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黒魔術裁判

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概要

 帝都商業地区?ファースト書店?で販売しているスキル書物
 他の多くのスキル書物と違って簡単に適法に取得できるが、逆にタダ読みができる他のスキル書物と違って買わないと読めない。
 死霊術?擁護派の意見が理想論極論の典型で必死すぎだな~と思ってたら、当の本人が死霊術師?だったというオチ。
価値 25
重量 1
見た目 本(小)
上昇スキル 神秘

本文

全13ページ。

黒魔術裁判
魔術師ギルド?の大賢者 ハンニバル・トレイヴン? 著

歴史的背景:

 黒魔術とも称される死霊術?の歴史は有史以前にまでさかのぼり、各地の初期の法のほぼ全てにおいて厳禁とされ、背くことは死罪とされていた。だがその裏で、個々の妖術の使い手がその研究を続けていったのである。

 我らが魔術師ギルド?の先駆的組織であるアルテウム島?のサイジック会も死霊術?の使用を禁じていた。理由はその危険性に加え、彼らが神聖および邪悪な祖先の霊たちの存在を信じていたため、死霊術?が異端とされたからであった。ここでもまた、この戒律を無視した師弟の話が伝えられている。ヴァヌス・ガレリオン?アルテウム島?を離れたとき、サイジックたちとは様々な点で意見が分かれてはいたものの、彼ら同様に魔術師ギルド?内でも死霊術?を教えることは認めなかったのである。

 ヴァヌス・ガレリオン?の時代から千百年近くが過ぎ、何人もの大賢者たちがギルドの長を務めてきた。死霊術?に関する問いかけも尋ねられ続け、ギルド内でそれを禁じる戒律が取り払われることこそなかったものの、長年に渡り死霊術?に対する見方も様々な揺らぎをみせている。大賢者によっては、死霊術?の存在そのものを無視する者もいれば、積極的に排斥しようとする者、そして大賢者自身が実は死霊術師?だったのではないかと噂される者もいたのである。

 魔術師ギルド?の新たな大賢者として、私はこの件に関する方針を決定する義務がある。黒魔術に関しては個人的な意見もあるが、帝国?内で最も博識である二名のウィザード、コリントのヴォス・カルリス師とオルシニウムのウリセタ・グラ=コッグ師に相談をし、二日の間議論を行った。

 以下は議論の要点、すなわち主張および反論をまとめたものであり、死霊術?に関する魔術師ギルド?の方針の決定へと繋がったものである。

議論内容:

 グラ=コッグ師による主張:死霊術?は十分に理解されていない。無視したとしても無くなるわけではない。魔法術および魔法学の研究を旨とする知的組織として、我々には真実に対して果たすべき責任がある。学問的探求の中で自らを検閲対象としてしまうことは、中立性および客観性という我々の信条に反することになる。

 カルリス師による反論:魔術師ギルド?は知識への探求と、安全確保および倫理的水準との釣り合いをとるひつようがある。学徒による研究を慎重かつ純粋なる目的をもって行わせることは、決して「検閲」には該当しない。規則や境界線を設定することは、学徒の自由を奪うものではなく、それどころか必要不可欠な行いなのである。

 カルリス師による主張:死霊術?は全ての文明化地域において忌み嫌われている。公的に容認してしまえば、魔術師ギルド?は一般大衆に恐怖と反感を抱かせてしまうことになる。ヴァヌス・ガレリオン?魔術師ギルド?に、サイジック会がもつような精鋭主義的かつ分離主義的な要素をもたせまじとした。世論を無視する場合、その結果も受け入れなければならない。死霊術?に対する反感の強いモロウウィンド?全土を含め、多くの地でギルドの拠点を失うことになる可能性が高い。

 グラ=コッグ師による反論:確かに大衆の懸念は意識すべきであるが、それにより我々の学問が定義されてしまうべきではない。そんなことがあってはならない。無学な者の多くにとって、「死霊術師?」とは邪悪なウィザードの意味に過ぎないのである。偏見や、未熟な理解ゆえに我々の為すことに制限を設けるなど、乱心の沙汰である。大衆の意見のみを理由にこの題目に背を向けることは、客観的研究の意義に対する冒涜に他ならない。

 グラ=コッグ師による主張:死霊術師?たちはタムリエル?にとって災厄である。単独で活動しているか、スロードたちや虫の王マニマルコと共同で動いているかにかかわらず、彼らはゾンビ?スケルトン?その他の不死のものを含め、多岐に渡るおぞましさの原因となっている。この脅威と効果的に戦うには死霊術師?のもつ力を理解する必要があるが、黒魔術の研究を制限していてはそれが不可能になってしまう。

 カルリス師による反論:誰も黒魔術が驚異であることに異を唱えてはいない。それどころか、魔術師ギルド?死霊術?を学徒に教える科目とすることに私が反対する理由の根幹になっている。敵の能力を知ることは可能であり、望ましいが、相手の領域を覗きすぎることで自らも染まってしまってはならない。邪悪な法を研究することで我々自身が悪と化してしまうようでは、本末転倒である。

 カルリス師による主張:死霊術?は大きな危険性を内包しており、真似事程度で手を出せるものではない。最も単純な呪文でさえ血を必要とし、術者の魂は直ちに汚され始める。これは憶測ではなく、明白な事実である。数多くの事例において、術者本人および世界に恐怖と悲劇しかもたらしていない魔法学の研究を魔術師ギルド?が教え、結果として推奨することは、甚だ無責任ではなかろうか。

 グラ=コッグ師による反論:経験の乏しい者にとっては、魔術はその系統を問わず危険なものである。不慣れな者が唱えた場合、初歩的な破壊?術の火球呪文であっても、他人のみならず、術者自身にも大きな被害をもたらしうる。神秘?などはその本質ゆえに、術者に論理から背を向けさせ、一時的な乱心とも呼べる状態に甘んじることを要するが、これは霊魂の汚染に類似しているともいえる。

 グラ=コッグ師による主張:魔術師ギルド?は既にある種の死霊術?を許可している。承知のように、魔術の系統とはヴァヌス・ガレリオン?が研究を系統化するために考案した人為的な区分けに過ぎない。長年に渡りその区分けは何度も変えられてきているが、達人なら誰もが知っているように、それぞれの系統は互いに繋がっているのである。亡霊を護衛として召喚する召喚?術の学徒は、その際に死霊術?の辺縁に触れている。付呪学の学徒が捕らえた霊魂を利用する際、黒魔術に手を染めたと言えなくもない。前述のように、神秘?も、死霊術?に通じる要素をもつ。学徒たちが死霊術?を学ぶことを禁じるのは、歴史上より正統とされてきたギルドの各系統に属する一般的な技能の習得を妨げることになる。

 カルリス師による反論:確かに各系統間には繋がりがあるが、各系統の標準的な呪文は長年の使用によってその安全性が確認されている。適切な指導下にある神秘?の学徒が、その経験により永続的な害を被ることがないことはわかっている。問題は、どこまでの極端を許容するか、すなわち探求によりどこまでが許されるかということなのである。死霊術?はその本質ゆえ、使用者が無謀にも闇の奥へと足を踏み入れることを必要としており、これは実質その破滅を不可避とする行為なのである。魔術師ギルド?にはそのようなものは必要無いと考える。

結論:

 死霊術?を研究することの危険性は、その有用性を上回っている。魔術師ギルド?はその構成員の研究を制限したいとは考えていないものの、邪悪なる術者との戦いのための限定的な研究を除き、黒魔術の研究を禁ずるものとする。このような例外は、類い稀な高い技量と慎重さを示した個人にのみ認められるものであり、その場合も私自身による許可および監督を必須条件とする。

後記:

 ウリセタ・グラ=コッグ師が死霊術?の擁護者のみならず、彼女自らが死霊術師?であるという噂が真実であったことを、遺憾ながら認めなければならない。この事実の判明を受け、ランプ騎士団がオルシニウムのギルドハウスで彼女の捕縛を試みたものの、逃走を許してしまった。我々はオルシニウム担当の後任者が適任であることを確信している。

 同意こそしなかったものの、私はグラ=コッグ師の論理的推論には一目置き、そのため本著にそれらを含めた。また、それらを除外する理由も無かった。そのことを踏まえてもなお、「真実」に対する師の興味が黒魔術への隷属の婉曲に過ぎなかったことは不本意なことであった。

 今回の不運な一件は、我ら魔術師ギルド?の構成員が死霊術?の誘惑を警戒し、組織内にその使用者が入り込んでいる危険性を認識することの重要性を浮き彫りにしているといえるだろう。










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