22世紀、地球。大規模な世界大戦は起こらないものの、 至る所で局地戦が勃発。不安定な状態が依然続いていた。 荒野。 無人兵器ウォーロイドの軍勢同士が戦っていた。 兵士「最終防衛ライン突破されました!エリアD5から8に敵機動部隊多数、侵入! 当エリアの我々のウォーロイド部隊は・・・壊滅状態です」 司令官「万事休す、だな。このままでは全滅も免れん」 兵士「司令!」 司令官「あれを待つより手はないか」 兵士たち「あれ、ですか」 「強きを挫き、弱きを助ける・・・」 「弱者の味方、強者の敵・・・」 司令官「そう、あれはきっと来るはずだ。噂が本当である事を祈ろう・・・」 満月を背にして、ある飛行機から4体の動物型メカが地上に降下し、 その衝撃は、司令部にまで届いた。 司令官「何だ今の振動は!」 兵士「分かりません!上空から何か降下したようですが識別不能です!」 落下した場所から、各部に動物の意向を持つ巨大ロボットが出てきた。 そのロボットが背中の砲台からエネルギー波を放つと、 それは取り囲んでいたウォーロイドの部隊に降り注ぎ、破壊していった。 兵士「何が起こっている!状況を報告しろ!」 「未確認ユニットによる敵への攻撃です! エリア内の敵ウォーロイド部隊は・・・全滅しました・・・」 司令官「来たのか本当に!・・・しかし、何なのだ、この力は・・・」 兵士「敵残存部隊、後退していきます!」 司令官「どうやら、負けずに済んだな。だが、とても喜ぶことは出来そうにないな。噂以上の凄まじい力、あれが・・・ダンクーガ」 #center(){|&big(){&big(){&bold(){MISSION―01 謎のダンクーガ}}}|} 日本。 ヘリがカーレースの実況をしていた。 実況「リニアカー全盛の現在、車輪で装甲する最も危険なモータースポーツ、F―01! そのシブヤグランプリのチェッカーが間近に迫ってます。 女性レーサー、アオイ・ヒダカ。ここ2年連続して王座を守っています。 が、現在3位!アオイ・ヒダカの不敗伝説はこのまま終焉を迎えてしまうのか!」 海の上を4機の小型飛行機が進み、やがて分散した。 リニアタクシーにサラリーマンのジョニー・バーネットが乗っていた。 ジョニー「このままじゃ、会議に間に合わない。ちょっと、急いで欲しいんだけど、何とかならないか?」 運転システム「リニアウェイ上では常に最適ルートを進んでおりますので、予定通りに到着いたします」 ジョニー「そりゃ、そうだな」 ジョニーの乗るタクシーの上にあの小型飛行機が来たと思うと、透明化して姿を消した。 地上の道路を黒い車が進んでいたが、 その車を青い車に乗る女性捜査官、立花くららと男性捜査官の2人が監視していた。 くらら「時間通りね」 男性捜査官「ああ、君の読み通りだな、くらら」 黒い車から出てきた3人の男達は、ある店に入っていった。 くらら「動いた。建物をレベル4で封鎖。行くわよ」 近くに止まっていたトラックから武装した男達が次々に出てきて、くらら達と共に 店に入っていった。 F―01。 葵の乗る赤い車は、前を走る2台の紫色の車に道を塞がれていた。 ビットクルー「完全にブロックされてる、これを抜くのは葵でもキツイぞ」 くらら「恐らくフィールドでガードしてるはずよ。あなたも実弾カードリッジに」 男性捜査官「ああ」 くらら「C班、状況は?」 C班隊員「モニター押さえました。2名確保!損害ゼロ!カモは、ネストに入ってく所です」 くららと男性捜査官は2人の黒服がいる扉の前に来た。 黒服「おいテメエら!」 「困ります、お客様。この先は関係者以外は立ち入り禁止です。下のフロアでお楽しみくだ・・・」 くららは黒服を倒して、進んでいった。 公園。ホームレスの朔哉が昼食を作っていた。 朔哉「おし、できた。朔哉特製、ウィグル風羊の中身汁だぜ」 朔哉の所にもあの小型飛行機が来た。 「飛龍乗雲」と書かれた掛け軸が書かれた部屋で、 ヘルガイヤーという初老の男とあの3人の男達による金塊と麻薬の取引が行われていた。 副官「確認終わりました、ボス」 ヘルガイヤー「わざわざ来てもらってすまなかった。ワシはこうゆう古いやり方で無いと気が済まないたちでな」 売人「いえいえ、お気遣いなく。私もどちらかと言うと古い方なんで」 副官「それでは取り引きは成立ということで」 そこへくらら達が乗り込んだ。 くらら「全員動かないで!両手を見える所に出しなさい!麻薬取り締まり局よ。 違法薬物取引の現行犯で逮捕します!聞こえなかった?東洋麻薬ジンジゲードのボス、ヘルガイヤーさん。 両手を見える所に出す!」 ヘルガイヤー「ほう、手入れの頭をこんな嬢ちゃんがね。世の中・・・変わったもんだ!」 くらら「伏せて!」 ヘルガイヤーが隠していたライフルを撃ち、くらら達が飛び退いた。 くらら「負傷者は!」 男性捜査官「いません!」 くらら「全員そのまま動くな!」 くらら達が立ち上がった時、ヘルガイヤーは隠し通路で逃げていた。 くららは追いかけたが、ヘルガイヤーはリムジンに乗って、逃げ出した。 くらら「逃がさないわ!」 くららはリムジンに発信機を撃ち込んだ。 ヘルガイヤー「国外に出る。1時間で出発できるよう準備しておけ!リニアは使えん!旧道から湖に出て港に迎え!」 実況「各マシンいよいよ最終コーナーに突入します!勝利のチェッカーを受けるのは一体誰なのでありましょうか!」 ビットクルー「ここまでか・・・」 葵「ここからよ」 コーナーで、紫色のマシンの片方がハンドリングを誤り、スピンした。 レーサー「!?」 もう片方の紫色のマシンはスピンしたマシンに激突したが、 葵のマシンは加速して、壁を走り抜けていった。 ビットクルー「ああっ」 クラッシュした2台を置き去りにして、葵のマシンは独走し、 ゴールした。 ビットクルー「よっしゃ!」 葵のビットクルーたちが歓喜する。 ゴールしたマシンから出てきた女性レーサー、 飛鷹葵は観客達の歓声に手を上げて応えた。 副官「ボス!前に何か」 ヘルガイヤー「んんっ!?」 リムジンの前で、くららがライフルを構えて待ち受けていた。 くららがライフルを撃ち、リムジンのボンネットが撃たれ、 リムジンが壁に激突した。 ヘルガイヤー「くぅぅ・・・うおっ!」 顔を押さえがながらヘルガイヤーが出てきたが、 くららの銃撃で銃を弾き飛ばされた。 くらら「チェックメイト」 優勝者インタビューなどを終えた葵が、自分のチームのトレーラーに戻った。 その上に小型飛行機が止まった。 葵「はー、シャワー浴びて一眠りして、夜の打ち上げに備えますか。ん・・・・」 小型飛行機の出す光線を浴びた葵の姿が消えた。 ジョニー「あっ・・・」 朔哉「はー、これが自由、か・・・悪くねーな、ホームレスってのも・・・あっ?」 くらら「だから、先に事故の処理班を送って。リムジンごと証拠は全部こっちで回収するのよ。じゃあ、よろしく」 「えっ?」 ジョニー、朔哉、くららの3人も小型飛行機の光線で姿を消した。 その様をとある施設で、司令官の田中達が見ていた。 スタッフ「パイロット候補4名全て転送完了しました」 田中「ご苦労さん。引き続き、候補者4名の処置と無人転送機の回収、よろしくお願いします」 スタッフ「了解しました」 とある小さな島。 そこにあるコテージの一室に葵が眠っていた。 葵が目覚めて辺りを見回すと、隣のベットには、くららが寝ていた。 葵「ん?」 くらら「はっ!」 目覚めたくららが葵に銃を向けるような体勢を取る。 葵「ゴメン、驚かせちゃった。知らない部屋で目が覚めたら、 隣に誰かいると思って、つい」 部屋に少女が入ってきた。 ルゥ「お二人ともお目覚めのようですね。飛鷹さま、立花さま、おはようございます。私、ルゥ・リリリと申します。どうぞよろしくお願いします」 別の部屋で、朔哉とジョニーが眠っていた。 それを小型ロボットのホージィーが見ていた。 葵とくららは、ルゥに先導されて、ある施設の中を進んでいた。 葵「それで、ルリルリさん?」 ルゥ「ルゥ・リリリです」 くらら「はいはい、ルリルリでもリルリルでもいいけど、一体あなたは何者なわけ?」 ルゥ「カウンセラーです」 くらら「カウンセラー?」 葵「あのねー、お嬢さん。もう私達子供と遊んでる時間はないの」 ルゥ「私も遊んでいるつもりはありません。ご案内します、司令官のところに」 くらら「司令官?」 葵「ここって、海が近いみたいようだけど、何処かの島?」 ルゥ「はい、ここは太平洋に浮かぶ小さな島で、名前は、竜牙島。竜の牙の島で、竜牙島です」 葵「竜牙島?聞いたこと無いね」 ルゥ「そうですね。一般的にはあまり知られてないはずです。100年前の大地震で隆起してできた火山島の一つなんです」 「ここを上がった所が司令室になっています」 葵たちの隣のエスカレーターに、ホージィーに先導された朔哉とジョニーがいた。 葵たち4人は司令室に着いた。 ルゥ「司令官、みなさんをお連れしました」 田中「ああ、どうも。私、ここの司令官をやっております、田中です! あなた達4人をお待ちしておりました! 飛鷹葵さん、立花くららさん、ジョニー・バーネットさん、加門朔哉さん。 ドゴンズハイブへようこそ!」 「皆さんの所持品をお返しします。セキュティチェックのためとは言え、無断でお預かりしたことをお詫びしますです」 くらら「私の銃は?」 田中「あっ、そうか。これは失礼しました。ホージィー」 ホージィーがくららに銃を渡した。 くらら「・・・ありがとう」 田中「さて、皆さんに来ていただいた理由を単刀直入に申し上げます。我々はあなた方4人と契約を結びたいのです。ダンクーガノヴァのパイロットとして」 葵「ダンクーガ、ノヴァ・・・?」 ジョニー「ダンクーガ!まさかあの?」 朔哉「ダンクーガ・・・って何?」 ジョニー「知らないんですか!あの謎のスーパーロボットのことを!世界中の紛争地域に突如現れては、不利な方に味方し圧倒的な戦力で戦いを終わらせる超兵器。 かつての超大国の秘密兵器説。超古代文明の遺産。 異星人のオーバーテクノロジーと色々な噂は流れているけど、 確かなことは全く分からない、現代のミステリーの一つなんだ」 葵「要するに何も分かってないのね。分かるように説明してくれない?」 田中「えー、簡単に説明しますと、ダンクーガには4人のパイロットが必要でして。そのパイロット達は定期的に入れ替えが行われています。そして、前任の契約終了に伴いまして 新しいパイロット達との契約が必要になった訳で、厳密な調査の結果、選ばせていただいのが貴方達4人という訳です」 葵「ちょっと待って。それってあなた達が勝手に選んだってこと?」 田中「そういう事になりますね」 葵「勝手に選んで、勝手に連れてきて、その上訳の分かんないロボットのパイロットになれっていうの?」 田中「簡単に言うと、そうなります、はい」 葵「冗談じゃないわ、お断りよ!オファーするんならエージェントを通して!」 田中「いやー、何分我々秘密組織でして、公式なオファーは出来ないんですよ ですから苦労してこうゆう方法を取ってる訳でして・・・まあ、その分、報酬などで頑張らせていまして、金額は、そうですね。葵さんの昨年の総年収にゼロが一つ付くくらいです。さらに様々なオプションも用意しています」 「もちろん!現在の仕事はそのまま続けていただいて構いません。 サラリーマンでもホームレスでも様々な形でサポートできる体勢を取っております。あなた方は必要な時にダンクーガに乗っていただくだけ!」 「・・・ただし、いかなる場合でもダンクーガに関する機密事項は秘密にすること。こちらの条件はそれだけです。何か質問があれば、ご遠慮無くどうぞ」 くららが銃を撃ち、田中の側の壁を撃ち抜いた。 田中「くららさーん、ご質問でしたら挙手にしてもらえませんか?」 くらら「こういう冗談は好きじゃ無いの。手が込みすぎてて笑えないわ」 田中「やだなー、冗談でこんなこと出来ませんよ。全て本当の事ですから」 くらら「こんな馬鹿な話を信じろというの?」 田中「まー、私の立場としてはそうお願いするしかないんですがね」 くらら「帰らせてもらうわ。私、暇じゃないの」 その時、司令室に警報が鳴った。 田中「グットタイミングですね。丁度手頃なミッションが発生しました。セイミーさん、発進準備よろしいですか?」 モニターに褐色の肌の女性が映った。 セイミー「田中さん、準備はできてるけどまだパイロットが・・・」 田中「それがですね、新しいパイロット候補の皆さんが司令室にいらっしゃるんですよ」 セイミー「あら、この人達が新人さん? 今回はビジュアル重視って感じなのかしら?私は整備主任のセイミー。ダンクーガをよろしくね」 田中「まあ、百聞は一見にしかすとい言いますし、取りあえず一度ダンクーガを体験してみて下さい」 朔哉「ああっ!」 葵達の足下の床が光り出した。 田中「契約については、皆さんが戻られてからということで。 操作方法は睡眠時にインプットさせてもらいましたので、まあ、気軽に楽しんできて下さい」 葵達の姿が消えた。 冒頭に出てきた飛行機、Dフェニックスが竜牙島から発進し、 田中は謎の男、F・Sに報告する。 田中「ダンクーガ、新鋭パイロットで発進しました」 F・S「ああ、彼等の奮闘に期待しよう」 砂漠。 冒頭で負けていた軍勢の司令官達が、戦車型巨大兵器、ジェノサイロドンで侵攻していた。 兵士「敵の最終防衛ライン突破しました」 司令官「速度、現状を保て。このまま一気に侵攻する」 兵士「このまま行けば首都も目前ですね」 司令官「そうだな、このまま行ければ」 兵士「上空より、未確認物体接近!」 司令官「何!?」 ジェノサイドロンの前に降下したのは、動物の意向は無くなり、完全な人型となっているが、冒頭に出てきたあのロボット、ダンクーガノヴァだった。 司令官「やはり・・・やはり来た。来てしまった・・・ダンクーガ・・・今度は勝っている我々が狙われる訳か。ジェノサイドロンを立たせろ!」 兵士「了解、グラップルモードに変形します!」 司令官「あの攻撃を受ける前に、接近戦を仕掛ける!」 ダンクーガノヴァには葵たちが乗っていた。 葵「気軽にですって。よく言うわ。結局無理矢理送り込んでおいて」 ジョニー「これが本当の、戦場・・・」 朔哉「殺すのも殺されるのもゴメンだぜ!」 くらら「どうやら、あれが敵の真の姿みたいね」 ジェノサイドロンが4足歩行形態に変形した。 司令官「この間は助けてくれたと言え、今回は敵だ!攻撃せよ!我らの勝利を邪魔するものは排除せよ!」 ジェノサイドロンが片腕をダンクーガノヴァに振り下ろしたが、 ダンクーガノヴァは左手で受け止めた。 司令官「うぉっ!?」 ダンクーガノヴァは右拳をプラズマで光らせて――― 葵「はああっっ!」 その一撃をジェノサイドロンに叩き込み、中のメカを握り砕いた。 ジェノサイドロンが倒れたが、司令官達は無事だった。 兵士「司令、ご無事ですか?・・・」 司令官「ああ・・・ダンクーガは人を傷つけんか・・・噂は本当だったか・・・」 アナウンス「ミッションコンプリート、ミッションコンプリート。 Dフェニックスはダンクーガを回収次第、速やかに帰投」 葵「さっきの感触、まだ残ってる・・・」 ジョニー「圧倒的だな、まさに、真の力・・・」 朔哉「どうするんだよ、これから・・・」 くらら「ダンクーガノヴァ。この力、一体何のために・・・」 (続く)