オバケのQ太郎の第1話

Ｑちゃん誕生

主人公の小学生・大原正太が、友達同士の忍者ごっこの場所へ急いでいる。

正太「おくれちゃった!!　みんなどこにいるのかな?」

ガキ大将のユウちゃんをはじめ、忍者たちが登場。

ユウ「正太　たるんどるぞ。忍びの道はけわしいんだ」
正太「だ、だってママが……」
ユウ「ママだと?　忍者には家も親もないんだ。ばつとして、今日の悪役はおまえだ」

正太「ユウちゃんのやつ、上忍だと思って　いばってら。見つかるとひどいめにあうから、どっかにかくれちゃおうっと」

草むらに隠れようとすると、大きな卵がある。

正太「おや、なんだろ?　恐竜の卵かな」「音がするぞ。割ってみよう」

卵を割ると、中からオバケのQ太郎が飛び出す。

正太「キャア!!」
Q太郎「ウアアア──」
正太「な、な　なんだ　おまえは?」
Q太郎「ぼくはオバケのQ太郎さ。卵から出るめんどうをみてくれて感謝ね」
正太「オバケだって?　ハハハ、そんなものいるはずないよ」
Q太郎「ちゃんとここにいるじゃないか。ベロベロベ──ッ」
正太「いたずらはよせよ。それどころじゃないんだから」
Q太郎「待ってよ。ぼくと友だちになっておくれよ」
正太「オバケの友だちなんて　いらないや」
Q太郎「冷たいこといわないでさ。ねえねえ　愛してる」

Q太郎が正太に抱きつき、顔を舐める。

正太「キャッ　エッチ!!」

忍者たちの手裏剣が飛んでくる。

正太「ほら見ろ　おまえのために見つかったじゃんか」
ユウ「いたぞ、やっつけろ」
敵忍者たち「がってんだ!!」「しまった。サイフまで投げちゃった!!」「いただき!!」「返せ、もどせ」
ユウ「バカっ。仲間割れしてるときではないぞ!!」

正太「シッシッ　あっちへいけよ!!　忍法草がくれだ」
敵忍者「その術　見やぶったり!!　ヒヒヒ、火とんの術だぞ!!」

正太が草むらの中へ隠れるが、敵忍者が草むらにマッチで火をつけ、慌てて正太が飛び出す。

正太「アチチ。水とんの術!!」
敵忍者「おろかなやつ。ケケケ」

正太が池に飛び込む。水面には呼吸管の竹筒が突き出している。
敵忍者がその竹筒にゴミや虫を入れると、慌てて正太が池から飛び出す。

正太「ペッペッ。あーあ、ひどいめにあった」
Q太郎「あっ、危ない!!」

正太の背後に敵忍者が忍び寄るが、Q太郎が息をかけると、正太が大きな石にすり替わる。
敵忍者は石を思い切り叩いてしまい、腕がしたたかに痺れる。

敵忍者「アーイーウエー。やっ、石に化けたあ!!」
正太「よけいなことをするな」
Q太郎「いいたかないけど、めんどうみたよ」
正太「おまえなんかと、つきあってるひま　ないったら」
Q太郎「まだまだ　めんどうみないとだめらしいや」

正太が逃げ出すが、その先の木の上で敵忍者がで待ち伏せしている。

敵忍者「きたな!!　それ、マキビシだ!!」

敵忍者が地面に画鋲をまく。Q太郎が姿を消し、その木を揺する。

敵忍者「あっ　地震かな!!　ウヒャ」

木から振り下ろされ、自分が地面にまいた画鋲の上に落ちてしまう。

敵忍者「ギャア!!」
Q太郎「いいたかないけど　めんどうみたよ」
正太「チェッ」

ユウ「こらっ、きさまら　まだやっつけないのか!!」
敵忍者「はっ、敵もさるもの　ひっかくものなんで」「あたしが女に化けて……」

敵忍者の1人が女装し、女の子に化ける。

女装忍者「どう、似あうかしら?　ホホホ」
ユウ「気持ちわりい」

女装した忍者が、正太をおびき寄せる。

女装忍者「正ちゃん　正ちゃん。みんな帰ったわよ。遊びましょ」
正太「なんだい　あの子は?」
女装忍者「こっちへいらっしゃいよ。ねえ」「あれ?　消えちゃった」

Q太郎が地面に穴を掘っており、正太はその穴の中に落ちていた。

Q太郎「あっちへいくと危ないよ」

敵忍者「確か、この辺だったな」

正太の代りにQ太郎が、敵忍者たちの前に現れる。

敵忍者「あっ、出たあ!!」「変装したな!!」「それ、かたづけろい!!」

敵忍者たちが斬りかかるが、Q太郎が姿を消し、忍者たちは同士討ちしてしまう。

Q太郎「いいたかないけど……」
正太「よけいなことするな。あんなやつら　一人でたくさんだい!!」
Q太郎「チェッ。せっかく助けてやったのに　もう知らないっと。よそで友だちをさがすよ」

しかし、ユウや敵忍者たちが、一斉に襲いかかって来る。

敵忍者「ウワァ」
ユウ「それ、一度にやっつけろー」」
正太「ひゃー!!　Qちゃん　いいたかないけど……。めんどうみてよー!!」

Q太郎は姿を消して、様子を窺っている。

Q太郎「それじゃ　ぼくと友だちになるかい?」
正太「なるよ　なるよ!!」
敵忍者「こいつ　一人でブツブツいってやがら」
ユウ「どうだ　まいったか?」

正太が一方的にやられている。そこへQ太郎が、一同の母親たちを連れて来る。

母たち「なによ」「オバケの変装しちゃってさ」「うちの子がどうかしたっていうの?」
Q太郎「てんで悪いことしてんだ」
ユウ「あっ　ママ!!」

母親たちに引っ張られ、一同が帰っていく。

Q太郎「へへへ、いいたかないけど、まとめてめんどうみたよ」

(続く)