トランスフォーマー 超神マスターフォースの最終回


人類の平和を脅かす凶悪なデストロンと、
地球の平和を守るサイバトロンとの
宿命の決戦が開始されて、長い月日が経つ。

残虐非道を極めるデストロン。
正義の怒りを爆発させたゴッドジンライ以下は、
デストロンの海底基地を爆破し
極悪のブラックザラックが陣取るマッターホルンに
攻撃をかけた。

そして遂に、ブラックザラックとゴッドジンライの
命をかけた対決のときが来た──!




戦闘(たたかい)……そして



マッターホルン山頂で、ゴッドジンライと、デストロン総統デビルZの憑依したブラックザラックが対峙している。

ブラックザラック「グハハハハ! このわしと一対一で勝負をする気か? ゴッドジンライ!」
ゴッドジンライ「地球人類を全滅させようとするお前の狙い、俺の命にかけて止めてやる!」
ブラックザラック「ビッグトランスフォーム!」
ゴッドジンライ「逃げるか、ブラックザラック!?」

ブラックザラックがサソリ型戦艦に変形して飛び去るが、ゴッドジンライはその上に飛びかかる。

ブラックザラック「えぇい、うっとうしい奴だ! 貴様ごときを相手にしている時間はない!」
ゴッドジンライ「何ぃ、それはどういうことだ!?」
ブラックザラック「フン、教えてやろう。南極の地軸上にデビルサンダーのブースターが完成しているはず。そいつで一気に人類をやっつけてしまうのだ。グハハハハ!」
ゴッドジンライ「そんな計画を進めていたのか……」
ブラックザラック「フン! 命乞いをする気なら、お前1人くらい助けてやってもいいぞ。フフフ……」
ゴッドジンライ「ふざけるなぁ! 南極へは絶対に行かせん!」
ブラックザラック「クッ、オーバーロード、ハイドラー兄弟、わしに忠誠を尽くす最後のチャンスだ。邪魔なこいつを叩きのめせぇ!」


同じ頃、秀太たちの危機を身をもって救い
負傷したホークは、
ミネルバの手当てを受けていた。

メタルホーク「ミネルバ、ありがとう。おかげで元気を取り戻したよ」
ミネルバ「良かった…… でもまだ、無理をしない方が」
メタルホーク「司令官から連絡は?」
グランド「今のところ、何も」
ゴーシューター「連絡があれば、僕たちが出動します。心配しないで、ゆっくり休んで下さい」
メタルホーク「いや、そうもしていられない。大事な決戦のときだからね。ダイバーたちも呼ばなくては」
グランド「ホーク、彼らには被災地救援の任務があるし、司令官の指示を待ってからの方がいいと思うが」
メタルホーク「うん、そうだな。しかし、司令官とブラックザラックは、どうなったんだろう?」


ゴッドジンライは、ブラックザラックの行く手を阻んで奮闘を続けている。

ブラックザラック「ぐぅっ、しぶとい奴め! オーバーロード、ハイドラー兄弟、何をしているぅ!?」
ゴッドジンライ「くっ…… えぇい!」
ブラックザラック「こいつを喰らえ!」
ゴッドジンライ「ぐわぁぁっ!?」

ブラックザラックの攻撃を受けながらも、ゴッドジンライは渾身の力で、艦体の砲塔を引きちぎる。

ブラックザラック「うぅっ、貴様ぁ!?」

ゴッドジンライが攻撃をかわし、ブラックザラックの艦体の裏側に回りこむ。

ブラックザラック「馬鹿め、最期だぞ!」

ブラックザラックのサソリの脚がゴッドジンライを捕え、尻尾の尖端がゴッドジンライを狙う。
ゴッドジンライがすかさず触手を砕き、脱出する。
ブラックザラックは、自分自身のビームを食らってしまう。

ブラックザラック「うぅっ!?」

ゴッドジンライが、ブラックザラックの上に馬乗りになる。

ゴッドジンライ「何としても南極には行かせん! どうだぁ!」
ブラックザラック「ぐぅっ…… こいつ! 今度こそやっつけてやる!」

さらに尻尾がゴッドジンライを狙う。
ジンライは攻撃をかわし、ブラックザラックはまたも自分のビームを食らう。

ブラックザラック「おわぁっ!?」

ゴッドジンライがブラックザラックを締め上げ、背のバーニアを吹かして急降下する。

ブラックザラック「うぅっ…… わしをこの勢いで叩きつける気だな? そうは行くかぁ!」

2人が真っ逆さまに落ちて行く。
地表激突の寸前、ブラックザラックがゴッドジンライを跳ね飛ばす。

ゴッドジンライ「がぁ──っ!?」
ブラックザラック「氷詰めにしてやる! フハハハハハ!」

ゴッドジンライが氷上に叩きつけられる。
ブラックザラックがビームで氷を砕き、ゴッドジンライ目掛けて大量の氷片が降り注ぐ。


その頃、ハイドラーとバスターは。

ハイドラー「おい、バスター、大丈夫か?」
バスター「ふぅ…… 死ぬかと思ったぜ」
ハイドラー「馬鹿言え、俺たちはもう人間じゃないんだ。新しい生命体なんだぞ。そんなに簡単に死ぬわけがないじゃないか」
バスター「わかっている、もう人間には戻れないことも…… デビルZ様は、俺たちのことを本気で()ったんだろうか?」
ハイドラー「俺たちは忠誠を誓ったんだぞ。未熟な腕を戒めただけさ。もう俺たちは迷ってられないんだ。生き残るためには戦うしかない!」

そこへサイバトロンのゴッドマスターたちが現れる。

ロードキング「いたぞ! ハイドラー兄弟だ!」
ハイドラー「来たな、サイバトロンども!」
ライトフット「かなり痛手を受けているようだな」
ロードキング「それじゃあ、まともに戦えんぞ」
ハイドラー「うるさい、甘く見るな!」

戦闘が開始される。
ダメージを負っているハイドラーたちは、次第に劣勢に追い込まれる。

ライトフット「いい加減にしろ! そんな体で我々に勝てるわけがないだろう! なぜ戦うのだ!?」
ロードキング「そんなに死にたいのか!?」
ハイドラー「フン、笑わせるな! 死ぬのはそっちだ!」


マスターフォース能力を失ったデストロン・ヘッドマスターJr.(ジュニア)の少年たちとクラウダー。
デビルZに一矢報いるべく、手製の武装ジープで戦場を目指している。

クラウダー「どうだい! こいつならマッターホルンの近くまで登って行けるぜ」
キャンサー「あぁ、最高だぜ! 武器も強力なのをやたらくっつけたし、これなら戦えるぜ!」
ブルホーン「まったくだぜ。何しろ、これからって大事なときに、ロボットになれなくなっちまったんだからなぁ」
ワイルダー「言っとくけどなぁ…… 俺は本気でサイバトロンに就いたわけじゃ、ないんだからな」
キャンサー「わかってるって、ワイルダーの気持ちは」
ワイルダー「どういう意味だよ、そりゃあ!?」
キャンサー「本音を吐くと照れくさいからだろ? くくくッ!」
ワイルダー「茶化すな! 俺ぁ本気だぜ!」
キャンダー「いいからいいから」
ワイルダー「キャ、キャンサー! てめぇなぁ!」
クラウダー「急ぐぜっ! しっかり掴まってなよ!」


ブラックザラック「ゴッドジンライ! 氷の下で永久に眠れ! フハハハハ!」

氷の山の中からゴッドジンライが飛び出し、キックを放つ。
ブラックザラックが、氷の大地にめり込む。

ゴッドジンライ「それぇ!」
ブラックザラック「ぐぉぉぉ!?」
ゴッドジンライ「サソリの氷漬け、一丁上がりだぁ! 一思いに地獄へ送ってやるぜ!」
ブラックザラック「馬鹿者! 若造は気の早いのが命取り! ビッグトランスフォーム! タイラントスピア!」

ブラックザラックがロボットモードに変形する。

ゴッドジンライ「往生際の悪い奴だな」
ブラックザラック「何をぬかす? くたばるのはお前だぁ!」
ゴッドジンライ「そう簡単にやられるか!」

ロボットモードとなっても互いの攻撃の応酬で、勝敗はなかなかつかない。

ゴッドジンライ「くそぉ!」
ブラックザラック「デビルサンダーリ──ング!」

スピアから放たれた無数の光の輪が、ゴッドジンライを取り巻く。

ゴッドジンライ「おわあぁ──っ!?」
ブラックザラック「どうだ! 苦しいか、ゴッドジンライ! ハイドラー兄弟同様、これで貴様を人間から新生命体に変えてやる! それでもわしと五分には戦えまい! ワハハハハ!」
ゴッドジンライ「くっ…… くそぉ、俺の肉体を奪われてたまるか!」


戦艦マキシマスの艦内。
ヘッドオンを解いて艦内にいる秀太とキャブが、グランドと共に計器類を見つめる。

グランド「すごい磁気嵐だぞ。これじゃ、何もわからん」
秀太「司令官の身に、何か起きたのかなぁ」
グランド「それは、何ともいえないが…… とにかく、これは只事ではない。すさまじい戦いが行われているんだ」
キャブ「くそぉ、これじゃ司令官と交信することもできやしない」
グランド「よし、異常事態だ。我々も行ってみよう」
メタルホーク「何事だ?」
グランド「異常な磁気嵐で、司令官と連絡がとれない。見て来る」
メタルホーク「私も行く!」
ミネルバ「過激な行動はまだ……」
メタルホーク「ここにいても、気がかりなんだ」
グランド「ホーク、こっちに任せてくれ。何かあったらすぐに報せる」


ブラックザラック「しぶとい奴め…… いい加減に往生しろ!」
ゴッドジンライ「ぐわぁぁ──っ!」
グランド「司令官!」

マキシマスが飛来する。

ブラックザラック「むっ、グランドマキシマス、邪魔しに来たか!?」
グランド「司令官、今の内に!」
ゴッドジンライ「おぅ! ゴッドキャノン! 受けてみろぉ!」
ブラックザラック「ぐおおぉぉっ!?」

ゴッドジンライがデビルサンダーリングを振り切り、ブラックザラックを砲撃する。
さらにゴッドジンライのパンチ、キックの応酬。
渾身の鉄拳で、ブラックザラックの頭部がちぎれ飛ぶ。

秀太「やったぁ! やったぁ! 司令官がブラックザラックをやっつけたぞ!」
グランド「喜ぶのはまだだ!」
ブラックザラック「トランスフォーム!」

両腕がヘビの頭となり、下半身が尻尾となり、ブラックザラックが双頭のヘビと化す。

キャブ「何だ、ありゃあ!?」


一方のギガとメガ。

メガ「私はもうデビルZ様については行けない…… 同志すら攻撃するデビルZ様、いやデビルZ。何が真の狙いなのかわからない」
ギガ「その通りだ。しかし俺は、誇りを捨てたくない…… ゴッドジンライには借りがある」
メガ「わかっている。まず私たちがやるべきことは、ただひとつ!」


ライトフットたちとハイドラーたちは依然、戦闘を続けている。

ハイドラーたち「トランスフォーム! 合体・ダークウイングス!」

ハイドラーとバスターが合体してダークウイングスとなり、空へ飛び去る。


双頭のヘビとなったブラックザラック = デビルZの猛攻で、ゴッドジンライが窮地に陥る。
そこへオーバーロードが現れる。

デビルZ「オーバーロード! 名誉挽回のチャンスをやる。奴をやっつけろ!」
オーバーロード「喰らえぇ!」

オーバーロードの銃撃が、デビルZに命中。

デビルZ「おぉっ!? な、何をする!?」
オーバーロード「借りを返すぞ、ゴッドジンライ!」
ゴッドジンライ「オーバーロード!?」
デビルZ「オーバーロード…… 貴様ぁ! 裏切り者がどうなるか思い知れ!」

デビルZの放つビームで、オーバーロードが巨大な光球に包まれる。

オーバーロード「ぐあっっ!? ゴ、ゴッドジンライ! や、奴を生かしておくな、奴を…… ぐわああぁぁ──っっ!?」
ゴッドジンライ「オーバーロード!?」

光球の中から、ギガとメガがボロボロの姿で、放り出される。

ゴッドジンライ「あぁっ……!?」

驚愕するゴッドジンライに、デビルZのビームが炸裂する。

ゴッドジンライ「うわぁっ!?」
秀太「司令官!?」

マキスマスもデビルZのビームを喰らい、大地に叩きつけられる。

秀太「わあっ!?」

光球の中から、オーバーロードが現れる。
人間の心を失ったその顔には、これまでない邪悪な表情が浮かんでいる。
デビルZの連続攻撃で、ゴッドジンライは地面に叩きつけられるが、なおも力を振り絞って起き上がろうとする。

ゴッドジンライ「ぐぅぅ……!」

その闘志に呼応するように、待機中のミネルバが何かを直感する。

ミネルバ「はっ……!?」

マキシマス艦内の秀太とキャブにも、異変が起きる。

秀太・キャブ「あぁっ……!?」
ミネルバ「あ、熱い! あぁっ……」
キャブ「体が…… 熱い!」
秀太「燃える…… はっ!」
秀太・キャブ「ゴッドジンライ!?」
ミネルバ「ゴッドジンライ!!」

秀太、キャブ、ミネルバが次々に、ゴッドジンライの胸のゴッドボンバーのコクピットへと転送される。

秀太たち3人「ゴッドジンライ!!」

新たな力が漲り、ゴッドジンライが力強く立ち上がる。

ゴッドジンライ「うおぉぉ──っ! ゴッドパンチ!」

ゴッドジンライの放つ両拳がデビルZに炸裂。

ゴッドジンライ「ギガ、メガ!」
ギガ「最後の決着…… 着けられなくて、残念だ……」

ギガとメガが力尽き、両腕からマスターブレスが消える。

オーバーロード「くたばれぇ! ゴッドジンライ!」
グランド「ビッグトランスフォーム! お前の相手は私がする!」

グランドが変形してグランドマキシマスとなり、オーバーロードの攻撃を食い止める。
しかしなお、ワイルダーたちを見捨てたデストロン・ヘッドマスターJr.たちが襲い来る。

デビルZ「ゴッドジンライを地獄へ叩き落せ!」
ライトフット「司令官、そいつらは我々が引き受けます!」

ライトフットたちが駆けつけ、ヘッドマスターJr.たちと応戦する。

ゴッドジンライ「よし、頼むぞ! デビルZ! 罪なき善良な人類ばかりか、共に戦った忠実な部下をも殺すお前を、絶対に許せん!」
デビルZ「何をほざいておる! このわしが人間如きに説教されるなど、片腹痛い! 死ねぃ!」

デビルZの放つビームを、ゴッドジンライは真正面で受けながらも跳ね返す。

ゴッドジンライ「ゴッドファイヤーガ──ッツ!

ゴッドジンライが火の玉と化して、デビルZに体当たりする。
しかしゴッドジンライの必殺技もまた、跳ね返される。

ゴッドジンライ「ぐぉぉ!? すごいパワーだ……!」
デビルZ「フハハハハ! 教えてやろう。ゴッドマスターを生命体として甦らせたのは、このデビルZ様なのだ!」
ゴッドジンライ「何だって!?」
デビルZ「貴様らは道具に過ぎん! だからどうあがいてもわしには絶対に勝てんのだ! フハハハハ!」
ゴッドジンライ「言うことはそれだけか、デビルZ? では俺も教えてやろう。お前は大きなミスを犯した。それは、俺たち地球人類の力を、可能性というものを見くびったことだ! 見ろ、この美しい地球を!」

ゴッドジンライの背後に、大自然が広がっている。

ゴッドジンライ「すべての人間は無限の可能性を持っている。みんなそれを信じて生きているんだ。お前なんかにやられてたまるかぁ! ゴッドファイヤーガ──ッツ!!

デビルZのビームが降り注ぐ中、ゴッドジンライが再び火の玉と化し、捨て身で体当たりする。
渾身の攻撃が、ブラックザラックのボディを打ち砕く。
そしてその中から、デビルZの本体であるエネルギー生命体が現れる。

デビルZ「ゴッドジンライ! わしを怒らせたなぁ!!」

ジンライ、秀太、キャブ、ミネルバが、デビルZを睨みつける。
4人の生命力が、炎のように燃え上がる。

ゴッドジンライ「ファイナルファイヤ──ガ──ッツ!!
デビルZ「おわああぁぁ──っっ!?」

ゴッドジンライが燃え盛る巨大な火の玉となって、デビルZに体当たりする。
大爆発──!

オーバーロード「デビルZ様がやられた……!?」

デストロンたちが空の彼方へと飛び去る。

ライトフット「司令官……!」

ゴッドジンライが、地上に舞い降りてくる。
一同のゴッドオンとヘッドオンが解け、もとの人間の姿に戻る。

ミネルバ「あら……? あっ、ブレスレットがなくなってる!」

いつの間にか、一同のマスターブレスがすべて消えている。

ジンライ「あぁっ!? 俺もだ!」
秀太「あぁっ……」
キャブ「あれ……!?」
ロードキング「あっ、あそこを見ろ!」

人間の姿でいるジンライたちの前に、ゴッドジンライたちサイバトロンがロボットモードで勢揃いしている。

秀太「あぁっ……」
ミネルバ「あれは!?」
ゴッドジンライ「みんな、長い間ありがとう」
ミネルバ「えぇっ?」
ジンライ「そうか…… デビルZが死んだので、俺たちと彼らが分離したんだ!」


デストロンたちが、宇宙へと逃げ去っていく。

オーバーロード「ゴッドジンライ! 戦いが終わったと思うなよ!」


ゴッドジンライ「デストロンの生き残りは宇宙へ逃げました。我々は追って行きます!」
グランド「私も宇宙へ帰るときが来た。みんなを乗せて行こう」
ジンライ「ゴッドジンライ司令官──! デストロンをやっつける任務の交代、よろしく──っ!」
ゴッドジンライ「任せてくれ。じゃ、いずれまた逢おう!」


ワイルダーやクラウダーたちは戦いが終わったことも知らず、ジープを飛ばす。

一同「ヤッホ──!」「行け行け──!」「やっつけろぉ!」「たとえ敵わなくても、デストロンに一発喰らわせてやるぜぇ!」


サイバトロン一同を乗せたグランドマキシマスが地を離れ、空の彼方へと飛び去る。
ジンライたち一同が、それを見送る。
ミネルバが大きく手を振る。



ジンライたちは、遂にデストロンを
地球から追放し、その役目を完了した。

苦しいデストロンとの戦いの中、
いつもジンライを支えていたのは
共に戦う仲間、共に地球上に生きる者、
美しい自然と平和──!



(終)

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最終更新:2014年07月15日 04:25