恋焦がれる鎮魂歌 ◆qp1M9UH9gw
【7】
深淵へと落ちた意識の中、問いかける声がある。
あの青い欲望の女王が、セシリアに語りかける。
『ねえセシリア。この世で最も美しい感情が何なのか、分かるかしら?』
その問いに対し、少女は分からないと答えた。
女王はクスクスと笑い、その手で彼女の頬を撫でる。
『それは"愛"。誰もが求める一番綺麗な思い。あなたにもある感情』
セシリアは
織斑一夏を愛している。
他者が彼を愛していたとしても、決して譲歩しない程度には、その感情は重く深い。
例えその「他者」が彼女の友人だったとしても、だ。
『でも織斑一夏から愛されるのはたった一人……あなたが愛されるには、他の娘を蹴落とすしかないわ」
耳元で囁かれるのは、誘惑の言葉。
少女は離れようとするが、女王が彼女の腕を掴んで離そうとしない。
そんな事できない、友を傷つける事などできる訳がないと、少女は言葉をぶつける。
『嘘ばっかり。本当は疎ましく思ってたんでしょ?
あなた達の友情なんて、所詮は織斑一夏だけで繋がってるだけの脆弱なもの。
その気になれば、簡単に切れてしまう脆くて鬱陶しいだけの鎖に過ぎないのよ』
違う、と涙ながらに少女は叫ぶ。
それでも女王は顔色一つ変えずに、言葉を紡ぎ続ける。
惑う少女を導く為の、甘い毒を含んだそれは、するりと彼女の心に入り込んで行く。
『じゃあどうして"友達"が死んであなたは喜んだの?
答えは簡単よ……あなたにとっては、彼女達なんて織斑一夏に群がる虫程度にしか思ってなかっただけなのよ』
女王の顔が、変異していく。
鯱を思わせる怪物のそれから変化して、現れるのは少女そのもの。
彼女の目の前で囁く女王の正体は、他でもない少女だったのだ。
反論の声が、小さくなっていく。
抵抗する力も、みるみる内に弱まっていく。
『だって私は"あなた"なんだもの。そしてあなたは私……私の心は、あなたの心そのものなのよ』
少女はもう、何も言おうとはしなかった。
黙って女王――否、「自分自身」の言葉を脳内に染み渡らせていく。
自分の深層心理に存在する、本当の己を受け入れる為に。
『どんな犠牲を払ってでも、織斑一夏の愛を掴みなさい。やり方は――もう分かってるわよね』
――――ああ、思い出した。自分が、何をやるべきだったのかを。
O O O
気付いた時には、ベットの上にいた。
身体を起こして辺りを見渡すと、ここが民家の一室である事が分かった。
そして、この部屋にはセシリアの他にも人間がいるという事も。
金髪のショートヘアーの少女は、確かに彼女の友人だった。
「あっ、目が覚めたんだね」
語りかけてくるシャルロットの声で、ようやくセシリアはこれまでの経緯を思い出した。
逃げる最中で何故かほむらに追いつかれ、彼女から砲撃を受けて撃墜されたのだ。
この状況を見るに、どうやら気絶した後にシャルロットに助けられたらしい。
今のセシリアが何を考えているかなど、気にも留めないのだろう。
「あなたが……助けてくれたのね……」
「正確にはボクとラウラの二人だけどね」
そう言うと、シャルロットはセシリアを助けた経緯を話してくれた。
ラウラと彼女は
ウヴァという男――箒を■した奴だ――を探しており、
その道中で、今まさに撃たれようとしているセシリアを発見したらしいのだ。
「……でもセシリア、どうして追われてたんだい?」
そう聞かれて、思わず口ごもる。
仲間達を■す為に行動していただなんて、言える訳がない。
「…………それは……その…………」
「言いたくないなら、無理して言わなくてもいいよ」
シャルロットはそう言うと、またニコリと笑ってみせた。
邪気が感じられない、朗らかな笑みであった。
きっと彼女は、セシリアに会えた事を心の底から喜んでいるのだろう。
セシリア本人の意思など、気にも留めないで。
「でも良かったよ。セシリアが無事で」
「私も……あなたと出会えて、安心してますわ」
嘘である。
今のセシリアの心境は、安息などとは程遠い。
何しろ、目の前に■さなくてはならない存在が居るのである。
そんな状況に身を置いて、安らぎなど得られる訳がない。
「あ、そうだ。ラウラにも言っておかないとね
今ウヴァを探してるんだけど……上手くいったのかな……」
そう不安げに言いながら、シャルロットはセシリアに背中を向ける。
言い方から察するに、外に居るのであろうラウラに自分が目覚めた事を伝えに行くつもりなのだ。
――彼女を■すには、絶好のチャンスである。
支給された拳銃の引き金を引けば、簡単にシャルロットを■せるのだ。
待機しているであろうラウラが気掛かりだが、
最終的には皆■すのだから、今はシャルロットだけ■して、ラウラからは離れよう。
渋っている暇はない――目の前に居るのは恋敵で、■さなければならない"敵"なのだ。
今まで友情と言う糸で繋がれていたとしても、いずれは倒さなくてはならない運命だったのである。
絶好のチャンスなのだ。やるなら今しかない。
静かに拳銃を取り出し、銃口を友の背中に向け、トリガーに指をかけ。
呼吸を可能な限り整えて、手の震えをどうにか抑えて。
それでもブレる標準のまま、一抹の勇気と狂気を胸に秘めながら。
【8】
背中に衝撃が走った瞬間、体温が急速に低下していくのを感じた。
全身の力も急激に弱まっていき、床へと倒れ込む。
体内で痛覚を蹂躙する異物の存在を感じて、シャルロットは自分が撃たれたのだと確信した。
(セシリ、ア……!?)
背中から銃弾が入ってきたのだから、誰が発砲したのかは明らかである。
隠し持っていたであろう拳銃で、セシリアに撃たれたのだ。
信じていた仲間に裏切られたという残酷な事実が、彼女の心を容赦なく引き裂いていた。
今思えば、セシリアは目覚めてからずっと様子がおかしかった。
きっと彼女は、ずっと目の前の友人を殺す事ばかり考えていたのである。
どうしてこの瞬間まで、親友の変化に気付いてあげられなかったのだろう。
あの時もっと親身に接してあげられていれば、こんな事にはならなかった筈なのに。
彼女が何の為に自分を撃ったのかは、すぐに検討が付いた。
恐らくは彼女も、かつての自分と同様に『居場所』を求めているのだ。
思い人の隣という『居場所』で生きていたいと、ずっと願ってきたに違いない。
その気持ちは痛い程分かる――シャル自身もまた、同じ感情を抱いていたのだから。
(そんなの、駄目だ……っ)
だが、だからこそ、今のセシリアを肯定する訳にはいかない。
自分の欲望を叶える為の方法として、暴力を利用してはならないのだ。
それに、今まで仲間達と紡いできた絆はどうなる。
例え何があっても、IS学園で過ごした青春の記録を焼き払っていけない。
過去と友情を代価にして得るものなど、"彼"は決して望まないだろう。
これまで居た『場所』を消し去ったら、きっと"彼"の隣にすらいられなくなる。
『居場所』が何処にもない辛さを、セシリアには知ってほしくない。
自分が死ぬよりも、仲間が凶行に走る方が、ずっと恐ろしかった。
説得しようにも、口から漏れ出るのは鮮血ばかり。
身体を動かそうにも、体温の逃げた今の肉体は思うように動いてくれない。
それでも、茨の道を進もうとする親友を止める為に、シャルロットはもがく。
覚束ない足取りで部屋を出て行こうとするセシリアの足に、震える腕を絡める。
せめて話を聞いてくれと、心をこちらに傾けてくれ、と。
セシリアが、恐怖に引きつった表情でこちらを見る。
小刻みに震える総身から、彼女の恐怖と嘆きが伝わってきた。
やはりだ――まだ彼女は、遂に犯してしまった殺人という行為に恐れを抱いている。
彼女の心に、まだ罪に対して恐怖を覚える程に"人間"が残っているのなら、きっとやり直せる筈。
例え一人の命を奪ったとしても、それで全てを喪う訳ではないのだ。
こんな悲劇など誰も望んではいない――どうか、犠牲は自分一人だけにして欲しい。
口を開き、彼女に届けと説得の言葉を紡ぎ――――――――その声すら、銃声に掻き消された。
【9】
魔界の凝視虫を利用して、ようやくラウラはウヴァとの合流を果たす。
しかしそこに、少し前までいた筈の彼女の友人の姿は見えない。
それもその筈――三人の内一人は逃げ出し、もう一人は既にこの世にはいないのだから。
「成程な、シャルロット・デュノアは死んだか」
ラウラから詳細を聞いたウヴァの第一声は、それだった。
彼は全参加者の大まかな情報を握っているので、彼女についてもある程度は知っていた。
尤も、緑陣営のウヴァにとっては、黄陣営のシャルロットの死などどうでもいい話なのだが。
「まあ残念だったな。セシリアが大事な仲間を殺すのは俺にとっても想定外だ」
こんな事を言ったが、ウヴァには彼女が殺し合いに乗った理由が分かる。
恐らくは、
メズールが彼女を言葉巧みに操り、仲間を殺させるように仕向けたのだろう。
ラウラも含めて、ISを所持している者は全員織斑一夏に好意を抱いている。
愛絡みの欲望はメズールの専売特許だ――彼女が利用しない訳がない。
「……しっかし不意を突かれて拳銃で射殺か。こりゃ仲間に引き入れても大して使えそうにもなかったかァ?」
ウヴァが死人を軽蔑した途端に、ラウラの怒気が表面化する。
しかし、彼はそれを真正面から受けても余裕の態度を崩そうとはしなかった。
それどころか、激昂する彼女の姿を見てニタニタと嗤っているではないか。
「例えお前であっても……シャルロットを、私の仲間を侮辱するのは許さん……ッ!」
「やる気かラウラ?やめとけ、お前一人で俺を斃せる訳がないだろ」
「そんな事!やってみないと――――」
「分かる、お前じゃ俺には勝てん」
ISを展開しようとする前に、首元には赤い刀身が宛がわれていた。
ウヴァの姿も、人間から本来の緑の怪人のものへと変貌している。
刃を僅かでも動かせば、ラウラの首は刎ね飛ぶだろう。
つまりは、この時点で彼女の敗北は確定しているのだ。
「甘く見るなよ?お前なんざ綿棒をへし折る感覚で殺せるんだ」
「…………ウヴァ……ッ!」
「……クッ……ククッ、クハハハハハッ!!テメェみてぇなちっせー兎如きが、俺を殺せるわけねーだろ!」
破顔したウヴァを、ラウラは恨めしそうに睨み付ける。
しかし今の彼には、その怨念すらも心地よい。
「裏で何考えてたかは知らねーが、阿呆な考えは捨てるんだな。今の俺に単独で勝てる奴なんざそうはいないぜ?」
以前にも増して堅牢になっていたウヴァの装甲が、その言葉がホラではないとラウラに教えていた。
今まで以上に自信に満ち溢れた彼の声色が、彼女の闘志を容赦なく削り取っていく。
「まあ安心しろよ……お前のお仲間さんが生きてたら丁重に保護してやるからよ。
……まあ勿論、『駒』としてだがなぁ!ハハハハハハハハハハハァッ!!」
最も凶暴な欲望の王が、さも愉快そうに破顔する。
しかし今のラウラには、反逆する気力など残ってはいなかった。
友人の裏切りと死で精神が困憊していたのに加え、敵との圧倒的な力の差を見せられたのだ。
軍人としての洞察力があるからこそ理解できる――今のままでは、ウヴァには勝てない。
今果敢に挑んだところで、シャルロットと同じ場所に行くのが目に見えている。
哀れな黒兎一匹では、王への反逆など無謀以外の何者でもないのだ。
拳を血が出る程強く握り締めても、その事実は、揺らがない。
O O O
どうしてこうなったのか、分からない。
ただ理解しているのは、シャルロットを殺したのは友人である筈のセシリアだという事だけ。
何故セシリアがこの様な凶行に走ったのか、ラウラには知る由などない。
不幸な事故によるものだと信じたかったが、頭部に撃ち込まれた二発目の弾丸がそれを否定している。
(何故だ)
何故、殺された。何故、殺した。
人並みの倫理を持ち併せたセシリアは、同じ人間――ましてや友人に手をかけるような者ではない筈だ。
それなのに、彼女は明確な殺意を込めた弾丸で、親友の頭を撃ち抜いた。
(何故だ……)
シャルロットが、セシリアが何をしたのだ。
ただ純粋に仲間を救いたいと願っていた者が、どうして最も残酷な仕打ちを受けねばならない。
信頼していた親友が、どうして殺意を同じ友に向けねばならない。
(何故だ……ッ!?)
こんな時、一夏ならどうしたのだろうか。
いや、考えるまでもない――彼ならば、最初からこんな事態など起こらないように立ち回っていただろう。
それこそが彼が持っていた"強さ"であり、ラウラの心が彼に傾いた理由なのだから。
(私に力がなかったから……!私にもっと力があれば……!
こんな……こんな事にはならなかった!シャルは死なずに済んだんだ!)
力さえあれば、悲劇を未然に防げたかもしれない。
力さえあれば、ウヴァに跪く必要などなかった。
力さえあれば、箒だって救えたに違いない。
力さえ――力さえあれば、何も喪わなかった筈なのだ。
今のちっぽけな力では、誰一人として護れはしないのだ。
ISなど足りない――もっと強い、誰にも負けない力が欲しい。
どんな形でも構わない、力の為なら自分の寿命だって削ってやろうではないか。
セシリアの落としたであろうメダルを、ラウラは強く握り締める。
飛蝗が刻まれたそれは、彼女に「吸収される」形で手の中から消えていく。
そのメダル――800年前のオーズのメダルによって、彼女はいずれ力を得るだろう。
しかし、それが彼女自身が望む形なのかは、その力を得るまで分からないのだが。
【一日目-夕方】
【F-4/市街地】
【ウヴァ@仮面ライダーOOO】
【所属】緑・リーダー
【状態】健康、絶好調
【首輪】300枚:250枚(増幅中)
【コア】クワガタ(感情)、カマキリ×2、バッタ×2、サソリ、エビ、カニ、カメ(一定時間使用不可)、ショッカー
【装備】バースドライバー@仮面ライダーOOO、バースバスター@仮面ライダーOOO、サタンサーベル@仮面ライダーディケイド
【道具】基本支給品×3、参加者全員のパーソナルデータ、ライドベンダー@仮面ライダーOOO、メダジャリバー@仮面ライダーOOO、
ゴルフクラブ@仮面ライダーOOO、首輪(
月影ノブヒコ)、ランダム支給品0~4(ウヴァ+
ノブナガ+ノブヒコ)
【思考・状況】
基本:緑陣営の勝利。そのために言いなりになる兵力の調達。
1.もっと多くの兵力を集める。
2.月影を倒したネウロを警戒。
3.屈辱に悶えるラウラの姿が愉快で堪らない。
【備考】
※参戦時期は本編終盤です。
※ウヴァが真木に口利きできるかは不明です。
※ウヴァの言う解決策が一体なんなのかは後続の書き手さんにお任せします。
【
ラウラ・ボーデヴィッヒ@インフィニット・ストラトス】
【所属】緑
【状態】ダメージ(小)、疲労(小)、精神疲労(大)、力への渇望、セシリアとウヴァへの強い怒り
【首輪】80枚(増加中):0枚
【コア】バッタ(10枚目):1(一定時間使用不可)
【装備】シュヴァルツェア・レーゲン@インフィニット・ストラトス
【道具】基本支給品、魔界の凝視虫(イビルフライデー)×二十匹@魔人探偵脳噛ネウロ、ランダム支給品0~2(確認済)
【思考・状況】
基本:仲間と共に帰還する……?
1.力が、もっと力が欲しい……ッ!
2.己が陣営優勝のため、ウヴァには内密でコアメダルを集める。
3.もっと強くなって、次こそは
セイバーに勝つ。
【備考】
※本当の勝利条件が、【全てのコアメダルを集める事】なのでは? と推測しました。
※"10枚目の"バッタメダルと肉体が融合しています。
時間経過と共にグリード化が進行していきますが、本人はまだそれに気付いていません。
【9】
シャルロット・デュノアは優しい少女だった。
事実、彼女はこんな状況に置いても仲間の身を案じ、皆で生きて帰ろうとしていた。
そこに価値の優劣はなく、例え恋敵であっても救おうとしただろう。
しかしセシリアは、そんなシャルロットの思いを裏切った。
そればかりか、彼女の人生に終止符を打ってしまったのだ。
一時の気の迷いではなく、自分の意思で殺したのである。
「ごめん、なさい…………ごめんなさい…………!」
こみ上げてきた吐き気を必死になって押さえ込む。
止めようもない涙が溢れ出て、頬を伝って地面へ零れ落ちていく。
セシリアにとって、それほど友殺しへの重圧が大きい事を示していた。
当然だ――年端もいかぬ少女にとって、これは背負うにはあまりにも大きすぎる罪なのだから。
だが、もう後には戻れない。
自分は友達との絆を砕き、女としての幸福を優先したのだ。
セシリア・オルコットは、仲間を裏切った最低の人殺しとして生きていく。
「……でも……でも…………こうしないと……私……は…………!」
こうでもしなければ、思い人を盗られてしまう。
ずっと送り続けてきた愛が無価値になってしまう事が、何よりも怖い。
だからこそ、何をしてでもあの人を手に入れたかった。
……例えその手段が、結果として思い人からの怒りを買う事を知っていたとしても。
「……いちか……さん………」
それでも、あの人さえ――織斑一夏さえ傍に居てくれるのなら。
彼の愛さえあれば、他には何もいらない。彼の為なら何だって捨てられる。
親友だって、家族だって、故郷だって、代価となるのならば払おうではないか。
……そう言い聞かせても、全身の震えは収まってくれなかった。
ふらふらとした足取りで、セシリアは歩き始める。
他の二人は、今どこにいるのだろうか。
殺し合いが始まってから大分経っているし、もう初期位置からは離れている筈だ。
そういえば、最初に岡部達から逃げ出したのは、きっとデイパックの中にあった"恋敵"達の居場所を書いたメモを、
彼らに見られたくないのが理由なのだろう。
もしあれを事情を知らない他人に目撃されたら、きっと面倒な事になる。
あの頃は訳も分からず逃げ出していたが、恐らくはそういった事情を考えての行動だったのだろう。
「……やっぱり……私…………」
記憶が朧気だった筈なのに、そういう所はしっかり心に刻み付けている。
心の奥底では、やはり自分は殺す事を考えていたのだ。
もしかしたら、メズールに誘惑されるその前からも、無意識の内に"そういう事"を考えていたのかもしれない。
「最低……ですわ……」
例え自己嫌悪に駆られても。
それでも、歩みを止める事はできなかった。
ここで諦めてしまったら、本当に全てを喪ってしまうから。
セシリアが壊れない為には、ひたすらに進むしかないのだ。
己の欲望を満たす為に、少女は深い海の底へと堕ちていく――。
【10】
セシリアの心が、静かに狂っていく。
「心」という水の中に混入した、「欲望」という名の氷がゆっくりと溶けていき、
本人すら知らぬ間に、価値観を徐々に変貌させている。
きっと今の彼女は、己の願いの為なら何だってするだろう。
最初は重く圧し掛かっていた後悔も、段々と軽くなっていく。
そうやって、セシリアの心は「怪物」へと変貌していくのだ。
これから彼女が歩む道は、茨で溢れているのだろう。
そこには幸福はなく、常に痛みだけが襲いかかるのだ。
しかし、「織斑一夏」が存在する限り、彼女は挫けたりはしない。
一夏は今の彼女にとって唯一の心の支えであり、生きる目的そのもの。
目標に彼が存在すると認識できさえすれば、セシリアは何度でも立ち上がる。
己の欲望の成就の為に、彼女は孤独の未知を突き進むのだ。
しかし、セシリアがどんなに恋焦がれても。
織斑一夏は、もう――――――。
【シャルロット・デュノア@インフィニット・ストラトス 死亡】
【一日目-夕方】
【E-5/市街地】
【セシリア・オルコット@インフィニット・ストラトス】
【所属】青
【状態】ダメージ(中)、疲労(大)、精神疲労(極大)、倫理観の麻痺、一夏への依存
【首輪】80枚(増加中):0枚
【装備】ブルー・ティアーズ@インフィニット・ストラトス、ニューナンブM60(3/5:予備弾丸20発)@現実
【道具】基本支給品×3、ケータロス@仮面ライダーディケイド、ファイズギア@仮面ライダーディケイド、
スタッグフォン@仮面ライダーW、ラファール・リヴァイヴ・カスタムII@インフィニット・ストラトス、
ランダム支給品0~2(シャル)
【思考・状況】
基本:一夏さんが欲しい。
0.一夏さん、私は――――――――。
1.一夏さんが欲しい、そのために行動しますの。
2.一夏さんの為なら何だって……!
3.一夏さん……。
【備考】
※参戦時期は不明です。
※制限を理解しました。
※シャルロット・デュノアの死体はE-4の民家に放置されています。
【ニューナンブM60@現実】
セシリア・オルコットに弾丸25発とセットで支給。
日本警察が採用している拳銃。
警官である
笹塚衛士は勿論、「姐さん」こと八代藍も使用していた。
【"10枚目の"バッタメダル@仮面ライダーオーズ】
セシリア・オルコットに支給。
800年前のオーズが使用したとされるコアメダルの一つ。
他の昆虫系メダルよりも強力な力を秘めている。
最終更新:2013年10月02日 00:22