時は進む。
季節は移ろい、廻る。
くるくる廻ってまたひと廻り。
でも、前に迎えた春と、今向かえる春は違う。
廻り回って、元の位置に来るはずなのに。
違う。
変わらないと思ってた日常は変わり、
ずっと続くと思っていた日常は変わってしまう。
穏やかな日々は終わり、
大切な人々との別れは来る。
別れたくないのに。
ずっと一緒にいたかったのに。
季節は移ろい、廻る。
くるくる廻ってまたひと廻り。
でも、前に迎えた春と、今向かえる春は違う。
廻り回って、元の位置に来るはずなのに。
違う。
変わらないと思ってた日常は変わり、
ずっと続くと思っていた日常は変わってしまう。
穏やかな日々は終わり、
大切な人々との別れは来る。
別れたくないのに。
ずっと一緒にいたかったのに。
――――なら終わらせなければいいではないですか
そうだ。
なら、終わらせなければいいんだ。
ずっとこの夢を続けてしまえばいい。
廻り回ったこの春が、以前に迎えた春と寸分違わぬように。
時から切り取られたこの切り絵のような箱庭の中で。
ずっとずっと続けてしまえばいいんだ。
春先にみる暖かな夢のような暖かい日々を。
なら、終わらせなければいいんだ。
ずっとこの夢を続けてしまえばいい。
廻り回ったこの春が、以前に迎えた春と寸分違わぬように。
時から切り取られたこの切り絵のような箱庭の中で。
ずっとずっと続けてしまえばいいんだ。
春先にみる暖かな夢のような暖かい日々を。
柊蓮司と退屈なお茶会(A Mad Tea-Party)
Scene 4: 生きた花の庭 “The Garden of Live Flowers”
Scene 4: 生きた花の庭 “The Garden of Live Flowers”
紅い月が照らす路地裏。
そこに佇むのは、三人の夢使い。
そこに佇むのは、三人の夢使い。
「下がっていろ、今のキミでは足手まといだ」
その言葉に少女――アリス――は顔をしかめるが言葉に従った。その姿に少し苦笑する。
覚醒直後のため体がふらついて、立っているのがやっとの彼女が参戦したところで足手まといにしかならない。
――――それにこのエミュレイターは強い。おそらく魔王級。
その言葉に少女――アリス――は顔をしかめるが言葉に従った。その姿に少し苦笑する。
覚醒直後のため体がふらついて、立っているのがやっとの彼女が参戦したところで足手まといにしかならない。
――――それにこのエミュレイターは強い。おそらく魔王級。
――消えろ――
『ヴォーティカルショット』
彼が右手を掲げる。周囲の空間が歪み、複数の小さな魔弾が生じ放たれた。
路地裏の闇に溶け込むようにして魔弾が四方から帽子屋へ襲い掛かる。
「帽子屋」は避ける素振りも見せず悠然と立ち尽くしている。
彼が右手を掲げる。周囲の空間が歪み、複数の小さな魔弾が生じ放たれた。
路地裏の闇に溶け込むようにして魔弾が四方から帽子屋へ襲い掛かる。
「帽子屋」は避ける素振りも見せず悠然と立ち尽くしている。
帽子屋は動かず、空中からステッキを取り出し、カツンっと地面を突いた。
『ノーリーズン』
パンッ。
魔弾は異形の寸前で破裂し、クラッカーのような音を立て散っていく。
不意を撃つように帽子屋の背後から影に溶け込むようにして撃たれた魔弾も、だ。
魔弾は異形の寸前で破裂し、クラッカーのような音を立て散っていく。
不意を撃つように帽子屋の背後から影に溶け込むようにして撃たれた魔弾も、だ。
帽子屋が杖を向ける。同時、空中に複数の暗い刃が形成された。
宙に浮かぶのは均一されたハンドナイフ。
宙に浮かぶのは均一されたハンドナイフ。
『ダークブレイド』
一斉に放たれた。避けられない。避ければ後ろの少女に中る。
「どりぃ~む」
正面に手を突き出し、ぐるぐると回す。その動きに伴うようにして、光が生まれる。
『マジックレジスト』
正面に手を突き出し、ぐるぐると回す。その動きに伴うようにして、光が生まれる。
『マジックレジスト』
光の障壁が、魔刃と衝突。
僅かな均衡を保った後、五本のうち三本が弾かれ二本が障壁を貫いた。
一つを手で弾き、もう一つは右肩を貫く。
僅かな均衡を保った後、五本のうち三本が弾かれ二本が障壁を貫いた。
一つを手で弾き、もう一つは右肩を貫く。
――低レベル魔法でこの威力か!?――
自身の障壁が貫かれたことに内心舌を打ち、
「おやおや、まだ終わりではないですよ」
思考は、帽子屋のその言葉で止まる。
『英雄幻想』
帽子屋から黒い、黒い霧が噴出した。
帽子屋の周りを囲む霧は一点に集まっていき、打ち上げ花火のような音を立て散逸する。
散逸した霧は凝結していき、太い触手の形をとった。
周囲から植物の根がコンクリートを突き破り、蔓が路地裏を取り囲む。
太い茎の上には垂れ下がるようにしてつぼみができる。
帽子屋の周りを囲む霧は一点に集まっていき、打ち上げ花火のような音を立て散逸する。
散逸した霧は凝結していき、太い触手の形をとった。
周囲から植物の根がコンクリートを突き破り、蔓が路地裏を取り囲む。
太い茎の上には垂れ下がるようにしてつぼみができる。
「げぎゃぎゃげぎゃあぎゃぎゃっげぎゃ」
花が咲き笑う。それには本来花にはないはずの牙が生えている。
「さあ、久しぶりの獲物ですよ。たんと味わいなさい」
食虫植物ならぬ食人植物が襲い掛かる。
つるが鞭のようにしなり、矢のようにはじけ飛ぶ。
花が咲き笑う。それには本来花にはないはずの牙が生えている。
「さあ、久しぶりの獲物ですよ。たんと味わいなさい」
食虫植物ならぬ食人植物が襲い掛かる。
つるが鞭のようにしなり、矢のようにはじけ飛ぶ。
「ふん」
『現の夢』
自身の「現実」を塗り替え「虚構」を纏う。
彼の周囲を風が纏い、彼はその場から消失する。
少女を肩に担ぎ、その場から尋常ではない跳躍力を発揮する。
轟音と共に蔓が先ほどまでいた場所に叩きつけられ、歩道に生々しい跡を残した。
彼の周囲を風が纏い、彼はその場から消失する。
少女を肩に担ぎ、その場から尋常ではない跳躍力を発揮する。
轟音と共に蔓が先ほどまでいた場所に叩きつけられ、歩道に生々しい跡を残した。
「コレならどうだ」
少女を抱えながら、宙を舞い帽子屋の頭上に手をかざす。
少女を抱えながら、宙を舞い帽子屋の頭上に手をかざす。
ナイトメアの魔力の波動に帽子屋はその場から離脱をはかろうとするが、
「コレは『傀儡糸』……!?」
細い糸が足元に絡みつき、地面へと縫い付けられていた。
「コレは『傀儡糸』……!?」
細い糸が足元に絡みつき、地面へと縫い付けられていた。
『リブレイド』
光の斬撃が帽子屋の左腕を斬り飛ばし、その余波で後ろにいる植物の触手を吹き飛ばした。
帽子屋はバランス崩し、よろめきながらも。
光の斬撃が帽子屋の左腕を斬り飛ばし、その余波で後ろにいる植物の触手を吹き飛ばした。
帽子屋はバランス崩し、よろめきながらも。
「おやりなさい、ダイアナ」
花が膨らみ、弾けた。
爆竹が弾けたような音とともに、無数の太い棘がナイトメアの逃げ込んだ場所に撃ちだされる。
舌打ちとともに、ナイトメアは少女を突き飛ばす。
その僅かな時間のロスが仇となり、彼は全身を串刺しにされ、聖人のように磔にされる。
花が膨らみ、弾けた。
爆竹が弾けたような音とともに、無数の太い棘がナイトメアの逃げ込んだ場所に撃ちだされる。
舌打ちとともに、ナイトメアは少女を突き飛ばす。
その僅かな時間のロスが仇となり、彼は全身を串刺しにされ、聖人のように磔にされる。
帽子屋は斬り飛ばされた左手を右手で抱え、左肩へと当てる。
接合面から黒い霧が噴出し、黒い糸となり左腕を縫い合わせた。
帽子屋は左手を何度か握り返し、修復した左腕の調子を確かめながら聞く。
「さて、夢使いの優劣を決めるのは何だと思いますか?」
帽子屋は磔にしたナイトメアを眺めながら、突き刺した棘を持ち傷口を広げるようにかき回し引き抜く。
丸くきれいに開いた穴から血が湧き水のように噴出した。
「言ってしまえば、それは自身の内面を現実として外界へと映し出す能力の差。
自身の内面を外界とリンクさせ塗り替える。その力の差です」
苦悶の表情を浮かべるが、悲鳴一つ上げないナイトメアを帽子とコートの隙間から僅かに覗かせる灰色の瞳で見つめ。
接合面から黒い霧が噴出し、黒い糸となり左腕を縫い合わせた。
帽子屋は左手を何度か握り返し、修復した左腕の調子を確かめながら聞く。
「さて、夢使いの優劣を決めるのは何だと思いますか?」
帽子屋は磔にしたナイトメアを眺めながら、突き刺した棘を持ち傷口を広げるようにかき回し引き抜く。
丸くきれいに開いた穴から血が湧き水のように噴出した。
「言ってしまえば、それは自身の内面を現実として外界へと映し出す能力の差。
自身の内面を外界とリンクさせ塗り替える。その力の差です」
苦悶の表情を浮かべるが、悲鳴一つ上げないナイトメアを帽子とコートの隙間から僅かに覗かせる灰色の瞳で見つめ。
「貴方と私ではその力に歴然とした差がある。貴方は夢使いとしてはおそらく一流でしょう。だからこそ貴方は私に勝てない」
抜いた棘を手で弄びながら、どうでもいいとばかりに言い放ち。
抜いた棘を手で弄びながら、どうでもいいとばかりに言い放ち。
「これにて終幕。キミが夢使いでなければいい勝負になっただろうに。残念だよ」
残念というその声には別段何の感情も感じられず。
残念というその声には別段何の感情も感じられず。
「オ・ルヴァール・コント」
別れの言葉を吐き捨てた。帽子屋が右手をナイトメアの胸に当てる。
ぎちり、ぎちり。周囲の空間が張り詰め、ひび割れるような音をたて歪み始める。串刺しにされた建物が軋み始めていく。
別れの言葉を吐き捨てた。帽子屋が右手をナイトメアの胸に当てる。
ぎちり、ぎちり。周囲の空間が張り詰め、ひび割れるような音をたて歪み始める。串刺しにされた建物が軋み始めていく。
―弾け
「ぐおおおおおおおおおおっ」
急に帽子屋が声を上げた。圧迫されるような空間の歪みは消え、膝を落とす。
急に帽子屋が声を上げた。圧迫されるような空間の歪みは消え、膝を落とす。
「まだ調整が、クソが」
嫌らしいまでに丁寧な口調が消え、罵詈雑言を掃き捨てる。彼のコートと帽子が波のように、揺らめく。
嫌らしいまでに丁寧な口調が消え、罵詈雑言を掃き捨てる。彼のコートと帽子が波のように、揺らめく。
「ナイトメアさん!!」
突き刺さっていた棘が消え崩れ落ち、倒れた。
壁はべったりと血に塗られ、紅く染められている。
突き刺さっていた棘が消え崩れ落ち、倒れた。
壁はべったりと血に塗られ、紅く染められている。
「黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ。黙れ」
帽子屋は頭をかかえ狂ったように抑揚をつけずに淡々と呟く。
帽子屋は頭をかかえ狂ったように抑揚をつけずに淡々と呟く。
『キュアウォーター』
私はナイトメアさんの元へ駆け寄る。祈るように両手を合わせ、指先を合わせながらゆっくりと開く。螺旋を描くように水が集結していき、それは癒しの力を持つ。特にひどい両足の傷に伸ばすように水を広げる。
だめ、傷が塞がらない。
幾分か薄くはなっているが、それだけ。
幾分か薄くはなっているが、それだけ。
「余計な真似してんじゃねえよ!!」
帽子屋に蹴り飛ばされ、首を締め上げられる。
「かはっ」
「もうソイツは終わってんだよ、何しても無駄だ!」
荒々しい、そこらへんのチンピラのような物言いする異形に思わず笑ってしまう。それが感にさわったのか、締め上げる力が強くなる。
意識が遠くなり、体の力が抜けていく。
少女の眼から光が薄れ
もう駄目かと思ったとき、
帽子屋に蹴り飛ばされ、首を締め上げられる。
「かはっ」
「もうソイツは終わってんだよ、何しても無駄だ!」
荒々しい、そこらへんのチンピラのような物言いする異形に思わず笑ってしまう。それが感にさわったのか、締め上げる力が強くなる。
意識が遠くなり、体の力が抜けていく。
少女の眼から光が薄れ
もう駄目かと思ったとき、
『エア・ブレード』
風が突き抜けた。突風は帽子屋に直撃し吹き飛ばす。少女は倒れこみ、むせながらも呼吸を整える。
「大丈夫か?」
その声に後ろを見る。そこには剣を担いだ一人の青年がいた。茶色の髪に黒い瞳。どこか年寄りじみた雰囲気を持つ青年は気遣うように聞く。
その声に後ろを見る。そこには剣を担いだ一人の青年がいた。茶色の髪に黒い瞳。どこか年寄りじみた雰囲気を持つ青年は気遣うように聞く。
「アリア。ナイトメア、そこにいる黒い服着たおっさんに傷の手当を」
その指示を受け、どこか見覚えのある白いものが近寄ってきた。
「ぷいにゅ~にゅ!!」
「アリア社長!?」
アリア社長が傷に触れる。傷口が鈍い光を発しながら、しわを寄せるようにして結合した。アリア社長の右前足がナイトメアさんから離れる。先ほどまでのひどいは傷一つなくなっていた。
その指示を受け、どこか見覚えのある白いものが近寄ってきた。
「ぷいにゅ~にゅ!!」
「アリア社長!?」
アリア社長が傷に触れる。傷口が鈍い光を発しながら、しわを寄せるようにして結合した。アリア社長の右前足がナイトメアさんから離れる。先ほどまでのひどいは傷一つなくなっていた。
「ふうっ、失礼しました。客人の前で取り乱すなどもってのほかですのに」
「ああもういやになる。どうやらもうお茶会の時間らしい。仕方あるまい、三月ウサギも待っていることだし、ここで失礼させていただこう」
元の口調に戻り、「帽子屋」は懐中時計を取り出し時間を確認した。いつも変わらない時間を示すその時計を。
「ああもういやになる。どうやらもうお茶会の時間らしい。仕方あるまい、三月ウサギも待っていることだし、ここで失礼させていただこう」
元の口調に戻り、「帽子屋」は懐中時計を取り出し時間を確認した。いつも変わらない時間を示すその時計を。
「逃がすと思ってんのか?」
青年は僅か一歩で十メートルもの間合いをつめ、魔剣を振るう。帽子屋は避けることも、防ぐこともできず斬り裂かれた。両断にされた帽子屋は愉悦を浮かべながら、呆れたように言う。
青年は僅か一歩で十メートルもの間合いをつめ、魔剣を振るう。帽子屋は避けることも、防ぐこともできず斬り裂かれた。両断にされた帽子屋は愉悦を浮かべながら、呆れたように言う。
「やれやれ、いきなり斬りつけるとは。礼儀がなってませんね、全く」
「幻覚かっ!?」
引き裂かれたはずの帽子屋は黒い霧となって消え、その後ろには先ほどまでと変わらずに悠然と立っている、
「幻覚かっ!?」
引き裂かれたはずの帽子屋は黒い霧となって消え、その後ろには先ほどまでと変わらずに悠然と立っている、
とぷんっ。
帽子屋の足元に黒い沼ができ、沈み込むようにして消えていく。
帽子屋の足元に黒い沼ができ、沈み込むようにして消えていく。
――それではまたお会いしましょう、小さなレディ――
帽子屋が消えると同時に月匣は消え去った。
「動けるか?」
とりあえず後ろにいた少女の安否を確認した。見たところ肘とかを擦りむいてはいるが、大きな傷はないようでほっとする。
「大丈夫です」
伸ばした手を借りずに自力で立ち上がる少女に少し苦笑する。
「あなたは……」
「柊蓮司だ」
「私はおれんじぷらねっとのアリスです」
「状況はまったく飲み込めねえんだが、とりあえずおっさんを休ませねえとな。どこか休める場所知ってるか?」
月衣に剣を収めながら、アリアに聞く。いきなり紅い月が出て、月匣に突入したらナイトメアのおっさんはぶっ倒れてるわ。知らないやつはいるわ。あのエミュレイターも何か。いいかげん状況を整理したい。
「ぷいっにゅ」
柊がナイトメアを背中に担ぎ、一同はアリアについて行った。
「動けるか?」
とりあえず後ろにいた少女の安否を確認した。見たところ肘とかを擦りむいてはいるが、大きな傷はないようでほっとする。
「大丈夫です」
伸ばした手を借りずに自力で立ち上がる少女に少し苦笑する。
「あなたは……」
「柊蓮司だ」
「私はおれんじぷらねっとのアリスです」
「状況はまったく飲み込めねえんだが、とりあえずおっさんを休ませねえとな。どこか休める場所知ってるか?」
月衣に剣を収めながら、アリアに聞く。いきなり紅い月が出て、月匣に突入したらナイトメアのおっさんはぶっ倒れてるわ。知らないやつはいるわ。あのエミュレイターも何か。いいかげん状況を整理したい。
「ぷいっにゅ」
柊がナイトメアを背中に担ぎ、一同はアリアについて行った。
「ここか?」
足元にいるアリア社長に確認を取るように柊は言った。柊の目の前にあるのは、水の上に立っている二階建ての小さな住居。特徴といえば二階に比べ、一階がやけに小さいことぐらいか。小さな看板には「ARIA Company」と書かれていた。
近くには小船が浮かんでいる。運送屋なのだろうか、そういえば此処に来るまでに一度も車やバイクを見なかったし。たぶん小船がここの運行手段になっているんだろう。
足元にいるアリア社長に確認を取るように柊は言った。柊の目の前にあるのは、水の上に立っている二階建ての小さな住居。特徴といえば二階に比べ、一階がやけに小さいことぐらいか。小さな看板には「ARIA Company」と書かれていた。
近くには小船が浮かんでいる。運送屋なのだろうか、そういえば此処に来るまでに一度も車やバイクを見なかったし。たぶん小船がここの運行手段になっているんだろう。
「ぷいにゅ」
前を見ると、アリアが家の入り口の前に座っていた。
「おっ、おい!?」
アリアが小屋へと入ってしまった。勝手に入っていいのかよ
「大丈夫です。アリア社長はここの社長ですから」
社長という言葉に一瞬顔をしかめるが、それを聞くのはとりあえず後回し。
前を見ると、アリアが家の入り口の前に座っていた。
「おっ、おい!?」
アリアが小屋へと入ってしまった。勝手に入っていいのかよ
「大丈夫です。アリア社長はここの社長ですから」
社長という言葉に一瞬顔をしかめるが、それを聞くのはとりあえず後回し。
「あら、アリア社長おかえりなさい。それに鈴木さんや、アリスちゃんまで。後ろにいる方はお友達ですか?」
金髪の穏やかな物腰をもつ女性がいた。眼の覚めるような美人だが、あいにく柊の視点はその背後――時間を早送りにしているように暴食をくり広げる小柄な少女に釘付けになっていた。
金髪の穏やかな物腰をもつ女性がいた。眼の覚めるような美人だが、あいにく柊の視点はその背後――時間を早送りにしているように暴食をくり広げる小柄な少女に釘付けになっていた。
その光景はまさに絶対的な強者による圧倒的な暴虐。両脇にはバベル塔がごとく皿が並び立ち、一心不乱に食い尽くしている。
激しく見覚えのある少女に思わず気が遠くなった。もう一度確かめるようにして見る。薄紫色の短い髪に、活発そうな灰色の瞳。懐が一揆に寒くなるような恐ろしい幻覚に襲われる。……どうやら間違いなさそうだ。
少女はようやくこちらの視線に気づいたのか、顔を上げる。
激しく見覚えのある少女に思わず気が遠くなった。もう一度確かめるようにして見る。薄紫色の短い髪に、活発そうな灰色の瞳。懐が一揆に寒くなるような恐ろしい幻覚に襲われる。……どうやら間違いなさそうだ。
少女はようやくこちらの視線に気づいたのか、顔を上げる。
「は、はわっ!?ひーらぎ!どうしてここに!?」
「それはこっちの台詞だ!何でここにいんだよ?ポーリィ!!」
「それはこっちの台詞だ!何でここにいんだよ?ポーリィ!!」
そこにはかつてともに戦った一人の少女がいた。