UFO戦士ダイアポロンの最終回


母さんの涙が
宇宙に平和を呼んだ!!




タケシは単身ダザーン星へ乗り込み、ついに囚われの身の母、クイーン・アポロンのもとに辿り着いた。
だがクイーンは檻に閉じ込められ、その檻を開放するスイッチは、ダザーン星の爆破装置に連動している。
クイーンを救うことはダザーン星の最期に繋がり、ダザーン軍団はおろか、罪のないダザーン星人たちまでもが滅んでしまう。

クイーン「ダイアポロン、スイッチを押してはなりません! このダザーン星の人々の命はどうなります!?」
タケシ「こうしなきゃ、母さんは……」
クイーン「私のことより、エナルジーハートを捜し出すのです。そしてこの死の星を、緑の惑星に甦らせるのです」
タケシ「母さん!」
クイーン「ダイアポロン……!」

ダイアポロンは、
遥か宇宙の彼方にあるダザーン星で、
やっと母に巡り逢うことができた。

しかし、そこにはすでに、
ダザーン星を爆破する装置が
仕掛けられていたのであった。
そのとき!

ダイアポロンを遥かに上回る巨大ロボット、メカ巨人ザ・ヘルが現れる。

ダザーン「ワッハハハハ! ザ・ヘル! 一気に叩き潰すのじゃ!」

タケシはやむを得ず、スペースクリアーで飛び立ち、ダイアポロンに合身する。

タケシ「よぉし、行くぞ! ダーイアーポロ──ン!!

ダイアポロンが先制攻撃の飛び蹴りを見舞うが、ザ・ヘルには通用しない。

タケシ「カッターソーサー!
クイーン「ダイアポロン、早く逃げるのです!」

ダイアポロンの攻撃はまったく通じず、逃げる間もなく、ザ・ヘルに傷め続けられる。

クイーン「あぁっ、ダイアポロン!」
タケシ「うわぁぁ──っ!」

そこへニューアポロン基地が飛来し、ザ・ヘルにミサイルの雨を見舞う。

タケシ「あれは、ニューアポロン基地!?」
ラビの声「ダイアポロン様、今です!」

ダイアポロンが、ニューアポロン基地と共に退却する。

タケシ「ラビ、ありがとう!」
五郎「タケシ、わしらもいるぞ!」
松男「もう安心だよ、タケシ兄ちゃん」
タケシ「みんなも来てたのか!」
ラビ「お話は後です。敵が迫っている。あの谷へ!」

ダイアポロンとニューアポロン基地が、谷底に退却、タケシが基地に帰還する。

タケシ「逃げようと思えば、逃げられたんだ。だけど母さんは、このダザーン星を緑の星にしろと……」
ラビ「そうだったのですか…… しかし、エナルジーハートを作動させるには、胸にあるキーエナルジーを取り出さなくてはなりません」
タケシ「あっ、そうか。そうしたら俺は、もう二度とダイアポロンに合身できない!」
ミキ「タケシ。やはり、お母さんを救う方が先よ」
松男「こんな星なんか、どうなったっていいじゃん」
ヒデキ*1「どうもこの星には、大きな秘密の地下道があるらしいんです。うまく行けば地下を伝って、敵の本拠に乗り込めそうです」

一同は土を掘り、地下道へと入ってゆく。

ラビ「お気をつけて! いざというときは、私を呼んでください」
タケシ「あぁ、わかった」
ヒデキ「方角からすると、あっちの方です」

一同が地下道を進む。
やがて広大な地下空間が広がり、多くの人々がみすぼらしく暮している。

ミキ「あれは……?」
ヒデキ「ダザーン星人の村ですよ。これじゃまるで、原始時代の生活です」
五郎「あんなにすげぇ軍団を持ってるのに……」
ミキ「ダザーン総統は戦いのために、普通の人たちの暮しを犠牲にしてたのね」
松男「ねぇ、あれは?」

トロッコがあり、レールは地下道の奥へ続いている。
しかし、兵士たちが護衛している。
五郎が小石を、あさっての方向へ投げる

兵士「むぅ、何だ」

その音で兵士の注意が逸れた隙に、一同はトロッコに乗り込み、一気に地下道奥を目指す。


一方のダザーン城のダザーン総統、女元帥ジョケツたち。

ジョケツ「まだかい!? まだダイアポロンは、発見できないのかい!?」
兵士「残念ながら……」
ダザーン「クイーンがここにいる限り、奴らも遠くへは行かぬ」
ジョケツ「クイーン・アポロン。今度こそお前の息子をズタズタに引き裂いてやるからね!」

ジョケツの部下のバライが、改心して軍を裏切ったギラニクを連行して来る。

バライ「総統、裏切り者ギラニクのご処断を」
ダザーン「お前に裏切られようとはな──」
ギラニク「私はやっと、目が覚めた! 我々のやっていることが、如何に愚かなことか」
ダザーン「えぇい、何ということを言う!? 処刑しろ!」
クイーン「何ですって!?」
ジョケツ「お前は黙っておいで!」
クイーン「おやめください! これ以上、命を粗末にするのは!」
ジョケツ「生意気なことを! 自分の命の方を心配するがいい!」

ジョケツが鞭を振るい、クイーンを滅多打ちにする。

ギラニク「クイーン様…… 囚われの身でありながら」
ダザーン「行けぃ! クイーン・アポロンを閉じ込めておけ!」
バライ「クイーンは地下牢へ。ギラニクは地上で処刑だ!」

エレベーターで、クイーンが地下牢へ、ギラニクが上階へ運ばれてゆく。
ギラニクがとっさに壁面をぶち破り、クイーンのもとへ駆け寄る。

バライ「止めろ、止めろ!」

ギラニクは兵士たちを蹴散らし、クイーンを連れ、地下道へ逃亡の身となる。

ギラニク「クイーン・アポロン様、ご安心ください。私が必ず、必ずあなたをお助けします!」
クイーン「ありがとう、ギラニク。でも、このダザーン城から脱出するのは無理です!」
ギラニク「かもしれません。しかし……」
クイーン「私のことより、エナルジーハートを見つけてください! それをダイアポロンに渡して、このダザーン星に緑を甦らせ、無益な戦いは避けるのです! いいですね?」
ギラニク「クイーン様、あなたというお方は……」
兵士「いたぞ!」
クイーン「さぁ、私に構わず、早く、早く逃げてください!」
ギラニク「クイーン様……!」


タケシたちは、ダザーン城の地下へと近づいている。
兵士たちが入口を固めている。

兵士たち「今、何か動いたぞ」「気のせいだろう」「いや、もしかしたら、逃げ出した裏切り者かもしれん」

兵士たちがタケシの気配に気づき、近づいてくる。

警報『エナルジーハート保管庫に、裏切り者が出現!』
兵士たち「捕まえろ!」「大変だ!」

兵士たちが警報に気を取られ、立ち去る。
タケシが飛び出し、城の入口へ向かう。

五郎「ど、どこへ?」
ミキ「タケシはきっと、お母さんを捜すんじゃないかしら」
一同「タケシ!」「タケシ!」

五郎たちもタケシへ続く。


一方でギラニクは、エナルジーハートの保管庫で、バライや兵士たちと銃撃戦を演じている。

バライ「この中にエナルジーハートさえなければ、ミサイルを撃ち込んで、裏切り者をやっつけるんだが」

タケシもその最中へと近づいてゆく。

タケシ「ゴロやん、あのトラックを使うんだ」
五郎「タケシ、あの建物の中に突っ込む気か?」

タケシたちは、乗り捨てられているトラックに乗り込み、保管庫へ向かう。
トラックがタケシたちとは知らず、ギラニクは銃でトラックを狙うが、トラックはそれをかわして保管庫に突っ込む。

ギラニク「おぉ、しまった!」

タケシたちがトラックを降り、保管庫内へ突入する。
ギラニクと鉢合せする。
とっさの五郎の銃撃が、ギラニクの肩を捉える。

ギラニク「うわぁっ!」「うぅっ…… 待て、ダイアポロン。私はもう、みんなの敵ではない」
タケシ「じゃあ、裏切り者というのは!?」
ギラニク「うむ。憎み合うことの愚かさを、私はクイーン・アポロンに教えられたのだ!」
タケシ「母さんはどこだ!?」
ギラニク「ダイアポロン。私はクイーン様をお救いしようと思ったのだが、あの方は、エナルジーハートをダイアポロンに渡してくれと」
タケシ「か、母さん……」
五郎「タケシ、今はそれどころじゃないんだ!」
ミキ「お母さんを、早く助けなきゃ!
松男「そうだよ。こんなとこでグズグズしていると」

地面を揺るがし、ザ・ヘルが近づいてくる。

松男「あぁっ、タケシ兄ちゃん!」
タケシ「ミキッペ、ゴロやん。アポロンロボットで、あいつを食い止めていてくれ。その間に俺は、ラビにキーエナルジーを取り出してもらう」
ミキ「えぇっ!?」
五郎「そ、そんな!」
タケシ「いいから、やってくれ! 俺は母さんの言った通り、エナルジーを役立たせたいんだ!」
五郎「よ、よし。少しでも時間を稼いでやる!」
ミキ「うん。できるだけやってみるわ」
2人「U──! F──! O──!

ミキがアポロン・トラングー、五郎がアポロン・レッガーに乗り込み、ザ・ヘルに挑む。
だが、合身状態のダイアポロンですら苦戦した敵に、分離状態の2体では、防戦すらおぼつかない。
その間に、エナルジーハートはニューアポロン基地に積み込まれ、タケシは基地のラビのもとへ。

タケシ「これを動かすために、俺の胸からキーエナルジーを取り出してくれ」
ラビ「ダイアポロン様……!」
タケシ「ラビ、頼む。俺はこうすることが一番正しいと思うんだ」
ラビ「ダイアポロン様!」
タケシ「今は、争いより平和を考えることが大事だとわかったんだ!」
ラビ「ダイアポロン様、よくそこに気が付かれた! 争いから真の平和は生まれません。やりましょう。宇宙の平和のために!」

松男とヒデキが見守る中、タケシは手術台に寝かされ、機械が胸に近づけられてゆく。

ラビ「皮膚を傷つけることなく、キーエナルジーを取り出すことのできる特殊手術です」

機械が作動してゆく。

タケシ「うぅっ、うわぁ──っ!」

ザ・ヘルの攻撃で、基地の天井が破られる。
手術台の上のタケシに、ザ・ヘルの巨大な拳が振り下ろされんとしている。

そのとき── 空から激しい光が差し込む。

ラビ「おぉっ、あれは……!」

雲間が割れ、タケシにキーエナルジーを与えたときのように、ペガサスに乗った何者かの姿が見える。

「ダイアポロン── 最後のアポロンエネルギーを与えよう」「このエネルギーを、平和のために役立たせよ──」

神々しい光が、タケシの胸へと降り注いでゆく。
タケシが全身を光り輝かせ、力強く立ち上がる。

タケシ「ダーイアーポロ──ン!! 三体結合!

タケシがアポロン・ヘッダーに収容され、トラングー、レッガーと合身し、ダイアポロンとなる。

タケシ「ダイアポロンビ──ム!

新たな力を得たダイアポロンの攻撃が、ザ・ヘルの両腕を砕く。

ダザーン「何ということだ!? ダザーン最後のロボットが!」

ダザーン総統が、小型機で城を飛び立つ。
機内には、クイーン・アポロンがカプセルに閉じ込められている。

タケシ「アポロンソーサ──!!

ダイアポロンのとどめの攻撃で、ザ・ヘルが大爆発する。
その爆発にダザーン城も巻き込まれ、ジョケツやバライたちも最期を遂げる。

ジョケツたち「うわあぁ──っっ!!」

ミキ「タケシ、ダザーン総統が逃げてくわ。あの中にはお母さんが!」
タケシ「わかってる。でも、エナルジーハートを作動させることが先だ!」

ダイアポロンは、中破したニューアポロン基地からエナルジーハートを抱え上げ、空を飛び立つ。


ダザーン総統の小型機は、すでに宇宙空間へ飛び出している。

ダザーン「母親を手にしている限り、このダザーンは負けぬ。絶対に負けぬぞ!」

密かに機内に乗り込んでいたギラニクが、ダザーン総統の背後から銃を突きつける。

ギラニク「総統!」
ダザーン「むっ!? ギラニク、何をする気だ!?」
ギラニク「ダザーン総統、お願いです。無益な戦いだけはおやめください。ダザーン総統!」

ギラニクが機器を操作する。
クイーン・アポロンを閉じ込めたカプセルが、機外に排出される。

ダザーン「血迷ったか、ギラニク!?」
ギラニク「無益な戦いだけはおやめください」
ダザーン「むぅ……」

ギラニクが銃を突き付けられたまま、足で床のボタンを押す。
壁面から無数のレーザーが、ギラニク目がけて浴びせられる。

ギラニク「うわぁぁ──っ!!」
ダザーン「この裏切り者めが!」

タケシ「エナルジ──ハ──ト!!

エナルジーハートから強力なエネルギーが、ダザーン星に大地に降り注ぐ。
ダザーン星を埋め尽くしていた暗黒ガスが消え、空を閉ざしていた厚い雲が消えてゆく。
空から眩しい光が地上へ差し込み、苦しんでいた人々に笑顔が戻ってゆく。

ダザーン「信じられぬ…… 暗黒ガスが……」
ギラニク「良かった…… これで、これでダザーン星は甦る…… ありがとう、ダイアポロン」

ダザーン星の復活に満足したように、ギラニクが事切れる。

ダザーン「あぁっ…… 眩しい……」

空から差し込む光に、ダザーン総統が目をくらませ、よろけて壁面の機器にぶつかる。
機器が誤作動して発火し、ダザーン総統の服が引火する。

ダザーン「わしの負けだ…… うわああぁぁ──っっ!!」

ダザーン総統が炎に包まれ、燃え尽き、最期を遂げる。


ダイアポロンが、空から舞い降りてきたクイーン・アポロンのカプセルを受け止める。

クイーン「ああっ、ダイアポロン……!」


小高い丘の上で、タケシとクイーン・アポロンの母子がついに再会し、涙しつつ手を取り合う。
五郎たち、その様子に目に涙を浮かべている。

ラビ「見事でした、ダイアポロン様。ついに、あなたはまことの王者に成長された!」

ダイアポロンが、戦士としての役目を終えたように、空の彼方へと飛び去ってゆく。


(終)

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最終更新:2018年08月03日 17:36

*1 第2話から登場するタケシたちの新しい仲間。