五星戦隊ダイレンジャーの第39話

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&bold(){&ruby(ごせい){五星}戦隊ダイレンジャーの第39話} リュウレンジャーこと亮の仇敵である魔拳士・陣は、亮を庇ってゴーマ怪人の攻撃の餌食となった。 陣はザイドスに捕われ、牢屋の中に閉じ込めらている。 ゴーマの戦闘員コットポトロが見張りについているが、陣が身動きしていないのに気づく。 驚いたコットポトロが牢を開けると、たちまち陣がコットポトロを倒す。 一方でダイレンジャーとゴーマの間には停戦協定が結ばれ、亮たちは草野球を楽しんでいる。 一同「さぁ、来い!」「行くぞ!」「よっしゃ!」 亮 (なぜだ……? あのとき、なぜ陣は俺を庇った?) 脱走に成功した陣は、傷を負った身のまま、町はずれをフラフラとさまよう。 陣 (生き延びてやる…… 何としても。そして倒す! ザイドス、亮!) #center(){|&big(){&bold(){魔拳 落日に散る}}|} ゴーマの牢獄では、ザイドスが陣の脱走に気づいている。 ザイドス「フン、無駄なことを。奴の体はすでに、俺のもの」 一方の亮たち。 亮が考え込んでいる間に、ボールが頭上を飛んで行く。 将児「おぉい、亮!」 亮「……えっ? あぁ! いけねぇ、いけねぇ。ボール、ボール……」 亮がボールを捜して、木々の間を歩き回る。 傷だらけでの陣が、気を失って倒れている。 陣が目覚める。 そこは亮の自宅のベッドの上で、そばに亮が付き添っている。 亮「気がついたか?」 陣「……貴様!?」 陣が身を起こそうとして、傷の痛みに顔をしかめる。 亮「まだ動かないほうがいい」 陣「貴様が…… 俺を助けたのか?」 亮「あぁ。どうやら俺とお前は、切っても切れない縁があるみたいだな。ま、あんまり嬉しくはないけどさ」 陣「ふざけるな! うっ……! 貴様に助けられて、喜ぶ俺だと思っているのか?」 陣がベッドから飛び出して、痛々しい様子で、必死に拳法の構えを取る。 陣「戦え、亮! 今、この場で! うぅっ!? うっ……」 亮「陣……!」 亮はダイレンジャー本部で、一同に事情を話している。 将児「どういうつもりなんだよ、亮!? あんな奴を助けるなんて!?」 &ruby(かず){知}「そうですよ。あいつは、あなたの命を何度も狙った奴なんですよ!?」 亮「それだけじゃない…… 陣は、俺の命を救ってくれたこともある! だから……」 亮の自宅。 ベッドの上の陣に、亮が食事を運んでくる。 亮「で~きた! できたぞぉ、お待ちどうさん! 体力をつけるには、とにかく食べるのが一番! もちろん、味も保証付きだぜ。なんたって、こっちはプロだからな。ほら」 陣は無言で、粥の椀を払いのける。 亮は一瞬ムッとするが、平静を装い、床に散った粥を片づけ始める。 亮「あ~ぁ、やっちゃった。しょうがねぇなぁ」 陣「……」 亮は勤め先の中華料理店で、夜遅くまで働いている。 店員「亮ちゃん、今日も残業組?」 亮「はぁ、知り合いがケガしちゃって…… ちょいと、金がいるんスよ」 店員「そっか。じゃ、お先に。お疲れさん」 亮「お疲れ様でした。おやすみなさい!」 その頃、夜道を歩く1人のOLの前に突如、怪物が出現する。 「キャァァ──ッッ!?」 翌日。亮が車椅子の陣を押しつつ、駅を訪れる。 目の前には階段。 亮「すいません! どなたか手伝ってくれませんか? あの、すいません!」「すいません、お願いします!」「あの……」 必死に懇願する亮に構わず、大勢の客が通り過ぎて行く。 陣「無駄だ。みんな、自分のことばかり考えている。人なんてそんなもんだ」 亮「だったら…… 人の分まで、自分が優しくなればいい!」 亮は陣を背負い、片手で車椅子をつかみ、息を切らしながら階段を昇ってゆく。 亮「はぁ、はぁ、はぁ……」 陣「……」 その日の夜。 公園のカップルのもとに、またしても昨晩と同じ怪物が現れる。 「うわぁっ!」「助けてぇ!」「逃げろぉ!」 怪物が女性を噛み殺し、血塗れの口を手で拭う── あくる朝。 陣がベッドで目覚めると、傍らでは残業明けの亮が、仕事着のまま寝ている。 亮「グー、グー…… ラーメン、餃子、お待ち…… 毎度…… ムニャ……」 陣は、険しかった表情を思わず緩める。 しかし、自分の手に染み付いた血に気づく。 袖をまくると、自分の腕が白い異形の形に変貌しかかっている。 陣「こ……、これは、一体!?」 亮「ふわぁ~ぁ…… あっと、ごめん。包帯替える時間だった」 陣がとっさに腕を隠し、布団をかぶる。 陣「放っといてくれ!! 俺は…… 俺は!」 亮「陣……!?」 亮は陣を車椅子に乗せ、公園へ連れ出す。 亮「どう? 気持ちいいだろう。たまには、外の空気も吸わなくちゃ」 陣「なぜだ? どうして俺に、ここまでする?」 亮「お前だって、俺を助けた」 陣「違う! 前にも言ったはずだ。俺は貴様を自分の手で倒したい。だから貴様を助けた。それだけのことだ」 亮「……そうだったな。本当言うとな、自分でもよくわからないんだ。ひょっとしたら、俺はお前と同じ理由で、お前を助けたのかもしれない」 陣「……」 亮「『お前を倒すのは俺だ』。そう思っていたのかもしれない…… 1人の、拳士として」 陣「1人の…… 拳士として?」 亮は真剣な眼差しで頷く。 陣「亮、頼みがある」 亮「……?」 陣「もし俺が拳士でなく、心をなくした怪物となったとき、そのときは! お前の手で、俺を殺してくれ!」 亮「えっ!?」 陣「急所は、ここだ!」 陣が自分の胸を指差す。 亮「何を言ってる? どういう意味だ!?」 陣「……うぅっ!? ……あぁっ、あ……」 亮「陣……!? おい、陣!」 陣「うわぁっ! うっ! うぅっ……」 陣が急に苦しみだし、その手が鉤爪に変る。 亮「陣、陣!?」 陣「忘れるな、俺との約束!」 陣は、心配そうな亮を突き飛ばし、フラフラと走り去って行く。 亮「陣──!」 昨晩までの怪物が白昼同道、人々に遅いかかる。 大五や将児たち4人が駆けつける。 大五「逃げろ!」 将児「バケモノ! これ以上、好き勝手な真似はさせねぇぞ!」 一同「みんな、行くぞ!」「気力転身!!」 4人がダイレンジャーとなり、怪物に挑む。 テンマ「大輪剣! ハァッ!」 テンマレンジャーの一撃が決まり、怪物の右腕から血が噴き出す。 怪物が逃げて行く。 テンマ「待ちやがれぇ!」 一方で亮は、必死に陣を捜し回っている。 亮「陣──! 陣──!」 陣がうずくまっている。 亮「陣!」 陣「……」 大五たち「亮──!」「亮!」 そこへ、大五や将児たちが駆けて来る。 陣が右腕に傷を負っている。 さきほど将児が怪物を攻撃した箇所と同じ── 将児「亮、こいつは!?」 陣が突然、人が変わったように亮に襲いかかる。 一同「亮!?」 陣「う、うっ、あぁ──っ!?」 亮「陣……!?」 陣の姿が、あの怪物の姿へと変わる。 亮「馬鹿な…… これは一体!?」 そこに、ザイドスが現れる。 ザイドス「ダイレンジャー!」 大五「ゴーマ!?」 ザイドス「もはや、そいつは陣ではない。奴が脱走する前に、奴の体に&ruby(がろうき){飢狼鬼}の細胞を埋め込んでおいたのだ。完全に陣は飢狼鬼となった。今や陣としての心を失い、俺の言葉だけを聞く操り人形だ」 亮「何だとぉ!?」 ザイドス「ダイレンジャーを倒すのだぁ!」 亮「やめろ、陣! お前は拳士、操り人形なんかじゃない!」 大五「ザイドス……! 停戦したはずじゃなかったのか!?」 ザイドス「えぇ~? 何だって~?」 陣の変貌した怪物──飢狼鬼が亮たちに襲いかかる。 一同「うわぁぁ!」「オーラチェンジャー!」 やむなく5人が転身し、ダイレンジャーとなる。 リュウ「やめろ、陣! 陣──!」 シシ「無駄だ! 今の奴に、言葉が通じるか!?」 飢狼鬼の容赦ない攻撃が、ダイレンジャーたちに降り注ぐ。 一同「うわぁぁ──っ!」 (陣『俺が心をなくした怪物となったとき、そのときはお前の手で! 急所はここだ!』) リュウ「許せ…… 陣!」 リュウレンジャーがスターソードを手にして突進。 意を決し、飢狼鬼の胸に突き立てる。 飢狼鬼が苦痛にあえぐが、まだ倒れない。 シシ「駄目だ、浅い!」 しかし飢狼鬼はスターソードに手をかけ、自らの胸に深く突き立てる。 リュウ「陣!?」 ザイドス「飢狼鬼!?」 飢狼鬼が、苦悶の声を漏らす。 その体に、次第に陣の姿がだぶる。 陣「俺は拳士! 貴様の思い通りにはさせんぞ…… ザイドスぅ!!」 ザイドス「このままでは、飢狼鬼が自滅する……」 飢狼鬼目がけ、ザイドスが妖力を吐きかける。 大爆発と共に、飢狼鬼と陣が分離する。 陣が、転身の解けた亮と共に、地面に叩きつけられる。 亮「陣!?」 無数のコットポトロたちが現れ、ダイレンジャーたちと乱戦となる。 亮「大丈夫か、陣」 陣「あぁ……」 亮たちもまた、コットポトロたちに取り囲まれる。 亮「やれるか、陣!?」 陣が力強く頷き、亮とともに立ち上がる。 亮「行くぞぉぉ!!」 亮と陣が生身のまま、コットポトロたちを蹴散らす。 亮「気力転身!!」 陣「魔性降臨!!」 亮がリュウレンジャーに転身、陣が魔拳士に変身し、コットポトロたちを一掃する。 ザイドス「おのれぇ、陣!」 陣「ザイドス、貴様だけは許せん! 行くぞぉ!!」 陣がザイドスに挑みかかる。 ザイドスの猛攻をかわしつつ、必殺拳の構えをとる。 陣「&ruby(ひょうが){豹牙}流奥義・邪神&ruby(ふうけん){風拳}! ハァァッ!」 必殺の連打が炸裂する。 しかしザイドスが、とどめの一撃を受け止め、逆に妖力を吐きかける。 至近距離での強烈な妖力が、陣の体をまともに直撃する。 陣「うわあぁぁ──っっ!!」 一方でリュウレンジャーは4人と合流し、飢狼鬼を追いつめる。 一同「天宝来来の玉、セット!」「セーフティロック解除!」「スターソード・オン!」 リュウ「みんな、胸の傷を狙うんだ!」 一同「おぅ!」「ファイヤ──ッッ!!」 最強武器であるスーパー気力バズーカの砲撃を食らい、飢狼鬼が爆発四散する。 転身を解いた亮たち。 陣たちの戦いの場にザイドスはおらず、陣が倒れているのみ。 亮「陣!?」 陣が傷の痛みをこらえ、立ち上がる。 陣「拳士として……」 亮「……拳士として」 陣が拳法の構えをとり、亮もそれに応えて構える。 陣「うぅおおぉ──っっ!!」 亮「はいぃぃ──っっ!!」 2人が激突する。 拳と拳、蹴りと蹴りの激しいぶつかり合い。 陣の攻撃をかわし、亮が正拳を繰り出す。 勝負あった──かと思われたが、亮は陣の顔面寸前で拳を止める。 陣「甘いな…… どこまでも甘い奴だ、お前って奴は。これだけは憶えておけ。拳士は、非情を乗り越えることも必要だと」 陣が背を向ける。 亮「どこに行くんだ? その体で……」 陣「寄るな! 俺は俺でいたい! これ以上お前のそばにいたら、俺が俺でなくなってしまう」 亮を制止して陣が歩き出し、亮を振り向く。 陣「世話ばかりかけちまったな、亮。……ありがとう」 夕日に照らされた砂漠を、陣がフラフラと歩く。 ザイドスが現れる。 そして、地平線を埋め尽くすほど、コットポトロたちの大群。 ザイドス「やれぇ!」 陣の弾いたコインが宙を舞う。 敵を一掃した後、落ちて来るコインを受け止める得意のアクション。 襲い来るコットポトロたちを、陣が次々に蹴散らす。 コットポトロの銃撃隊が、陣目がけて、一斉に銃撃を放つ。 陣の受け止めるはずのコインが、地面に落ちる── #center(){&big(){&bold(){つづく}}}
リュウレンジャーこと亮の仇敵である魔拳士・陣は、亮を庇ってゴーマ怪人の攻撃の餌食となった。 陣はザイドスに捕われ、牢屋の中に閉じ込めらている。 ゴーマの戦闘員コットポトロが見張りについているが、陣が身動きしていないのに気づく。 驚いたコットポトロが牢を開けると、たちまち陣がコットポトロを倒す。 一方でダイレンジャーとゴーマの間には停戦協定が結ばれ、亮たちは草野球を楽しんでいる。 一同「さぁ、来い!」「行くぞ!」「よっしゃ!」 亮 (なぜだ……? あのとき、なぜ陣は俺を庇った?) 脱走に成功した陣は、傷を負った身のまま、町はずれをフラフラとさまよう。 陣 (生き延びてやる…… 何としても。そして倒す! ザイドス、亮!) #center(){|BGCOLOR(darkgray):COLOR(white):CENTER:&br()&big(){&big(){&bold(){魔拳 落日に散る}}}&br()&br()|} ゴーマの牢獄では、ザイドスが陣の脱走に気づいている。 ザイドス「フン、無駄なことを。奴の体はすでに、俺のもの」 一方の亮たち。 亮が考え込んでいる間に、ボールが頭上を飛んで行く。 将児「おぉい、亮!」 亮「……えっ? あぁ! いけねぇ、いけねぇ。ボール、ボール……」 亮がボールを捜して、木々の間を歩き回る。 傷だらけでの陣が、気を失って倒れている。 陣が目覚める。 そこは亮の自宅のベッドの上で、そばに亮が付き添っている。 亮「気がついたか?」 陣「……貴様!?」 陣が身を起こそうとして、傷の痛みに顔をしかめる。 亮「まだ動かないほうがいい」 陣「貴様が…… 俺を助けたのか?」 亮「あぁ。どうやら俺とお前は、切っても切れない縁があるみたいだな。ま、あんまり嬉しくはないけどさ」 陣「ふざけるな! うっ……! 貴様に助けられて、喜ぶ俺だと思っているのか?」 陣がベッドから飛び出して、痛々しい様子で、必死に拳法の構えを取る。 陣「戦え、亮! 今、この場で! うぅっ!? うっ……」 亮「陣……!」 亮はダイレンジャー本部で、一同に事情を話している。 将児「どういうつもりなんだよ、亮!? あんな奴を助けるなんて!?」 &ruby(かず){知}「そうですよ。あいつは、あなたの命を何度も狙った奴なんですよ!?」 亮「それだけじゃない…… 陣は、俺の命を救ってくれたこともある! だから……」 亮の自宅。 ベッドの上の陣に、亮が食事を運んでくる。 亮「で~きた! できたぞぉ、お待ちどうさん! 体力をつけるには、とにかく食べるのが一番! もちろん、味も保証付きだぜ。なんたって、こっちはプロだからな。ほら」 陣は無言で、粥の椀を払いのける。 亮は一瞬ムッとするが、平静を装い、床に散った粥を片づけ始める。 亮「あ~ぁ、やっちゃった。しょうがねぇなぁ」 陣「……」 亮は勤め先の中華料理店で、夜遅くまで働いている。 店員「亮ちゃん、今日も残業組?」 亮「はぁ、知り合いがケガしちゃって…… ちょいと、金がいるんスよ」 店員「そっか。じゃ、お先に。お疲れさん」 亮「お疲れ様でした。おやすみなさい!」 その頃、夜道を歩く1人のOLの前に突如、怪物が出現する。 「キャァァ──ッッ!?」 翌日。亮が車椅子の陣を押しつつ、駅を訪れる。 目の前には階段。 亮「すいません! どなたか手伝ってくれませんか? あの、すいません!」「すいません、お願いします!」「あの……」 必死に懇願する亮に構わず、大勢の客が通り過ぎて行く。 陣「無駄だ。みんな、自分のことばかり考えている。人なんてそんなもんだ」 亮「だったら…… 人の分まで、自分が優しくなればいい!」 亮は陣を背負い、片手で車椅子をつかみ、息を切らしながら階段を昇ってゆく。 亮「はぁ、はぁ、はぁ……」 陣「……」 その日の夜。 公園のカップルのもとに、またしても昨晩と同じ怪物が現れる。 「うわぁっ!」「助けてぇ!」「逃げろぉ!」 怪物が女性を噛み殺し、血塗れの口を手で拭う── あくる朝。 陣がベッドで目覚めると、傍らでは残業明けの亮が、仕事着のまま寝ている。 亮「グー、グー…… ラーメン、餃子、お待ち…… 毎度…… ムニャ……」 陣は、険しかった表情を思わず緩める。 しかし、自分の手に染み付いた血に気づく。 袖をまくると、自分の腕が白い異形の形に変貌しかかっている。 陣「こ……、これは、一体!?」 亮「ふわぁ~ぁ…… あっと、ごめん。包帯替える時間だった」 陣がとっさに腕を隠し、布団をかぶる。 陣「放っといてくれ!! 俺は…… 俺は!」 亮「陣……!?」 亮は陣を車椅子に乗せ、公園へ連れ出す。 亮「どう? 気持ちいいだろう。たまには、外の空気も吸わなくちゃ」 陣「なぜだ? どうして俺に、ここまでする?」 亮「お前だって、俺を助けた」 陣「違う! 前にも言ったはずだ。俺は貴様を自分の手で倒したい。だから貴様を助けた。それだけのことだ」 亮「……そうだったな。本当言うとな、自分でもよくわからないんだ。ひょっとしたら、俺はお前と同じ理由で、お前を助けたのかもしれない」 陣「……」 亮「『お前を倒すのは俺だ』。そう思っていたのかもしれない…… 1人の、拳士として」 陣「1人の…… 拳士として?」 亮は真剣な眼差しで頷く。 陣「亮、頼みがある」 亮「……?」 陣「もし俺が拳士でなく、心をなくした怪物となったとき、そのときは! お前の手で、俺を殺してくれ!」 亮「えっ!?」 陣「急所は、ここだ!」 陣が自分の胸を指差す。 亮「何を言ってる? どういう意味だ!?」 陣「……うぅっ!? ……あぁっ、あ……」 亮「陣……!? おい、陣!」 陣「うわぁっ! うっ! うぅっ……」 陣が急に苦しみだし、その手が鉤爪に変る。 亮「陣、陣!?」 陣「忘れるな、俺との約束!」 陣は、心配そうな亮を突き飛ばし、フラフラと走り去って行く。 亮「陣──!」 昨晩までの怪物が白昼同道、人々に遅いかかる。 大五や将児たち4人が駆けつける。 大五「逃げろ!」 将児「バケモノ! これ以上、好き勝手な真似はさせねぇぞ!」 一同「みんな、行くぞ!」「気力転身!!」 4人がダイレンジャーとなり、怪物に挑む。 テンマ「大輪剣! ハァッ!」 テンマレンジャーの一撃が決まり、怪物の右腕から血が噴き出す。 怪物が逃げて行く。 テンマ「待ちやがれぇ!」 一方で亮は、必死に陣を捜し回っている。 亮「陣──! 陣──!」 陣がうずくまっている。 亮「陣!」 陣「……」 大五たち「亮──!」「亮!」 そこへ、大五や将児たちが駆けて来る。 陣が右腕に傷を負っている。 さきほど将児が怪物を攻撃した箇所と同じ── 将児「亮、こいつは!?」 陣が突然、人が変わったように亮に襲いかかる。 一同「亮!?」 陣「う、うっ、あぁ──っ!?」 亮「陣……!?」 陣の姿が、あの怪物の姿へと変わる。 亮「馬鹿な…… これは一体!?」 そこに、ザイドスが現れる。 ザイドス「ダイレンジャー!」 大五「ゴーマ!?」 ザイドス「もはや、そいつは陣ではない。奴が脱走する前に、奴の体に&ruby(がろうき){飢狼鬼}の細胞を埋め込んでおいたのだ。完全に陣は飢狼鬼となった。今や陣としての心を失い、俺の言葉だけを聞く操り人形だ」 亮「何だとぉ!?」 ザイドス「ダイレンジャーを倒すのだぁ!」 亮「やめろ、陣! お前は拳士、操り人形なんかじゃない!」 大五「ザイドス……! 停戦したはずじゃなかったのか!?」 ザイドス「えぇ~? 何だって~?」 陣の変貌した怪物──飢狼鬼が亮たちに襲いかかる。 一同「うわぁぁ!」「オーラチェンジャー!」 やむなく5人が転身し、ダイレンジャーとなる。 リュウ「やめろ、陣! 陣──!」 シシ「無駄だ! 今の奴に、言葉が通じるか!?」 飢狼鬼の容赦ない攻撃が、ダイレンジャーたちに降り注ぐ。 一同「うわぁぁ──っ!」 (陣『俺が心をなくした怪物となったとき、そのときはお前の手で! 急所はここだ!』) リュウ「許せ…… 陣!」 リュウレンジャーがスターソードを手にして突進。 意を決し、飢狼鬼の胸に突き立てる。 飢狼鬼が苦痛にあえぐが、まだ倒れない。 シシ「駄目だ、浅い!」 しかし飢狼鬼はスターソードに手をかけ、自らの胸に深く突き立てる。 リュウ「陣!?」 ザイドス「飢狼鬼!?」 飢狼鬼が、苦悶の声を漏らす。 その体に、次第に陣の姿がだぶる。 陣「俺は拳士! 貴様の思い通りにはさせんぞ…… ザイドスぅ!!」 ザイドス「このままでは、飢狼鬼が自滅する……」 飢狼鬼目がけ、ザイドスが妖力を吐きかける。 大爆発と共に、飢狼鬼と陣が分離する。 陣が、転身の解けた亮と共に、地面に叩きつけられる。 亮「陣!?」 無数のコットポトロたちが現れ、ダイレンジャーたちと乱戦となる。 亮「大丈夫か、陣」 陣「あぁ……」 亮たちもまた、コットポトロたちに取り囲まれる。 亮「やれるか、陣!?」 陣が力強く頷き、亮と共に立ち上がる。 亮「行くぞぉぉ!!」 亮と陣が生身のまま、コットポトロたちを蹴散らす。 亮「気力転身!!」 陣「魔性降臨!!」 亮がリュウレンジャーに転身、陣が魔拳士に変身し、コットポトロたちを一掃する。 ザイドス「おのれぇ、陣!」 陣「ザイドス、貴様だけは許せん! 行くぞぉ!!」 陣がザイドスに挑みかかる。 ザイドスの猛攻をかわしつつ、必殺拳の構えをとる。 陣「&ruby(ひょうが){豹牙}流奥義・邪神&ruby(ふうけん){風拳}! ハァァッ!」 必殺の連打が炸裂する。 しかしザイドスが、とどめの一撃を受け止め、逆に妖力を吐きかける。 至近距離での強烈な妖力が、陣の体をまともに直撃する。 陣「うわあぁぁ──っっ!!」 一方でリュウレンジャーは4人と合流し、飢狼鬼を追いつめる。 一同「天宝来来の玉、セット!」「セーフティロック解除!」「スターソード・オン!」 リュウ「みんな、胸の傷を狙うんだ!」 一同「おぅ!」「ファイヤ──ッッ!!」 最強武器であるスーパー気力バズーカの砲撃を食らい、飢狼鬼が爆発四散する。 亮たちが、転身を解く。 陣たちの戦いの場にザイドスはおらず、陣が倒れているのみ。 亮「陣!?」 陣が傷の痛みをこらえ、立ち上がる。 陣「拳士として……」 亮「……拳士として」 陣が拳法の構えをとり、亮もそれに応えて構える。 陣「うぅおおぉ──っっ!!」 亮「はいぃぃ──っっ!!」 2人が激突する。 拳と拳、蹴りと蹴りの激しいぶつかり合い。 陣の攻撃をかわし、亮が正拳を繰り出す。 勝負あった──かと思われたが、亮は陣の顔面寸前で拳を止める。 陣「甘いな…… どこまでも甘い奴だ、お前って奴は。これだけは憶えておけ。拳士は、非情を乗り越えることも必要だと」 陣が背を向ける。 亮「どこに行くんだ? その体で……」 陣「寄るな! 俺は俺でいたい! これ以上お前のそばにいたら、俺が俺でなくなってしまう」 陣が亮を制止して歩き出しつつ、振り向く。 陣「世話ばかりかけちまったな、亮。……ありがとう」 夕日に照らされた砂漠を、陣がフラフラと歩く。 ザイドスが現れる。 そして、地平線を埋め尽くすほど、コットポトロたちの大群。 ザイドス「やれぇ!」 陣の弾いたコインが宙を舞う。 敵を一掃した後、落ちて来るコインを受け止める得意のアクション。 襲い来るコットポトロたちを、陣が次々に蹴散らす。 コットポトロの銃撃隊が、陣目がけて、一斉に銃撃を放つ。 陣の受け止めるはずのコインが、地面に落ちる── #center(){&big(){&bold(){つづく}}}

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