!」
再び画面が切り替わる。そこには明らかにプラスチックの安っぽい剣を持ち、輝明学園の女子制服を着たヴィオレットと…
「おう!任せるトカ!さっさと終わらせて、俺は学校に行くトカ!」
同じく剣を持ち、男子制服を着た、2足歩行のトカゲことトカ。
1体と1匹は張りぼてのモンスターを剣で打ち壊しながら、語り合う。
「トコロデ、柊クーン?」
「何トカ?」
「ヤッパリ、クレハサントハ、アマーイステディナ関係ナノデースカ?」
「おおう!?いきなり何を言い出すトカ!?あいつはただの幼馴染みトカ!」
「…オーウ。ソウダッタノデースカ」
「もちろんだトカ!恋人とかそう言うんじゃないトカ!」
「…OK。ダッタラ、サッサト終ワラセルデース!」
「よし、行くトカ!」
再び画面が切り替わる。
「げー!?」
1体と1匹の面白生物にボコボコにされるのは、段ボール製の翼をつけた…ゲー。
「今デース!アイツガ弱ッテル今ナラ、トドメファイナルイケルハズデース」
「任せろトカ!」
そう叫んでトカが襲いかかる。だが…
「げー!」
「キャアア!?柊クーン!?」
それより速くゲーの体当たりがヴィオレットに襲いかかる。
「危ない!」
咄嗟にヴィオレットとゲーの間に身を躍り込ませ、吹き飛ばされるトカ。
「ゲー!少しは手加減…する…ト…カ…」
明らかにやばい音を立てながら転がりがっくりと気を失うトカ。
「何トイウ事デショー!柊クンガヤラレテシマウナーンテ!?」
わざとらしく驚くヴィオレット。それと同時にカメラが揺らされる。
「ガッデーム!?更ニ戦イノショーゲキデゲッコーガ崩レヨートシテイマース!」
1体と1匹の面白生物にボコボコにされるのは、段ボール製の翼をつけた…ゲー。
「今デース!アイツガ弱ッテル今ナラ、トドメファイナルイケルハズデース」
「任せろトカ!」
そう叫んでトカが襲いかかる。だが…
「げー!」
「キャアア!?柊クーン!?」
それより速くゲーの体当たりがヴィオレットに襲いかかる。
「危ない!」
咄嗟にヴィオレットとゲーの間に身を躍り込ませ、吹き飛ばされるトカ。
「ゲー!少しは手加減…する…ト…カ…」
明らかにやばい音を立てながら転がりがっくりと気を失うトカ。
「何トイウ事デショー!柊クンガヤラレテシマウナーンテ!?」
わざとらしく驚くヴィオレット。それと同時にカメラが揺らされる。
「ガッデーム!?更ニ戦イノショーゲキデゲッコーガ崩レヨートシテイマース!」
そして暗転。再びスタジオへと映像が戻る。トカの座っていた所にはぬいぐるみが置かれている。
「ト、コノヨウナ経緯ヲ経テ七瀬晶ハ、行方不明ニナリマシータ。
デスガ、彼女ハ、生キテイタ!ソシテ、異世界ファルガイアデ、2人ハ、運命ノ再会ヲ果タシ…
ツイニ、結バレタノデース!デハ、イヨイヨソノ映像ヲオ見セシマショー」
「ト、コノヨウナ経緯ヲ経テ七瀬晶ハ、行方不明ニナリマシータ。
デスガ、彼女ハ、生キテイタ!ソシテ、異世界ファルガイアデ、2人ハ、運命ノ再会ヲ果タシ…
ツイニ、結バレタノデース!デハ、イヨイヨソノ映像ヲオ見セシマショー」
――――そして、ついにその映像が流れる(内容は、15話参照)
そして、柊は檻の鉄棒をつかみ、晶の方をまっすぐ見て、言う。
「…俺、ぜってえ忘れねえ。お前が、俺のこと好きだってことも、初めての相手がお前だってことも!
だからよ、向こうに行っても、頑張れよ!晶!」
「…俺、ぜってえ忘れねえ。お前が、俺のこと好きだってことも、初めての相手がお前だってことも!
だからよ、向こうに行っても、頑張れよ!晶!」
柊のその言葉と共に、映像が終わり、再びスタジオに切り替わる。
「イカガダッタデショーカ?コレガ柊蓮司ノ“初メテ”ヲ捉エタ、貴重ナ映像デース。
コノヨーニ、柊蓮司ニハ、忘レラレナイ心ニ決メタ人ガイルタメ、身持チガ固カッタノデース!」
そしてひとしきりアメリカン笑いをした後に、言う。
「見テクダサッテ、アリガートゴザマース。コノ番組ハ、ファー・ジ・アースヲ毎日見ツメル、アンゼロットツーリストノ提供デオ送リシマシータ」
そしてヴィオレットが深く一礼したところで、DVDは終了した。
「イカガダッタデショーカ?コレガ柊蓮司ノ“初メテ”ヲ捉エタ、貴重ナ映像デース。
コノヨーニ、柊蓮司ニハ、忘レラレナイ心ニ決メタ人ガイルタメ、身持チガ固カッタノデース!」
そしてひとしきりアメリカン笑いをした後に、言う。
「見テクダサッテ、アリガートゴザマース。コノ番組ハ、ファー・ジ・アースヲ毎日見ツメル、アンゼロットツーリストノ提供デオ送リシマシータ」
そしてヴィオレットが深く一礼したところで、DVDは終了した。
DVDが終わり、画面が暗転する。そしてそれを見つめる3人の少女にはそれぞれ別の表情が浮かんでいた。
至宝エリスは、笑みを浮かべる。
エリスは七瀬晶がどんな人物だったかは、知らない。
(…くれはさんだったら、仕方ないって思ってたけど、違うんですよね?だったら、私にもチャンスがあるってことですよね?)
だが、それがお世話になった仲間の1人では無いのならば、そして彼女がもうこの世界にいないのならば…
(本気で頑張っちゃいますよ、覚悟してくださいね柊先輩。きゃっ♪)
その笑みに世界の守護者を彷彿とさせる黒いものが混じっていたのは気のせいなのか否か…
エリスは七瀬晶がどんな人物だったかは、知らない。
(…くれはさんだったら、仕方ないって思ってたけど、違うんですよね?だったら、私にもチャンスがあるってことですよね?)
だが、それがお世話になった仲間の1人では無いのならば、そして彼女がもうこの世界にいないのならば…
(本気で頑張っちゃいますよ、覚悟してくださいね柊先輩。きゃっ♪)
その笑みに世界の守護者を彷彿とさせる黒いものが混じっていたのは気のせいなのか否か…
緋室灯は、知らず知らずのうちに涙をこぼしていた。
(大丈夫…必ず、また会えるから…)
戦いが終わって離ればなれになった愛しあう2人。それはまるで自分と命のようで…
(柊蓮司。苦しい恋になるかも知れない。でも、大丈夫。私が、応援するから)
涙と共に灯は強い決心を固める。大切な仲間の、辛い恋路ならば、全力で応援したい。同じ傷を持つものとして。
(大丈夫…必ず、また会えるから…)
戦いが終わって離ればなれになった愛しあう2人。それはまるで自分と命のようで…
(柊蓮司。苦しい恋になるかも知れない。でも、大丈夫。私が、応援するから)
涙と共に灯は強い決心を固める。大切な仲間の、辛い恋路ならば、全力で応援したい。同じ傷を持つものとして。
そして、赤羽くれはは…
(そっかあ…ひ~らぎ、好きな人がいたんだあ…ど~りで鈍すぎると思ったら…
何よ!だったらもっとはっきりそう言いなさいよ!これじゃ私馬鹿みたいじゃない!ど~せあたしはただの幼馴染みですよ~だ!
ミッドガルドでも何処でも勝手に行ってれば良かったのよ!あたしの気持ちも晶ちゃんの気持ちも踏みにじるなんて、最低!
こ~なったら例の秘密だってばらしてやるんだからね!?)
怒りのプラーナ、全力解放。飛ぶ鳥くらいだったら気合いだけで落とせそうな勢いだ。
(そっかあ…ひ~らぎ、好きな人がいたんだあ…ど~りで鈍すぎると思ったら…
何よ!だったらもっとはっきりそう言いなさいよ!これじゃ私馬鹿みたいじゃない!ど~せあたしはただの幼馴染みですよ~だ!
ミッドガルドでも何処でも勝手に行ってれば良かったのよ!あたしの気持ちも晶ちゃんの気持ちも踏みにじるなんて、最低!
こ~なったら例の秘密だってばらしてやるんだからね!?)
怒りのプラーナ、全力解放。飛ぶ鳥くらいだったら気合いだけで落とせそうな勢いだ。
―――そして、惨げ…もとい豪華客船の旅路が幕を開ける。柊蓮司本人だけが、その原因となったDVDの内容を知らないまま。
アガートラームが多すぎる外伝『映像特典:はじめてのチュウ(以下略)』