機械神たち「裏切り者め」
「どうしても虫ケラ同然の地球人に味方するというのか?」
「なぜだ!?神の中の神とまでいわれたおヌシが!?」
「なぜだZ神!?」
Z神「いかに文明が低くても知性ある人々を我々の勝手にしていいものではない!それは宇宙で神にもっとも近づいた我らのやるべきことではない!」
機械神たち「Z神よ!大神ウラノスの命令をきけぬというのなら、死あるのみ!辺境の星、地球で果てるか!」
「ゆくぞ!」
古代ギリシア。人々が逃げ惑う中、Z神と三体の機械神の戦いが始まった。
Z神「ウオオオォ」
機械神「Z神!」
「ギャッ」
Z神の槍の一撃が、機械神の頭をはね飛ばした。
続けて、胴体も縦真っ二つに切り裂かれた。
機械神「おのれZ神!」
更にもう一体の機械神がZ神の一撃で腰から真っ二つにされた。
避難した人々はZ神と機械神の戦いを眺めていた。
人々「戦っている。我らのために、我ら無力な民のために」
「ゼウス様が戦っている!」
「たった一人で数多くの神々に戦いを挑んでおられる!」
「ゼウス神こそ我らの神だ!」
残る一体の機械神をZ神が倒すと、巨大UFOが浮かび上がり、飛び去っていった。
UFOの中には、もう三体の機械神たちがいた。
機械神たち「思いもよらぬ事件だ!超神戦士といわれたZ神が裏切るとは!?」
「信じられない!サルと変わらぬ地球人ごときに味方するとは!?これは急ぎオリンポスに報告せねばならない!」
UFOは、宇宙空間の巨大母艦に向かっていった。
現代。
少年、兜甲児達がサッカーをしていて、少女、弓さやか達が観戦していた。
女子「わっわ、すごい。甲児君行くよ」
さやか「う・・・うん」
甲児「おりゃあ~っ」
甲児がシュートを放った。
相手キーパー「うおっ!と!」
甲児のシュ-トは相手のゴールに入った。
甲児「イエーイ」
味方たち「ワアアー、やったァ――」
「チッ、またも兜のロングシュートで決まりかよ」
甲児「ホ~~~ッ、やったやった―――」
さやか「甲児――――」
甲児がさやか達の方に駈け寄った。
甲児「オーホ~~、さやか---、今のシュート見てたか?」
さやか「もっと早く決められたんじゃないの?」
甲児「え~っ、なんてこというんだよー。あれがベストだぜ!」
さやか「その前のボール、手をぬいてたよッ」
甲児「シッ!それはいうな!先輩たちが気を悪くする!テヘヘ・・・オレって何かと目立つんでよ、気くばりが大変なんだぜ!」
さやか「それで私との約束は?」
甲児「約束?なんかした・・・?、あれっ、?」
さやか「これだもんねー、もオ~~~。幼なじみのさやかには気くばりなし!」
甲児「いや、そんなこたーねーよ、アッ。あれかー、ダチの見てる前でさやかとキスをするという・・・」
さやか「ン!」
女子「あら~」
さやかが甲児の顔をはたいた。
さやか「そんな約束するわけないでしょ!」
甲児(なにも本気でぶたなくても・・・)「クシュン」
さやか「私たち古代史研究会の旅行に参加してくれるっていったじゃない!今話題の背臼山遺跡・・・日本で初めてギリシャ風の石作りの柱や階段が発掘されたって・・・私たちの研究会、女子ばかりだから・・・男子のボディーガードが必要なの」
甲児「OK!イエーイたしかに女子だけの山登りは危ない」
ムチャ「男子も兜一人じゃかえってよくない」
甲児「ア・・・ムチャにボス」
ボス「オレたちもいっしょに行くぜ・・・」
女子(ポニーテール)「ふえちゃった、予算オーバー」
さやか「ま・・・いっか?」
女子(おかっぱ)「多い方がいいよ」
甲児たちは新幹線で背臼山に向かった。
Z神(来る!やつらが来る!)
Z神は、右目の辺り以外の皮膚が剥がれ、朽ち果てかけていた。
Z神(目覚めねば・・・早く目覚めなくては・・・やつらに地球を渡してなるものか!)
(動かない、体が・・・不死身のはずのオレの体が動かぬ。眠り続けたせいか・・・?何百年、何千年か・・・?いったいどれほどの時が過ぎたのだ!?そうだ・・・あの時、オレは・・・)
(オリンポスから派遣された機械神軍団に立ち向かったのだ!ひ弱な地球人を守るために!)
海。Z神が機械神の大軍と戦う。
一体の機械神が触手でZ神を縛り、電撃を流す。
Z神「ウオオオ」
爆発が起きたが、Z神は無傷で、機械神の腹に穴が開いていた。
Z神は更に機械神と戦い続ける。
現代。背臼山行きの新幹線の中、ボスは駅弁を食べていた。
甲児「ボス、おまえいくつ食うんだ」
ボス「へへへ、旅の楽しみは駅弁だぜ」
甲児「とはいっても、三つも四つも食うな。オまで食いたくなるぜ!」
ボス「ハハハハ、うめーぞ。おめーも買やよかったのに」
甲児「ところでさやか、日本にギリシャ式の柱が出たのがそんなに大事か?」
女子(おかっぱ)「もち、ねー弓部長」
さやか「そうよ。古代に日本とギリシャとつながりがあったという重大な証拠よ」
女子(おかっぱ)「しかもどうやら四千年以上前の遺跡らしいって・・・紀元前二千年以前ってわけ」
さやか「古代文明発祥の地といわれるギリシャでもほとんど神話の時代よね」
ムチャ「古代ギリシャは紀元前二千五百年前ぐらいから・・・だっけ甲児!?」
甲児「オレ知らねーなー、そんなの習ったっけ・・・?」
ムチャ「甲児は寝てた」
ボス「ウヘヘ、オレもだ」
さやか「とにかく日本じゃ何もない時代よ。邪馬台国のヒミコだって紀元前二~三世紀でしょ・・・だから歴史がひっくりかえるぐらいの騒ぎななわけ!」
甲児達は背臼山に着いた。
甲児「ウへー、けっこう高い山じゃん、あれ登るのかよ?」
さやか「そうよ、ちょっとしたハイギングでしょ。背臼山・・・名前が謎めいていて面白いでしょ」
甲児「背臼山の何が謎だい?」
さやか「背臼ってゼウスに似てるでしょ」
甲児「ゼウス?」
さやか「やだ~~~っ、ゼウスも知らないの?ギリシャ神話読んだことないの?」
甲児「ないない、ゼウスってなんだ?」
さやか「ギリシャ神話の最高神がゼウスなの。神々の王といわれる神の名よ。天空を司る神でもあるわ」
甲児「空の神様か・・・海の神様とかもいるのか?」
さやか「海の神様はポセイドン、ゼウスの兄弟よ!ギリシャ神話は神様だらけ、いろんな神様がい~っぱいいるの。神様同士でケンカもすれば戦争もするし、恋愛も浮気も」
甲児「へー。ずいぶん人間くさい神様たちなんだ・・・」
さやか「日本の神話も八百万の神様といって八百万もの神様がいるし、インド神話にしてもたくさん神様がいるわ・・・もしかすると、そうした神様のモデルとなった何かがたくさんいたのかもネ」
甲児「何かって?」
さやか「古代の人達が神様としか思えなかった何かよ!・・・・例えば・・・古代人には魔法に思える科学力とか・・・人間以上のすごい力だとか・・・もしかしたら別の星から来た宇宙人かも・・・」
甲児「なるほど、そうだったら面白いや」
女子(ポニーテール)「フウー、ハアきつい・・・棒田君、体重重そうなのに平気ねー」
ボス「バーロー、この棒田進、柔道部キャプテンはダテじゃねえ。足腰の鍛え方がちがうぜ!」
女子(おかっぱ)
ムチャ「ボスもこういう時もてるんだ」
甲児「アッ」
さやか「あった、あれだわ」
甲児「でも何か立ち入り禁止みてーだぞ」
遺跡には、既に調査隊が来ていた。
女子(おかっぱ)「たくさん人が働いてる」
さやか「大丈夫、知り合いがいるの。連絡もしてあるわ!」
抜田「オウ、さやか君来たか」
さやか「抜田教授、大勢で来ちゃいました」
抜田「けっこうけっこう。今どき考古学なんぞに興味をもってくれる若者がいるなんてうれしいよ。さすがは弓教授のお嬢さん、さっそく案内してあげよう」
さやか「私のパパのお友達、抜田先生よ」
甲児「コンニチハー、ムケタ先生、いや・・・ヌケタかな・・・」
ボス「コンチハ、ヌケさん」
さやか「んっ!?」
甲児「ワッ、スゲェ―――、こんなにスケールのでけーもんなのかあ―――」
さやか「こ・・・こんなにすごいの?新聞にのってなかったわ」
抜田「ふっはは、おどろいただろう?」
甲児「こいつはまるで巨人の神殿だぜ」
さやか「古代の神様、宇宙人説が現実味をおびてくるわ!」
ボス「ふへ~~~」
Z神(動かない!なぜだ!?ボディー機能のチェックに何ら問題がない!なのになぜ動けない!?動け!ウオッ)
Z神が体を震わせると、遺跡で地震が起きた。
隊員「地・・・地震!!危ないぞ、遺跡から出ろ!全員避難!」
「わ――」
さやか「きゃ~っ」
調査隊とさやか達は遺跡から脱出した。
抜田「いやーなんとか地震がおさまった。一部天井が崩れたのは残念じゃが、再建できるじゃろ・・・」
さやか「ハッ!甲児君がいない!」
ボス「!」
ムチャ「えっ!?」
甲児は遺跡の地下に落ちていた。
甲児「ううう、ゲホゲホ、う~~ん。う~~まずったぜ~~~、いきなり床にすき間があくだもんな~~、ずいぶんすべり落ちちまった!クソー、体中が痛えや・・・」
「ウーン、でも大きいケガはなさそうだ・・・」
甲児「ゲゲ~ッ、スゲエー高えー、一人じゃとうてい登っていけねーぞ!?ど・・・どどど、どうしよう、オーイだれかー!オオ~イ、だれか助けてくれー、オーイ」
「ゲッ、返ってくるのはコダマだけかよ!えれーことになった!」
?(そこにだれかいるのか?)
甲児「えっ!?」
甲児の目前にZ神の顔があった。
甲児「ウワアア~ッ、ウワアーッ!!たたた・・・・!!」
Z神(助けてくれ!少年!!)
甲児「えっ!?」
Z神(力を貸してくれ!君の力を!!)
甲児「!」
Z神の頭が開き、中から小型ロボットがすべり落ちてきた。
甲児「うわああっ」
さやか「お願い、早く甲児君を助けて!」
隊員「まだ危険だ。まだまだ天井が崩れる可能性がある!それにレスキュー隊がまもなく到着する。専門家にまかせた方がいい」
さやか「でも」
「まだ神殿が揺れているぞ!!」
神殿からZ神が出て来た。
隊員たち「うわああああ、何だアレは~!?」
「わあああ~っ」
「わあ~~っ」
「ぎゃあ~」
さやか「きゃあ~っ、巨神!巨神だわ!!あれが古代神話で神と呼ばれたものでは!?」
ボス「うおっ、しかし!神というよりロボットのようだぞ、巨大ロボット!」
ムチャ「ウソ-」
隊員達「うわあー、こっちへ来るぞーっ!」
「に・・・逃げろ-」
「うわっ」
「わ~っ!追い抜かれたーっ」
Z神は、その場から立ち去っていった。
隊員たち「もうあんなに遠くに・・・」
「ゆっくり歩いてるように見えるけど、一歩一歩がでかいからだ」
ボス「スゲエー」
女子(ポニーテール)「どうしたの弓さん」
さやか「あ・・・あの巨神の頭・・・」
女子(おかっぱ)「え?」
さやか「頭のところに甲児君が・・・・甲児君が乗っていたのよ!!」
ボス「な・・・なんだって!?ホントか、さやかさん!」
さやか「たしかに見たわ!あれは甲児君!」
さやかの言う通り、Z神の頭には甲児が乗っていた。
その頃、市街地では・・・
市民たち「ン!?なんだアレは?」
「流れ星?それにしちゃやけに明るい」
「夕方なのにあんなに見えるか?」
その流れ星は町に落ちた。
市民たち「なんだ!?なにか落ちたぞ!」
「隕石か?UFOか!?」
「わわッ」
流れ星の正体は、獣の様な姿をした巨大ロボット、機械獣だった。
機械獣は町を破壊し、人々を蹂躙していく。
甲児「Z神よ!おまえの頼み!この兜甲児がたしかに聞いたぜ!!約束は必ず守る!おまえがくれたこの魔神の力で地球を守る!!こいつの悪魔のごとき破壊力を使い、神のごときやさしい心で!!オレが世界を救う!!!」
(続く)
最終更新:2018年04月02日 10:50