電磁戦隊メガレンジャーの第10話

夜の町を、コウモリの意匠が付いた笛を持つ少女が歩いていた。
少女は笛を吹こうとしたが、道路の上に出た為にトラックに撥ねられ、笛は飛んで行った。
トラックから、運転手が出てきて、少女に駆け寄る。

運転手「大丈夫か!?」

少女は、何事も無かった様に立ち上がった。

運転手「うわぁぁ!!」

運転手がトラックに戻り、逃げ出した。

少女「私・・・」

少女は、笛を残して去っていった。


さよなら!哀しみのアンドロイド


諸星学園。
健太達5人が校門から出ていく。

瞬「じゃあな」
健太「あれ?瞬、今日はそっちか?」
瞬「・・・ああ」

みくが瞬に2枚の映画のチケットを見せてきた。

みく「ねえ瞬、こないだ見たいって言ってなかったっけ。たまたま2枚貰ったけど、一緒に行かない」
千里「たまたま?本当にたまたま?」
みく「うるさい、もう」
瞬「悪い。俺、今日気分じゃないから、ごめんな」

瞬は去っていった。

みく「ちぇーっ」
健太「普通、女から誘われたら断わんないけどな」
みく「まあ、瞬だからね」
健太「それにしたって、気分じゃないはないじゃないの?」
耕一郎「仕方ないさ。確か、今日はアイツの母親の命日だ」
千里「そうだったんだ・・・」
健太「ふぅん」
耕一郎「日本を代表するフルート奏者だったそうだ」

瞬は、枯れ木の下に立ち、フルートを吹き始めた。

瞬が幼かった頃、瞬の母親は花畑でフルートを吹いていた。
瞬「お母さ―ん!」
母親「瞬」
瞬の側に冒頭の少女が来た。
少女「素敵な曲・・・」
瞬「あ・・・」
少女「いい?」
少女が瞬のフルートを手に取り、吹き始めた。
少女「何だか懐かしい・・・」

日が暮れた。
少女が瞬にフルートを返した。

夜の町。
あの少女と全く同じ姿をした少女が、人込みの中であの笛を吹いた。
すると、人々は暴れ出し、他人に襲い掛かった。
少女が横断歩道で笛を吹くと、車は信号を無視して暴走し始め、
別の車に激突、爆発が起こる。
コウモリに似た姿をしたネジレ獣、ネオコウモリネジレが、ビルの屋上からその様を見ていた。


翌日、諸星学園。
瞬が窓のふちに座っていた。

昨日の回想。
瞬「あ、オレ並樹瞬。君の名前は?」
少女「名前?」
瞬「うん」
少女「考えといて」

瞬「は―」

耕一郎「うーん、どうしたんだ、あいつ?」
千里「恋でもしちゃったかなー」
みく「え?」
千里「とかだったら、どうする?」
みく「そんなこと無いよ、瞬に限って」

5人が腕に付けるデジタイザーから、通信音が鳴った。
それから5人はデジ研の部室で久保田からの指令を受けた。

久保田「みんな聞いてくれ。人々が突然凶暴化して、他人を襲ったんだ。東京だけでなく、日本各地でも、更には世界の主要都市でも同様に起きた。事件はこれだけの地点で同時期に起こった。そして、どの事件でもその直前に不思議な笛を吹く少女の姿が目撃されている」

画面に表示されたのは、瞬と会ったあの少女だった。

瞬「!」

久保田「世界中のあらゆる国々で目撃された少女は、同一人物と断定された」

瞬が部屋から駆け出して行った。

耕一郎「どうしたんだ瞬?」
みく「瞬・・・瞬!」


デスネジロ。

シボレナ「実験は順調に進んでおります。ネオコウモリネジレが操る娘達はネジレ笛の音によって人間どもを凶悪化させ、世界の各地で事件を同時多発的に起こすことに成功しました」
ヒネラー「人間の姿をしていれば、地上界で怪しまれずに作戦を展開できる」
ユガンデ「流石はDrヒネラー」

そこへネオコウモリネジレからの連絡が入った。

ネオコウモリ「シボレナ様、167号がコントロールに従いません」
シボレナ「どういうことだ?」
ネオコウモリ「反乱の可能性も・・・」
ヒネラー「探せ!不良品は破壊するのだ」


瞬は昨日少女と会った枯れ木へ来た。少女は今日もいた。

少女「瞬。どうしてだろう、来ると思った」
瞬「君はどうしてここに?」
少女「私はここにしか思い出が無いから・・・」

そこへ健太達が追いついた。

みく「うそう」
健太「何だよアイツ、事件の最中に女と会うなんてよ」
みく「そうだよ、許せない!」
健太・千里「「ん?」」
みく「あ、ああ・・だってメガレンジャーなのに不真面目じゃん」
千里「はいはい、分かった分かった」
耕一郎「おい、あの子の顔・・・」

耕一郞達が少女の顔に気づいた。

健太「どけ!」

健太が飛び出し、少女に詰め寄った。

健太「てめー、瞬をたぶらかして、どうするつもりだ」
瞬「待て健太!やめろ!」

瞬が健太を少女から引き放した。

健太「何だよ、はなせよ!はなせよ!」
耕一郎「モンタージュにそっくりだってことは、お前も認めるだろ、瞬!」
瞬「それは・・・!だけど・・・」

そこへネオコウモリネジレが来て、少女に襲いかかった。

ネオコウモリ「見つけたぞ!お前を消す」
瞬「やめろ!」

瞬が飛び蹴りで、ネオコウモリネジレを少女から引き離す。

耕一郎「ネジレジア!なぜこの子を狙う!」
ネオコウモリネジレ「そんなことはどうでもいい!とにかくそいつは消す」
瞬「させるか・・・」

瞬がメガブルーに変身した。

ブルー「うりゃあ!」

メガブルーがネオコウモリネジレに飛びかかるもはねのけられた。

ブルー「バーチャルビジョン!」

危うし!ネオコウモリネジレ

ネオコウモリネジレが倉庫街に飛ばされた。

ネオコウモネジレ「何だこれは・・・」

ネオコウモリネジレの横を、白服の男が駆け抜け、彼を追って、黒服の男が5人来た。

ネオコウモリ「え・・・」

黒服の男達が白服の男へ発砲する。
かわした白服の男が黒服の男達へ撃ち返し、後ろのネオコウモリネジレが銃撃を受けた。
高台から撃ってくる黒服の男達を白服の男が撃ち倒し、その内の一人がネオコウモリネジレに当り、ネオコウモリネジレを倒した。
起き上がったネオコウモリネジレに白服の男が銃を突きつける。

ネオコウモリ「お、おい・・・何だお前は・・・」
白服の男が銃でネオコウモリネジレを殴ってから撃った。
ネオコウモリ「そんなバカな・・・」

ネオコウモリネジレが現実世界に戻った。

ブルー「どうだ、面白かったろう?」
ネオコウモリネジレ「おのれ!今に見てるがいい・・・」

ネオコウモリネジレが撤退した。


それから、少女はINETの施設で検査を受けた。
瞬達も、廊下で待っていた。

瞬「おそいな・・・」

そこに久保田博士が来た。

健太「あれ、久保田のおっさん」
千里「何してるんですか?」
耕一郎「彼女の事ですね」
久保田「検査の結果、彼女は人間でない事が分かった。
瞬「何ですって!?」
久保田「ネジレジアが作った・・・アンドロイドだ。敵の誘導波によってコントロールされるシステムが組み込まれていたが、何かのショックでそれが破壊されていた。そのため、敵の手を離れ、街を彷徨っていたんだ」
耕一郎「どうなるんです、彼女は?」
久保田「INET常任理事会の決定は・・・危険性があるとして・・・『解体せよ』」
瞬(!!)
久保田「結局は敵の作った、未知のメカだ」
瞬「・・・くっ!」
耕一郎「瞬!」

瞬が駆け出して行った。

警備員「止まれ!」

瞬は二人の警備員を蹴散らし、病室に入った。
瞬「起きろ!起きるんだ!」
少女「瞬・・・」
瞬「逃げよう・・・」

少女を連れて逃げる瞬のデジタイザーに久保田からの通信が入った。

久保田「やめろ、瞬!冷静な君がどういうことだ?」
瞬「俺にも分かりません!だけど・・・だけど・・・この子はこの子です!」
久保田「瞬・・・」
瞬「すみません!」

瞬が通信を切った。
瞬は、諸星学園の音楽室に少女を連れていった。

瞬「ここで待っててくれ。必ずあいつを倒してくるから」

瞬が少女にフルートを預け、少女が頷いた。

瞬「この学校の制服、きっと似合うよ」

そこにネオコウモリネジレが来た。
ネオコウモリ「そこまでだ!」

瞬がネオコウモリネジレに殴り飛ばされ、少女もネオコウモリネジレの攻撃を右腕に受ける。
少女の右腕の傷から、機械が覗いていた。

瞬「ああ!うお―!」

瞬がネオコウモリネジレに体当たりし、窓を突き破って、諸共に落ちて行った。

瞬「インストール!」

瞬がメガブルーにインストール。着地し、ネオコウモリネジレと戦う。
少女「瞬!」

メガブルーとネオコウモリネジレは戦いながら野原まで来た。

ブルー「うわ―!」


メガブルーはネオコウモリネジレに追い詰められた。

レッド「てやー!」

メガレッドがネオコウモリネジレを殴り飛ばした。
残るメガレンジャーも駆け付けた。

レッド「大丈夫かメガブルー」
ネオコウモリ「揃ったな、メガレンジャー!」
レッド「コウモリ野郎!今度こそ容赦しねえぞ!」
ネオコウモリ「ほざけ!殺人音波を食らえ!」

ネオコウモリネジレが放つ殺人音波にメガレンジャーが苦しむ。

ブラック「この前のように逆の音波をぶつければ音波を消せるはずだ!」
ピンク「OK!テレフォンサーチ!」

メガピンクがテレフォンサーチを行うも、「分析不能」と出た。

ピンク「そんな!分析できない!」
ネオコウモリ「コウモリネジレとは違うのだ!妨害ノイズを同時発信した特殊音波だ!」
レッド「何!?」
ネオコウモリネジレ「今度はこっちからだ!」
少女「私は・・・!」

右腕の傷を見返した少女は、自分の記憶を、ネジレジアのアンドロイドである事を思い出した。

少女「私は・・・!」

一同「うわぁ―!」
少女「瞬!」

攻撃されるメガレンジャー、そして手元にある瞬のフルートを見た少女は、瞬との記憶を思い返す。

少女(瞬―!)
ブルー「うわ――!」
少女「瞬――!」

メガブルーは、単身ネオコウモリネジレに挑むも、目からの光線を受け、倒れた。

レッド「メガブルー!」
ネオコウモリ「遊びは終わりだ!殺人音波で止めを刺してやる!」

ネオコウモリネジレが殺人音波を放ち、メガレンジャーが苦しむ。

ネオコウモリネジレ「苦しめ!苦しめ!・・・な、何だ、この音波は?」

少女が、フルートを吹きながら来た。

ネオコウモリ「貴様、167号!」
ブルー「どうして!?」
ネオコウモリネジレ「貴様、何のつもりだ!」

ネオコウモリネジレが殺人音波を放つも、ネオコウモリネジレの方が苦しみだした。

イエロー「メガピンク、サーチして」
ピンク「OK,テレフォンサーチ! 彼女のフルートからネオコウモリネジレと同じサイクルの超音波が出てる。それが共鳴してお互いの体にダメージを与えてるの。でも・・・このままだと、あの子の方が!」
ブルー「何だって!」
ネオコウモリネジレ「お前などにやられるオレ様では無い!」
ブルー「やめろ・・・やめろ・・・やめろ!やめてくれ!」
ネオコウモリ「フルパワー!!」

少女の体から火花が散り、少女が倒れた。
メガブルーが少女の傍に駈け寄った。

ブルー「大丈夫か!?」

メガブルーが瞬に戻る。

瞬「しっかりしろ・・・」
少女「瞬・・・」
瞬「どうして・・・こんなことを・・・」
少女「瞬を・・・助けたかった」

少女が瞬にフルートを返した。

少女が瞬をはねのけ、ネオコウモリネジレの方に走り出した。

少女(さよなら、瞬・・・・・)

少女はネオコウモリネジレの前で大爆発した。

瞬「うわ―――っ!!」
ネオコウモリ「馬鹿な奴め」

瞬「・・・許せない!絶対に許せない!」

瞬がメガブルーにインストールした。

メガブルーがフルートを高く放り投げた。

ブルー「うわーーーーー!」

メガブルーはメガトマホークを構え、ネオコウモリネジレに向かう。
ネオコウモリネジレの光線にも怯まず、ジャンプからの回転斬りをネオコウモリネジレに炸裂させ、そのまま滅多斬りにし、一撃を腹に叩き込んだ。

ネオコウモリ「!」

ネオコウモリネジレはメガブルーの首を掴むも、メガブルーはメガトマホークをメガスナイパーと合体させ、トマホークスナイパーにした。

ブルー「うおーーーー!!」

トマホークスナイパーのゼロ距離射撃がネオコウモリネジレを撃ち抜いた。
メガブルーは落ちてきたフルートを受け止めた。

ビビデビ「ビビデビビ―!カプ!」

現れたビビデビがネオコウモリネジレに噛みつき巨大化ウイルスを注入し、ネオコウモリネジレが巨大化した。

レッド「メガブルー!」
ブルー「・・・ギャラクシーメガ!!」

メガレンジャーの乗るメガシャトルとメガシップが宇宙空間で合体し、ギャラクシーメガになった。
メガサーベルを構えたギャラクシーメガが大気圏突入し、地球に戻っていく。
ネオコウモリネジレが飛び上がり、ギャラクシーメガに挑む。

ブルー「ウワァァァ!!」

瞬が、メガブルーが吠え、メガサーベルの刃が輝いた。
メガサーベルの一撃がネオコウモリネジレを切り裂き、
ギャラクシーメガが着地した直後、ネオコウモリネジレは空中で大爆発した。


戦い終わって、瞬は一人佇み、健太達は遠くから見ていた。

少女(瞬・・・)
健太「バカ、何でお前が泣いてるんだよ?」
みく「だって・・・どうしたら、瞬のこと励ましてあげられるか、分かんないんだもん・・・」
千里「みく・・・」
耕一郞「みく・・・」
千里「明日会ったらいつものみくのままで、「おはよう」って言えばいいんだよ・・・」
みく「うん・・・」

瞬が空を見上げる。



(つづく)

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最終更新:2024年11月10日 13:26