太極拳を指南するモモコ(ピンクマスク)。その手刀は積まれた煉瓦を割り、踵落としは積まれたブロックを、肘打ちは積まれた煉瓦を割る。 息を飲む、類稀な美貌とは裏腹な冴えだ。 感心する弟子の子供達。 弟子「先生、すごい!」 モモコ「みんなだってできるわよ。人間に不可能はないわ。努力すれば誰だってできるの」 弟子「本当に? 本当に努力すればできるの?」 モモコ「己を信じ、決してへこたれず、最後までやり抜けばね。できるかな? みんな」 頷く弟子達に「じゃあ約束しましょう。モモコ先生との約束」と言って印を結ぶモモコ。そこに黒い道着姿の女が現れる。 #center(){|&big(){&bold(){罠!沈む巨大ロボ}}|} 女「そんな拳法に騙されては駄目よ」 モモコ「あなたは誰?」 女「&ruby(こつ){骨}&ruby(ひ){妃}と申します」 モモコ「骨妃……」 骨妃「子供騙しの、間違った拳法を正すために全国を渡り歩いてる者です」 モモコ「私の拳法が子供騙し? 間違ってるとおっしゃるの?」 骨妃「はい。そして、あなたのようにご自分の非を認めない者には……実力で間違いを正して差し上げます」 言い終わるなり、襲い掛かる骨妃。道着を裂かれ、吹き飛ぶモモコ。 血を吐き、為す術なくいたぶられるモモコを見て弟子の一人は「強ええ、本物だ」と感心する。 振り下ろされた骨妃の拳が怪物のようになる。驚くモモコにとどめを刺して、骨妃が木の上に跳び上がる。 追おうとするモモコだが、骨妃は軽々と逃げ、さらにその体が宙に浮く──。 地底帝国チューブの本拠地・地帝城。 アナグマス「地底帝国最強の美女、骨妃じゃ。あの女こそがグレートファイブを倒す!」 バラバ「グレートファイブを?」 オヨブー「何と!」 イガム「あんな女に一体どうやって……」 アナグマス「黙って見ておれ。340年も生きてきたこのわしがグレートファイブを倒すと宣言したからには、必ず倒す」 モモコ(いけない……あの女はただの女ではない……!) 骨妃に恐れを抱くモモコ。 そこに弟子の少女が現れ、ユウスケとミチオが骨妃の弟子になって黒天山に行ったと語る。我が身を顧みず向かうモモコ。 光戦隊基地では、姿長官がモモコの危機を察知していた。 駆け寄る光戦隊の四人に姿長官は、不吉な予感がすると言う。 黒天山。 モモコは宙に浮くユウスケとミチオを見つける。 モモコ「ユウスケ君!」 ユウスケ「見たか! これぞ空中浮遊の術!」 モモコ「ミチオ君!」 ミチオ「骨妃先生に教えてもらったのさ」 自慢げに言う二人。 モモコ「いけない。あなたたち、騙されてるのよ!」 ユウスケ「違う! 骨妃先生がすごいのさ。教えてくれたらすぐにできちゃうんだもん」 モモコの背後の物陰で、アナグマスが呪文を唱えている。 二人はアナグマスの魔術で宙に浮いているのだ。 モモコ「君たち……あたしを信じて! 君たち……」 ユウスケ「『努力すれば』でしょ?」 ミチオ「ほっといて。俺たちはこんなにできるようになったんだから。じゃあねー」 モモコの言葉に耳を貸さず、飛んでいく二人。そこに骨妃が現れる。 モモコ「お前は一体何が目的なの!?」 骨妃「言ったでしょ? 子供騙し、間違った拳法を正す者」 再度打ちのめされるモモコの下に四人が駆けつける。 オヨブーとアングラー兵が現れ、チューブの者と気付いて変身する四人。しかしモモコだけは変身せずに骨妃と戦う。 イエローマスク「モモコ! なぜ変身しないの?」 モモコ「子供達との約束を守るためよ。己を信じ、生身で戦い、決してへこたれず、最後までやり抜く……そう子供達にも教えた!」 自ら道着の裾を破り、ほどけたバンダナの代わりにして敢然と立ち上がるモモコ。 モモコ「……許さん!!」 アングラー兵を投げ飛ばし、骨妃を追うモモコ。その前にユウスケとミチオが倒れ込む。 モモコ「アナグマス……!!」 アナグマス「かわいい弟子を預かっていることを忘れるな」 アナグマスの手から放たれる炎のような光線を受けて悶える二人。 アナグマス「骨妃、とどめを」 骨妃が地帝獣ドクロドグラーの正体を現す。背中の骨からの破壊光線に怯み、投げられるモモコ。 ユウスケ「先生ー!」 ミチオ「助けてー!」 冒頭で自分が発した言葉が、モモコの脳裏をよぎる。 モモコ「約束を破っちゃいけない。この体で戦ってきたんですもの。見せてあげる、約束の教えを」 アングラー兵とドクロドグラーの銃撃に屈せずモモコは敢然と挑む。 ドクロドグラーの拳を掴んで投げ、正拳を決める。 |モモコが自らの教えを示そうと戦えば戦うほど、恐ろしい罠に&br()はまっていくことを、その時はまだ誰も気が付かなかった……。| 四人が駆けつけてユウスケとミチオを助け出し、モモコを抱え起こす。 レッドマスク「よくやった、モモコ。君はモモコ先生として十分に戦ったんだ」 モモコも変身し、マスクマンが五人揃った。 しかしアナグマスは「作戦通り。後になって驚くなよ」と言い残して引き上げる。 ピンクマスクはマスキーリボンでドクロドグラーの動きを封じ、柄で突き刺し、とどめに蹴りで吹き飛ばす。 レッドマスク「よし、ショットボンバーだ!!」 ダメージの大きいピンクマスクはふらつくが何とか照準は定まり、ショットボンバーが炸裂。爆散するドクロドグラー。 しかしピンクマスクも力尽き、変身が解けて倒れてしまう。 アナグマス「今です、ゼーバ様!」 地帝王ゼーバが差し向けたエネルギー獣オケランパの光線が、ドクロドグラーを再生・巨大化させる。 レッドマスク「モモコ、しっかりするんだ!」 姿長官「しまった! ピンクマスクは体力の限界を超えて、エネルギーを使い果たしてしまったんだ。体力が回復するまで、変身不能だ」 四人は自分達だけで戦うよう言われる。 レッドマスク「……やるしかない!」 イエローマスク「モモコ、あなたの分まで頑張るわ」 地帝城。 アナグマス「分かったか! これがわしの作戦じゃ。ピンクマスクに決定的ダメージを与えたゆえ、マスクマンはグレートファイブを四人で操縦しなければならん!」 イガム「なるほど。いかにマスクマンといえど、四人ではグレートファイブの全能力を発揮することは……」 アナグマス「できん」 ゼーバ「とくと見るがよい、グレートファイブの最期を!」 母艦・ターボランジャーからグレートファイブが発進。 四人のマスクマンが乗り込む。 レッドマスク「いいか、四人で頑張るんだ」 ブラック・ブルー・イエロー「分かった」 姿長官「みんな……頑張ってくれ」 手にした骨の剣でグレートファイブを攻め立てるドクロドグラー。 たちまち膝をつくグレートファイブに背中からの骨ミサイルと目からの光弾が命中。 イエローマスク「右エンジン、出力低下!」 レッドマスク「第三燃料タンクのバルブを全開しろ!」 ブラックマスク「左エンジンもおかしいぞ!」 ブルーマスク「こっちも手が離せないんだよ!」 猛攻に宙を舞うグレートファイブ。コクピット内の計器が爆発する。 勝ち誇るアナグマス。 レッドマスク「よし、ファイナルオーラバーストだ!」 再び計器が爆発し、コクピットの灯りが消える。 イエローマスク「第一、第三回路破損!」 レッドマスク「予備回路に切り替えろ!」 ブラックマスク「駄目だ! そっちもやられている!」 ブルーマスク「何だと!?」 レッドマスク「残りの全エネルギーを集めるんだ! 光子斬りで立ち向かうしかない!」 四人は持てる力を振り絞り、光電子ライザー光子斬りを決める。 ドクロドグラーは骨を散らして爆発。 レッドマスク「四人で切り抜けたぞ……!」 ブルーマスク「やった……」 アナグマス「……これからだ」 その時、地面の骨が爆発し、地割れが発生。グレートファイブが飲み込まれていく。 モモコが目を覚まして駆けつけるが……。 ブルーマスク「やっぱり四人じゃ無理だ!」 姿長官「グレートファイブは諦めるしかない! 緊急脱出装置を作動させるんだ!!」 ためらう四人。 姿長官「言うことを聞けっ!! お前達を失いたくないんだ……」 モモコの前でグレートファイブは完全に没し、「みんな!」の叫びが木霊する。 チューブの地上制覇を確信し、ゼーバを讃える幹部とアングラー兵。 ゼーバ「もはや我が行く手を阻む者はない! 今こそ総攻撃のチャンス!!」 バラバ「はっ!」 イガム「地底帝国」 フーミン「チューブに」 オヨブー「栄光あれ!」 アナグマス「栄光あれ!」 傷つきながら辛くも地上に脱出した四人が、モモコと合流。 モモコ「みんな……みんな、ごめんなさい! 私が、私が乗っていれば、こんなことにならなかったのに……」 タケル(レッドマスク)「モモコ……」 謝りながら泣き崩れるモモコ。 姿長官「いや……よくやったよ、モモコ。君は小さな命を救ったんだ」 「モモコ先生!」の声と共にユウスケとミチオが駆け寄り、モモコと寄り添う。 モモコ「無事でよかった……よかった!」 ユウスケ「先生……ありがとう!」 微笑むモモコ。 それを見守る四人。 #center(){|CENTER:&br()二つの尊い命を救うことができた。&br()よかった──みんな心の底からそう思った。&br()&br()だが、グレートファイブは地中深く埋まってしまった。&br()グレートファイブなくして、明日からのマスクマンの戦いは&br()どうなるのであろうか?&br()果たして、地底帝国チューブの攻撃を防ぐことができるので&br()あろうか?&br()&br()|} 姿長官が、光戦隊基地に飾られた「ハイテク曼荼羅図」を睨む──。 #center(){&big(){&bold(){つづく}}}