MC「さぁ、本日最高のライディングデュエル! 奴が来る。はるばる??、キング・オブ・Dホイーラー、ジャック・アトラス!!」
会場にジャック・アトラスがDホイールに乗って現れる。
ジャック「待たせたな! 俺がキングだ!!」
MC「第143回デュエルキング争奪戦! 不敗神話に続く、最強デッキを果たして破ることができるのか!? チャレンジャー、炎上ムクロ! 不敵なチャレンジャーの挑戦を、どう迎え撃つのか? キングよ、運命の決戦を刮目してみよ! フィールドに魔法をかける時がきた。キング並びにチャレンジャー、フィールド魔法『スピード・ワールド』、セットオン!」
2人はフィールド魔法を発動。
『デュエルモード、オン。オートパイロット、スタンバイ』
MC「フィールドは、『スピード・ワールド』によって支配された。これでスピードスペル以外の魔法は発動できない! ライディングデュエル最大の特徴、スピードスペルとは、『スピード・ワールド』のかかったフィールドでのみ発動できる魔法カード。発動条件は、通常の魔法と異なり、スピードカウンターの数によって決定されるのだ! つまり、デュエリストのスピードこそが魔法となる。スターターが現れ、列島支援。ライディングデュエル・アクセラレーション!! 先行はチャレンジャー!」
ムクロ「行くぜ」
MC「チャレンジャー、炎上ムクロ! 奇妙なトラップでキングを強襲。だが、キングも負けていない! これは……」
ジャック「見せてやろう…… 大いなる我が力を!」
ジャックがモンスターを召喚。
MC「出たーっ! キングのエースモンスター、『レッド・デーモンズ・ドラゴン』!」
ジャック「楽しませてもらった礼だ。貴様には、我らが牙の餌食となる名誉を与えよう…… 食らうがいい!『灼熱のクリムゾン・ヘル・フレア』!!」
『レッド・デーモンズ・ドラゴン』の攻撃が炸裂。
ムクロ「くそっ!」
走行中のDホイールがショート。
不動遊星はヘルメットを外し、空を見上げる。
MC「キング、またしても防衛成功! 無敗神話に、新たな1ページが刻まれた!」
ジャック「キングは1人。この俺だ!」
廃墟。そこはひどく荒れていた。
道路の地下で遊星は、Dホイールを押していた。
テレビにデュエルの内容が映っていた。
MC「序盤はチャレンジャーのトラップに翻弄されてるように見えましたが、全て??を読んでのことでしたよね……」
するとジャックがマイクを奪い取る。
ジャック「最初からキングが全力でかかったら、一瞬だ! キングのデュエルはエンターテイメントでなければならない」
遊星がDホイールを調整。
ナーヴ「よ、よう。遊星……」
タカ「悪いな。やっぱジャックのこと気になってさ、ここしかテレビ映んねぇしさ」
ブリッツ「すごかったぜ、あいつ。また強くなってやがる……」
遊星「雑魚だったろ? 相手」
ナーヴ「ああ…… 完全にジャックに遊ばれてた」
遊星「あいつ、つまんねぇだろうな……」
タカ「なぁ、Dホイール、調子どうよ?」
ナーヴ「よせ。見りゃわかんだろ?」
タカ「そっか。ジャック、前のDホイールどうしてる……」
ナーヴ「空気読めよ!」
タカ「いてっ。だって、みんな怒ってるじゃん! ジャックのことさ。本当ならあのスタジアムでキングになってるの、遊星だったかもしれないんだぜ? なのにジャックの野郎、遊星がやっと作ったDホイールまで盗んでさ……」
そこへラリー・ドーソンが帰ってくる。
ラリー「遊星!」
遊星「……!」
ナーヴ「ようラリー」
タカ「ウッス!」
ラリー「あっ、みんなも来てたんだ。遊星!」
ブリッツ「なんだよそんなに慌てて」
ラリー「これ、Dホイールに使えないかな?」
ブリッツ「何だそりゃ?」
ラリーが遊星に差し出たのは、新品のチップだった。
ナーヴ「おい。これ、新品じゃないか! どこで手に入れた?」
ラリー「ち、違うよ。これはジャンクの中から見つけたんだ……」
3人「……」
ナーヴ「また、盗みやったんじゃないよな?」
タカ「それが盗品だったらみんな捕まっちまうかもしれないんだぞ?」
ブリッツ「嫌だぜ。俺までこれつけるの」
遊星「よせ」
遊星はラリーからチップを受け取る。
遊星「使わせてもらうよ……」
タカ「いいのか? 遊星……」
ラリー「きっと速くなるよ。絶対にだよ!」
新品と前のチップを入れ替える。
ブリッツ「なぁ遊星。気持ちはわかるけど、ジャックのことはもうほっとけ」
ラリー「遊星はジャックと決着を着けに行くんだよ!」
ブリッツ「だからさ、その為だけにわざわざ危ない橋渡るのはどうかって言ってんの」
ラリー「でも、ジャックは遊星のエースモンスターまで盗んで行ったんだよ?」
ブリッツ「遊星。本気でここを出ていくのか?」
遊星「出るんじゃない。行くだけだ……」
ナーヴ「やめとけ。あっちは俺達に合わないぞ。ジャックは、ハナから俺たちとは違う」
すると遊星はDホイールのエンジンを作動。
ラリー「どう? 全然違うでしょ!?」
遊星が頷く。
ラリー「走ろうよ。すごく速いよ!」
すると上空から光が灯る。
タカ「何だ!?」
ブリッツ「セキュリティが……」
パイロット「認識番号AWX-86007、ラリー・ドーソン。窃盗の疑いがある。速やかに投降せよ!」
一同「あっ?」
パイロット「出てこい! マーカーがある限り逃げきれんぞ」
ナーヴ「お前!」
ラリー「ご、ごめんよ。本当は工場から持ち出したんだ。だって遊星に、ジャックに勝って欲しかったんだよ!」
ナーヴ「だからって……」
遊星がナーヴを制止。
遊星「もういい……」
ナーヴ「お前もお前だ」
タカ「マーカーつきじゃ逃げ切れねぇ! セキュリティと
リンクする信号出してんだぞ?」
遊星がコンピューターを操作。
ヘリの映像が乱れる。
パイロット「何だ? 撹乱された」
遊星「マーカーの信号は撹乱した……」
ナーヴ「ジャミングしたのか?」
遊星「みんなは向こうへ。セキュリティは俺が引き付ける」
遊星はDホイールに乗って走り去る。
ナーヴ「俺達も行くぞ!」
地下から遊星が現れる。
牛尾「Dホイールだと? 容疑者が逃走した。追うぞ」
牛尾哲率いるセキュリティが遊星を追跡する。
しかし、すぐに追いつく。
遊星(速い。全交流の出力、回転数のバランス制御、完璧だ……)
牛尾「そこのDホイール、逃げても無駄だ。止まりやがれ!」
遊星は廃屋の中で停まる。
セキュリティも遊星に追いつく。
牛尾「おい。そのDホイール、どこから盗んだ?
遊星「……」
牛尾「ふん。ははは! マーカーなしか。ふん、囮かよ…… 屑は屑同士かばい合いか? お前も逃亡を手助けしたおかげで、立派に拘束する理由ができたな…… そのDホイールの出どころも聞かなきゃな……」
遊星「おい」
牛尾「ん?」
遊星「デュエルしろよ……」
牛尾「はっ! サテライトの屑がこの俺とデュエルだと? カードも持ってないくせに、笑わせるなよ」
遊星「カードは拾った」
遊星はデッキをホルダーにセット。
遊星「俺が勝てば、今日の事は全てなかったことにしてもらう」
隊員「お前、そんな事できるわけ……」
牛尾が隊員を制止。
牛尾「言うじゃねぇか。その話乗った……」
隊員「牛尾さん、まずいですよ」
牛尾「俺の責任でやる。お前ら帰れ……」
隊員「牛尾さん!」
牛尾「行けよ。俺が負けると思ってんのか?」
隊員「やれやれ……」
隊員たちは先に引き上げる。
遊星「面白い男だな……」
牛尾「何が言いたい?」
遊星「セキュリティは信用できない。だが、デュエリストならば話は別だ…… あんたはこのデュエルに乗った。信用してやるよ」
牛尾「いちいちムカつく野郎だ」
2人はデュエルの準備に入る。
牛尾「フィールド魔法『スピード・ワールド』、セット!」
『デュエルモード、オン。オートパイロット、スタンバイ』
2人「デュエル!」
2台のDホイールが走り出す。
牛尾「先行は俺がもらうぜ。『アサルト・ガンドッグ』を召喚!」
牛尾は『アサルト・ガンドッグ』を召喚。
牛尾「さらに、カードを1枚伏せてターンエンド」
遊星「俺のターンだ。『スピード・ウォリアー』を召喚」
遊星は『スピード・ウォリアー』を召喚。
牛尾「ほう、攻撃表示か。だが、俺の『アサルト・ガンドッグ』の攻撃力にも遠く及ばない」
牛尾「攻撃力が倍増した!?」
遊星「『スピード・ウォリアー』は召喚したバトルフェイズのみ、攻撃力が倍になる」
牛尾「ふん、気にいらねぇな。ゴミの分際で」
遊星「くっ。『スピード・ウォリアー』! 『ソニック・エッジ』!」
『スピード・ウォリアー』が『アサルト・ガンドッグ』を戦闘によって破壊。
牛尾「やってくれたな。だが、こちらも特殊効果だ!」
『アサルト・ガンドッグ』がもう1体特殊召喚される。
牛尾「『アサルト・ガンドッグ』がバトルで墓地送りになった時、デッキから別の『アサルト・ガンドッグ』を特殊召喚できるって訳だ」
遊星「カードを1枚伏せ、ターンエンド」
牛尾「俺のターン! 『アサルト・ガンドッグ』をリリース。レベル5モンスター、『手錠龍』をアドバンス召喚!」
牛尾が『手錠龍』をアドバンス召喚。
牛尾「手錠龍』、『ワッパー・シュート』!」
遊星「罠発動。『くず鉄のかかし』! 」
牛尾「くそっ!」
遊星「こいつは、相手のモンスターの攻撃を無効にすることができる」
牛尾「ふん。悪い手じゃねぇが、罠カード『ギャクタン』! このカードは罠カードの発動を無効にし、デッキに戻しちまうのさ。やれ!『手錠龍』!」
『ワッパー・ドラゴン』が『ソニック・ウォリアー』を戦闘によって破壊。
牛尾「拾ったカードの寄せ集めデッキじゃ、どんなに取り繕っても屑は屑ってことだ……」
遊星「……俺のターンだ。『ロードランナー』を守備表示で召喚だ」
遊星が『ロードランナー』を守備表示で召喚。
遊星「さらに2枚カードを伏せてターンエンド……」
牛尾「はっはっは! 防戦一方だな。口程にもない! 俺のターン! オラ、オラ、オラ。行くぞ! レベル4、レベル3、レベル3。以上手札より3枚を墓地に送って、『モンタージュ・ドラゴン』を特殊召喚!」
牛尾が手札の『アサルト・ガンドッグ』、『ガードドッグ』、『華麗なる潜入工作員』を墓地に送り、『モンタージュ・ドラゴン』を特殊召喚。
牛尾「こいつの攻撃力はこのカードの効果で、墓地に送ったモンスターのレベルの合計の300倍だ!」
遊星「3000……」
牛尾「『手錠龍』、『ロードランナー』を攻撃!『ワッパー・シュート』!」
『手錠龍』が『ロードランナー』を戦闘によって破壊。
遊星「『ロードランナー』……」
牛尾「ここからが本番だ!『モンタージュ・ドラゴン』、プレイヤーへダイレクトアタック。『パワー・コラージュ』!」
『モンタージュ・ドラゴン』が遊星にダイレクトアタック。
遊星のスピードカウンターが3個消える。
遊星「スピードが。ダイレクトアタックの影響か?」
牛尾「残り100ポイントだぜ。屑野郎!」
遊星(カード達よ。俺はお前達を信じる! 俺の声に応えろ)
遊星はカードをドロー。
遊星「来たか…… チューナーモンスター『ジャンク・シンクロン』を召喚!」
遊星は『ジャンク・シンクロン』を召喚。
牛尾「チューナーモンスター? まさか……」
遊星「そのまさかだ。罠カード発動。『エンジェル・リフト』! このカードは、墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚する効果を持つ。来い、『スピード・ウォリアー』!」
墓地から『スピード・ウォリアー』が特殊召喚される。
牛尾「なんだと?」
遊星「『スピード・ウォリアー』に、『ジャンク・シンクロン』をチューニング! 集いし星が、新たな力を呼び起こす。光差す道となれ! シンクロ召喚! 出でよ、『ジャンク・ウォリアー』!」
遊星が『ジャンク・ウォリアー』をシンクロ召喚。
牛尾「馬鹿な! サテライトの屑がシンクロ召喚だと? だが、俺の『モンタージュ・ドラゴン』の攻撃力には及ばない!」
遊星「スピードスペル発動!『ヴィジョン・ウィンド』」
牛尾「スピードスペル? あの野郎、ダイレクトアタックでスピードを削ったのに、なめた真似を……」
遊星「このカードは、自分の墓地に存在するレベル2以下のモンスター1体を特殊召喚できる。レベル2『スピード・ウォリアー』を特殊召喚する。さらに、『ジャンク・ウォリアー』のモンスター効果! 自分フィールド上に存在するレベル2以下の攻撃力の合計を『ジャンク・ウォリアー』に加える!」
ジャンク・ウォリアー:攻撃力2300→3200
牛尾「スピードスペルとのコンボで一気に攻撃力を上げるとは。生意気な!」
遊星「行け、『ジャンク・ウォリアー』。『手錠龍』に攻撃! 『スクラップ・フィスト』!」
『ジャンク・ウォリアー』が『手錠龍』を戦闘によって破壊。
牛尾「ダメージを優先して『手錠龍』を破壊したんだろうが、攻防を焦ったな……」
『手錠龍』が『ジャンク・ウォリアー』に装備される。
牛尾「見たか。『手錠龍』は戦闘によって破壊されると相手モンスターの装備カードとなり、その装備モンスターの攻撃力分だけ下げるのだ! これで終わりだ! 所詮お前らは権力に逆らえねぇんだよ」
遊星「その効果、使わせてもらう」
牛尾「何?」
遊星「罠カード発動。『イクイップ・シュート』!」
『ジャンク・ウォリアー』に装備された『手錠龍』が『モンタージュ・ドラゴン』に装備される。
ジャンク・ウォリアー:攻撃力1800→3200 モンタージュ・ドラゴン:攻撃力3000→1200 |
牛尾「『モンタージュ・ドラゴン』の攻撃力が……」
遊星「『イクイップ・シュート』は、装備モンスターを相手モンスターに装備し直すカードだ。その効果の対象になったモンスター同士は、バトルする事になる! 『ジャンク・ウォリアー』、『スクラップ・フィスト』!!」
『ジャンク・ウォリアー』が『モンタージュ・ドラゴン』を戦闘によって破壊。
牛尾「ぐわああっ!!」
ライディングデュエルが終了。Dホイールは停止する。
牛尾「信じられん! 屑共に、この俺が負けるなど……」
遊星「どんなカードでも存在する以上、うち絆される力がある。屑の一言でカードを否定するあんたに、デュエリストを名乗る資格などない……」
遊星はそのまま走り去る。
牛尾「潰してやる……」
遊星は途中で止まり、空を眺める。
遊星「待っていろよ。ジャック……」
最終更新:2022年12月04日 17:00