甲児(きみがもし・・・ある日とつぜん人間以上の力をもったとしたら・・・?) 「きみはその力で世界をほろぼす悪魔になるか。それとも・・・世界をすくう英雄になるか。おれ、兜甲児はその恐ろしい力をとつぜんもらいうけてしまうのです。その力とは!」 「恐るべき戦闘力をひめた巨人ロボット、マジンガーZなのだ!」 兜十蔵邸。 少年、兜シローが祖父の十蔵の部屋に向う。 シロー「おじいちゃ~ん。おきなーっ、メシできたぜーっ」 兜十蔵が部屋から出てきて、その恐ろしい顔を見せた。 シロー「うわあー、いきなり顔ださないでくれよ。おじいちゃんの顔、おっかねえんだからー」 十蔵「ンー、すまんすまんシロー」 シロー「イヤー、ついほんとのこといってすまねえなー、イッヒッヒッヒ」 シローの兄の甲児が目玉焼きを作っていた。 甲児「ヨッ、おっと、あっ」 シロー「あっちぃ」 甲児が皿からこぼした目玉焼きがシローの顔に被さった。 シロー「ひでぇなアニキ。おじいちゃんみてぇなツラになったらふぉうするんだよーっ」 甲児「こらーっ、シロー、ひでえいいかたするなよ」 十蔵「はははは、よいよい。しかし甲児、だいぶ手つきがあざやかになったのう」 甲児「へへへ、まあ~な。おれが料理をひきうけてからずいぶんになるからな」 十蔵「すまんのう、おまえたちの両親を死なせてしまって。わしの研究を実験中、事故がおこり助手をしていたふたりは・・・・」 甲児「そんなのしかたないじゃないか。事故なんだからさ-」 シロー「すぐごの話するんだからおじいは。しめっぽくならあ。おれなんざ赤ん坊だったから顔もおぼえてないよ」 「でもいいんだ、パパのかわりにおじいがいるし、ママのかわりに甲児アニキがいるもん」 甲児「よちよちシロー、おっぱいほしいか。ほらおいで」 シロー「あははは、きったねーの」 甲児が舎弟を乗せてバイクで走っていた。 舎弟「うひゃっほ!」 甲児「奇声あげんじゃね~!バカヤロウ、エンジンの快調なエンジン音がきこえなくならー」 舎弟「えへへへ、カブトのオトキチにもあきれるでやスよ」 甲児「ウルセー、ガタガタいうとのせね~ぞ。てめえの遅刻を半分以上たうけてやってんだぞ」 舎弟「でもおめぇんち両親いね~のに金持ちだなー。新型のバイク、つぎつぎとかいかえてよ」 甲児「おじいちゃんのおかげさ。おれのおじいちゃん昔はすげぇ有名な科学者だったらしいぜ!いろんな発明品が山ほそあるんだ。パテントとかなんとかいうのもっててよ。発明品をあずかってる会社からなんにもしなくてもお金がはいってくるのさ」 舎弟「へえ~発明品の特許かー、けっこうでヤス」 甲児「あー信じられね~ほどのものすごい金額らしいぜ。何千万とか何億とか」 舎弟「何億!へえ~おまえそんなすげぇ金持ちでヤスか。そうはみえね~でヤス」 甲児「そりゃーそうさ。ほとんどみんなおじいちゃんの研究費にきえてるのさ。またなんかやってるみたいなんだ。部屋にははいらせてくれね~けどよ」 「おじいちゃんにとっちゃお金は遊びやぜいたくするためにあるんじゃね~んだ。すげぇ新発明をするためにあるんだ」 (ちょっともったいねーけど、へへへへ) 「でも、すばらしくかっこいいおじいちゃんだぜ!おれは大すきさ!」 舎弟「あ~はよはお~」 甲児「耳のそばでまずい声だすんじゃね~てんだ、バーロー」 甲児と舎弟のバイクが校門を抜けた。 舎弟「セーフ」 甲児「どうにか遅刻はまぬがれたな」 舎弟「ヨー、もうついたからエンジンふかすなよ」 校舎や枯れ木も揺れ動いていた・・・ 甲児「ちがう!地震だ!」 生徒たち「きゃ~っ」 「わーっ」 甲児「大きいぞ!校舎のゆれかたをみろ!うわ~っ」 地割れが起こり、甲児達が倒れた。 生徒「地震だ~っ」 教師「あわてるなー、あわてず校舎からひなんすることー」 甲児「ン、ゆれがつるくなったぜ。どうやら関東大震災ほどじゃなさそうだ」 舎弟「でもかなりの地震でヤスよ」 甲児「そうだな、震度4か5もあったかな。ちょっとおじいちゃんが心配だな。年だからショックでどうにかなってるといけねー。ちょっとおれみてくるから。先公にヨロシクナ」 舎弟「ああっ、いいさ。遅刻にしといてやるでヤスよ」 甲児「バカヤロウ、そうなっていたらテメエひき殺してやるぞー」 甲児がバイクで家に戻った。 甲児「イカッター、つぶれてねえみたいだー」 「あっ!」 しかし、家の門をくぐると、出来ていた地割れにひっかかり転倒してしまった。 甲児「な、なんだ!庭が・・・」 庭は大きく陥没していた。 甲児「庭がかんぼつしてやがる。あのていどの地震でか・・・?ン!地下室・・・?」 「庭に地下室があるなんてきいたこともねー、いったいだれがいつのまに・・・」 甲児が地割れの向こうの地下室に入った。 甲児「ここは・・・・小さいころみたおじいちゃんの研究所ににている」 「!」 甲児の足下に壊れたロボットが転がっていた。 甲児「ロボット・・・・」 甲児が振り向くと、そこには巨大なロボットの頭があった。 甲児「うわ~!な、なんだ、これは・・・・このばけものは!」 ?「甲児!それがおまえの力だ!」 甲児「えっ。おれの!おれの力」 ?「そうだ、兜甲児の力、マジンガーZだ!」 甲児「マジンガーZ!あっ!」 下の階で十蔵が崩れた鉄骨の下敷きになっていた。 甲児「おじいちゃん!おじいちゃん!」 甲児が十蔵の元に降り、鉄骨をどかす。 甲児「ウ~~~~ン、クッ、おじいちゃん。おじいちゃ~ん」 十蔵「ウウウ、甲児よ、このロボットは、わ、わしが、つくったマ、マシン、マジンガーZ・・・おまえたちの両親をうばったわしの罪ほろぼしじゃ・・・わしが死んだらおまえたち兄弟はたよれる者はいない・・・だが心配ない。マジンガーZがあるかぎり、おまえは強い!世界一」 甲児「世界一!」 十蔵「そうじゃ、世界一じゃ。甲児、おまえはマジンガーZを手にいれた。たった今から人間をこえる者だ!おまえは超人じゃ、いやそれ以上の者だ!お、おまえは・・・・」 甲児「お、おじいちゃん」 十蔵「おまえは、兜甲児は・・・神がみにも悪魔にもなれる。そうじゃ、神にも悪魔にも!神となり人類を救うことも!悪魔となり世界をほろぼすことも!おまえの自由だ、おまえがえらべる!」 甲児「世界をほろぼす力」 十蔵「おまえのすきかってに世界を手玉にとるがよい!マシンの怪物、マジンガーZがおまえにのぞみどおりの力をかしてくれるのじゃ。わっはっははは、兜甲児、世界はおまえのものじゃぞ!グッ」 甲児「おじいちゃん」 十蔵が立ち上がるも、すぐによろけ、甲児が支えた。 甲児「おじいちゃん!おじいちゃ~ん」 十蔵「ただひとつ心のこりは、マジンガーを動かす甲児の雄姿をみれぬこと・・・」 甲児「おじいちゃん、マジンガーの操縦法は?」 十蔵(パイルダーにきけ・・・)「ホ、ホバーパイルダーに・・・」 十蔵は近くにあったホバークラフト型の小型飛行機を指さした。 甲児「ホバーパイルダー」 そして、十蔵が息を引き取った・・・ 甲児「おじいちゃん、おじいちゃん、おじいちゃ~ん」 甲児(ホバーパイルダーにきけ・・・マジンガーZを動かせば神にも悪魔にもなれる、そんな恐ろしい力がこのロボットに・・・) 甲児が立ち上がり、ホバーパイルダーに向かった。 甲児「小型のホバークラフトみたいだ」 甲児がホバーパイルダーに乗り込んだ。 甲児「ボタンやハンドルや計器板がやたら多くて、さっぱりわからないよ」 甲児あるボタンを押すと、ホバーパイルダーが動き出した。 甲児「うわっ」 甲児が更にハンドルを回すと、ホバーパイルダーは飛び上がり、マジンガーZに向かっていった。 甲児「わ~っ、ぶつかるー」 マジンガーZの前に来ると、ホバーパイルダーは上昇し、 ホバーをたたみ、マジンガーZの頭にドッキングした。 甲児「ああ~っ!」 そして、マジンガーZが動き出した。 甲児「パイルダーが操縦器なんだ。ホバーパイルダーがマジンガーZの頭部にドッキングしたとき、マジンガーZは動くんだ!」 子供「わーっ、今ごろ地震のゆりかえしがきたーっ」 マジンガーZが家を砕きながら、地上へ飛び出した! (つづく)