冬夜達は空中庭園バビロンの管理者だったフランシェスカを連れて、家に戻った。 フランシェスカ「今日からこちらでお世話になりまス。よろしくお願いしまス」 冬夜「すみませんライムさん、フランシェスカのこと頼みます」 ライム「はあ」 フランシェスカ「服も自前で用意しましタ。やる気だけなら誰にも負けませン。でも休みはちゃんともらいまス」 ライム「はあ・・・」 冬夜「じゃ、じゃあ今日はもう遅いし、みんな休もう」 フランシェスカ「キュンキュン」 ライム「キュンキュン・・・?」 ユミナ「・・・・」 冬夜はベッドで横になっていたが、 前回、エルゼがした告白とキスを思い返していた。 エルゼ(私は、冬夜さんが、好きです) 冬夜「・・・・!」 扉がノックされた。 ユミナ「冬夜さん、ユミナですけど、中に入ってもいいですか?」 冬夜「ど、どうぞ」 #center(){|&big(){&bold(){第12章 決断、そしてスマートフォンとともに。}}|} 冬夜「あ、あの・・・」 ユミナ「冬夜さん」 冬夜「はい!」 ユミナ「私怒ってますよ。私だってまだキスしてもらってないのに先に二人に奪われるなんて!」 冬夜「そっち?」 ユミナ「当然です!」 冬夜「その、リンゼの告白のことを怒ってるんじゃなくて?」 ユミナ「リンゼさんが冬夜さんを好きなのなんて、見てれば分るじゃないですか!」 冬夜「すみません、見てても分りませんでした・・・」 ユミナ「私は冬夜さんがお妾さんを10人作ろうが20人作ろうが文句はありません!それも男の甲斐性だと思ってます!ですが!で、す、が~!!正妻である私がまだしていないのにキスされるなんて油断しすぎです!隙だらけです!そこは防御してくださいよ!完全防御!」 冬夜「い、いや、で、でもさあ・・・」 ユミナ「言い訳禁止!」 冬夜「はい・・・」 ユミナ「はあ・・・」 ユミナが冬夜の横に座った。 ユミナ「抱きしめてキスしてくれたら許してあげます」 冬夜「ちょっ!それは難易度高くないですかユミナさん!?」 ユミナ「・・・・」 冬夜「・・・・」 冬夜はユミナの身体を抱き寄せ――― キスをした。 ユミナ「えへへ・・冬夜さんからしたのは私が初めてですよね」 冬夜「え・・・あ、そうか、そうなるのか・・・」 ユミナ「リンゼさんの事、どう思ってるんですか?」 冬夜「どうって・・・可愛いと思うし、告白されて正直嬉しかったよ」 ユミナ「うん」 冬夜「でも、ユミナのこともまだ決められないのにリンゼまでとなると・・・」 ユミナ「好きか嫌いかで言ったら?」 冬夜「もちろん好きだよ!大切に思ってる!」 ユミナ「だ、そうですよ、リンゼさん」 冬夜「え?」 透明化していたリンゼが姿を現した。 冬夜「ええ!なんで!?どうなってるの!」 ユミナ「リーンさんに頼んで透明化の魔法をかけてもらったんです」 冬夜「いつの間に入ってきたの!あっ、ユミナが入ってきた時か・・・」 ユミナ「冬夜さんが悪いんですよ。何も返事してあげないで部屋に閉じこもってしまうんですもの」 冬夜「だって・・・」 ユミナ「嫌われたって、リンゼさんずっと泣き続けたんですから」 冬夜「あっ・・・それは・・・ごめん」 リンゼ「すみませんでした。冬夜さんの気持ちを考えずに・・・ごめん、なさい」 冬夜「いや!その・・・さっきも言ったけど僕はリンゼを嫌ってなんかいない!かわいいと思うし、好きなんだと思う」 リンゼ「冬夜さん・・・」 ユミナ「お互いの気持ちが分った所でどうでしょう。リンゼさんもお嫁さんにもらうというのは」 冬夜「えっ!」 ユミナ「王族や貴族、大商人なら第二、第三婦人とか普通ですし、リンゼさんも問題ありませんよね」 リンゼ「わ、私も冬夜さんのお嫁さんになりたい!です・・・」 冬夜「きゅ、急にそんな事言われても・・・」 リンゼ「ダメ、ですか・・・」 冬夜「・・・分った。ユミナとリンゼがそれでいいって言うなら」 リンゼ「ありがとう、ございます」 ユミナ「これでリンゼさんも私と同じ婚約者ということで」 冬夜「ああ。じゃあ、二人とももう遅いから部屋に戻りな」 ユミナ「なら、お休みのキスを下さいな」 冬夜「えっ?」 リンゼ「わ、私も!」 冬夜「お、おでこでもいいですか?」 ユミナ「うふふ、仕方ありませんね」 冬夜がリンゼとユミナの額にキスをした。 ユミナ「ではお休みなさい」 リンゼ「お休みなさい」 冬夜「うん、お休み」 「・・・はあ、これからどうすればいいんだろう」 翌朝。 寝ていた冬夜はエルゼが部屋に乗り込んできた事で起こされた。 エルゼ「ちょっと話があるんだけど」 冬夜「・・・はい?」 冬夜がエルゼと庭に出ると、そこに八重がいた。 冬夜「八重。こんな所で何やってんの?」 八重「冬夜殿を待ってござった」 エルゼ「リンゼをお嫁さんにするんだってね」 冬夜「そ、そういうことになりました・・・」 エルゼ「あんたリンゼのことどう思ってるの?本当に好きなの?」 冬夜「その・・・愛してるとまではいかないけど、大切にしたいと思ってるのは本当だよ」 エルゼ「それをあの子は受け入れたの?」 冬夜「ああ」 エルゼ「昔からあの子、普段はビクビクとおびえてるくせに、ここぞという時は大胆でさ。私と全く逆なのよね」 八重「拙者も似たような者でござる。何か切っ掛けがないと踏ん切りがつかない性格でござってな」 冬夜「あ、あの」 エルゼ「冬夜、あんたにはこれから私達と戦ってもらうわ」 冬夜「はあ!?」 エルゼ「あんたが勝ったらもう何も口を出さない。でも私達が勝ったら言うこと一つ聞いてもらうわ」 八重「この刀の刃は落としてあるでござるが、骨くらいは折れるから気をつけてくだされよ」 冬夜「いや、気をつけてって言われても」 エルゼ「冬夜も【モデリング】で刃を無くしておいてよね。後、攻撃魔法は禁止。代わりに私も【ブースト】は使わないから」 冬夜「いやその前に何で二人と戦わなきゃならないのさ!」 八重「まあ、そういう形が必要なのでござるよ、拙者達には」 エルゼ「本気でやらないと一生許さないから!」 冬夜「一体どうなってんだ・・・」 エルゼ「どうするの、冬夜」 冬夜「・・・【モデリング】」 冬夜が【モデリング】の魔法で自作の銃、ブリュンヒルドの刃を落とした。 冬夜「弾はゴム弾でいいだろ」 エルゼ「ええ。じゃ覚悟はいいわね」 冬夜「ああ」 エルゼと八重が左右に分かれて飛び出した。 冬夜「ブレードモード!」 八重「はあ――――!」 冬夜はブリュンヒルドの刃で八重の刀を受け止めた。 そこにエルゼが突っ込んできて、冬夜と八重は飛び退いた。 八重「甘いでござるよ!」 八重が小刀を投げるも、冬夜は身を翻してかわした。 冬夜「ガンモード!」 ブリュンヒルドのゴム弾の連射が八重を撃った。 それからエルゼが殴りかかってくるも、冬夜は受け止め、放り投げた。 地面に叩きつけられたエルゼに冬夜がブリュンヒルドを突きつける。 冬夜「【リロード】。僕の勝ちだ」 エルゼ「撃たないの?」 冬夜「負けを認めてくれるなら、これで終わりにしたい」 エルゼ「甘いわね!そんなんでリンゼ達を守れるの?」 冬夜「それが僕だから仕方ない」 エルゼ「そうね。そんなあんただから、あたしも八重も好きになったんだし・・・」 冬夜「えっ?」 エルゼが右腕のガントレットを光らせる。 冬夜はブリュンヒルドを撃とうしたが、弾が出なかった。 冬夜「あ、あれ?あれ?」 腰に下げていた、弾を入れたウエストポーチが破れていた。 冬夜(あの時か!) さっき八重が投げた小刀で斬られていたのだ。 エルゼが起き上がり、冬夜に拳の一撃を炸裂させ――― しばらくして、冬夜が気絶から目覚めた。 エルゼ「わ、私達もユミナやリンゼと同じ立場におきなさい!」 冬夜「は?」 八重「だからでござるな!その、せ、拙者達も・・・やっぱりこういうのはエルゼ殿から・・・」 エルゼ「いやあたしは・・・とにかくまずは、あたしも冬夜が好きだってこと!」 八重「拙者も同じでござるよ!」 冬夜「ユミナとリンゼと同じ立場にって、そ、それってつまり・・・」 八重「拙者達もその・・冬夜殿のお嫁さんにしてほしい、でござる・・・」 エルゼ「というかしなさい!あんた負けたんだから!」 冬夜「それを伝えるためにこんな事を・・・?」 ユミナ「こうでもしないとダメだと思いましたので」 ユミナとリンゼが来た。 冬夜「ユミナ!まさかユミナの入れ知恵なの!」 ユミナ「はい。みんなで冬夜さんのお嫁さんになろうと言うのも前々から私が提案していたことなのです」 冬夜「お、恐ろしい子だ」 エルゼ「それであんたはどうなのよ」 冬夜「え?」 エルゼ「だから、あたし達のことどう思ってるってこと!」 冬夜「も、もちろん好きだよ・・・でも・・・ごめんみんな!ちょっとだけ時間をくれないか!ちゃんと考えを整理したいんだ!」 ユミナ「そうですね。確かに急に押しかけすぎましたね」 冬夜「ありがとう」 空中庭園バビロン。 冬夜が腰掛けている所にフランシェスカが来た。 フランシェスカ「ここにいましたカ」 冬夜「シェスカ」 フランシェスカ「状況はだいたい把握していますガ、何を悩む必要があるのですカ」 冬夜「僕が全員を幸せにできる分らないし、みんなに不満を感じさせるかもしれない」 フランシェスカ「SMプレイの話ですカ?」 冬夜「何でそうなるんだよ!まあ、夫としての務めを果たせるのかってこと」 フランシェスカ「あ、務めと言えバ、昨日言い忘れていたことがありましタ」 冬夜「言い忘れていたこと?」 フランシェスカ「マスターにメッセージがあるのでス」 冬夜「誰から?」 フランシェスカ「レジーナ・バビロン博士でス」 冬夜「博士?」 |異世界はスマートフォンとともに。| 冬夜「博士ってここを作った・・・」 フランシェスカが左手首からコネクタを引き出した。 冬夜「え、なに?どうするの?」 フランシェスカ「さあ。新しくマスターになった者に渡せば分ると、博士ハ」 冬夜「あっ!」 冬夜はスマートフォンにコネクタを差した。 スマートフォンの画面に、金髪の女性が映し出された。 冬夜「何だ!?この人が・・・」 シェスカ「はい、レジーナ・バビロン博士でス」 レジーナ「やあやあ、ボクはレジーナ・バビロン。初めまして、望月冬夜くん」 冬夜「何で僕の名前を?それに・・・」 レジーナ「分るよ。君の疑問は尤もだ。あれこれ知りたくなるのも当然だろうね。では君の疑問に答えるとしよう。じっくりと見るがいい」 レジーナがパンツを見せてきた。 レジーナ「ボクのお気に入りだ」 冬夜「知るか!」 レジーナ「ははは冗談冗談、ちょっとしたお遊びだ。気にしないでくれたまえ」 冬夜「もう、こっちはそれどころじゃないのに・・・」 レジーナがパンツと同じ色のパイプをくわえる。 レジーナ「何だ?私のアロマパイブを見つめて、さてはこの色で私のパンツを思い出して発情してるのではないだろ・・・・」 冬夜がコネクタを抜こうとする。 レジーナ「待て待て!きちんと君の疑問に答えるから。許してくれたまえ」 冬夜「次パンツネタやったらホントに抜きますよ」 レジーナ「うん。ではなぜボクが君を知っているのか。それは未来を覗くことが出来る道具を持っているからだ」 冬夜「未来を?」 レジーナ「時代は選べないがね。だがおかげでこうした擬似的な会話が可能な訳だ。君の反応も言葉も伝わってくる。興味本位で君と君の仲間達の冒険を楽しく眺めていたのさ」 冬夜「全部見てたってことですか?」 レジーナ「一時見えない時があった。未来が不確定になってしまってね」 冬夜「不確定?」 レジーナ「ああ。突如、まさに突如現れたフレイズが原因さ」 冬夜「フレイズ!?」 フレイズとは冬夜達も以前戦った、魔法を吸収してしまう水晶の魔物達だった。 レジーナ「予想できない出現だった。ボクも色々手は尽くしたんだけどね」 レジーナは、巨大人型兵器・フレームギアを用意していたが・・・ レジーナ「結局、パルテノ文明は崩壊してしまったよ」 冬夜「じゃあ博士の時代から未来への流れはフレイズの出現によって変わったということ・・・?」 レジーナ「そう。このまま世界は滅亡する。だから未来は見えない。ボクはそう思っていたんだが・・」 冬夜「滅亡しなかった・・・?」 レジーナ「ある時を境としてフレイズ達は世界から消えてしまった。理由は分らないがね」 フランシェスカ「おかげデ、また未来を見ることができたわけですネ」 レジーナ「いやはや楽しみが減らずによかったよ。今のキミと女の子達の状況は実に面白いからね」 冬夜「だから、勝手に覗くのやめて下さい!」 レジーナ「いいじゃないか。ボクの遺産、バビロンは君のために残したものなのだから。お礼だと思って好きに使ってくれ」 冬夜「ええ、そんな勝手な・・・ならもう一ついいですか?」 レジーナ「ん?」 冬夜「さっき僕の今の状況を楽しんでるって言ってましたけど、この先どう転ぶか分ってて楽しんでるんですか?」 レジーナ「あの4人とどうなるのか知りたいのか?それを言ったら面白くない」 冬夜「遺跡よりそっちが重要ですよ」 レジーナ「とゆうか、君は未来のことで思い詰めるような人間ではないんじゃないか?」 冬夜「あっ・・・」 レジーナ「では、話はこれで終わりだ。ちなみにこのメッセージが終わったと同時にフランシェスカは全裸になる」 冬夜「ええ!」 レジーナ「冗談だ。ではまた」 レジーナの映像が消えた。 フランシェスカ「脱ぎますカ?」 冬夜「脱がんでいいから!」 第1話に出た、雲の中に浮かぶ畳の間で、あの神様が煎餅をかじりながらTVでスウシィの様子を見ていた。 そこへ、【ゲート】で冬夜が来た。 神様「おお君か!来るなら来ると連絡してくれ」 冬夜「お久しぶりです神様、まさかホントに来られるなんて」 神様「ここにも魔力は十分に存在しとるからのお。それで何の用じゃ」 神様「なるほどのう」 冬夜「結局、ふんぎりはつかなくて。これで本当にいいのかなって」 神様「うーん、そう深く考えなくていいんじゃないの。素直に喜べばいいんじゃないか?」 冬夜「同じようなことを別の人に言われましたけど、やっぱり色々考えてしまって・・・」 神様「うーん、そういった話なら専門家に聞いてみるか」 冬夜「えっ?」 神様が黒電話をどこかにかける。 神様「あーわしじゃ、わしじゃ。すまんがちょっと来てくれんかのう?あー、待っとるからの」 桃色の髪の女性が来た。 女性「お待たせなのよん!」 神様「おお、随分と早いのう」 冬夜「えっとこの方は?」 神様「恋愛神じゃよ。君の相談にうってつけじゃろ」 恋愛神「初めましてなのよ。あなたのことは前々から気になって。時々覗いてたのよ」 冬夜(色んな人に覗かれてるなあ) 「恋愛神って、恋愛の神様ってことですよね」 恋愛神「そうなのよ!でも人の気持ちを操ったりはしてないの。雰囲気を盛り上げたり、お約束をしたりするくらいなのよ」 冬夜「お約束?」 恋愛神「そうなのよ。・・・『俺、この戦いが終わったら結婚するんだ!』とか言う奴は結婚できなくするのよ」 冬夜「あんたのせいか!」 恋愛神「それで、どうしたのよ?」 冬夜「それが・・・」 恋愛神「ふーん。中々面白いことになってるのよん。でも何が問題なのが分らないのよ。お互い好きならそれでいいじゃないの?」 冬夜「けど、4人いっぺんなんて・・・」 恋愛神「あなたの世界の常識は捨てるのよ。4人とも好きで幸せにしたいんならそれは本当の愛なのよ」 冬夜「とは言っても僕に4人を幸せに出来るかどうか分らないんです」 恋愛神「相手のことを思うのも大切だけど、自分の気持ちもごましたらダメなのよ」 冬夜「・・・わがままになっていいって事ですか?」 恋愛神「当然なのよ。片方だけの幸せなんて恋愛じゃないのよ」 神様「答えは出たかね?」 冬夜「分りません。でも見えてきた気がします」 神様「うむ、それは何より」 恋愛神「私のお約束は無駄にならないでよかったのよ」 冬夜「どういうことです?」 恋愛神「前に、『たまたまお風呂で着替えを覗いてビックリ』をプロデュースしたのよ。感謝するのよ」 冬夜「あ、あれ・・・あんたのせいかよ----!」 夕暮れ。 冬夜はスマホに撮ったリンゼ達の写真を見ていた。 それから、横で寝ていた琥珀を起こす。 冬夜「・・・琥珀」 琥珀「どうかしましたか・・・?」 冬夜「悪い。四人を呼んできてくれ」 エルゼ達4人が来た。 冬夜「えっとまず・・・僕は、結婚しません」 エルゼ達「「「「ええ―――――っ!?」」」」」 エルゼ「ちょつ、どういうこと!?」 ユミナ「冬夜さん!?」 八重「拙者達何か悪いことをしたでござるか!?」 リンゼ「お嫁さんに、してくれるって・・・」 冬夜「ちょ、ちょっと待って!今はってことなんだ!今は結婚しないってこと!」 リンゼ「今は?じゃあいつかは結婚してくれるってこと?」 冬夜「もちろん、みんなが嫌じゃなければ4人ともお嫁さんにもらう。その約束は必ず守る。でも今じゃない。このまま流されたままでみんなと結婚する訳にはいかないと思って」 八重「どういうことでござる?」 冬夜「僕はまだ他人の人生を背負えるほど大人じゃないし、深い考えもない。だからもう少し待ってほしい」 エルゼ「はあ、ずいぶんと勝手な言葉よねえ」 冬夜「もちろん、その間に見限ったなら僕を見捨てても構わない」 エルゼ「それ、出来ないって分ってて言ってない?ふん」 八重「先に惚れた方が負け、だとは良く言ったものでござるな」 リンゼ「お姉ちゃんが冬夜さんを見捨てても、私はいつまでも待ちます」 エルゼ「ちょっ!別に見捨てるなんて言ってないでしょ!」 ユミナ「私もそれで構いません。みんな気持ちを確かめ合ったんですから、後は高めていくだけです」 冬夜「ありがとう」 ユミナ「これで全員が冬夜さんの婚約者ということで、一人ずつ順番に旦那様にキスをしてもらいましょうか」 エルゼ「そ、そ、それはまだ早いんじゃないの!?」 八重「た、た例え許嫁であっても、節度あるおつきあいを、でござるな・・・・」 ユミナ「でも私は昨日してもらいましたよ」 エルゼ・八重「「えっ!」」 リンゼ「わ、私も・・・してもらいました・・おでこにですけど」 冬夜「まあ、その・・・」 エルゼ「じゃ、じゃ、じゃあ私たちにもしなさいよ!」 八重「し、し、してほしい・・・!」 冬夜「分った」 冬夜がエルゼの手を取り、キスをしようとしたが・・・ エルゼ「やっぱり・・・恥ずかしい!!」 エルゼの一撃が冬夜を吹き飛ばした。 ユミナ「冬夜さん!」 リンゼ「またお姉ちゃんは・・・」 八重「拙者もしてほしかったでござるのに!」 その様を窓の外から、リーン達が見ていた。 リーン「ふふふ、見ていて飽きないわね」 フランシェスカ「博士の話でハ、奥方様は九人になるそうデ」 リーン「あらそんなに?で、何であなたまで楽しんでいるのかしら?」 シャルロッテ「え、そんな師匠!私も混ぜて下さいよ!」 シャルロッテは抱えていた琥珀を強く締め付けてしまい、琥珀の顔色が紫色になっていく。 フランシェスカ「リーンさん、もしかしてあなたも入っていたリ・・・」 リーン「さあ、どうでしょうね」 その後、冬夜はスマートフォンで神様と電話しながら町を歩いていた。 神様「なるほど。実に君らしい決断じゃな」 冬夜「これからは男を磨いていけたらなって思います」 神様「あー、キミはお人好しというか、世話焼きというか、少々流されやすい性格じゃからな」 冬夜「ははは・・・」 冬夜の前で、白髪の少年とクレープ屋が揉めていた。 クレープ屋「この硬貨はここじゃ使えないんですよ」 少年「えっ、ボクこれしか持ってないんだよね・・・」 神様「もしやまた困り人か?」 冬夜「すみません、神様。ちょっと行ってきます」 冬夜「あの、その代金僕が払いますよ」 クレープ屋「まいど」 少年「ありがとう、助かったよ」 冬夜「いや、困った時はお互い様だし・・・面白い形の硬貨だね」 少年「そう?キミのポケットの中の道具の方が面白そうだけど」 冬夜「えっ・・・僕は望月冬夜、キミは?」 エンデ「エンデ、よろしく冬夜」 そう言うエンデに冬夜が笑みを返した所で、 物語の幕は一旦下りることになる。 #center(){&big(){&bold(){おわり}}}